近世には、疱瘡の流行に対して、猩々の人形を作り、燈明、口に赤紙をつけた酒徳利、小豆飯や赤鰯を供え、
三日後にこの人形を門前から運び出して川へ流すという習俗があった。
猩々が疱瘡の神とされたのは、疱瘡の赤斑を出し顔面が赤く色づく症状が、
猩々の常に酒を飲み赤面しているという様子と重なり合うからだとする。
- 天保十五年出版の『重修本草網目啓蒙』に、以下の記述がある。
「往昔黄檗山万福寺ノ開山隠元禅師、此猩猩ヲ祭ラシメ痘瘡ヲ軽クスル禁呪ヲセシコトアリ、故ニ禅師入定ノ後モ祀ル者アリテ、好事ノ者唐土ノ不倒翁ニ擬シテ禅師ノ形ヲ作リ為シテ、相共ニ祭ラシム、今ヲキアガリコボシト云人形是ナリ、老翁不倒堅固ノ形ヲ模シ、小児ニ祝シテ玩ヒノ小人形トスル者ニシテ、今ニ至テ痘瘡ノ家ゴトニ猩猩トヲキアガリコボシトヲ祝物トス」
最終更新:2010年05月24日 11:39