傾城反魂香(相州戦神館學園 八命陣)

登録日:2015/10/08 Thu 2:00:00
更新日:2024/01/09 Tue 19:14:22
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望んで使っているとでも?こんなものを、好き好んで?






◆概要
辰宮百合香の使用する邯鄲の夢
破段ではあるが咒法、解法、創法の3種の夢で作られている。
その能力は他者の魅了




反魂「香」ではあるが効力を発揮するトリガーは香りではなく、能力が展開された空間に侵入すること。
知性がある存在であればそれだけで無条件で百合香に好意を抱き、全幅の信頼を置くようになってしまう。
その強制力は折り紙つきであり、一度この能力の影響下におかれた存在は百合香に対して一切の負の感情を抱かなくなるため、自力での洗脳解除は非常に困難となる。

また例え洗脳が解け、百合香の能力を理解し警戒していたとしても、効果領域に入れば今までのことを忘れまた百合香に対しての好意が復活してしまう(ただし、まったく意味がないわけではなく、事前に能力の存在を認識していることで、能力対象外の人間が干渉すれば影響を払拭することは可能なようである)。
その対象は人間だけでなく廃神にも及び、あの神野明影ですらも百合香の前では罵詈雑言を慎み、大人しく会談を行うほどになる。
百鬼空亡に対しては完全な形で効果を及ばさなかったものの、攻撃対象を変えさせる程度には作用している。


この夢はあくまでも破段であるため、急段のような条件付けを必要とせず容易に相手に効果を及ぼしてしまうのだ。












◆対抗手段
時間経過に応じて効果がなくなる、あるいは薄くなるが、定期的な接触を約束することで効果は継続する。





そして、この夢は本当に誰にでも効果を及ぼしているわけではなく、ごく少人数だが無効化している人間が存在する。

この夢が効かない条件とは唯一つ、それは「傾城反魂香の効果以前に百合香に惚れていること」である。
つまり、わざわざ好意を抱かせるまでもなく、既に相手が百合香に惚れているのだから、その延長線としての洗脳も好意の二重掛けとなり効果をなくすのである。
ちなみに条件を満たしているのは幽雫宗冬壇狩摩、そして鳴滝淳士の3名のみである。

逆説的に、この夢が効かないということが、自覚の有無は別としてその人物が百合香に惚れていることの何よりの証なのである。
ちなみに能力が効かない人間には、この夢は百合の花の香りとして認識され、能力の影響が強い場所ほど強い香りとして認識される。




ただし、百合香は傾城反魂香に洗脳されているが故の好意と本物の愛との区別をつけることができない。
そのため百合香に本当に惚れていたとして、彼女が「この夢に影響されない真の意味で自分を見てくれている人」と認識できるのは、嫌悪を隠さず粗暴に自分を突き放す鳴滝だけである。










◆辰宮百合香について
この夢は、百合香の「他人は無条件で自分に傅いてしまう可哀そうな存在でしかない」という他者への歪んだ認識が元になっている。
なぜなら彼女にとって「誰からも愛される自分の姿」とは、あくまで貴族院辰宮男爵家令嬢だからこそどんな人間からでさえ慕われているのであり、自身に負の感情を抱く人間がいないのはありのままの自分自身を見ている人間などいない(実際には、幽雫宗冬のように彼女自身を慕っている人間は存在する)という何よりの証明だと感じている。
そしてそのことが本人の中で非常に根強いコンプレックスと化してしまっている。



夢界においては願望だけでなく、そういった大きすぎる精神的な負の面は、たとえ本人が望まなくても能力として発現してしまいかねない一面がある。
事実、この夢を解除することは百合香本人にも不可能であり、本人自身もこの夢のことを強く疎んでいる。








◆戦闘において
この夢は術者本人の忌避から積極的に使われるものではなく、常時垂れ流しのような状態となっているが戦闘に利用することももちろん可能である。
その場合、例えば反魂香の支配下にある者に百合香が自殺を命じた場合、それを実行に移させることができる。
効果に影響を受けるのが単体でないがゆえに、対集団において特段の効果を発揮する脅威の支配能力が顕れる。




ただし破段ゆえに誰にでも効く反面、誰にでも抵抗されうるという性質があるため一部効果を発揮しにくい人間も存在する。
例えばキーラ・ゲオルギエヴナ・グルジェワ。対象に一定の知性を要求するこの夢は獣には効果が薄い。
配下の鋼牙兵はその限りではないが、キーラの瞳による支配と百合香の香による支配の鬩ぎ合いとなり、結果肉体が爆散する。



そして柊聖十郎に対してはなんら精神的な操作ができず、せいぜい多少動きを抑制する程度の負荷にしかならない。
これは聖十郎が有する強烈な自我によるもので、彼の意志を曲げるなどあの甘粕正彦であろうと不可能*1という理屈らしい。あいつ本当に人間なんだろうか。

だが百合香が柊四四八の血を飲んで盧生との同調を深め、能力を増強させればある程度の命令を遵守させるくらいは可能になる。









◆詠唱
無し。普通は破段にも詠唱があるものなのだが…百合香のこの夢への嫌悪がうかがえるかもしれない。








◆元ネタ
名称は近松門左衛門が創作した人形浄瑠璃『傾城反魂香』そのまま。筋書きもお家騒動と男女の三角関係のお話である。

反魂香は焚くとその煙の中に死んだ者の姿が現れるという中国の故事に見られる伝説上の香。







◆余談
この夢の名を冠したBGM「傾城反魂香」の初出は本編ではなく発売前のPV3。正田作品恒例のエロゲらしからぬ主人公と仲間達の出番皆無の6連ボスラッシュが話題になった。


八命陣本編では幽雫と鳴滝の決闘BGMとしての印象が強いと思われる。まあ百合香を巡って男たちが戦っているという意味では3人の曲である。












追記修正は傾城反魂香が効かない方にお願いします

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最終更新:2024年01月09日 19:14

*1 甘粕ほどの傑物であれば高位神格であろうとその意志を曲げて操ることができる