狗-DOGS-/DOGS BULLETS&CARNAGE

登録日:2012/05/21 Mon 02:09:49
更新日:2024/01/04 Thu 22:25:51
所要時間:約 7 分で読めます





狗は三度、野に放たれる。



DOGS BULLETS&CARNAGE(以下『DOGS』)は、ウルトラジャンプに連載中の漫画。
2000年から2001年に連載されていた読み切り「狗-DOGS-」をベースにした作品であり、言わば「狗」は「DOGS」の前日譚である。

作者はsupercellでおなじみの三輪士郎。

地下と地上に連なる街を舞台にした、四人の主人公と彼等の過去に関わる「謎の組織」が織り成すバトル・アクション。



□ストーリー
本作には、四名の「主人公」と言える人物が存在する。
「狗」はこの四人ひとりひとりに焦点を当てたオムニバス形式の作品になっており、
「DOGS」ではそんな彼等の過去が連なってひとつの物語を形成していくことになる。
……ミハイのおっさんは蚊帳の外感が凄まじいけど。


  • ミハイ編『Weepy old killer』
イアンがかつて自分の所属していたマフィアのトップに立った――。
そんなニュースを聞き、古巣であった街に舞い戻った「元・伝説の殺し屋」ミハイ・ミハエロフ。
イアンはマフィアの組長の息子であり、かつてはミハイの弟子、そして息子のような存在であった。
しかし親子のようであった二人の仲は、イアンがミハイの恋人を殺すという不可解な行動が原因で断ち切られてしまったのだった。

なぜ、イアンはミハイの恋人を殺さねばならなかったのか?
ミハイは一度は目を背けた最大の疑問にケリを付けるべく、今一度イアンと対峙する。


  • バドー編『Gun Smoker』
しがない情報屋のバドー・ネイルズは、ひょんなことから東西のマフィアの抗争に巻き込まれてしまう。
片方のマフィアの「とんでもない秘密」を握ってしまった彼は、組から「敵のスパイ」と誤解され、命を狙われる羽目になってしまった。

果たして彼は誤解を解き、マフィアの追撃から逃げ延びることができるのか……?


  • 直刀編『Blade Maiden』
日本刀を持った男に、両親を殺された少女がいた。
記憶のない彼女は何の因果かその両親殺害の犯人・冬峰に拾われ、「直刀」という新たな名を与えられる。
掃除屋の曲刀(まがと)と、両親の敵との奇妙な共同生活。
直刀は冬峰に戦いの技術を徹底的に叩き込まれ、成長していく。
そんな生活の中で、敵であるはずの冬峰への憎しみが薄らいでいく直刀。

しかし、冬峰は兄弟子であったはずの曲刀に殺されてしまう。
意味もわからぬまま、感情のままに直刀は曲刀へとナイフを突きつけた----。


  • ハイネ編『Stray dogs howling in the dark』
バドーとコンビを組む「何でも屋」のハイネ・ラムシュタイナー。
彼はある日地下街で、亜人の少女・ニルを成り行きで暴漢の手から助ける。
しかし彼女を追っていたのは単なる暴漢ではなく、名の知れた娼館・メルヴィンの娼館の追手だった。
彼女は娼館から逃げ出してきたのだ。

娼館から直接出向いてきたメルヴィンは、ニルをかばったハイネを殺してしまう。
だが、散弾銃を撃ち込まれ致命傷を負ったはずのハイネは傷をかばいながらも起き上がった…。


□作風
とにかくスラリとしたスタイリッシュな画風が特徴である三輪氏の画風は、
DOGSでも健在であり、精緻に描き込まれたビジュアルに関しては非常に評価が高い。
武器などの小物にも非常に凝っており、とてもカッコイイ。
またバトルシーンなど動きのある描写も秀逸で、銃弾と刃の飛び交うハイスピードなアクションが見事に表現されている。

キャラクターのビジュアルやセリフ回しなどのセンスは所謂厨二病的であり、ココは評価が分かれるところ。
これとかこれが好きな人はすんなり受け入れられるだろう。

だが、肝心のストーリーに関しては高評価を得るには至っていない。
読みきり時代の「狗」は割と高評価を得ていたのだが、
物語の本筋である「DOGS」の中期からはやや物語の展開が遅く、かつわかりにくいものになっている。
未だその実態が不透明な悪の組織に加え、各キャラの過去話やメインの悪役以外の敵である曲刀の存在、
そして味方であるはずの政府がまるで悪の組織と結託しているかの描写が複雑に絡んでいるため展開が遅く、ややダレ気味。

これに加えて、最近では本編の画力が露骨に落ちており、
演出の一つとして認識されていた「真っ白なコマ・背景」も増えてきている。
正確な理由は定かではなく、一説にはアシスタントが抜けたためと言われているが、
一部からは「Supercellばっかにかまけてないでこっちの仕事をしろ」と批判されている。

DOGSの明日はどっちだ……。


□キャラクター
  • ハイネ・ラムシュタイナー
CV:櫻井孝宏
主人公の一人。バドーとコンビを組み、「何でも屋」稼業で生計を立てている。
刹那的な思考の持ち主で、劇中でも「『先』とかそういうのはいい」という発言がある。
戦闘狂の別人格が存在し、生命の危機に瀕したり、過去に因縁がある人物に出会うと表に出てこようとする。

かつて地下の「組織」によって生み出された甲型特殊兵装、
『ケルベロスの脊髄』 を埋め込まれた被験体であり、超人的な身体能力と再生能力を持つ。
ルガーP08とモーゼルM712を愛用。その戦闘能力は『脊髄』の力も相まって圧倒的であり、
劇中では追い詰められたことはあっても敗北はしていない。

「組織」時代のあるトラウマから女性恐怖症であり、女性に触られるだけでまともな行動に支障をきたす。


  • バドー・ネイルズ
CV:石田彰
ハイネとコンビを組み、「何でも屋」稼業で生計を立てている自称・情報屋。
無愛想なハイネと対照的に人当たりのいい陽気なニーチャン。ヘビースモーカー。
戦闘を好まない割と普通の感性の持ち主……だが、タバコが切れるとキレて別人のような戦闘狂に変貌する。
ハンドガンやSMGの扱いに長けている。

過去に「組織」の事を知りすぎた兄を失い、自らも片目を失った過去を持つ。
今なお兄を殺した敵のことを追っている。


  • 冬峰直刀
CV:伊藤静
かつて冬峰に助けられた少女。
冬峰に助けられる以前のことは曖昧だが、
「かつて自分が両親とともにある場所から脱走し、そして両親は追手に殺され、自分だけが生き延びた」ということだけを覚えている。
その時胸に負ったX字の傷や、冬峰の形見である謎の黒い刀に関する情報を集めている。
無口で多くを語らないが、自分の出自に関することになると取り乱すことも。

冬峰仕込みの格闘能力は本物で、銃を持った敵さえ寄せ付けない。
日本刀とナイフの扱いに特に長ける。


  • ミハイ・ミハエロフ
CV:大塚明夫
かつてあるマフィアで 「伝説の殺し屋」 とまで言われた中年の男。
現在は一線を退き、恋人未満友人以上といった関係の知人、キリの居酒屋に居候している。

4人の主人公の中で唯一「組織」と関わりあいのない人間だが、
組織の暗躍が活発化したことによって彼もまた陰謀へと巻き込まれていくことになる。
戦闘シーンは四人の中で最も少ないが、自分よりも体力的に優れ、
数でも勝る相手に対して防戦とはいえ対処可能であるなど、その戦闘能力はすでに一線を退いたとはいえ高い。


  • ニル
CV:能登麻美子
ハイネが娼館の魔の手から救い出した少女。
遺伝子工学の産物である『亜人』で、その中でも珍しい『翼種(タイニーフェザー)』。
翼の代償に声帯を失っており、自分を助けたハイネになついている。
ビショップの教会に住んでおり、ビショップの着せ替え人形状態。


  • ビショップ
CV:関俊彦
ハイネやバドーの憩いの場である教会で牧師を務める盲目の男。
ハイネが保護したニルにぞっこんであり、明らかに自分の趣味でチョイスした服を着せて楽しむHENTAI牧師。
盲目とのことだが、光を識別したり、目線に気付くシーンがある。
その正体とは……?


  • ジョヴァンニ
CV:中原茂
こいつではない。
ハイネとともに地下で育った「ケルベロスの脊髄」の被験体。
現在は「組織」の為に行動しており、その目的を遂げるべくハイネと銃を交えることになる。
慇懃無礼な性格で飄々としている。
ワルサーP-38の二丁拳銃を武器とし、しかも横撃ちといういかにも悪役らしいスタイルで戦う。


□OVA
過去に単行本の付録として「狗」がOVA化されている……が、
正直作画のレベルが低くファンからは半ば黒歴史認定されている。
直刀編のバトルシーンはそこそこかっこいい。あとOVAなので直刀の乳首が見れる。



次なるは 追記と修正の舞踏にございます。

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最終更新:2024年01月04日 22:25