クラーケン(世界樹の迷宮Ⅲ)

登録日:2011/08/25(火) 01:40:58
更新日:2024/04/14 Sun 08:26:40
所要時間:約 9 分で読めます




項目を開いた君達は刺すような殺気を感じ、足を止める!

項目の中央には無数の触手をうごめかすおぞましい魔物が君達の事を待ち構えていた!





クラーケンとは、世界樹の迷宮Ⅲに登場する裏ボスの一体である。

概要

本体の濃い紫色、エンペラや足先などに見られる黄緑色、ダイナミックにうねるチューブのような細い多脚が特徴の、巨大なイカ状らしき魔物。
海都アーモロードに住む年老いた資産家・エルヴァルからの依頼で戦うことになる。


前提として、エルヴァルが退屈しのぎに主催する大会クエスト2つに参加し、成果を挙げる必要がある。
この大会、「特定階層の魔物を制限時間内に狩り、得点を競う(F.O.Eは高得点扱い)」など、冒険者に割と危険や無茶を強いる傾向*1があり、
エルヴァル本人が姿や口調を直接プレイヤーに見せない事、「大金持ち」「退屈しのぎ」といったいかにもなフレーズも併せて、
「現場の者の苦労など知った事ではない」、二次元の典型的「嫌な富豪」イメージに似たエルヴァルの傲慢な人物像が何となく思い浮かぶ
……という人も多いと思われる。


が、それと言うのも、この真打クエスト「エルヴァルの退屈、その真意」のため。

依頼の内容は、「かつてこの魔物に挑み、討伐に至れないまま死を迎えた、自分の友人の心残りを晴らしてほしい」というもの。
友人の死因は明かされないが、クラーケンを(撃破こそできなかったものの)海底神殿に封印するまではこぎつけた事、
後の展開も踏まえてエルヴァルが相当な老齢であろう事から考えると、恐らくは先に寿命を迎えたのだろう。

エルヴァルは私財を投げ打って、道化を演じて「退屈しのぎの大会」に偽装した試練を行い、アーモロード中の腕利きの冒険者を見繕っていたのだ。
封印を解き、撃破の叶わなかった凶悪な魔物・クラーケンを倒してくれるだけの力を持った冒険者を。
だが、あまりにも道化然として冒険者達を振り回し過ぎたせいか、冒険者からの彼の信用は失墜しており、
クラーケンの姿が確認されない事もあって、プレイヤーギルド以外にこの依頼にまともに向き合ってくれる冒険者はいなかったようだ。

大会も所詮クエストなので、実は参加賞が辛うじて貰える程度の最低限の成果しか挙げなくても腕利き扱いしてもらえる



クラーケンが封印されているのは、第四階層・深洋祭祀殿、その第一階になるB13F。

討伐のためにまずは封印の解除スイッチを探す事になるのだが、かの友人が結構なセキュリティ意識の持ち主だったのか位置についてはほぼノーヒントである。
(作中でも「他の冒険者はクラーケンを見つけられなかったそうだ」という意味の事を言われる)
座標は固定かつスイッチは1つしかなく操作も簡単と、他の点では封印解除に困る事はないが、ノーヒントという点だけでもなかなか苦労するだろう。
FOEは避ける物という危機管理意識を表ボス撃破でのエンディングに至るまでにしっかり植え付けられた手練の冒険者ほど見つけにくい位置にある事は確か。

封印を解くと、階の中心の隠し部屋に、悠然とFOEシンボル――クラーケンが現れる。



戦闘情報

HP:30000(禍神エルダーに次ぐ作中第3位)
攻撃:80(同上)
防御:75
弱点:斬・突・壊・炎・氷・雷×1.25
無効:全状態異常(各封じ・石化・即死を除く)
通常ドロップ:排撃する漏斗
条件ドロップ:深海囚の槍腕(足封じ状態で撃破)
FOEシンボル:黒(ボス格・逃走不可)
戦闘BGM:戦乱 散るもかなり

スキル一覧:

デステンタクル
 [足依存]10回連続突属性近接物理攻撃
Ⅲまでの世界樹における最多攻撃回数を誇る脅威的イカ足乱舞。見ての通り事故要素の塊であり、死者が出て戦線決壊する可能性が極めて高い。
全体で分散して受けるにも挑発などで少数に集中させるにも過酷な猛攻であり、この魔物を攻略する際の主要関門となる。
スクィードプレス
 [足依存]全体に壊属性近接物理攻撃
タイダルウェイブ
 [足依存]全体に氷属性遠隔術式攻撃
ヘイトコントロールを無視し、突属性耐性をすり抜ける、クラーケンのサブウェポン2種。
普段の装備でも半分以上10割未満程度の威力。防御力を突対策に傾け過ぎると横から崩される、そんなスキル。
レストレイション
 [足依存]自身の体力を15000回復
じこさいせい HPに余裕がある間は一切使用せず、HPが減るほど使用確率が上がる、横暴な大回復。
回復演出の数値を見て己の眼を疑い、次ターンにHPゲージを見て一度唖然とし、使用回数などの制限を期待して継戦するも、二度目三度目を使われて絶望、まで定番。
実際、確認されている限りでは特に回数制限もクソもなく無限に回復してくる。これを使われる前に殺し切れなければ事実上の詰み。


とにもかくにも極端な重戦車型・脳筋特化の戦闘設計が特徴。HP・攻・守の三要素を見ればなんとすら上回る正真正銘の化け物イカ。

通常攻撃などは一切行わず、基本的に3種の攻撃スキルをランダムに連発する。この時点では攻撃の手が休まるデレ行動ターンは皆無。
その攻撃スキルも状態異常・封じや強化・弱体といった小細工は一切含まれておらず、純粋な打撃力と属性対策避けのバリエーションだけで殴ってくる。
かと言って、こちらが仕掛ける状態異常も一部を除き全く通じない。
探索から多様な魔物との戦闘まで広く浅く対応するような甘えた構成の冒険者達は、まず大抵この猛攻に単純に力負けして叩き潰される。

AGIはこの段階で挑む敵としては野良エンカウント雑魚の半分あるかどうかというほど遅く、殆どの場合で冒険者が先手を取れる一方、
行動速度の遅さに攻撃範囲の広さ・全然途絶えない攻撃頻度が重なり、一度倒された冒険者は蘇生した端から起き攻めで再殺されやすい。
また、命中率は本作全モンスターの中でも最大級で、強化などでガチガチに固めた回避盾でも高確率で被弾し、回避戦法は事実上機能しない。
全属性弱点だが倍率は控えめで、膨大なHPと合わせて考えると実質的な耐久力指数は同格の裏ボス達と大差ない。(ただし特異点定理はブッ刺さる)

デステンタクルを含めた受けを安定させられれば、搦め手が存在しない事もあって、一見して事故要素がなくなり順調に削って行けるように見えるが、
削り速度が遅いとレストレイションで瞬く間に回復され、無限の体力に有限リソースで挑む無理ゲーに陥る。
エルヴァルの友人も恐らくこのレストレイションで詰まされ、次善策として封印を選んだのだろう。もちろんプレイヤーに再封印なんて選択肢はない。この三竜クラスの化け物に挑んでhageずに生き残るどころか、封印まで行ったこの友人は相当な腕利きだったと思われる。*2



そんなクラーケンの最大の弱点は、全てのスキルが足依存であること。


つまり、足を封じてしまえば、上記の10回攻撃・全体攻撃・自己再生の全てが使用不可能になり、
不発のスキルに固執して無駄なターン消費を繰り返す、「まな板の上の鯉」ならぬ「まな板の上のイカ」状態になってしまうのだ。

しかも、それだけ重要な部位でありながら、何と足封じ有効度(耐性の裏面、成功率に掛けられる修整倍率)が全モンスターの中でも堂々の最大値。
つまりめっちゃ簡単に足封じが入ってまな板の上に乗る。
本職の封じ役が仕掛けるに越した事はないが、ぶっちゃけ適当に1枠2枠鍛冶で足封じ付与効果を取り付けた即席武器で叩いても封じが入りかねないほど。
やったナ、エルヴァル!友人の無念が晴れるのは確定的ダ!


なんて、世界樹の迷宮の裏ボスがそんなに甘い筈もなく。


世界樹の迷宮Ⅲからは、「敵味方ともに一度状態異常・封じが入ったキャラクターは、戦闘終了か死亡するまで、その異常・封じへの耐性が秘密裏に上昇する」という累積耐性仕様がある。
つまり、同じ異常・封じでのハメゲーはどんどん通じにくくなっていき、最終的にはその異常・封じは一切効かなくなるのだ。
初っ端から無計画に足を封じ、「デステンタクルもその他諸々も怖くねえやーい!」等と調子に乗っていると、
いざレストレイションが解禁された時には足封じが入らなくなっていて、延々と回復し続ける無限耐久を前にhageるしかなくなってしまいかねない。

レストレイションが使われない序盤のうちは足封じ付着を控え、ある程度クラーケンの暴力に真正面から付き合わなければならないだろう。
5人(+最大1人)を使って、物理・術式、突・壊・氷、全体攻撃・ランダム多段攻撃と揃ったクラーケンの攻撃をいかに捌くかが肝要。
タイダルウェイブは氷の先見術などで簡単に無力化出来る事、物理の使用頻度が比較的多い事から、ラインガードがそこそこ有効。
もちろん、いざ足封じを入れ始めたら、封じから回復して耐性を固められる前に勢いで削り切りに行ける火力を出す構成も必要となる。
また膨大なHPを誇るだけに介錯☆が発動するHPも4500と多く、足封じの間に火力をぶつけてHP4500以下に押し込んだ結果、介錯が決まって勝利のケースも割りとある。
実のところ削るべきHPを4500も減らせる上に、一気に削らないと回復されるため介錯でスパッと終わらせるというのは正解と言っても良い。
もちろん中途半端な強さや戦術では火力になるべきショーグンが戦闘不能になったり、デステンタクルを身を挺して受けたファランクスを介錯してしまってhageへ一直線なども起こり得る。

通常ドロップは強力な銃「ヤタガラス」の素材。十本脚の生物から三本足のカラスの銃が取れるとは……(単にヤタガラスを彫った意匠というだけだが)
条件ドロップは多くの空スロットを持つ上位の槍「ロンゴミアント」の素材。ゴミじゃねーぞ


ところで、上記解説を読むに、
「回復技を足封じで止めながら倒すの推奨って事は、撃破時は余程タイミング悪く足封じが解けてない限り条件ドロップの条件を満たすのでは?」
と疑問に思った人がいる筈。実際、何も考えなければその通りである。
そして、実際簡単に取れる条件ドロップ「深海囚の槍腕」の方が売価が安いのだ。
入手時に金色(レア・条件)ドロップアイテムとして表示されるのも通常ドロップ「排撃する漏斗」の方であり、
実質的な特殊ドロップ条件は「足封じが極めて有効かつ、それに弱いクラーケンを足封じでない状態で倒す」であると考えられる。



結末

クラーケンを討伐し、成果を報告しに酒場に戻ると、「戻るのが一歩遅かった」「たった今、エルヴァルが息を引き取ったと連絡があった」との訃報を告げられる。
最期の瞬間まで依頼を託した冒険者達の心配をしていたエルヴァルだが、
まるで悲願が果たされた事を察し、全ての未練が片付いたかのように、その死に顔はとても安らかだったという……
但しゲーム的な都合でクラーケンは14日で復活する…が、18万という経験値の塊なのでアーモロード最強を目指すプレイヤーには度々討伐される事になる。あの世のエルヴァルや友人の心境やイカに。


余談

デザインモチーフは深海に住む謎多き新種の巨大イカ、ミズヒキイカだとされる。


同作の裏ボス、アルルーナイソギンチャクと共に「アーモロード三触手」と称される事がある。
とは言え、他2体がそれぞれ別の意味であのねな性質を持つ一方、
こいつはその脳筋戦法と破壊力から屁理屈の余地もなく無心かつ凶暴・暴力的な印象が強いためか、いまいちあのね用途に不向き気味。

クラーケンとは直接関係ないが、世界樹の迷宮Ⅲには、ある意味クラーケンよりもっとタチの悪いイカも存在する。
その名もダイマオウイカ
何がタチ悪いって、こいつあまりにも見つからなくて図鑑に載らないのである。

モンスターではなくアイテム的な分類であり、良くも悪くも戦闘を介さないので、冒険者の性能で発見・入手しやすくする事ができない反面、
冒険者が弱くても安全に入手できるのもまた事実であるため、入手難易度と悪名の割には金銭的価値はクラーケンの安い方のドロップの半額にも満たなかったりする。







クラーケンは汚液を散らしながら狂ったようにのたうち回っていたが、やがて完全に動かなくなった。

それを確認した君達は、記事に追記・修正をするべく、意気揚々とその場を立ち去ることにする。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 世界樹の迷宮
  • 世界樹の迷宮Ⅲ
  • 三触手
  • イカ
  • エルヴァル
  • 裏ボス
  • 脅威の再生力
  • 世界樹のあのね_←パワーが強すぎる
  • クラーケン

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月14日 08:26

*1 魔物狩り大会の終了時に「生き残ったギルドはこれで全部戻ったな(要訳)」という衛兵のセリフがあり犠牲者も出ていると思われる。

*2 単独だったともパーティだったとも語られていない。どちらにしてもただ者ではないが。