- 水銀が炭素原子と結合したものを有機水銀という。体内に蓄積されやすく、毒性も高い。
特に毒性の高いのがメチル水銀で、水俣病の原因として有名。
- 一方で炭素と結合していないものを無機水銀と呼ぶ。こちらは体外に排出されやすく、相対的に毒性が低い。
1kg以上を経口摂取しても死ななかった、といった事例もあるらしく、また静脈注射をしてすら激しい中毒症状には至らないとか。
ただしそれでも、腎臓に蓄積されやすいため腎臓障害などを起こす場合がある。
また、水銀は常圧でも少しずつ揮発するため、これを肺から吸入すると体内で水銀化合物(有機水銀)が発生、
慢性的な中毒を引き起こす。
- 無機水銀の中では、昇汞(塩化第二水銀 HgCl2 )が比較的毒性が高い。人間に対する致死量は1~2gとのこと
- 水銀を高温で熱すると、空気中の酸素と化合して赤い酸化水銀が生ずる。
- インドの経典類では、凝固した水銀を「殺された水銀」と表現され、
不死や、他の水銀を金に変えるなどの多様な効力を持つとされる。
- 通常、水銀は辰砂を焼いて取り出すが、長崎県佐世保市の相浦川流域など、
一部の地域では液状の自然水銀が採取できるとか。
- 水銀は鏡を研磨する際に必要な物質でもあった。江戸時代、富山県の氷見に集まっていた鏡研ぎ職人たちを民俗学者が調べたところでは、
水銀60gにシャリキンと呼ばれる細かい砂を23gの割合で混合した「練り」とよばれるものを鏡面に塗り付け、
これを朴の葉でこすっていたという(『日本民俗文化大系14 技術と民俗 下』小学館)。
参考文献
『身体に必要なミネラルの基礎知識』野口哲典
『空気の発見』三宅泰雄
『アリエナイ理科の教科書IIB』
『エリアーデ著作集5 鍛冶師と錬金術師』
『邪馬台国への旅』
『日本神話の考古学』
最終更新:2013年08月15日 02:35