エイ

  • 古名を「コメ」という。『和名抄』では「韶陽魚」と書いて「コメ」と読ませている。
   『食経』に、韶陽魚はスッポンに似て甲がない、
   よって日本でもカメに似ているのでコメと呼ぶ、とある。
   また同書に、エイは尾が長いので燕尾(エビ)といったのが転訛してエイとなったとする。

  • 伊予ではナベブタウオという別称がある。

  • アカエイは俗に傾城魚(けいせいうお)という。傾城は美女、また遊女の意。
   魚姦の対象となったゆえの名。
   また転じて、城を傾けるほど巨大な魚という文字通りの意味から、
   「赤エイの京」、「赤エイの島」の伝説が生じた、と著者。
   漁師が島と思って上陸すると海底に沈んだ、また北の海にいたはずが南の海にいた、
   といった話になる。

  • ノコギリエイの吻(ふん ノコギリ部分)は、台湾の道教の童乩(どうけい)が
   沙魚剣と称して、神がかり時の悪魔祓いの呪具とする。

(『世界大博物図鑑2 魚類』荒俣宏)


最終更新:2011年09月04日 11:51