邪聖剣ネクロマンサー

登録日:2012/07/06 Fri 02:06:25
更新日:2023/08/02 Wed 18:24:11
所要時間:約 6 分で読めます





夜、1人で遊ばないで下さい




概要

邪聖剣ネクロマンサーとは、ハドソンによって制作され、1988年1月22日に発売されたRPGである。

ハードはPCエンジンで、何気に当機種では初のRPGだったりする。
当時流れていた無駄におどろおどろしいCMを覚えているアニヲタ諸兄もいるのでは?


あらすじ

ストーリー自体は単純にして明快で、『復活した魔空王アザトースの打倒を志し、勇者と仲間たちが旅立つ』というもの。

ただ、魔空王アザトースは滅茶苦茶強いとのこと。
そのため、かつて神が作ったという『邪聖剣ネクロマンサー』を探すことが目下の目的となる。



勇者と愉快な仲間たち

●勇者

ランダメリア王国で知られていた猛者で、魔空王アザトースを倒すために立ち上がった本作の主人公。
デフォルトネームは特にないので、好きな名前をつけてやろう。
全然喋らないがエンディングだけ鬱憤を晴らすかの如く饒舌にしゃべる。

微妙に頼りない仲間と嫌がらせのようなシステム、そしてガチで殺しにかかってくる魔物とかなりの逆風に追いやられる苦労人。
『勇者』を名乗る厳しさを身をもって教えてくれているのかもしれない。

能力的には主人公だけあってバランスよく成長してくれる。最強武器である『ネクロマンサー』も彼しか装備できない。
最高レベルは62。魔法のラインナップも攻守優秀だが、MPが少なめなのがたまにキズ。
特に主人公専用魔法である「セルス」は戦闘離脱、戦闘回避。鬼エンカでザコ戦のバランスの悪い本作では重要。
彼とカオスしか使えない「イーガス」は敵全体の素早さを下げる。地味に見えるかもしれないが、その本質は…?


~以下、大臣的なオッサンが連れてきた仲間たち~

本作は3人パーティー制なので、この中から2人までしか連れて行けない。

●ライム

魔法使い(♀)
攻撃魔法を得手とするが、回復もある程度こなせる。

最高レベルは54。職業の割には素早さもあり、安定して順番が回ってくる。
サズンデス(全体電撃攻撃)とサバリス(全体無属性攻撃)の魔法はライム専用。
迷ったらとりあえず彼女を迎え入れるのがオススメ。

…というか彼女を加入させないだけで、やりこみに片足を突っ込むくらい優秀なキャラ。
一方で魔法以外に取り柄は何もないので、MPが切れると完全なお荷物。
ただしバーンの杖を使わせるとINT依存なのでそれなりに火力が出る。

●カオス

魔法使い(♂)
なんかすごい名前だが、これでも補助魔法の使い手。INTはパーティーでも最大まで上がる。
ドラクエでいう僧侶ポジだろうか。男僧侶とか誰得

「私がいると死ににくくなるぞ」的なことをのたまうだけあり、使える回復魔法のラインナップに関してはライム以上。
が、実際の所素早さがバロンに次いで低く、こいつが真っ先に袋叩きにされることが多い。結果として他は生き残るが…

専用の毒魔法は強力だが効かない難敵も多いため、それだけのためにこいつを選ぶかというと躊躇せざるを得ない。ライムの方が早いし。
攻撃魔法がデミール(アンデッドにしか効かない)以外ないので、普段バーンの杖を使うこと以外出番がないキャラと化しがち。
ただしラスボスにはデミールとネクロマンサーしか効果がない。使ってたら死ぬけど

●バロン

戦士(♂♂)
自称『天下無敵の怪力男』。
「十人力の力と不死身の身体が自慢の種」らしいが、全く凄そうに思えないのは感覚がマヒしているからだろうか。
魔法が全く使えず、MP表示自体がない。知力も0。最高レベルは46。

ともかくその異名に違わぬパワーファイター。主人公でも持てない重量武器を装備できる。
だが素早さが5人中ぶっちぎりの最低で、カオス以上にフルボッコにされる恐れがある。
しかもHPこそ高いものの、何故か兜が一切装備できないため(戦士のくせに…)、防御力も思ったより高くない。

また、素早さは命中率にも影響するので、勇者たちが死闘を繰り広げている横で空振り三振していることもしばしば。
ラスボス戦ぐらいになると敵の攻撃を分散化する肉盾要員ぐらいにしかならない。
その肉盾役としても連続攻撃を喰らいやすく、流れ弾の矛先を他の味方に流してしまうことも多い。いない方がマシ

●マイスト

誰が呼んだか『疾風(はやて)のマイスト』。
他作品なら盗賊(♂)的存在。宝箱の罠を外す魔法も習得する。
やはりというか、素早さが高い。他の能力もそこそこ伸び、魔法も多少は使える。
素早さを活かしボスより速い行動順で防御魔法を唱えることができる。
バラム(味方全体守備力アップ)とゾラザム(敵全体攻撃力ダウン)は割りと効果的。

が、早熟傾向にあるので後半は苦戦することも。最高レベルは64。
とりあえず出来ることは多いので、臨機応変な運用が求められる。
最強武器レジェルダーを装備すれば、雑魚相手なら数回攻撃で1ターンで葬れる。雑魚相手なら。

●ロミナ

本作随一の萌えキャラ。戦士…?(♀)

開口一番「何の取り柄もありませんけど、何かのお役に立てたら、と思って…」とすっごい健気。


で、実際仲間にしてみるとマジで何の取り柄もない。異常に低い水準でまとまった能力値となっている。
しかも装備できる物に制限があるので、装備可能なものが手に入るまで本当にお荷物と化す。


…だがどうだろう。
勘のいいアニヲタ諸兄のことだ、彼女を見てティン!ときたのではなかろうか。

そう、彼女は超がつくほどの大器晩成タイプなのである。
序盤から中盤にかけては貧弱そのもので、バーンの杖や回復によるサポート位しか出来る事が無い。
だが最終的には主人公に次ぐオールラウンドキャラになる程の成長を遂げる味わい深いキャラといえる。
そこまで辿り着くには並々ならぬ愛が不可欠だが、そこまで育て切ってしまえば非常に頼りになる戦力になってくれるだろう。

……まあ、そこまで育てればカオスでもマイストでも同じくらい強いんだが。
最高レベルは62。成長すれば高位の魔法も使用可能となる。
最後の大陸まで到達できるレベルになって初めて主人公に次ぐ能力となる。


…とまあこのように個性的なメンバーだが、前述のように2人までしか連れて行けない。
後から選び直すことはおろか、転職もできないので慎重に選ぼう。

ちなみに選ばれなかった3人は城の警護にあたるらしいが、城に入り直すともう影も形もない。
彼らはどこへ行ってしまったのだろうか…

また、容量の都合で仕方ないのだが、誰を選んでも物語に変化はない。それどころか最初の城以降一言も喋らない。
レトロゲーにはよくあることだが、本作も例外なく高い妄想力を求められる。長い旅路になるが、そこは脳内CVで補おう。


で、結局の所、誰を選んだ方がいいの?

「特にこだわりは無いから、少しでも冒険を有利に進めたい」というのであれば、

ライム+(マイストorロミナ)

の組み合わせで進めるのが定石か。
ライムは上記の通り非常に優秀で、彼女を加入させるだけで難易度に多大な影響を及ぼす程。
マイストも本作における最重要ステータスである素早さが段違いに高く、序盤から中盤にかけては雑魚の殲滅能力が凄まじい。
だが終盤になると火力不足に悩まされる。ゼライガス(全体回復)が使えないのもかなり痛い。
ロミナはマイストとは逆に序盤から中盤にかけては辛いものの、終盤になってから俄然頼りになるキャラクターである。
ゼライガスとラミール(魔法反射)も使えるし、後半ともなれば前衛を任せても充分戦力になる。

とはいえ主人公があまりにも優秀なので、「どうにもならない詰み状態」にはならないだろう。
どの組み合わせでも一応クリアは出来るようになっている。

逆にオススメできない組み合わせは

バロン+(ロミナorカオス)

辺りか。バロン+ロミナは直接攻撃力だけを見れば最強の編成とも見えるかもしれない。
だがその実、中盤に「攻撃が当たらないバロン」と「そもそも戦力外のロミナ」という壮絶な罠が待ち構えている。
実質一人旅のような状態……以上に足手まといという二人に苛立ちが募るかも。ノイローゼになりそうな苦行好き向け。
バロン+カオスの鈍足コンビは中盤までは調子がいいが、終盤になるとどっちも戦力外となる。ゼライガスがある分マシかも。
カオスの「デミール」がラスボス特効ではあるが、そんな余裕はまずない。ゼライガスとラミールが追いつかないで死ぬ。
あとは回復魔法が主人公だけで、ラスボス戦に必須のゼライガスもラミールも使えないバロン+マイストか。終盤のボス戦では「まよけのみず」が不可欠。
…全ての組み合わせに入ってくるバロンさん…

無駄に斬新なシステム

●モンスター

当時としては珍しく、クトゥルフ神話をモチーフとした名状し難い魔物が多数登場する。
ラスボスからしてアザトースだしもうね。

で、エンカウントするとこやつら、動く。
殺らない限りうねうねと蠢動を繰り返す。
モチーフも相まって非常にキモい。

しかも強い。無闇矢鱈に強い。
件の神話モチーフの作品では雑魚っぽい扱いの多い『インスマウス』ですら、初遭遇時のレベルでは一匹で勇者一行を殲滅せんという勢いである。
特に敵の強さの跳ね上がり方が半端ではなく、前の地方で余裕で戦える実力でも次の地方のザコに軽く全滅させられる。
中盤以降になると町で最強の装備を買い揃えて、ようやくその辺のザコ敵と対等に戦える状態になる程度。

そしてようやく倒したと思ったら、やけに生々しいSEとともに噴き出す血飛沫。
ちなみに無機物だろうが植物だろうがそれはもう鮮やかな赤い血が噴き出す。
終いには霊体(?)からも噴き出すシュールな光景も見られる。



「ねえ、わたしの血、赤いよね…?」



(勇ω者 )
「しらんがな」



●レベル

なんやかんや苦労して『ネクロマンサー』を手に入れると、ようやっと戦闘が楽になる。
だが浮かれて無双していると、本作最大の罠に嵌まることになる。

なんとバロン以外は、一定のLvに達すると能力が下がり始めるのである。

なんでも、キャラの老化を表現しているのだとか…そんな早く老化するか?
苦楽を共にした仲間たちが無情にも衰えていくのを見ると、軽く欝になること請け合いである。
幸いな事にクリア不可能になる程までに能力値が下がる事は無いので、詰む事は無いが。
この仕様の影響を一番受けているのが、よりによって主人公と大器晩成のロミナ。
ピークレベル設定が比較的低いうえ、最高レベル62になると、レベル51のステータスと同等にまで落ち込んでしまう。

●アイテム

前述した魔法もそうだがとにかく名前が分かりにくい
特に装備品。ライトニー、トルース、クライトー、レジール、ティールペルツ、サクシード…などなど。
また一度に持てるアイテムの上限が極めて少なく、道具は1人につき8個、魔法も1人につき7個までしか所持できない。
にもかかわらず重要アイテムが多いので、ただでさえアイテム所持数上限の少ない中で常に逼迫する。
更にゲーム進行に必要な重要アイテムを捨てる事ができてしまう。
…一応、再度同じ場所で手に入れる事はできるが、本作にルーラみたいな便利魔法はない。
鬼エンカウントの道を徒歩で取りに戻れ、という地獄の道が待っている。

●魔法

とにかく名前が分かりにく(ry
魔法は魔道書を持つことによって使えるようになる。
ただし使用には「キャラによる制限」と「INTによる条件」が必要となり、両方を満たしていないと使用できない。
フィールド上でなら魔道書の受け渡しも可能。

●恐怖値

仲間たちに設定されている隠しパラメーター。死んだりすると変動する。
で、これが一定値になると





「◯◯は おそれをなして、にげだした!」


専用メッセージを残し、仲間を置いて勝手に逃げる。
使命だとか信頼だとか、それまで築き上げた諸々を放り投げ脱兎のごとく逃げ出すのである。
勿論ボス戦も例外ではないし、勇者はそう簡単には逃がしてくれない。

それでも命からがら戦闘を終えると、平然とそこにいるのである。
それはもう平然と「いやあ、さっきのは強敵でしたね」とか言わんばかりに。
この後のパーティー内の空気など想像したくもない。

このため序盤から死にまくると終盤が大変な事になる可能性は高いので出来れば避けたい所…
なのだが、ゲームバランス上中々それを許してくれないのがネック…。
後の移植版では中断セーブ機能が実装されているので、それを活用するという手もある。
ちなみに恐怖度を下げる方法は存在しないと言われていたのだが、実際は下げられる。
パスワードから再開すると逃げなくなるのだ。

実際は「恐怖度」ではなく「忠誠心」のようなパラメータがあり、パスワード復帰時にリセットされ初期値100。最小0、最大200。
回復魔法や戦闘の勝利、宿屋に泊まったり病院で治療を受けたりで上がり、勝手に逃げた時も上がる。
逆に敵からダメージを受けたり、戦闘中他のキャラが逃げ出したり死んだりすると下がる。
で、これがあまりに下がると勝手に逃げる確率が上がってしまうらしい。
有志の解析を経て、2022年になってようやく分かったとのことである。


余談

本作のシナリオを担当したのは、冒険王ビィト仮面ライダーWでお馴染みの三条陸氏。
是非EDまで到達して、その物語を堪能してほしい。

かの高橋名人も本作の攻略に乗り出し、なんと仲間全ての組み合わせでクリアした。名人マジ名人。
ちなみにバロンとロミナの組み合わせが一番キツかったとか。暇な人は挑戦してみよう。
名人曰く「ノイローゼになりそうなほど辛い旅だった」とのことなので覚悟せよ。

コンティニューはパスワード方式。
なのだが、これがまたクソ長い。しかも進行度に比例してさらに長くなる。
「ゲームは1日1時間」の、ゆうに半分近くを持っていかれかねない。


現在はゲームアーカイブス、バーチャルコンソールの双方で配信されている。
しかも何をトチ狂ったのか、どれもまさかのCERO:Aである。
審査の方々も逃げ出したのだろうか。PCエンジンminiにも収録されている。
いずれも中断セーブ機能が実装されているので、かなりプレイしやすくなっている。パスワードの入力もしなくていいよ。


バーンの杖

今作の重要アイテムで、イベントの進行に必要なだけでなく、道具として使うと電撃で敵全体にダメージを与える事が可能。
無消費で何度でも使える便利アイテムだが、威力は雷魔法サズンの半分以下程度。使用者の知力(INT)が高いほどダメージも大きくなる。
もっとも主人公とバロン以外は、仲間最強武器のレジェルダーがないと中盤以降ほとんど物理攻撃でダメージを与えられない。
そのせいでバーンの杖ばかり使う事になる。なお終盤にパワーアップすると電撃を2回連続で発生するようになる。

名前のせいでシナリオを書いた人とセットでネタにされる。ちなみに続編で判明するが海の神様の名前らしい。
…ぬし様の仲間のだいおうクジラを魂を買い上げたのあなたじゃないよね…。


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最終更新:2023年08月02日 18:24