法薬

  • 比叡山東塔の「悪僧」。『中右記』長治元年十月七日条に、
   「近年、延暦寺には法薬禅師という者がいる。東塔の大衆は彼を
    「都那師」に任じた。しかし、彼は武勇をもっぱらにして
    合戦を好む人物で、比叡山の闘乱には必ず関与している。
    また諸国の末寺荘園の所職を兼任しており、
   《数十人の武士□□を引率し、京都諸国を朝夕に往反す》。
   そこでは人物(じんもつ)を奪い取り、人の首を切るようなことも
   しているという。ゆえに天下の人々は、彼にしたがわざるを得ない」とあるとか。

  • ここで言う「都那師」とは、都維那(ついな)の事と思われ、
   つまりこのような悪僧が東塔の公的な役職についていた事になる。

(『僧兵 祈りと暴力の力』衣川仁)



最終更新:2011年08月07日 11:06