ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

登録日:2011/06/04 Sat 15:12:36
更新日:2024/03/04 Mon 23:15:08
所要時間:約 4 分で読めます





ずらりならんだ九大怪獣世紀の決戦!


ゴジラ・ミニラ・ガバラ

オール怪獣大進撃



『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』とは、ゴジラシリーズ第10作目の作品である。
東宝の子供向け映画企画である「東宝チャンピオンまつり」のメイン作品である。

1969年12月20日公開、観客動員数148万人。

前作:『怪獣総進撃
次作:『ゴジラ対ヘドラ

【東宝チャンピオンまつり】
怪獣路線は1968年8月の『怪獣総進撃』を集大成として中止されるはずであったが(現在、制作側は否定)、『緯度0大作戦』を始めとする1969年8月の興行収入が前年を大幅に下回ったため、急遽ゴジラシリーズの再開を決定した。

邦画の人気が坂道を転がるように急落していく中で、怪獣映画は子供に一定の集客効果が見込める事と、田中友幸プロデューサーがシリーズ存続を望んでいたため、特撮映画と短編作品を中心とした年2回の子供向け映画企画を立ち上げた。それが東宝チャンピオンまつりである。

しかし、東宝の業績の落ち込みと子供向け企画である事から予算は大幅に削減され、また前後して円谷英二の死去、特撮専門の特殊技術課の解散など、特撮映画にとっては逆風の時代となる。


【概要】
前述の事情により本作では予算節約のための様々は策が講じられている。
従来は特撮班と本編班の2班体制だったのが1班体制にまとめられ、また過去作からの映像の使い回し、予算のかかるプールは使わないなどが行われている。

本作は他のシリーズと違い子供が主人公であり、児童文学に近い作風となっている。
また現実世界が舞台となっており、怪獣の出るシーンは主人公のとして扱われている。
加えて鍵っ子や公害といった、当時の世相が反映されているのも特徴である。

監督は本多猪四郎で、本作ではこれまでの特撮班のサポートを受けつつ特撮パートの演出も担当している。
音楽には『ウルトラQ』『ウルトラマン』で有名な宮内國夫を起用。
現代を舞台とした子供が主役の物語というこれまでに例のない題材を、軽快で柔らかい音楽で彩った。
また、これまでの貢献の感謝を込めて円谷英二氏を監修としてクレジットしたが、本作の公開後にこの世を去ってしまった。


【ストーリー】
内気な少年である三木一郎は両親が共働きの鍵っ子であり、ガキ大将のガバラに絡まれる毎日であった。そんな一郎は夢の中で怪獣島に行き、ゴジラの活躍を見てミニラと友達になる。ミニラはガバラという怪獣にいじめられており、共感した一郎はミニラを励ます。

ある時、一郎は秘密の遊び場にしている廃ビルで免許証を拾う。その免許証は廃ビルに逃げ隠れていた銀行強盗の物であり、焦った強盗は一郎の誘拐を企てる。


【登場怪獣】
本作に登場する怪獣は全ての一郎の夢の産物である。
ガバラが絡む以外のシーンはほとんど過去作の使い回しなため、ひょっとしたらかつて一郎の見たゴジラ映画の記憶かもしれない。

ゴジラ
ミニラの親として、厳しく指導をする。ミニラが一回はガバラを倒したのを見届けた後、ガバラを背負い投げで倒す。

ミニラ
一郎の友達である。夢の産物であるためサイズは変更可能で会話も可能。
ガバラにいじめられていたが、一郎の励ましと機転で逆襲に成功する。
昭和では最後の出演作品であるが本によっては『対ガイガン』以降のゴジラはミニラが生長した個体とされている。
しかしそうすると時系列では最後になる『怪獣総進撃』(1994年)ではまだミニラであることから矛盾もある。

◆ガバラ
ガマガエルが放射能で巨大化したという設定の緑色のいじめっ子怪獣で、武器は両手からの電流。
ミニラを散々いじめたが、逆襲された上にゴジラにボコボコにされた。
一郎をいじめるガキ大将の三公のあだ名と同じ名前である事から、一郎の恐怖の象徴なのかもしれない。

カマキラス
ゴジラとの戦闘含め登場シーンのほとんどは『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』からの使い回しだが、上記の怪獣以外では唯一新撮シーンがある。

エビラ
ゴジラとの戦闘シーンは『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』からの使い回し。
流用元ではゴジラとのラリーに失敗した大岩が赤イ竹の秘密基地に直撃するシーンがあるのだが、今作の舞台である怪獣島にはそういう施設はないため、大岩が何もない森に落ちるシーンだけ新撮されている。

クモンガ
ゴジラとの戦闘シーンは『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』からの使い回し。
しかしクモンガの目の前に流用元にはなかった謎の大岩が出現するシーンが存在する。
これは流用元ではクモンガの足下に糸に巻かれたミニラが横たわっており、今作ではミニラは一郎と共にゴジラの戦闘を観戦しているので、矛盾を生まないよう合成で隠す必要があったため。

◆大ワシ
ゴジラとの戦闘シーンは『ゴジラ・モスラ・エビラ 南海の大決闘』からの使い回し。
流用元では大コンドルという名前だったが、劇中では一郎から「大ワシ」と呼ばれている。


アンギラス、マンダ、ゴロザウルス
過去作の使い回しで顔見せの出演である。
ちなみにアンギラスとマンダの登場シーンは『怪獣総進撃』からの流用だが、ゴロザウルスは『キングコングの逆襲』からの流用である。


【登場人物】
◆三木一郎(演:矢崎知紀)
本作の主人公、団地に住んでいる内気な鍵っ子である。夢の中の怪獣島に行きミニラと友達になる。ミニラとの交流を経て、困難に立ち向かう勇気を得た。

◆三木健吉(演:佐原健二)
一郎の父親でディーゼル機関車の運転手。息子思いではあり、家に1人でいることを申し訳なく思っている。
演じた佐原健二は実際に機関車を運転させてもらった。

◆三木タミ子(演:中真千子)
一郎の母親。仕事が忙しく、なかなか一郎の世話が出来ないため、隣の南に一郎の世話を頼んでいる。

◆南信平(演:天本英世)
三木家の隣に住むおもちゃの発明が趣味で、それを生かしておもちゃコンサルタントを職業にしているおじさん。面倒見がよく、一郎に手作りのおもちゃを与えたり、母親の代わりに世話をしたりしている。
ちなみに、死神博士でもキノコ人間でもない。

◆銀行強盗犯(演:堺左千夫、鈴木和夫)
五千万円を強奪し、廃ビルに隠れていた。落とした免許証を一郎に拾われたため、一郎の誘拐を企てる。
演じた堺左千夫、鈴木和夫は東宝作品で脇役として活躍。特撮作品にも多数出演している。

◆三公(ガキ大将・ガバラ):(演:伊東潤一)
一郎をいじめるガキ大将。4人の仲間を連れている。
最終的には勇気を得た一郎に負ける。

◆サチ子:(演:伊東ひでみ)
一郎のガールフレンド。


【補足】
ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』の監督を務めた小中和哉氏によると、現実と空想が入り混じる物語を考案する中でこの作品が思い浮かんだという。
言われてみれば、ある意味平成版『オール怪獣大進撃』といった感じにも見えてくる……かもしれない。 



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最終更新:2024年03月04日 23:15