F/A-18

「F/A-18」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

F/A-18 - (2015/10/01 (木) 20:41:05) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/06/14 (火) 22:35:41
更新日:2024/04/15 Mon 08:42:05
所要時間:約 5 分で読めます




F/A-18(A~D:ホーネット,E・F:スーパーホーネット,G:グロウラー)はマクドネル・ダグラスが開発した戦闘(Gは電子)攻撃機である。

通常F/A-18と記述されるが、議会で使われる書類ではFA-18とされている(ファーとは呼ばない)。

主にアメリカ海軍の空母に載っける艦載機だがアメリカ海兵隊も所持している。意外にも輸出国は多く東南アジアや北欧まで多岐に及ぶ。

エンジンは前代のF-14に続いて双発。

ちなみに戦闘攻撃機(Fighter Atacker)を初めて名乗った機体でもある。これにより、なぜかアメリカの空母から純粋な攻撃機が少なくなった(この部分はある問題を招く運びとなる)。


□歴史
簡潔に纏めると…
(ホーネット)
1970年代開発
1978年初飛行
1983年実戦配備
2010A型退役
(スーパーホーネット)
1990年半ばに開発
1995年初飛行
2001年実戦配備
(グロウラー)
2006年初飛行
2010年実戦配備


□特徴
鼻から艦載機を前提として開発されたので艦上でのハンドリング性・整備性に優れている。戦闘機としては優れた性能を持つのである。

各種ハイテク兵器を装備する事が出来るので艦隊護衛・制空戦闘・敵陣制圧・偵察飛行など様々な任務につくことが出来、マルチロール機の名に恥じない柔軟性を備えている。しかし、元々戦闘機と攻撃機は要求される性能も目標も違うため、これが大変なことに・・・・。

外見の特徴として、ステルス性を考慮し、二枚ある垂直尾翼がそれぞれ外側に25度ずつ傾いている(垂直に付いていると、電波に当たったときに同じ方向に反射してしまう=レーダーに探知されやすい)。
…………垂直尾翼?

YF-17がコンペにおいてF-16の艦載機型に競り勝ったことで開発されたが、なぜそのままF-17にならなかったのかは不明。ちなみに競り勝った要因は色々あるが、エンジントラブルの危険度が陸上とは比べ物にならない海上での運用において、多発機なら万が一片方が止まってももう片方が無事なら問題なく飛べる、という点が大きかったようだ。

ちなみにA~Cはレガシーホーネット(Legacy=旧来の、つまり旧ザクならぬ旧ホーネット)という愛称がある。

◇ホーネット
A
最初期の型の単座型。
C型並にアップグレードされたA型をA+、A+をさらにグレードアップしたのをA++と言う。
海軍・海兵隊で運用中。

B
最初期の型の複座型。
既に実戦配備は解かれているが
まだまだ練習機・仮想敵役として現役。

C
A型の後継。
エンジン・電子機器を改良してある。
F/A-18シリーズ中最も就役数が多い。

D
C型の複座型…
なのだが一番影が薄い。
海兵隊で運用中?

◇スーパーホーネット
ホーネットとの主な違いは機体を全体的に大型(例えば主翼だと25%大型化)にし、燃料搭載量と武器搭載量を増加させ、運動性、特に低速域での運動性を向上させたこと。

これにより、ホーネット時代に指摘されていた航続性能の悪さを克服すると共に、合計11の武器ステーションに合計7tもの兵器を搭載する事ができるようになった。
エアインテークの形状も半円形から長方形に変化している。

また、レーダーをアクティブ電子走査アレイ型(最新世代に着けてるやつ)にし、内蔵コンピューターを強力にする事で、対空・対艦共に優れた結果を残すことが可能に。

ちなみに空中給油装置を吊しての空中給油母機としての役割(着艦時の混雑時などに)もある。

アメリカ海軍ではE/Fを少なくとも548機、最大1000機を配備する予定だった。
どっから金沸いてくるんだよ…

しかし、致命的な問題が発生した。最大速度がA~D型で最大マッハ1.7~8だったのが低下して1.6に。これは自衛隊のF-2配備前の戦闘機であるF-1 (航空機)と同じ速度なのである。前のF-14がマッハ2.34だったことを考えればF/A-18Aの地点でこの遅さに気づくのが正当ではなかっただろうか?もしこれが攻撃機として配備されればこの遅さはそんなに深刻ではない。問題は戦闘機として設計されたのに攻撃機の任務を与えたことだ。戦闘機は身軽でなければならず、最前線に出れば、常に機敏に動いてミサイルや機影に警戒しなければならない。もし爆弾や空対地ミサイルを翼下に搭載したのなら鈍重になる。つまり、敵機に遭遇すれば鈍重な機体が災いして瞬く間に撃墜されてしまうのである。11ステーションというハードポイントに最大で7tの武装を搭載できるのは魅力的に思えるが、実際には、代償で戦闘機としての性能を犠牲にしたに他ならない。

また、機体前部に付けられたストレーキもこの遅さに関与している。これは離着陸性能の改善や急旋回時における失速の防止、旋回性能を上げる目的で装備されているが、このストレーキによって空気抵抗が生じて加速が悪くなり、本機の戦闘機としての問題に拍車を掛ける運びとなった。ついでいうとインテークもE型の地点で変更されたため抵抗が増えました。

そもそもE/F型の地点で純粋な戦闘機として設計し直していれば真っ当な機体になれたはずである。

あとエンジン換装の弊害で騒音がとってもえろいことになった。
A~D型までは寛容に受入れていた米本土地上基地周辺の住民が、今度ばかりは我慢ならんと訴訟を起こしたほどである。
(なおF-35はもっとうるさい。しかもB型は垂直離着陸型なのでさらにうるさい)

E
現在の主力で単座型。
Fと性能は変わらないが割と対空ミッションに従事することが多いようである。前述の通り加速が悪いため空戦では不利になる。

F
同じく現在の主力で複座型。
後席に武器管理担当の士官を置いている。
対空・対地どちらにも使われる。

◇グロウラー
G


グロウラー(本名:EA-18G)はF型をベースに開発され各種電子戦装備を所持している電子攻撃機。

ちなみにグロウラーの一つ先輩は約40年前に就役したEA-6B。

古すぎじゃね?と思うかも知れないけど…
実際はEA-6Bでも十分強すぎなんだよね!!

例えば湾岸戦争やイラク戦争だとEA-6Bがレーダー施設やSAMをぶっ飛ばして防空網を丸裸にしたお陰で爆撃し放題!!

米帝升乙!!


さて、EA-18Gにアップグレードすることにより、機種が同じになるので訓練の効率向上・部品調達が容易になるなどかなりのメリットが期待されている。


ちなみにEA-18Gの電子攻撃ミサイルはめちゃくちゃお高い。

3/25に厚木基地へ第141電子攻撃飛行シャドウホークス所属の6機のEA-18Gが来ました。
日本に浮かんでるジョージ・ワシントンに搭載される予定です。
ちなみに引退するEA-6Bは一足先に本土へ戻っています。

お疲れ様EA-6B!


□配備
アメリカの原子力空母には約70~90機が搭載できるが、そのうち
F/A-18F戦闘攻撃飛行隊 一個14機
F/A-18E戦闘飛行隊 一個14機
F/A-18C戦闘攻撃飛行隊 一個12機(→近いうちF-35Cへ)
F/A-18A+戦闘攻撃飛行隊 一個12機(→近いうちF-35Cへ)
EA-18G電子攻撃飛行隊 一個4機
とホーネットシリーズがかなりのウェイトを占めることが分かる。




ちなみにホーネットシリーズ以外では…
E-2C早期警戒飛行隊一個4機
SH-60F及びHH-60H対潜飛行隊一個7機
C-2A輸送飛行隊1分遣隊2機


まぁここら辺が米帝の空母のレシピ。

因みにライノ(E/F型の愛称)は後の計画見直しにより最大785機、最少548機に削減された。
さらに2002年第1四半期には、調達機数を460機に削減するよう指示され、現在ではF/A-18E/Fを387機、EA-18Gを90機装備する計画となっている。

□実戦
83年に運用を開始したが、その相手は海兵隊だったりする。しかし、その後は海軍でも運用されるようになり86年のリビア空爆の際にリビア軍の地対空ミサイル陣地の爆撃に参加したがF-111と違って戦果がどうだったのかは明らかではない。全体的にはアメリカが勝ったものの国際的に非難を浴びた。

1989年にはコソボ紛争でB-52の護衛に当たったが、こちらは相手であるユーゴスラビアの空軍が目立つ活動をしなかったため撃墜された機体はないという。

やがて、ホーネットは1991年の湾岸戦争にてイラク空軍を相手に出撃した。いずれにしても投入された空母6隻でF-14Aと共に派遣されたのが当機のA~D型である。しかし、損失した機体は空戦での1機のみという実にワンサイドゲームともいえる結果を残した。これは相手があの超音速でマッハ2~3を発揮可能なMiG-25だったためであり、これにはマッハ1台が限界だったF/A-18には大変分が悪かった。その後、イラク空軍は非公式でイタリア空軍の機体を撃墜した後は損害を恐れてイランに退避するようになり空戦を避けるようになったことから、F/A-18には有利に動いたのである。なお、最初に撃墜された機体のパイロットは最近になってようやく発見されたという。

2003年のイラク戦争にも投入されたが目立った成果は挙げていない。この時投入されたのが実質爆装が出来るE/F型なのだが、お察しの通りフル装備で飛ぶと鈍重なので空戦では分が悪かった。

□今後の展望
現在、米国はボーイング社が、国際共同開発を念頭に置いた発展型F/A-18E/Fスーパーホーネットの試作機を公開している。
同社は、日本が2016年度に調達予定の次期主力戦闘機(F-X)選定に向け、F/A-18E/Fの売り込みを図っているようだ。

発展型はF/A-18E/Fに改良を加えたもので、ミサイルをミサイルベイに納めて機体の下に設置するなどしてステルス性を高めている。
さらに、ミサイルに対する警戒能力やエンジン性能を向上させ、航続距離も伸ばしたとされる。

この選定は日本国の国防にも多大なる影響を及ぼす為、注視していく必要が有るだろう。
恐らく米国の圧力でF-35にうわなにするやめろ

ちなみに、ボーイングでは最近のエコブームに便乗してバイオエタノール燃料を使えるグリーンホーネットなるものを発表している。
戦闘機にエコ?と思われるかもしれないが、軍事力の産油国への依存度を削るというのが真の狙いのようである。

さて、こんな鈍重な機体がなぜ生産され、空母に乗せられているのか?別にミサイルの性能とかパイロットの技量が優れているわけではない。それは、数で押し切ることがF/A-18シリーズ最大の武器なのだからである。つまり、どんなに性能が悪かろうが、後からどんどん同型機を投入して敵を殲滅することがホーネットシリーズ最大の特徴なのである。この種の「質より量」は大戦中の兵器であるF4FM4中戦車でもはっきり現れているから、一種の伝統と言えよう。


追記・修正は飛行甲板の潮風を感じながらお願い致します。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/