テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX

登録日:2012/11/19 Mon 22:06:13
更新日:2024/02/06 Tue 23:15:57
所要時間:約 5 分で読めます




かけがえのない

ものをさがしてく―――


『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX(クロス)』とは、2010年8月5日に発売されたPSP専用ゲーム。キャッチコピーは《真実と向き合うRPG》。


テイルズオブシリーズのファンなら知る人ぞ知る隠れた名作『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン』(以下初代なりダン)をリメイクした作品。
それと同時になりダンの前作『テイルズ オブ ファンタジア』のリメイク版『フルボイスエディション』に追加要素を付けた「クロスエディション」を収録しているという豪華仕様である。
この項目では主に前者を解説していく。

ファンの間では《リメイクして欲しいテイルズ》に初代なりダンが挙げられる事が多かったが、一向にリメイクされる様子は無かった。
マイナーな作品な為、他のテイルズ オブ シリーズになりきり師の双子がゲスト参戦する事もほぼ無かった(一応なりダン3で出たが)

もう無理なのかと内心思いつつも、それでもファンがリメイクを願い続ける事10年…

ついに、週刊少年ジャンプのゲーム記事にてステータス絵が描かれたディオ&メルの姿とエトスと共に『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』の文字が!
しかも戦闘はちゃんとしたリニアモーションバトルシステム!!
あの感動がフルボイスかつ美しい画面で堪能出来る!!!

もちろんファンは狂喜乱舞したものである。

主題歌を歌うのは奥華子、エロ可愛いデザインと評判な新キャラ・ロンドリーネの追加、『テイルズ オブ グレイセス』のアスベルになりきれるコスチュームの追加等、続々と情報が増えファンの期待はどんどん高まっていった。
……発売前が良かったゲームとよく言われるが、実際その通りである。



以下、ストーリーおよび登場人物紹介(ネタバレ注意)

  • ストーリー
なりダンのプロットと類似点はあるが、かなりの部分が異なる。
ざっくり言うと「すごくいいセリフで感動しました」「意外な展開と練られた設定に感心しました」という部分がゲームボーイ版からコピペしたもの。
それで「おい原作ではこんなんじゃなかったぞ」「なぁにこれぇ」と感じるものはクロス版で追加変更されたものである。

  • 改めてストーリー
妖精が行き倒れしそうになっていたら脚が樹の根っこになっている怪物が現れた。怪物は赤ちゃん2人を押しつけて「育てなさい」と命じた。僕は妖精なんですけどいいんですか?という間もなく育児開始。でも、一身上の都合により双子は監禁されてすくすくと健全な心に育つ。
ある日女の子が勢いで魔法を使ったらどえらい事になって虹輪(ゴージャス・レインボーリング・グレート)とかいうのが出現。何とか事態を収拾したくて精霊と喧嘩しまくったら第一部が終わる。双子の黒い運命とは何か!声優で正体バレバレだけど謎の男女って誰だ!?ノルン(脚が樹の根っこの怪物)って結局何がしたかったの?と謎を残しつつ「なりきりダンジョンX2」に続く。

X2なんてものはないので、そのまま第二部に行くと謎の男女が現れて原作シナリオコピペ改変の回想を見せられた後で成敗。その後に樹の怪物を成敗して本当のエンディング。

ファンタジアの主役キャラクターたちについて補足。永久にお別れだねって泣いて別れたはずが簡単に再会したりもう二度と時空は超えないと言っていた人たちが発言撤回する。そして、双子が自分の力だけで乗り越えなけばならない試練の戦いに加勢して邪魔をする。平行世界の人たちらしい。ロディは露出度高い巨乳なので「なりダンX」の世界においては好きなように行動していい許可証が出ている。

…とまあ、こうでも書かないとやっていられないぐらいあり得ない改変・改悪・削除が行われた残骸みたいなシナリオにされてしまっている。
まさに公式が原作レイプと言っても過言ではないストーリーになってしまった。
「発売前は良かった」と書いたが、もう笑えないレベルで喜んで購入したファンたちを地獄に叩き落としたのである。


本作の主人公二人組。
わんぱく少年と大人しくてかわいい少女というフォーマットで特に問題はない。
しかしディオが「誰得」というようなネットスラング系の言葉を使うので世界観と合っていない。また、わんぱくというより単に生意気で可愛げのない奴になっている感がある。
メルは大人しくてかわいいというより単にネガティブかつグズな人物となっている部分がある。
本当の名前はクロスディオとクロスメル。

それでも声が付いたのはとても良い事でキャスト両名は良い仕事をしている。

「うきゅ」と鳴かなくなってしまった。でも可愛いから許す。森羅万象ヒップの可愛さは異常。
戦闘中の変形もなくなったので。姿がクルクル変わるからクルール(これは本当)という名称も意味がなくなった。

追加キャラその1
一応キャラが出来た背景にはダオスを深く掘り下げるというコンセプトがあったらしいのだが(もちろんそれが成功したか失敗したかは別)、
とあるスタッフの「色っぽい巨乳のお姉ちゃんが欲しい(意訳)」という一言が元で生まれたという話も…。
容姿や性格はバツグンにいいが、致命的な設定矛盾を抱えてしまっている。
一応説明付かないこともないのだが、その為に他作品の設定を持ち出す必要がある時点で論外なレベル。
その為下記二人とは異なり、出る作品を致命的に間違えたキャラ単独作品に登場したなら間違いなく人気キャラになったと言われるぐらいには愛されている。

ちなみに、彼女の設定矛盾などが非常に有名ではあるが、ぶっちゃけ彼女以外にも腐るほどファンタジア本編を知っていればしないような矛盾が大量にある。

  • エトス
追加キャラその2
今回の双子の育ての親である妖精。
とりあえず常にマゴマゴしていてとても頼りない。それでいて余計な暴言だけは一級品。
ノルンの記載にあるが、育ての親を妖精とした時点でストーリーが破綻している。

  • アルベルト
追加キャラその3
動いて喋るタンス。実際はクローゼットだがタンスとしか呼ばれない。
ここに具体的な台詞をのせるとほぼ荒れるので割愛するが、言ってしまえば極端にも程がある男女差別をしまくり、
男にはディオだろうがファンタジアキャラだろうがお構いなく罵詈雑言を浴びせかけ、女キャラには気色悪いことこの上ない態度で媚びる、
身も蓋もないことを言えば同人誌などではおなじみの『汚いおっさん』そのものな奴である。
セリフも悉くデリカシーどころか品性の欠片もないのでプレイヤーの気分を激しく害している。例えるなら、ネットの煽りやアンチコメ、嫁キャラへのhshsコメをそのまま発言してるようなレベル。
当時はバンナムの課金商法・完全版商法などが非常に酷かった時期なのだが、このタンスの不快さは群を抜いていた為、
DLCなどが嫌いなファンにコイツの存在を消せるか燃やせるならいくらでも課金するとまで言わしめたと語ればどんな阿鼻叫喚なのかは分かるだろう。
余談となるが、本当に殺意が沸くレベルでウザいキャラだが声優の演技は完璧レベル。そのせいで更にウザいのだが。
その為このキャラの唯一の評価点として「声優の素晴らしさを教えてくれたキャラ」と皮肉交じりで言われることも…

ちなみに開発室にてX版スタッフ「毒舌キャラ、楽しんでいただけましたか?」という発言から、
当時のスタッフの中でコイツの暴言は単なるお茶目発言程度の認識として寧ろノリノリであったということが分かる。
当然ながらファンの怒りに油を注いだことは言うまでもない。


これ等三人であるが、ファンからは満場一致で全員存在自体不要と言われている辺り、極めて邪魔なキャラとして扱われている。


  • ノルン
双子を導く者であり、ラスボス。大樹の守り手。
初代なりダンではラスボスながらも母性溢れるキャラであったが、本作では……

とりあえず人間として育つディオとメルを見極めたかったのに妖精(しかもポンコツ)に育てさせるのはどうなんだ。
(どういうことかわからない人は、狼に育てられた少年の話を思い出してみればいい。つまるところ妖精に育てさせるというのはそういうことである)

初代なりダンに登場したキャラクターではあるが公式イラストがないためXで新規にデザインが起こされた。顔は「鬼灯の冷徹」のピーチ・マキみたいでとても可愛い。とても巨乳。
しかし「エロボインちゃん」「頭に花が咲いてる」「ヒヤシンス」「やりやりやりやりやりやり」というネタキャラになってしまった。
やりやりやりやり……というのは戦闘時のダメージボイス「やりますね……」がコンボを喰らうことでやりやりやりやりになることでやり。

  • ディオス&メルティア
もう一人のディオとメル。例のシーンの理由がかなり変更されている。絶望と憎しみの末に魔科学砲を撃った原作と比べて軽くなった。
しかもその後に「俺たちは悪くない。戦争が悪い」と清々しいまでの責任転嫁をやらかし、迷言すぎて名言と化している。リメイク版の悪改変を象徴するセリフ。

本作ではディオスとメルティアは兄妹ではない赤の他人同士になったが全く変更の必要がない。
ラブラブ同人誌カモンしたかったのが理由かは不明。


その他、前作のメインキャラは全員登場。操作も出来る。
今作でディオとメルが介入しない未来だと基本的に非業の最期を遂げている。
このアーチェが語る酷い顛末にファンは激怒した。
このイベントとアルベルトの存在がXを「なかったことに」しているファンが多い理由である。
そもそも、ファンタジアのEDを知っての通り彼らが全員再び結集する時点でファンタジア本編に対する最低の冒涜である。
一部のメンバーは二度と会えないからこそ成り立つあのEDを汚されたのだから当然だろう。


+ 特に必要もないのにX版で追加された酷すぎる未来
クラース・F・レスター
精霊召喚術を認められず酒浸りになり失意のまま死亡。

クレス・アルベイン
シグルドに敗れ死亡。

ミント・アドネード
クレスが死んだショックで死亡。というか、後追い自殺。キャラクターの性格も含めて全くあり得ない最低の内容。

藤林すず
プルートと相打ちで死亡。


アーチェ・クライン
仲間が上のような最期を遂げる中でずっと寝てた。


余談だが、本作はヴェスペリアのネタが非常に多く含まれている。それはもうスキットやらモブやら隠しダンジョンに至るまで仕込みまくりである。
作品の宣伝なども、このリメイク版こそ本来のなりダンであるかのような記述があるなど、初代なりダンスタッフから預かった作品を完全に私物化しにかかっている雰囲気が漂ってどこか気分が良くない。
そういうのは他のスタッフから引き継いだ作品ではなく、自分たちの新作か同人でやって欲しいものである。
ちなみに、本作の制作陣の殆どは原作及び『ファンタジア』本編の開発に携わった人間がほとんどいない。


+ スタッフルームでの発言
ゲームボーイ版のスタッフルームでは原作者が「今回の主人公は実はダオス。ファンタジアのシナリオを踏まえてダオスサイドの話を考えた」と言っているのに、
何を思ったかXのスタッフルームでは「主人公は双子」とわざわざ否定する発言をしている。
変更を加えているにしてもX版は原作のプロットを使用しているわけで、「あなた何様ですか?」と聞かれるレベル。

更に余談だが料理を教えてくれるお馴染みのワンダーシェフが今回は某アニメの部長をパロってる。

最後に

本作における「リメイク」は非常に多くの教訓を残した。

  • 原作世界(TOP)の知識も学ぼうとする気もない人間はリメイクに関わってはいけない
  • 原作(TOP ND1)のキャラクターに敬意がない人間は触ってはいけない
  • キャラクターに思い入れのあるお客さんの気持ちを考えられない制作者は「商品」を作ってはならない。好きな人だけ相手に出来る同人で(ry
  • シナリオではリメイクで変えたり追加した部分が全てダメで高く評価されてる部分は原作コピペというのはある意味偉大。つまりはリメイクする人間の能力の高さが(当然)問われるということ

なお、シナリオだけでご覧の有様だが戦闘バランスも歴代屈指の酷さ。
3すくみによる相性を導入してみたはいいがキャラそのものにも紐づけられているため戦闘中に有利な物に切り替えられないし、雑魚からボスまでスーパーアーマーてんこ盛り、
挙句の果てにはその辺で買えて最大99個持てるオレンジグミとパイングミで秘奥義が出せる
先手でグミ食って秘奥義連発でハメればいい。そんなゲーム。

仲間モンスターのシステムを『ラタトスクの騎士』から輸入してみたがよりによってトラクタービーム以外効かないクレイアイドルを仲間に出来る。
火力は皆無だがアイテム要員として最強の存在である。

他作品での扱い

クロスオーバー作品『テイルズ オブ ザ レイズ』で本作のキャラクターが登場。
制作側にも思うところがあったのか、『ファンタジア』と『なりダンX』は平行世界の扱いになっている。
また、アルベルトは開発者コメントでわざわざ登場しないことを明言され、ファンが大喜びした。
ちなみに並行世界扱いで面識も一切無いことについてもだいたいスタッフよくやった、とか関係なくて清々したなどと評されている。
こんな扱いで喜ばれるのだから本当にマズイキャラやストーリーであることが分かる。



追記・修正はディオスとメルティアを操作出来るようになってからお願いします。

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