大船渡線(BRT)

登録日:2015/11/18 (火) 21:30:00
更新日:2024/04/08 Mon 10:52:30
所要時間:約 6 分で読めます




大船渡線(BRT)(おおふなとせん)は、一ノ関駅と盛駅を結ぶJR東日本の鉄道路線であった大船渡線の内、 気仙沼~盛間、気仙沼~上鹿折間、陸前矢作~陸前高田間を結ぶバス路線である。
この項目では主にBRT部分のみを紹介する。
鉄道区間は大船渡線の方を参照して下さい。
*1

○運行概要

東北地方太平洋沖地震発生後、全線が不通となった。
大船渡線も沿岸部を通る気仙沼~盛駅間において甚大な被害を被り、津波により
  • 竹駒駅
  • 陸前高田駅
  • 脇ノ沢駅
  • 小友駅
  • 細浦駅
  • 大船渡駅
の計6駅に加え、2両編成の気動車2本と橋梁3箇所が壊滅的被害を受けてしまった…。
(特に気仙川橋に至っては橋脚までもが破壊されてしまった)
そして復旧には400億円という莫大な費用が掛かると試算された… 。
その為、震災から1ヶ月後の4月18日には無事であった一ノ関~気仙沼間は復旧したが、残りの区間に関してはJR東日本は同じく沿岸部の区間が壊滅的被害を受けた気仙沼線同様

不通区間をBRT方式で復旧する

という形で2013年3月2日から復旧した。

具体的には
  • BRT用の車両はJR東日本が所有
  • 運行に関しては岩手県交通(国際興業グループ)に委託(大船渡営業所が担当)
という形となっている。車両にはジェイアールバス東北同様の車両番号が付番されている。

因みにダイヤに関しては気仙沼線のBRT区間に比べると多くはないが、鉄道時代よりは本数が3倍以上多い。

◎運行車両

上鹿折発着便はミヤコーバス鹿折金山線の一部区間がBRTとして扱われているのでミヤコーバスの車両が使われ、それ以外は以下の車両が使われている。

日野・ブルーリボンシティハイブリッド…仮復旧時から導入されている主力車両。
*2

いすゞエルガハイブリッド…BRT運用に伴い新たに投入された車両。
*3

他に日野・ブルーリボンハイブリッドも運行され、その一部は自動運転対応車となっている。

過去の主な車両

三陸の「海」…2014年から2019年まで運行されていた観光型バス。
仮復旧時に使用していた元・川崎市交通局の中古車を改造したもの。
*4

◎運行形態

気仙沼~陸前高田間は基本的に1時間に1本の運転となっている。
特に、陸前高田~盛間までは通勤ラッシュ時は1時間に3~4本の計28本と実は鉄道時代より3倍以上恵まれていたりする…
(鉄道時代は全線通しが6本に区間運行が一ノ関駅~気仙沼間の3本、気仙沼~盛間の2本の計8~9本だった。)
因みに鹿折唐桑~陸前高田の新区間開業に伴い路線から外れた気仙沼~上鹿折間、陸前矢作~陸前高田間も1時間に1~2本と鉄道時代の2倍となっている。

◎主な駅一覧

気仙沼…大船渡線気仙沼線(BRT)乗り換え。起点駅。
鉄道が発着する駅としては宮城県最北端の駅。
2014年に線路敷地をかさ上げされ、BRTが構内から発着出来るようになった。

内湾入口(八日町)…2022年開業。〜日町シリーズの駅がこれで一つ埋まることに。

鹿折唐桑…上鹿折系統がここで分岐する。専用道区間はここで一旦終了。
震災時は下の画像からも分かる様に、ここから1キロ以上離れた港から大型漁船が打ち上げられていた。
*5

八幡大橋(東陵高校)…2017年開業。同名の高校の最寄り。
ここから1駅だけ高速道路(三陸道)を経由する。

唐桑大沢…八幡大橋からは10km以上離れている。気仙沼市の駅はここまで。

長部…これより陸前高田市の駅。

陸前今泉…震災遺構の旧気仙中学校の最寄り駅。快速便は経由しない。

奇跡の一本松…文字通り大津波による直撃を受けながらも、ほぼ唯一流されずに残った「奇跡の一本松」の最寄駅。元は臨時駅でその後常設化。現在は道の駅高田松原の中に停留場がある。

陸前高田…岩手県南東部の中心都市である陸前高田市の中心駅。BRTのみの駅では唯一のみどりの窓口開設駅。
震災による津波で駅舎は跡形もなく壊滅し、鉄道時代を偲ばせるものは皆無である。
その為、2018年まで陸前高田市役所仮庁舎前に移設されていた。
現在の駅は元駅があった場所の近くに移転され、震災前の駅舎をイメージした造りになっている。
因みに元駅があった場所は現在スーパー堤防の真下に埋まっている…

高田高校前…同名の高校だけでなく、夢アリーナたかたも近い。快速便は経由しない。

高田病院…病院の目の前にバス停がある。ここも快速便は経由しない。

脇ノ沢…陸前高田を除くと久しぶりの鉄道時代からの駅。近くにはスーパーなどがある。

西下…2019年開業。

小友…当駅手前から再び専用道となる。陸前高田市の駅はここまで。

碁石海岸口…これより大船渡市の駅。碁石海岸へは路線バス乗り継ぎとなる。市営球場はすぐ隣。

細浦…当駅も津波被害を受けたが、待合室は生き残った。現在は解体されてBRT専用道となっている。

大船渡丸森…2020年開業。近くにホテルあり。

下船渡…この駅は津波による駅舎の流失は免れ、往年の姿をとどめつつBRT駅舎に改築された。
近くに国指定史跡の下船渡貝塚がある。

大船渡魚市場前…BRT化に伴い新設された駅の一つ。
当然の事だが魚臭い。

大船渡…大船渡市の中心駅。震災前は2階建の駅舎を新築する予定だったが、津波により駅舎や関連施設の大部分が流出してしまった…。
その為、一時は国道上に駅を設置していたが2016年からは専用道上に駅が移転した。

地ノ森…2020年開業。

田茂山…2020年開業。周辺には市民体育館などの公共施設がある。

盛…三陸鉄道リアス線乗り換え。また旅客列車はないが岩手開発鉄道日頃市線・赤崎線の貨物駅である。終点駅。
この駅にも震災時には津波が押し寄せたものの、駅舎の流失は免れた。
大船渡市役所などはこちらが最寄りであり、市内では最多の利用者のある駅。

○上鹿折支線

気仙沼…本線乗り換え。当系統は一般道を走行するので発着も駅前のバス停である。

鹿折唐桑…こちらも一般道のバス停発着。

上鹿折…一応宮城県最北端の駅。
因みにこの駅も大津波による駅舎流失を免れた。現在は解体されて駅名標が残るのみである。

○陸前矢作支線

陸前矢作…開業に伴う工事で1932年、作業員同士の乱闘で死者3名が出た矢作事件で有名な曰く付きの駅。
その一方で、横手山を挟む山間に位置する事が功を奏して陸前高田市内の鉄道駅で、大津波による駅舎流失を唯一免れた。

竹駒…この駅も海から離れているが、津波により駅舎が流失した。
当駅を過ぎると一般道に移る。

栃ヶ沢公園…JR東日本唯一の"ケ"ではなく"ヶ"を用いる駅…と思われる。
陸前高田市役所の仮移転先近くにあった仮の陸前高田駅の代わりに新規開業した駅である。

陸前高田…本線乗り換え。

追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • JR
  • JR東日本
  • 岩手県
  • 宮城県
  • BRT
  • ダイヤは3倍増し
  • ハイブリッドバス
  • 地方交通線
  • 路線
  • 鉄道
  • 東日本大震災
  • 大船渡線

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月08日 10:52

*1 出典:Wikipedia URL: https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f1/JR-East-Ofunato-line-BRT-1763.jpg 日時:2016/02/19 出展者 Mutimaro

*2 出典:Wikipedia URL: https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f1/JR-East-Ofunato-line-BRT-1763.jpg 日時:2016/02/19 出展者 Mutimaro

*3 出典:Wikipedia URL: https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e6/JR-East-Ofunato-line-BRT-1824.jpg 日時:2016/02/19 出展者 Mutimaro

*4 出典:Wikipedia URL: https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/86/JR_Ofunato-Line%28BRT%29_sightseeingtype%22UMI%22.JPG 日時:2016/02/19 出展者 中央特快201

*5 出典:Wikipedia URL: https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8c/Shishiori-Karakuwa_Station_after_Tsunami.JPG 日時:2016/02/19 出展者 ChiefHira