TYPE-J9 グリフォン

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TYPE-J9 グリフォン - (2023/12/13 (水) 14:49:57) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2014/04/22 Tue 23:55:00
更新日:2024/01/14 Sun 20:33:29
所要時間:約 9 分で読めます





グリフォンとは機動警察パトレイバーに登場する機動兵器。
漫画版とTV・新OVAにおけるメインライバル兼ラスボス的存在。通称"黒いレイバー"

諸元

形式番号:TYPE-J9
所属:シャフト・エンタープライズ
製造:SEJ土浦研究所
全高:8.55m
全幅:4.60m
本体重量:7.15t
全備重量:7.60t
最大起重:3.50t
最小回転半径:4.30m
装甲材質:FRP、CFRM
動力源:超伝導モーター、電力供給型内蔵バッテリー
装備:ウイングシステム、アクアユニット、専用拳銃、他

パイロット:バドリナート・ハルチャンド、黒崎


概要

シャフト・エンタープライズ・ジャパン企画7課が茨城県SEJ土浦研究所と合同で開発した戦闘用試作レイバー。
イングラム同様完全な人型に近いシルエットを持つが、装甲は黒一色、頭部から後方に伸びた2本角など極めて"悪役"らしい特徴を備える。

企画7課課長内海の方針に基づき商品化を考慮せず開発陣の趣味に走った結果、自社規格を無視した特注パーツで構成されたボディと独自の制御システム「ASURA(アシュラ)」を持つ、レイバーとしては規格外の高コストハスペック機として仕上がっている。


劇中では開発責任者の内海の趣味により警察や自衛隊等の最新レイバーに対決を挑む
ぼくがかんがえた最強の悪のロボットとして運用された。
内海はこの狂喜の沙汰について
「実績を元に開発技術を極東地域全体に売り込む」
「他社機を叩き潰した際にその技術も奪う」
「最新鋭機同士の貴重な実戦データを収集する」
等、理由付けし関係者を納得させている。

なお、その実用性を度外視しているとも思える性能とギミックの数々に対し、特車二課の後藤隊長は「趣味なんでしょうなあ」と感心と呆れが混じった的確な評価を漏らしている。


スペック

かつて城南工大にて研究されていた高性能OS「ASURA」を搭載。
これを機体制御に利用し、要求する機動に耐えうる機体構造と合わせて他のレイバーとは一線を画す生物的な動きを実現。
この圧倒的な運動性能によって、グリフォンは素手の格闘戦で完全武装の軍用レイバーすら手玉にとる圧倒的な戦闘能力を獲得することを可能としている。
反面、イングラムなどとは異なりパイロットに合わせた蓄積・変化といった要素は無く、動作に「搭乗者の洗練されていない癖」などが反映され続けることとなる。

コクピットシステムも「ASURA」に合わせた独自のものとなっており、専用のコントロール・ヘルメットで搭乗者の脳波を読み取り機体制御を補助する仕様であるが、これを使うには搭乗者に一定の資質が求められるとされる。
また、「ASURA」のシステムユニットが一個の大型機器であるため、同じく胴体部に位置するコクピットスペースはかなり狭くなってしまい、小柄な女性や子供でなければ搭乗は困難であるなど、搭乗者に課せられる必要条件もかなり特殊。
更に、現行のフォーマットから完全に外れた代物である「ASURA」のシステムユニット自体も他のパーツ以上に希少性の高いものであるため、早々替えが利くものでもない。
一応「ASURA」無しの状態で運用することも可能であるが、その場合機体の運動性能を活かすことは出来なくなってしまう。


陸上での近接格闘を得意とする機体であるが、追加装備無しで水中行動が可能となっており、その機動性は水中用のサイレンを上回る。
なお、背面にはブースターを内蔵しており、その推力と運動性を合わせることで凄まじい短距離加速を行える。

両腕先端の五本指のマニピュレータもレイバーのコクピットロックを外してしまえるなどイングラム並の繊細かつ精密な動作が可能。
そのうえでマニピュレーターの先端や籠手、膝部分などはそれぞれ鋭利なブレード状になっており、目標の装甲を貫く打突武器としても機能する。
手持ち火器としてオートマチックの専用拳銃が存在するが「ロボットは殴りあってこそ」という内海の拘りから作中未使用のせいで漫画版最終巻では発見された際「なぜ使わなかったのか」とある意味当たり前の疑問を抱かれ、後藤さんから舐めプの象徴の如く例えられた。
同じ理由から火器管制や照準システムは未熟であり、強奪したリボルバーカノンも至近距離でなければ外してしまうほど。
両腕部にはジャミング機能を備える煙幕弾を内蔵。
緊急時には腕などの各部パーツを爆薬ボルトでパージしてしまうことも出来る。


バックパックにはジョイントが設けられ、想定される戦闘シチュエーションに応じて換装が可能。
スペックを生かした近接戦で目標を叩き潰し各種装備を使用して逃走。それがテロリストグリフォンの基本戦術である。
作中では短距離飛行用のフライトユニットと水中航行用のアクアユニットが登場。
前者は複数のブースターを内蔵した二枚の翼型の装備で、推力任せに陸上から一気に高高度まで上昇し、その後翼の揚力を用いて滑空し遠距離に逃れる。
グリフォンの規格外な性能を象徴する装備だが、あくまで離脱用で飛行時間は極僅か。しかも離着陸時に機体に掛かる負荷も大きく相応のリスクを伴う代物である。
後者は二基一対の箱形で内蔵された推進装置によって水中を高速移動出来、湾岸地域への移動と離脱両方に使える。更に本体から分離したアクアユニットだけを航行させることで囮にすることも出来る。


漫画版の2号機でには切り札として「ASURA」のリミッターであるBシステムの解除機能が追加されており、更なる俊敏性の獲得を可能としている。
しかしこれは機体保全のために設けられている安全装置を切ってしまうということでもあり、解除したまま動かせば機体各部に生じる過負荷が蓄積し部位単位での消耗が急速に進むため、自滅の可能性も孕んでいる両刃の剣。
この解除機能は1号機と相討ち同然になったイングラムへの雪辱を果たすために追加されたもので、言ってしまえば何とか勝つための苦肉の策に近い代物であった。


ちなみに運用上必要性の薄い外部スピーカーも搭載されているが、新OVA版では内海の「ワーグナーを流しながら歩かせたい」という希望で無理につけさせた物であるらしい。


劇中の活躍

  • グリフォン参上! 【アニメ:VS99式ヘルダイバー/漫画:VS97式サムソン】
試運転として訓練中の自衛隊を襲撃し無傷で殲滅。
圧倒的な運動性とコックピットを攻撃しながら乗員に傷一つ負わせない精密性を見せ付けた。
このとき砂浜に「ぐりふぉん参上」を書き残し、名前とマニピュレータ性能もアピール。

  • 雨の惨劇 【アニメ、漫画:VSイングラム・エコノミー、イングラム2号機】
有明国際レイバーショーを襲撃しぐにゃぐにゃエコノミーと太田機を破壊。
ウイングユニットを展開して飛行、逃走しレイバー関係者の度肝を抜く。

  • 城門の戦い 【アニメ:VSエイブラハム、イングラム1号機(アルフォンス)/漫画:VSキュマイラ、イングラム1号機】
SSS(シャフト・セキュリティ・システム)の刺客レイバーを軽々と退け野明と初対決。
アルフォンスに手こずった所にSSSの爆弾や太田のリボルバーキャノン(生身での手撃ち)をメインカメラに受け各部に異常が発生。
そのままアルフォンスとの機動性も糞も無い幼稚などつき合いに持ちこまれる泥試合となり、「負けたわけやない」の捨て台詞と共に撤退するも、
損傷したボディでは飛行に耐え切れず東京湾に墜落。
バドは無事だったものの初代グリフォンは四散し一部は警察に回収された。

  • STRIKE BACK
漫画版のみ。
回収されず東京湾に沈んでいたASURA。その位置特定用の発信音がよりによって怪獣・廃棄物13号を引き寄せてしまっていた。水中用レイバーでも引き揚げに失敗したため、各省庁と廃棄物13号の対決の隙を突いて、黒崎がアクアユニットを装備した二代目グリフォンで出撃。
道中、第二小隊と遭遇するも交戦を避け無事に回収に成功する。

  • グリフォン復活 【アニメ:VSAV-0ピースメーカー/漫画:VSAVS-98イングラム・スタンダード】
第一小隊二号機を圧倒し奪ったリボルバーキャノンで撃破するのは漫画、アニメ共に共通。
アニメでは「周囲に障害物があると自動で避けてしまい挙動が制限されてしまう」というシステムの欠点を突いて一号機も蹂躙。
しかし漫画では、一号機パイロット・石和巡査部長の想像以上の腕前に押され気味となり、壁に押し付けられるなどして苦戦。
なんとか水中に飛び込み、水中で機能低下した一号機を押し込むが、そこに第二小隊まで到着してしまい、さらに石和のど根性反撃も加わり完全に勝機を見失う。
やむなく煙幕を展開して撤退、第二小隊の太田が石和がいるにもかかわらずショットガンを発射するなどの無茶をしたため、なんとか窮地を脱した。

  • GAME OVER 【VSイングラム1号機(アルフォンス)、イングラム2号機、イングラム3号機】
アニメでの最終決戦。
野明のアルフォンス、太田の二号機に加えて香貫花の三号機や整備班まで投入した第二小隊との総力戦になる。
二号機は海中に引きずり込み撃破。一号機もバッテリー切れに追い込むが駆けつけた三号機と戦ううちに復帰される。香貫花の策で関節部を消耗させられた末に野明の怒りのバックドロップで沈黙。
黒崎の保険を活用した内海により自爆して退場した。

  • イングラム 【VSAVR-0、イングラム1号機】
漫画版の最終決戦。
野明に拾われたバドを奪還するために野明と遊馬が不在の特車二課を企画7課が襲撃しバドを回収。
AVR-0との小競り合いを経て捕らえた野明を一号機に乗せ、一対一の対決を実現する。
食い下がるイングラムに対し初披露となるBシステム解除まで使用するが、頭部を吹き飛ばれたイングラムから積み重ねて来た努力の結晶たるジャーマンスープレックスを喰らい、その後も抵抗するも完敗
またイングラム側は飛行機能による撤退を危惧してワイヤー等による拘束を併用しており、その一方で企画7課の誰もが圧勝を疑わず(偶々先に確保出来た内海の元カノな特車二課隊員熊耳武緒を連行して)先行して撤退していた為、バドと共に鹵獲されてしまった。



関係者&関係機体

  • バドリナート・ハルチャンド
グリフォンを操縦させるため、内海が人身売買組織パレットから買い取り育てた少年。通称バド。
英才教育により天才的な操縦技術を獲得したが内海の趣味で生意気に育てられたのがいつも傷。
漫画版では最後までグリフォン騒動に関わる全てをゲームとしか理解できず野明を失望させた。

  • 内海
グリフォンの開発・運用を主導した企画7課の課長。
趣味に生きる知略の男と称され、グリフォンを活躍させるという手段の為には目的を選ばない。
漫画版ではグリフォン墜落の腹いせでSSSを爆殺したことが後に命取りに。

  • 黒崎
内海の懐刀で企画7課課長代理を勤める。
城門の戦いでの引き分け以降グリフォンとバドの実力に懐疑的になり、
内海の足枷になるならば排除しようと目論む。
漫画版ではASURA無しのグリフォンを操縦した。

  • 磯口豊、森川 政治
グリフォンを設計した土浦研究所所属の技術者コンビ。
大学時代に研究したOS「ASURA」の能力を証明する機体としてグリフォンを設計・建造した。
実はメカデザの出渕裕と河森正治が元ネタ。

  • 泉野明&イングラム1号機(アルフォンス)
性能差を覆してグリフォンと引き分けた宿敵。
内海達はイングラムに勝てなければ先に進めなくなったと言わんばかりにリベンジに拘るが、一方で全力で戦えば負けはないと舐めきっており、
その驕りと対グリフォンに向けた野明の研鑽が最終的な敗北へと繋がった。
(漫画版ではASURAを通して挙動に出たバドの攻撃の癖を見抜いていた)

  • ブロッケン
シャフト・エンタープライズ・ヨーロッパの主力製品の軍用レイバー。
漫画版ではグリフォンのシステムに最新鋭機同士の実戦経験を反映するため、特車二課第二小隊に差し向けた。

  • ファントム
アニメ版のみ登場。ブロッケンと共に差し向けられた試作無人機。
高出力のビーム兵器と大型ECMを装備する。

最強レイバー議論でのライバル。
漫画版では類似機種のAVR-0と対決し操縦システムを企画7課が掌握したことで結果的に勝利した。
内海曰く「にせイングラム」または「にせグリフォン」

  • TYPE-A10 ティエンルン(神龍)
PC-9801版ゲームソフト『PATLABOR OPERATION TOKYO BAY』に登場。
SEA(シャフトエンタープライズアジア)が開発した警備用超高性能レイバー。
開発には企画7課の残党が関わっているとされ、事実上のグリフォン後継機にして量産機。
グリフォンとの最大の違いは両腕に副腕が装備されている事。


余談

俗に言うブラックオックス三兄弟の長男で
本機が取り入れた特徴的なウイングユニットや鋭いマニュピレータは三男のマスターガンダムに受け継がれた。
(近年ではフルメタルパニックに登場した黒いASPlan-1055 ベリアルを含めて4兄弟とする声もある)

コスト度外視の完全ワンオフ機であることから最強のレイバーと評されることも多いが、
漫画版後半での戦闘描写
①イングラム・スタンダード1号機との対決にて想定以上に食い下がられ仕留めきれずに撤退
②新システムに戸惑う野明が乗ったAVR-0に最後までクリーンヒットを当てられず戦闘終了
③完調と評される状態で孤立無援の野明&イングラムに敗北
以上3点から評価の割にたいしたことないんじゃないか疑惑がかけられている。
というか②③の戦いは「金と技術に飽かした玩具として作られたグリフォン」「2年間絶えず野明の相棒として努力と根性で育て上げられたイングラム」の対比でもある。
もっとも①に関しては、当初企画七課の面々が「スタンダードごとき倒して当然」と見ていたのを完全に覆し、内海も顔色を変えた展開である。また観客として招かれた上層部の面々は「グリフォンとはあの程度か?」と疑念を表明していた。
そして最終決戦では調子に乗ってテレビ撮影を許したせいで、グリフォン敗北が生中継された上戦闘映像の分析や野明へのインタビューまでテレビ番組で放送されてしまい、テレビで偶然それを知った企画七課は愕然とすることに…。
この後グリフォンのデータがシャフト内でどう扱われたかは謎だが、少なくとも欠点が露わになった上リチャード・王(内海)一派に全責任を押しつけ会社へのダメージを防ぐ状況では有効活用はしづらいと思われる。



玩具化の際、初戦で圧倒的な性能を見せ付けたフライトユニット装備が必ず優遇されるが
短距離飛行による撤退は目立ち過ぎるため、序盤で東京湾に墜落して以降は最後までアクアユニット固定でフライトユニットの出番はない。
アニメではアクアユニット装備時は本体の尾翼も取り外されるが
漫画版では装着したままなので再現するにはニコイチが必要。

プラモデルでは主にMGがフライト、アクアの両形態でキット化されている。
ツヤ有りの素材が使用されており、組み立てるだけで黒光りするグリフォンが完成させられるが、
何分古いキットなので、現在の視点からすると可動は結構キツいかもしれない。

パトレイバーが参戦した「スーパーロボット大戦Operation Extend」ではなんと企画7課共々グリフォンが仲間になる
加入までの経緯は簡単に言うと「非合法な手段を選ばずとも自軍に協力させた方が色々と得」とシャフト上層部が判断したためである
最強のレイバーに相応しくイングラムよりもステータスは高い…というかリアル系主役機並みのステータスの持ち主
高い移動力に燃費の良い高性能な武器が揃っているため活躍は期待できる
…さすがに足場のない宇宙には出撃できないが


追記・修正をお願いします。

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