SCP-579-JP

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SCP-579-JP - (2017/01/15 (日) 19:01:36) の1つ前との変更点

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&font(#6495ED){登録日}:2016/12/30 Fri 02:11:06 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- SCP-579-JPはシェアード・ワールド「[[The SCP Foundation]]」に登場するオブジェクト(SCiP)のひとつである。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]はEuclid。 項目名は「コロポックル」。 *コロポックルとは何じゃらホイ 項目名であるコロポックルとは、アイヌの伝承に登場する小人のことである。 姿を見せることを嫌う代わりアイヌの人々に好意的だったが、ある時無理やり姿を見られたことに怒り、一族郎党全て海の向こうに去ってしまったという。 *概要 初めに言っておくが、このオブジェクトは間違いなく、全てのオブジェクトの中でもトップクラスにわけのわからん代物である。どれくらいわからんかというと、[[SCP-2165]]くらいわからん。 なぜかというと、実はコイツの元記事、驚いたことに&bold(){概要が存在しない。} つまり、SCP-579-JPとは何ぞや? と聞かれても答えられないのである。いや、項目名の時点で見当はついているだろうが、コロポックルである。 しかし、財団世界におけるこれはどういうものか、という質問には誰も答えられない。[[SCP-001]]ですら、真偽が入り混じっているとはいえ概要とプロトコルが存在しているが、コイツにはプロトコルしか存在しない。 というわけで、ここからはそのプロトコルについて説明する。 *特別収容プロトコル 前提として述べておくが、報告書が記された時点でSCP-579-JPは絶滅・消滅しており存在していない。 これに伴い。関連する記録や情報も全て破壊されている。 その上で、財団の全職員は、上記の事実を認識・記憶しておかなければならず、かつ混乱を避けるため、SCP-579-JPに関する情報の口外や記録等はいかなる内容であれ、例えそれが無根拠な推測、噂であろうとも絶対禁止とされている。 許可なく情報の所持、そして流布を行った者は、追跡、特定、拘留され、レベル4/579-JPの情報漏えい罰則を処される、という念の入れようである。 さらに、後述する虚偽の説明を流布し、職員らはそれをよく読んで理解し、記憶した上で、それが全部、虚偽の情報であることを念頭に置いておかなければならない。 これらの処置は永続されねばならず、この関係からオブジェクトそのものが既に存在しないにもかかわらず、Neutralizedクラスへの分類は絶対に行われないことになっている。 では、その虚偽の説明とは何か? それについて述べて行こう。 SCP-579-JPは、人型の生命体である。 人間の8分の1ほどしかない大きさだが、にもかかわらず彼らはは器用に手足を動かし、立って歩き、言葉を話し、文明を築いた。 正しい知識を持たない人間が見ても、戯画化された、物言わぬ不動の人形にしか見えない。そしてそういう人間は、持ち上げたSCP-579-JPが脱出しても「人形」はそこにあると思い込み、やがてそれをどこかに置いて忘れ去るか、「無くした」と判断することになるのだ。 彼らの姿や振る舞いは人間と同じに見えるものの、その本当の意味を理解することは人間の価値観では不可能である。ただし、人間との交流能力を犠牲にする事でSCP-579-JPとの深い交流が可能になる。 それにより、これまでに、以下のような影響が人間にもたらされることが確認されている。 ・SCP-579-JP-甲 SCP-579-JPの「人形」でない顔を見た人間は、人間に対する相貌失認、つまり顔を認識できない症状を発症する。 例えその正確な性質を知らなくとも、正確な絵や写真を見れば同じ結果になる。 ・SCP-579-JP-乙 SCP-579-JPの言語で会話が可能になった人間は、人間に対する言語障害に陥り、あらゆる人間の言語の再教育が不可能になる。実質的に人間との会話ができなくなるのだ。 また、SCP-579-JPを正しく知覚できるか否かにかかわらず、その文字を読んだ人間は、人間の文字に対する文字認識能力を失う。文字を読むことも出来なくなってしまうのである。 ・SCP-579-JP-丙 SCP-579-JPは現在の人類が一般的に用いる数字に、未知の数字を1つ加えて計算を行う。 要するに人間にとっての2進法はSCP-579-JPにとっての3進法、人間にとっての10進法はSCP-579-JPにとっての11進法になる、という表現が恐らくいちばん近い。 彼らの計算法を理解した人間は、人間の数学を使用できなくなる。 人間の数学に基づいた金銭の勘定、時間の計測等を行うと、必ず計算間違いをするようになる。そして身の回りの計算をSCP-579-JPの方法で行うようになるのである。 普通の人間はその計算の「結果」については整合性のあるものとして認識できるが、途中の式は理解できない。更に、その計算に使われた紙や筆記具などの道具は、人間の計算に用いる事ができなくなってしまうのだ。 これは精密機械も例外ではない。 かつて日本人は、特定の人間を口語のみか筆談のみでSCP-579-JPと交流させる事で、常に人間の先を行く文明を持っていた彼らの技術や知恵を手に入れていた。しかし、この日本人と彼らとの関係は、次の事象をきっかけに終わることになった。 ・SCP-579-JP-丁 SCP-579-JPは、我々人類が発見して「原子」と名づけたものが、どの種類においても、SCP-579-JPが知る原子に対して、大きさ、そして質量がそれぞれ約8倍となっている事を知った。 SCP-579-JPの炭素原子が人類にとっての炭素原子と同じ大きさになるにはおよそ8の3乗(8個分の縦×横×奥行き)、要するに512個分の数量が必要になる。ならば、その時の質量は8分の1の512倍、我々の炭素原子の約64倍の質量になってしまう。 己の計算が正しければ、我々人類の身体は自重によって崩壊する事を、SCP-579-JPは知ったのだ。 過去の事例から、この科学的事実が人類へと反映される可能性を危惧した彼らは、この事実を知らない別の個体を通して日本人へ以下の内容を打診し、それは受諾され、実行に移されることになった。 日本中に、次のような誤情報が流布されたのだ。 ・一般の人間には、SCP-579-JPは架空の存在であると強く信じさせる通念が与えられた。 ・SCP-579-JPを学術的に追求しようとする者達には、彼らが同じ人間の少数民族だったとする学説が、現代科学では見抜けない偽装を施した証拠品とともに提示された。 ・SCP-579-JPと交流していた人々や、財団のように異常な存在を取り扱う組織や人物には、彼らが人間に滅ぼされ、絶滅したというカバーストーリーが可能な限り伝えられた。 情報の流布は成功した。 彼らを正しく知覚してその影響を受けてしまう人間は、殆どもしくは全く見られなくなった。 「正しい知識」が無ければ彼らを正しく知覚できないという状況は、その知識が無い場合だけでなく、「正しい知識」が誤情報を追記・上書きされ、歪められた場合でも成立する。 彼らは記憶の消去よりも確実かつ強固に彼らの知覚を防ぐ手段として、この情報の流布を考案し、それは期待通りの効果をもたらすことになった。 この試みは、財団が日本での活動を開始する以前に行われたものである。そして当時、情報の流布は蒐集院が行っていた。財団が蒐集院を吸収合併した際、SCP-579-JPの取り扱いもまた、財団へと引き継がれることになったのである。 とまあこういうわけで、彼ら「コロポックル」は森の奥深くや土の中等の人目のつかないところへ潜むようになった。 しかし、今も我々人類が認識しないだけで、すぐそばにいるのかもしれない。 彼らはその特性上、人間の言葉で著したSCP-579-JP-丁の理論を流布することでごく簡単に人類の数を減らして住処を広げる事ができる。が、現在のところそれは実行されておらず、理由は不明。 かつて彼らは、人類を巨大な神として崇拝していたのか、それとも常識を超えた珍獣として評価していたのか? それは、全ての情報が収容された今は不明である。 いずれにせよ、日本人、ひいては人類は、今もSCP-579-JPに保護されているのである。 *補遺 &bold(){以上は全て偽りの説明であり、ここまでが一連の特別収容プロトコルである。} 財団がここまでして隠蔽するSCP-579-JPとは何なのか? その真の内容は公開されないことになっている。 なぜ、概要が明かされない?  なぜ、記録が見られない? なぜ、彼らの情報を知ることが出来ない? 答えは一つ。 &bold(){その必要がないからである。} 財団の使命は確保、収容、保護。 この報告書には、SCP-579-JPが何であるかは書かれていない。彼らが既にいないということと、現状何をするべきかについてのみ記されている。 それだけでいいのだ。 オブジェクトの存在がわかり、特別収容プロトコルも確立されている。 ならば、オブジェクトの概要や性質は、極端な話わからなくとも関係ない。 [[SCP-444-JP]]を思い出してもらえればいい。 アレは知ること自体が害となる典型である。SCP-579-JPも同じである。違うのは、存在を知ること自体は問題ないこと。 同じなのは、真の情報を知ってはならない、誰も知らねば丸く収まる、ということである。 そういう意味では、欺瞞情報とプロトコルで埋め尽くし、概要をまるっと秘匿したこの報告書はなかなか上手い作りだと言えるだろう。 ……しかし思い出してもらいたい。 プロトコルの冒頭。この虚偽の情報を流布し、かつ財団の全職員がそれを読んで、理解して、記憶して、虚偽だと認識する。それがプロトコルである。 財団は収容したオブジェクトの情報を決して一般に公開しない。つまりプロトコルはどのオブジェクトにおいても一貫して、財団内部に向けたものである(だからモノによっては一定のクリアランスが要求される)。 「虚偽だと認識する」。これがミソである。 財団全職員に、これら情報がウソだと認識させることこそが、このオブジェクトを収容するプロトコルなのである。 財団は必要とあらば身内を、そして自分たち自身ですら騙してのける。 で、忘れてはならないのが事例・丁。 仮にこれら全てが真実だと仮定すると、SCP-579-JPの突き止めた事実=人間の認識する原子はコロポックルの知る原子の8の3乗であることが、上述した通りとんでもない危険に変貌する。 なぜなら、&bold(){彼らコロポックルの認識する情報を人間が理解し伝えれば、その「真実」が適用され、その人間は自重で崩壊してしまう}のだから。 では、どうすればいいのか? 答えは簡単。「その情報は虚偽である」という通念を浸透させ、それを信じ込ませればいいのだ。 コロポックルの知識は、コロポックルを正しく知覚し認識できる人間にしか適用されない。ならば、全ての日本人にコロポックルを認識させなければいい。彼らのもたらした技術を、知識を、全て虚偽だと、架空のものだと、別の何かがぼやけて伝わったものだと思い込ませればいい。 だが一般人にはそれでよくても、日常の裏側に潜む摩訶不思議を「常識」として認識し理解する財団職員については、「もしかして真実では?」と思ってしまうことがあるだろう。 そう、これこそが収容プロトコルの正体である。コロポックルに関するこれまでの事実を、一切の虚偽なく検閲なく改竄なくすべて書き記し、その上でそれらを「虚偽の情報である」と認識させることで、彼らの「真実」が伝わることを防いでいる。 オブジェクトクラスがEuclidで固定されている理由がまさにこれであり、コロポックルは絶滅したのではなく単に姿を隠しているのみなのだ。 元記事を見ればわかるが、この記事の内容には[編集済]、[削除済]、黒塗りの部分が一切存在せず、3枚ある「彼ら」の写真は全て「ただの人形です」と注記されている。 そして、プロトコルの前置きとして、例え無根拠な噂や推測、妄想の類であろうとも、記録することも口にすることも許さない、と固く禁じることで、情報が流布され、何も知らない誰かが「もしかして」と思うことさえ阻止する。 そして彼らの情報が万が一インターネットに流れたとしても、「虚偽である」という前提が頭にあれば認識はされない。 彼らがEuclidなのは、彼らが姿を消しても、彼らの認識した「真実」は厳然として残り、それは決して認識されてはならないからなのだ。だから、Neutralizedにはならない。異常な特性なら無力化の可能性はどんなに微小でもある。だが、ただそこにある「ほんとうのこと」は無力化など出来ない。 特性だけならKeterレベル、内実としては認識災害に近いが、「真実だと認識しない、させない」という収容方法が曲がりなりにも成立している。だからEuclidで収まっているのだ。 要するに、財団はコロポックルの知る「原子とは、本当は人間の認識している8の3乗の質量を持っている」という事実を真実として認識・反映させないために、コロポックルと共同で、それ自体を含む彼ら全ての情報を虚偽だとするミーム汚染を日本全土と日本支部全てに仕掛けたのである。 これこそが収容プロトコルの正体である。そして補遺にあるように、本当の情報は公開されることはない。なぜならそれは既にプロトコルとして公開されており、かつそれに虚偽というレッテルを彼ら自身が貼ったのだから。 追記・修正は行われません。←この情報は虚偽です。 ---- #right(){ SCP-579-JP - コロポックル by soilence www.scp-wiki.net/scp-579-jp この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,2) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 元記事にいくつも挿入されている「ただの人形の写真」が本当に不気味 -- 名無しさん (2016-12-30 09:04:21) - なんども「これはただの人形です。」だもんねえ -- 名無しさん (2016-12-30 10:31:13) - 人類を守るために身を隠してくれてると思うとほっこりする -- 名無しさん (2016-12-31 01:43:55) - あなたはこの人形の姿に見覚えがありません -- 名無しさん (2017-01-09 14:18:58) - 見える、見えるぞ!なんだあのこびグチャア -- 名無しさん (2017-01-09 14:27:50) - ↑2素粒子に戻るんだ -- 名無しさん (2017-01-09 14:43:53) - これってある意味、本部の同じ番号たるSCP-579([データ削除済])のオマージュとかリスペクトだったりするのかしら。SCP-173-JPやSCP-682-JPみたいに。 -- 名無しさん (2017-01-11 19:06:01) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2016/12/30 Fri 02:11:06 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 3 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- SCP-579-JPはシェアード・ワールド「[[The SCP Foundation]]」に登場するオブジェクト(SCiP)のひとつである。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]はEuclid。 項目名は「コロポックル」。 *コロポックルとは何じゃらホイ 項目名であるコロポックルとは、アイヌの伝承に登場する小人のことである。 姿を見せることを嫌う代わりアイヌの人々に好意的だったが、ある時無理やり姿を見られたことに怒り、一族郎党全て海の向こうに去ってしまったという。 *概要 初めに言っておくが、このオブジェクトは間違いなく、全てのオブジェクトの中でもトップクラスにわけのわからん代物である。どれくらいわからんかというと、[[SCP-2165]]くらいわからん。 なぜかというと、実はコイツの元記事、驚いたことに&bold(){概要が存在しない。} つまり、SCP-579-JPとは何ぞや? と聞かれても答えられないのである。いや、項目名の時点で見当はついているだろうが、コロポックルである。 しかし、財団世界におけるこれはどういうものか、という質問には誰も答えられない。[[SCP-001]]ですら、真偽が入り混じっているとはいえ概要とプロトコルが存在しているが、コイツにはプロトコルしか存在しない。 というわけで、ここからはそのプロトコルについて説明する。 *特別収容プロトコル 前提として述べておくが、報告書が記された時点でSCP-579-JPは絶滅・消滅しており存在していない。 これに伴い。関連する記録や情報も全て破壊されている。 その上で、財団の全職員は、上記の事実を認識・記憶しておかなければならず、かつ混乱を避けるため、SCP-579-JPに関する情報の口外や記録等はいかなる内容であれ、例えそれが無根拠な推測、噂であろうとも絶対禁止とされている。 許可なく情報の所持、そして流布を行った者は、追跡、特定、拘留され、レベル4/579-JPの情報漏えい罰則を処される、という念の入れようである。 さらに、後述する虚偽の説明を流布し、職員らはそれをよく読んで理解し、記憶した上で、それが全部、虚偽の情報であることを念頭に置いておかなければならない。 これらの処置は永続されねばならず、この関係からオブジェクトそのものが既に存在しないにもかかわらず、Neutralizedクラスへの分類は絶対に行われないことになっている。 では、その虚偽の説明とは何か? それについて述べて行こう。 SCP-579-JPは、人型の生命体である。 人間の8分の1ほどしかない大きさだが、にもかかわらず彼らはは器用に手足を動かし、立って歩き、言葉を話し、文明を築いた。 正しい知識を持たない人間が見ても、戯画化された、物言わぬ不動の人形にしか見えない。そしてそういう人間は、持ち上げたSCP-579-JPが脱出しても「人形」はそこにあると思い込み、やがてそれをどこかに置いて忘れ去るか、「無くした」と判断することになるのだ。 彼らの姿や振る舞いは人間と同じに見えるものの、その本当の意味を理解することは人間の価値観では不可能である。ただし、人間との交流能力を犠牲にする事でSCP-579-JPとの深い交流が可能になる。 それにより、これまでに、以下のような影響が人間にもたらされることが確認されている。 ・SCP-579-JP-甲 SCP-579-JPの「人形」でない顔を見た人間は、人間に対する相貌失認、つまり顔を認識できない症状を発症する。 例えその正確な性質を知らなくとも、正確な絵や写真を見れば同じ結果になる。 ・SCP-579-JP-乙 SCP-579-JPの言語で会話が可能になった人間は、人間に対する言語障害に陥り、あらゆる人間の言語の再教育が不可能になる。実質的に人間との会話ができなくなるのだ。 また、SCP-579-JPを正しく知覚できるか否かにかかわらず、その文字を読んだ人間は、人間の文字に対する文字認識能力を失う。文字を読むことも出来なくなってしまうのである。 ・SCP-579-JP-丙 SCP-579-JPは現在の人類が一般的に用いる数字に、未知の数字を1つ加えて計算を行う。 要するに人間にとっての2進法はSCP-579-JPにとっての3進法、人間にとっての10進法はSCP-579-JPにとっての11進法になる、という表現が恐らくいちばん近い。 彼らの計算法を理解した人間は、人間の数学を使用できなくなる。 人間の数学に基づいた金銭の勘定、時間の計測等を行うと、必ず計算間違いをするようになる。そして身の回りの計算をSCP-579-JPの方法で行うようになるのである。 普通の人間はその計算の「結果」については整合性のあるものとして認識できるが、途中の式は理解できない。更に、その計算に使われた紙や筆記具などの道具は、人間の計算に用いる事ができなくなってしまうのだ。 これは精密機械も例外ではない。 かつて日本人は、特定の人間を口語のみか筆談のみでSCP-579-JPと交流させる事で、常に人間の先を行く文明を持っていた彼らの技術や知恵を手に入れていた。しかし、この日本人と彼らとの関係は、次の事象をきっかけに終わることになった。 ・SCP-579-JP-丁 SCP-579-JPは、我々人類が発見して「原子」と名づけたものが、どの種類においても、SCP-579-JPが知る原子に対して、大きさ、そして質量がそれぞれ約8倍となっている事を知った。 SCP-579-JPの炭素原子が人類にとっての炭素原子と同じ大きさになるにはおよそ8の3乗(8個分の縦×横×奥行き)、要するに512個分の数量が必要になる。ならば、その時の質量は8分の1の512倍、我々の炭素原子の約64倍の質量になってしまう。 己の計算が正しければ、我々人類の身体は自重によって崩壊する事を、SCP-579-JPは知ったのだ。 過去の事例から、この科学的事実が人類へと反映される可能性を危惧した彼らは、この事実を知らない別の個体を通して日本人へ以下の内容を打診し、それは受諾され、実行に移されることになった。 日本中に、次のような誤情報が流布されたのだ。 ・一般の人間には、SCP-579-JPは架空の存在であると強く信じさせる通念が与えられた。 ・SCP-579-JPを学術的に追求しようとする者達には、彼らが同じ人間の少数民族だったとする学説が、現代科学では見抜けない偽装を施した証拠品とともに提示された。 ・SCP-579-JPと交流していた人々や、財団のように異常な存在を取り扱う組織や人物には、彼らが人間に滅ぼされ、絶滅したというカバーストーリーが可能な限り伝えられた。 情報の流布は成功した。 彼らを正しく知覚してその影響を受けてしまう人間は、殆どもしくは全く見られなくなった。 「正しい知識」が無ければ彼らを正しく知覚できないという状況は、その知識が無い場合だけでなく、「正しい知識」が誤情報を追記・上書きされ、歪められた場合でも成立する。 彼らは記憶の消去よりも確実かつ強固に彼らの知覚を防ぐ手段として、この情報の流布を考案し、それは期待通りの効果をもたらすことになった。 この試みは、財団が日本での活動を開始する以前に行われたものである。そして当時、情報の流布は蒐集院が行っていた。財団が蒐集院を吸収合併した際、SCP-579-JPの取り扱いもまた、財団へと引き継がれることになったのである。 とまあこういうわけで、彼ら「コロポックル」は森の奥深くや土の中等の人目のつかないところへ潜むようになった。 しかし、今も我々人類が認識しないだけで、すぐそばにいるのかもしれない。 彼らはその特性上、人間の言葉で著したSCP-579-JP-丁の理論を流布することでごく簡単に人類の数を減らして住処を広げる事ができる。が、現在のところそれは実行されておらず、理由は不明。 かつて彼らは、人類を巨大な神として崇拝していたのか、それとも常識を超えた珍獣として評価していたのか? それは、全ての情報が収容された今は不明である。 いずれにせよ、日本人、ひいては人類は、今もSCP-579-JPに保護されているのである。 *補遺 &bold(){以上は全て偽りの説明であり、ここまでが一連の特別収容プロトコルである。} 財団がここまでして隠蔽するSCP-579-JPとは何なのか? その真の内容は公開されないことになっている。 なぜ、概要が明かされない?  なぜ、記録が見られない? なぜ、彼らの情報を知ることが出来ない? 答えは一つ。 &bold(){その必要がないからである。} 財団の使命は確保、収容、保護。 この報告書には、SCP-579-JPが何であるかは書かれていない。彼らが既にいないということと、現状何をするべきかについてのみ記されている。 それだけでいいのだ。 オブジェクトの存在がわかり、特別収容プロトコルも確立されている。 ならば、オブジェクトの概要や性質は、極端な話わからなくとも関係ない。 [[SCP-444-JP]]を思い出してもらえればいい。 アレは知ること自体が害となる典型である。SCP-579-JPも同じである。違うのは、存在を知ること自体は問題ないこと。 同じなのは、真の情報を知ってはならない、誰も知らねば丸く収まる、ということである。 そういう意味では、欺瞞情報とプロトコルで埋め尽くし、概要をまるっと秘匿したこの報告書はなかなか上手い作りだと言えるだろう。 ……しかし思い出してもらいたい。 プロトコルの冒頭。この虚偽の情報を流布し、かつ財団の全職員がそれを読んで、理解して、記憶して、虚偽だと認識する。それがプロトコルである。 財団は収容したオブジェクトの情報を決して一般に公開しない。つまりプロトコルはどのオブジェクトにおいても一貫して、財団内部に向けたものである(だからモノによっては一定のクリアランスが要求される)。 「虚偽だと認識する」。これがミソである。 財団全職員に、これら情報がウソだと認識させることこそが、このオブジェクトを収容するプロトコルなのである。 財団は必要とあらば身内を、そして自分たち自身ですら騙してのける。 で、忘れてはならないのが事例・丁。 仮にこれら全てが真実だと仮定すると、SCP-579-JPの突き止めた事実=人間の認識する原子はコロポックルの知る原子の8の3乗であることが、上述した通りとんでもない危険に変貌する。 なぜなら、&bold(){彼らコロポックルの認識する情報を人間が理解し伝えれば、その「真実」が適用され、その人間は自重で崩壊してしまう}のだから。 では、どうすればいいのか? 答えは簡単。「その情報は虚偽である」という通念を浸透させ、それを信じ込ませればいいのだ。 コロポックルの知識は、コロポックルを正しく知覚し認識できる人間にしか適用されない。ならば、全ての日本人にコロポックルを認識させなければいい。彼らのもたらした技術を、知識を、全て虚偽だと、架空のものだと、別の何かがぼやけて伝わったものだと思い込ませればいい。 だが一般人にはそれでよくても、日常の裏側に潜む摩訶不思議を「常識」として認識し理解する財団職員については、「もしかして真実では?」と思ってしまうことがあるだろう。 そう、これこそが収容プロトコルの正体である。コロポックルに関するこれまでの事実を、一切の虚偽なく検閲なく改竄なくすべて書き記し、その上でそれらを「虚偽の情報である」と認識させることで、彼らの「真実」が伝わることを防いでいる。 オブジェクトクラスがEuclidで固定されている理由がまさにこれであり、コロポックルは絶滅したのではなく単に姿を隠しているのみなのだ。 元記事を見ればわかるが、この記事の内容には[編集済]、[削除済]、黒塗りの部分が一切存在せず、3枚ある「彼ら」の写真は全て「ただの人形です」と注記されている。 そして、プロトコルの前置きとして、例え無根拠な噂や推測、妄想の類であろうとも、記録することも口にすることも許さない、と固く禁じることで、情報が流布され、何も知らない誰かが「もしかして」と思うことさえ阻止する。 そして彼らの情報が万が一インターネットに流れたとしても、「虚偽である」という前提が頭にあれば認識はされない。 彼らがEuclidなのは、彼らが姿を消しても、彼らの認識した「真実」は厳然として残り、それは決して認識されてはならないからなのだ。だから、Neutralizedにはならない。異常な特性なら無力化の可能性はどんなに微小でもある。だが、ただそこにある「ほんとうのこと」は無力化など出来ない。 特性だけならKeterレベル、内実としては認識災害に近いが、「真実だと認識しない、させない」という収容方法が曲がりなりにも成立している。だからEuclidで収まっているのだ。 要するに、財団はコロポックルの知る「原子とは、本当は人間の認識している8の3乗の質量を持っている」という事実を真実として認識・反映させないために、コロポックルと共同で、それ自体を含む彼ら全ての情報を虚偽だとするミーム汚染を日本全土と日本支部全てに仕掛けたのである。 これこそが収容プロトコルの正体である。そして補遺にあるように、本当の情報は公開されることはない。なぜならそれは既にプロトコルとして公開されており、かつそれに虚偽というレッテルを彼ら自身が貼ったのだから。 追記・修正は行われません。←この情報は虚偽です。 ---- #right(){ SCP-579-JP - コロポックル by soilence www.scp-wiki.net/scp-579-jp この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,2) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 元記事にいくつも挿入されている「ただの人形の写真」が本当に不気味 -- 名無しさん (2016-12-30 09:04:21) - なんども「これはただの人形です。」だもんねえ -- 名無しさん (2016-12-30 10:31:13) - 人類を守るために身を隠してくれてると思うとほっこりする -- 名無しさん (2016-12-31 01:43:55) - あなたはこの人形の姿に見覚えがありません -- 名無しさん (2017-01-09 14:18:58) - 見える、見えるぞ!なんだあのこびグチャア -- 名無しさん (2017-01-09 14:27:50) - ↑2素粒子に戻るんだ -- 名無しさん (2017-01-09 14:43:53) - これってある意味、本部の同じ番号たるSCP-579([データ削除済])のオマージュとかリスペクトだったりするのかしら。SCP-173-JPやSCP-682-JPみたいに。 -- 名無しさん (2017-01-11 19:06:01) - アニオタこの項目、編集前の方が好きだな。虚偽として書かれているものが真実なんだって断言しないほうがいいんじゃないかな -- 名無しさん (2017-01-15 19:01:36) #comment #areaedit(end) }

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