ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル

登録日:2017/05/06 (土) 19:46:39
更新日:2023/09/29 Fri 08:59:02
所要時間:約 17 分で読めます






…まずは……マニュアルを読んでおくことだ……




「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」とは、外務省と漫画『ゴルゴ13』のコラボ企画である。


【解説】


発端

時は2017年3月22日、午後5時40分にその企画は発表された。

外務省のトップである岸田文雄外務大臣が、漫画家のさいとう・たかを氏と共に対外発表を行った。
その内容は在外邦人の安全対策強化のために、劇画『ゴルゴ13』を用いた「中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」を公開する――というものである。

このような企画が組まれることになったきっかけは、バングラデシュ人民共和国におけるダッカ襲撃テロ事件。
この事件を機に、在外邦人の安全対策強化を指示する決定を固めた外務省は、全国各地で安全対策セミナーを開くなどの様々な取組みを行ってきた。

しかし、外務省はついに知名度の高いデューク東郷に日本人の安全対策を手助けしてもらうために依頼に踏み切ったのだ。

さいとう・たかを氏は「海外の日本人が犯罪等の被害に遭う危険性が益々高まっているので、日本と海外は違うということを日本人は自覚すべきである」と述べている。

2018年には動画化が決定し、製作費は2040万円で製作された。
動画でのゴルゴの声は舘ひろしが務め、ケンドーコバヤシなども声優として参加している。

これと似た官公庁が手掛けた啓発漫画として福本伸行の『危険ドラッグの本当の怖さを知っていますか?』が存在する。

漫画の内容

この漫画は外務省のホームページに週1回で計13回(後に「番外編」が追加されて計14回)に至って連載され、無料で読める。

ちなみに、13回連載なのはゴルゴ13にちなんでのもの。
サブタイトルは『Gマニュアル』と、マニュアル漫画であることを強調したものになっている。

異色な組み合わせと言えるが、朝鮮半島を除いた全世界(宇宙も含む)で仕事をこなすゴルゴ13ならではの説得力は大きい。

基本的には今までの過去作のコマの台詞を改変したり、または繋ぎ合わせて新たな物語にしている。
その影響でコマごとに登場人物の服装が変わっていたり、リアクションがオーバー気味だったりする。

安全勧告漫画なので当然だが、微妙に宣伝臭い台詞をゴルゴが言い出すのも本作の特徴。
同省の海外安全情報通知サービス「たびレジ」の存在が頻繁に会話に出てくる。
このような宣伝要素は過去の養命酒コラボ漫画などと似ている部分はあるか。

また、コンセプトからして真面目そうなマニュアル漫画なのに、話も地味にキャラが壊れ気味だったりする。
ゴルゴが安全対策のため世界を駆け巡るというだけでもう面白い構図ではあるが……。
特に第6話は「かなり高度なギャグマンガと化している」との意見も少なくない。

短い漫画の後に、安全対策の要諦の説明文や報告書などの文章が付属する。
一見小難しそうな文章だが、合間に安全対策と絡めた過去作の台詞を述べるゴルゴなどの挿絵もある。

1話ごとに能化正樹領事局長の解説動画もYoutube上にアップロードされて視聴可能。
漫画の方に気を取られがちかもしれないが、解説は約5分程度と長くないので、視聴しておくべきだろう。

本企画はタイトルこそ「中堅・中小企業向け」となっているが、一般の海外旅行者や滞在者にも参考になるので、読んでおいて悪くはないだろう。

【あらすじ】


この数年、テロが中東や北アフリカのみならず、欧米やアジアに拡散し、今や在外邦人もテロの標的になっている。

このような状況下、外務大臣は在外邦人の安全対策のためにデューク東郷(ゴルゴ13)に協力を要請。
ゴルゴは大臣の命を受け、世界各国の在外邦人に対して、「最低限必要な安全対策」を指南するための任務を開始した……。

【作品リスト】


PART.1「外務省からの依頼」

あらすじ

我らが日本の首都・東京では、外務省の建物の前にゴルゴ13が姿を見せる。
施設に入ったゴルゴは、窓口の女性に堂々と大臣に呼ばれた旨を伝え、女性もゴルゴの訪問を認知していたようで、大臣室に案内する。
大臣室に入った後、男性に大臣の方へと誘導される。

そして告げられた依頼内容は「在外邦人や海外の安全対策に弱い中小企業のために力を貸してほしい」というものだった…。

登場人物

  • 高倉
日本の外務大臣の中年男性。
現在のテロは世界中に拡散し、海外では日本人がテロに「巻き込まれる」だけではなく「標的」扱いされているという。
そのため、日本の主権が及ばない国では、日本人自身の意識改善・国民への情報伝達・体制整備などが必要と考えている。

そこで「在外邦人や海外の安全対策に弱い中小企業のために力を貸してほしい」という異例の内容を依頼。
依頼理由については「君の実績を考慮しているのは勿論だが、強いて言うなら君が『臆病』だからだ」としている。

高倉はテロの危険性を恐れているようだが、目の前の男も定義上「テロリスト」なのには気が付いていないのだろうか。
ゴルゴ自身も本編作中で何度もテロリスト呼ばわりされているし……。
まぁ、「敵の対策をするならば、同業の『敵』を味方につける」という発想なのかもしれない。

  • ゴルゴ13
主人公。
殺人でも工作でもない異例の依頼に流石に疑問を感じたのか依頼理由を聞くが、本来なら断りそうな内容なのに何故か引き受ける。
たびレジの存在は認知していたようで、それについての説明を省くように言い出しとにかく要点を伝えるように急かすなどイライラ気味。

PART.2「安全対策は『たびレジ』登録から」

あらすじ

パキスタンのカラチ市では3人組の日本人男性(寺嶋部長・吉田・古山)達は、カラチが平穏な街だという感想を抱く。
カラチは掃討作戦以降、治安が格段に向上していると聞いていたため、安心して仕事が出来そうだと感じる。
パキスタンは大の親日国で、日本人が尊敬されていると認知していた彼らは、自分達のような中小企業でも活躍できる自信を掴んだ。
町中の自動車も9割が日本車という事もあって、日本企業の実績の裏付けも取れていた。

明日の現地調査に備えて、今夜は景気付けに一杯やろうと夜飯に向かおうとする3人組。
そんな彼らの横に、どこかで見たことのある後姿が……?。

余談だが作中の「外国人を狙った爆弾テロ」は邦人10名が犠牲となった1997年のルクソール事件が題材と思われる。

観光名所で爆弾テロが起きて観光客が犠牲になれば観光目的の異邦人が減少するのは目に見えている。
そうなると観光産業が大きな収入源となっている国にとっては大打撃であり、財政も苦しくなるので、反政府組織にとっては好都合なのだ。

「路地裏など、人気の無い場所では強盗に遭う危険がある」という考えは誰もが持っているだろうが、
外国人がたくさん集まる観光スポットにも、爆破テロや銃乱射といった危険要素が潜んでいることを忘れてはならない(アメリカを見れば一目瞭然である)。

登場人物

  • 寺嶋
本エピソードの事実上の主人公。日本人三人組の中では一番年上かつ上司だと思われる。
恥ずかしいことにたびレジには登録していなかった。
ゴルゴの説教を聞いてからは改心し、後日仕事の際にはハイデラバード方面に爆弾テロの可能性を聞くと寄らずに撤退した。
その判断が的中したことで、テロ現場での懸命な消火作業の映像を見ながら自身の判断の正しさを確信する。

  • 古山
日本人男性3人組の一人で、街の様子からカラチは平穏な土地だと判断した。
車の運転役だったが、寺嶋の指示を受けてしかたなく元来た道を引き返している。

  • 吉田
眼鏡をかけた容姿が特徴的な日本人男性。
パキスタンは日本の中小企業が活躍できるチャンスのある国だと分析しているが、たびレジの存在は知らなかった。
総領事館から『ハイデラバード方面に爆弾テロの可能性がある』というメールが来てもなお、「そんなことをいちいち気にしていたら仕事なんて成り立たない」と漏らしていた。

ところが、本来仕事をする現場で大規模なテロが発生したことにより、自分が死んでいたかもしれないという恐怖に慄いてホテルのロビーにいるにも関わらず粗相してしまう
震えながら大量の尿を漏らす様子には寺嶋も何とも言えない様子だった。

  • ゴルゴ13
3人組の前に唐突に登場。
人質・爆破テロ・運ばれる怪我人などのコマを挟みつつ、たびレジについて妙に丁寧に解説してくれる。
アドバイスに感謝した寺嶋に「また困ったことがあったら相談に乗ってくれないか」と頼まれた際にはゴルゴは「たびレジに登録してからだ」と返す
ついでに、パキスタンがイスラム教国であることから、ビールで乾杯しようとした彼らの行動を咎めた。

PART.3「必要なことは、全て外務省海外安全情報に」

あらすじ

舞台はタイのバンコク、スクムビット通りのとある小路にある外務商事タイ事務所。
社員一同は2ヶ月に渡って検討を重ねたが、日本企業のための安全対策は何も打ち出せない。
海外展開はリスクが多く、安全対策を無視した企業活動など考えられないと悩んでいた。

そんな中、夕方6時に「G」と呼ばれる男性からの呼び出しを受けて相談をすることになるが…。

登場人物

  • 相星孝一
外務商事開発プロジェクト部の部長。タイ事務所で海外展開に頭を悩めていた。

  • 橋本
諸星の部下の日本人男性。
安全対策の立案のための情報収集を重ねる必要があると考えているが、外務商事にはその辺の情報はないことを悩んでいた。
G(ゴルゴ13)からの電話を受け取る。

  • ゴルゴ13
夕方の6時にルンビニー公園に相星を呼び出した。
相星はたびレジはもう済んでいてビジネス展開におけるもっと中長期的で幅広い分野の情報を欲しがっていたことを聞き、「海外安全ホームページ」の存在を提供する。
ゴルゴ曰く、海外安全ホームページは「危険情報」「感染情報」「テロ・誘拐情報」など、様々なデータの宝庫だと評した。

PART.4「安全対策は情報収集から」

あらすじ

舞台はベルギー・ブリュッセルのスヘルデ川付近。
小島商事社長の小島敏郎なる男性がゴルゴに依頼を頼むために呼び出した。
小島は2016年3月に起きたテロを受け、会社のブリュッセル事務所の安全対策を伺うためにゴルゴを呼んだのだった……。

登場人物

  • 小島敏郎
小島商事の社長。2016年3月に起きたテロを受けて安全対策を考えるためにゴルゴに依頼をした。
3ヶ月以上の長期滞在になることからたびレジには登録しておらず、大使館に在留届を提出している。
小島は安全対策で最も重視すべき点に関する助言をゴルゴに貰いたく、大使館の情報やベルギー政府の情報は常にチェックしており、「マニュアルに記載されていないことを教えてもらいたいから依頼するんだ」とも述べている。
しかし実際にはゴルゴの事も事前に調べており、依頼はゴルゴを試す意味もあった。

  • ゴルゴ13
作品コンセプト的に元々キャラ崩壊をしていたが、このエピソードから本格的に壊れ始める。
小島の中小企業の行える安全対策については以下の持論を述べた。


……10%の才能と20%の努力…
…そして30%の臆病さ……
残る40%は……”情報”だろう……な……。


どっかで聞いたような台詞ですねこれ…。

小島の姿勢や真意を知ると、情報収集に関してもはや言うことはないとした。
ついでに「情報はベルギーの天気のように変化するから油断は禁物だ」とアドバイスしている……何ちゃっかりジョーク言っとるんだ

PART.5「ゴルゴからの依頼(熊本特別編)」

あらすじ

舞台は熊本県の「岩清水ベアリング 阿蘇工場」。
この工場は東南アジア進出を決めた模様。しかし、イスラム過激派が頻繁にテロを起こしており、工場の安全対策も万全か不安視されていた。

登場人物

  • 岩清水
岩清水ベアリングの社長の男性。
海外展開である程度のリスクは仕方ないと考えていて、たびレジには登録済みで海外安全情報も確認している。
しっかり情報収集しておけばテロの確率は格段に下がるとしていたが、東南アジア情勢を聞いて頭を悩める。

  • 岩清水の部下
社長の岩清水の部下らしき男性。名前は不明。
最近のテロ情勢について不安を抱いており、海外の工場の具体的な安全対策は分からず、地方では相談する相手もいないと嘆いている。

  • 赤本
日本商工協会国際部長。ゴルゴに脅され、和田倉噴水公園まで連れて行かれる。
ゴルゴが外務省の依頼を受けていることを知っており、ゴルゴから逆に依頼を受けることに。
日本商工商会としては中小企業の海外展開を積極的に支援したいが、そのための体制は不十分だと考えている。

「体制は作るものだ」とゴルゴに促されて同意し、外務省と商工商会が連携すれば新たな可能性が生まれると発想する。
ゴルゴの依頼を受けて二村会長という人物の自宅を訪れ、説得を成功させる。
  • ゴルゴ13
岩清水のやり取りをスコープを使い、遠くから眺めていた
何故わざわざそんな手段を取ったのだゴルゴ……いや、かなりレベルの高い読唇術を持つ設定ではあるが。
赤本を脅して公園に連行し、二村会長を説得するように依頼した後に二村と接触したようだ。

PART.6「安全対策はホテルの中でも」

あらすじ

舞台はメキシコ・メキシコシティで、野田という日本人女性がホテルのフロントで宿泊の手続きをしていた。
その横にホテルを予約していたゴルゴも現れ、同じ日本人と推察した野田はゴルゴに話しかけるが…。

登場人物

  • 野田
メキシコのホテルにいた日本人女性。
その横にホテルを予約していたゴルゴが日本人だと感じ、日本人かと推察する。
初めてのメキシコ訪問だった野田は美味しいチリコンカルネの店の情報を聞こうとするが、色々と批判されて謝罪するも同じ日本人ならもう少し親切にしてくれてもと不満げになる。

チェックイン後にホテルの部屋において暴漢に脅されて金銭を要求される。
しかし、ゴルゴに救われたことにより、助けてもらった上に図々しいがと前置きした上で、初めての海外旅行なので安全対策についてのレクチャーを頼む。
ゴルゴのアドバイスを聞いて野田は自分が海外で一人旅をする心構えがなっていなかったと気づき、直後に大泣きしながら自分が馬鹿だったと悔やんだ。
たびレジにも登録して慎重に行動すると決めるが、ゴルゴの食事の誘いは拒否する。

  • ゴルゴ13
メキシコのホテルに登場。質問をしてきた野田に「チェックインの際にはバッグから目を離すな」と注意し、チリコンカルネはメキシコ料理ではないと訂正する
野田に対して厳しい姿勢で接するが彼女に危機を救い、相手も確かめず何故ドアを開ける行為についての注意を促した。

野田が改心すると様子が一変して優しく接し、しかも「タコスを食べに行こう」と野田に言い出す。
ところが珍しいゴルゴの誘いは「見知らぬ人の誘いは断る」と拒否されてしまう。
海外で相手を確かめる必要性を直前に説教したのに、自分が見知らぬ人間だとゴルゴは考えなかったのか。
拒否られたゴルゴはただ黙りこむだけだった……えぇ………。*1

PART.7「安全対策のための三原則と『自由』の代償」

あらすじ

フィリピン・ミンダナオ島にて、道を走るオフロード車の車内では拘束された状態日本人男性がいた。
彼を誘拐したフィリピン人男性が銃口を向け、身代金目的でこのような行動に出ていた。
やがて土屋は一か月前にゴルゴと接触して警告を受けていたことを思い出すが…。

登場人物

  • 土屋
フィリピンで誘拐された日本人男性の商社マン。
自分はただの商社マンだから身代金は払えないと訴えるが、彼が勤める鈴木商事には既に2千万ペソ(約4500万円)要求されていることが伝えられる。
実は自分の名前をTwitterで書き込んでいたからことから苗字もバレており、運転していもう一人の誘拐犯から「日本人は呑気」と馬鹿にされてしまう。

一か月前にゴルゴと接触しており、フィリピンの危険についての警告を受けていた。
逆らったらこの場で殺されるかもしれないが旅行はキャンセルしたくないと挟み撃ちの心境に陥っていたが、結局渡航することを決意する。
誘拐犯のアジトの牢屋にぶち込まれたことで自身の判断を後悔し、商業マンとして失格の自業自得の行為だと振り返るが、ゴルゴに救われた。
解放後に勤務先でゴルゴに救われたことに気が付くが、3000万ペソ(約6800万円)を請求されてしまい、会社が身代金を払ってないことを知らないために今更泣きつけないと嘆く。

  • ゴルゴ13
一ヶ月前、地下駐車場らしき場所で土屋に接触。
安全の三原則について聞き出し、ネットにサンボアンガに旅行する旨の書き込みをした事について「土屋のような大胆な神経は持ち合わせていない」と皮肉を言う。
ゴルゴはミンダナオ島サンボアンガの危険度は「3」となっており、渡航中止勧告が出ている事実を知らせる。
土屋にはゴルゴは止めろとは言ってないと否定するが、自由の代償は土屋自身に払ってもらうと警告を続けるその態度を脅迫と評せられていた。

その後、誘拐犯の本拠地を壊滅させて土屋を解放しており、鈴木商事には身代金を実は払っていないことなどを口止めするように促していた。

PART.8「オフィスの安全対策の死角」

あらすじ

ドイツ・ベルリンにて、ベルリンの町を走る車に乗車していた男性がゴルゴに乗るように誘導する。
彼は共同物産社長の渡邊という男で、開業予定のベルリン支店の安全対策のチェックをゴルゴの目でしてほしいという依頼をしていた。
ゴルゴは彼に様々なアドバイスを送るが…。

登場人物

  • 渡邊
共同物産社長の社長の男性。開業予定のベルリン支店の安全対策のチェックをゴルゴに頼む。
ゴルゴに提供された改善点を元に安全面の基本方針を作成しようと考えており、ゴルゴにも了承される。
そしてゴルゴの作成した資料の内容を絶賛し、「Gマニュアル」として安全対策のトップシークレットにすることを決定。
コピーが無い事を聞いて唯一の文書になるのが心配だとして一部だけコピーを作成することにするが、間違って三ヶ月かけて作った資料を全てシュレッダーの手によって粉砕してしまう。

  • ゴルゴ13
渡邉に周辺の治安状況や隣のオフィスの警備状況を確認する様にアドバイス。
さらに駐車場や出入り口の警備上場などもチャックするようにと指示を行った。
ゴルゴ曰く「駐車場が最も強盗や誘拐犯に狙われやすい」らしい。

三か月後にベルリン支店にて安全対策をまとめた資料を持ってくるが、
社長もそれを見て内容を絶賛し、「Gマニュアル」として安全対策のトップシークレットにすることを決定した。
報告書のコピーは渡邉の「敵に手に渡れば死活問題になる」ということで作っていなかったが…。

それはシュレッダーだぞ

PART.9「厩燓けたり」*2

あらすじ

ケニア・ナイロビにある財田重工ナイロビ支社では、観葉植物に時限型の爆弾が仕掛けられていた。
爆弾が静かにカウントを刻んでいき、ナイロビ支社は大爆発を起こす。
その後、東京本社ではあまりの大騒ぎとなっているが…。

登場人物

  • 財田
財田重工の会長の男性。ナイロビ支社の被害を受け、東京で被害状況を早く知らせるようにと怒号が飛ばす。
部下の反論に対しても「トップは利益を上げることに集中する」「安全対策は総務部長の仕事」と投げかけ、財田は事業計画の見直し案を持ってくるように要求する。
その後、会長室に論語を知っているかと問いかけてくる電話にたいして煽りながら無視しようとするが、ゴルゴの警告を受けて殺害される可能性を察し、社員の安否と現地の被害者の救援を訴えるようになるなど改心する。

  • 佐藤
投資をどう回収するのかと投げかける財田に責められていた人物。
会長の怒りにも大きく動じず、社員の安全確認を優先する様に呼びかけたが切り捨てられる。

  • 美村
損失を調べるように財田に問いかけられた部下の社員。
佐藤と共に危機管理の点から社員の状況確認を優先するように提案するが、ケニア事業が失敗すれば68000人の社員が失業するという点から無視された。

  • ゴルゴ13
財田に対して電話で「厩燓けたり。子、朝より退いて曰わく、人を傷いたりやと。馬を問わざりき。」の意味を問う。
警告を唱え続けるがやり方は変える気はないと返されたことで、財田の机に置かれた天秤が破壊する。

PART.10「有事に備えて(Gマニュアルの謎)」

あらすじ

トルコ共和国・アンカラに置かれている「外務商事 アンカラ事務所」には、本社からの相星開発プロジェクト部長が訪ねてきていた。
ここ数年欧米やアジアでテロが増えている事から、外務商事は各事務所の抜き打ち検査を行うことになった。
現在はネット上で「Gマニュアル」が入手可能となって中堅・中小企業安全対策ネットワークで拡散されているが、それだけでは不十分で国や会社がそれぞれ独自のマニュアルを作成する必要性が求められているようで……。

登場人物

  • 髙橋
「外務商事 アンカラ事務所」の所長の男性。本社からの相星開発プロジェクト部長が訪ねてきていた。
訪問の理由を聞くアンカラ事務所の髙橋所長に対し、彼は「安全対策部長」なる職務に付いている事を語る。
外務商事でも安全対策を専門に扱う部署が創立され、相星は初代部長になったらしい。
相星の要請を受けて色々と説明を行うが、外務省の安全情報は情報量が多すぎるという理由で読めていない。
「Gマニュアル」の「G」にはゴルゴの関与意外にもっと深い意味があるのではと推測している。

  • 相星
本社の開発プロジェクト部長。安全対策部長」なる職務に付いている。
外務商事でも安全対策を専門に扱う部署が創立され、相星は初代部長になったらしい。
相星はマニュアルは自分自身で書いてこそ意味があると自論を持っている。
二度と同じ依頼者に出会わないという依頼のルールに反することを自覚しながらもゴルゴに依頼広告を出す。

  • 山崎
髙橋の部下。「Gマニュアル」だけでは不十分で独自のマニュアルを作成する必要性が求められていると自覚している。
外務省の情報をもう少し読むポイントが分かると使いやすいと考え、ゴルゴに依頼が出来ないか相星に相談する。

  • ゴルゴ13
ネット上に流出した「Gマニュアル」に関与しているとの噂が流れている。
相星から外務省の情報を分かりやすく読み解く手段をGマニュアルに盛り込んでほしいとの依頼を受ける。
ところが、トルコのイスタンブールのホテルにてPART.8でGマニュアルは消滅したのではと疑問を浮かべていた。
流出するGマニュアルについて自分の名前が使われることは承服しがたいと不満を加藤にぶつけるが、「Gマニュアルの”G”はガイムショウの”G”です」と冷徹に返されてしまう…。

  • 加藤
ゴルゴに依頼情報を持ってきた男性。ノートパソコンを開いて説明を始めた。
加藤曰く、確かに安全情報は項目量は多いが裏を返せば情報の宝庫でもあるので、特に「安全対策基礎データ」は読むのが大変でも目を通すべきだと力説する。
スポット情報は特に重要で、海外の事案に関する速報も出せるとしている。
「Gマニュアル」への不満をぶつけるゴルゴに対してあっさりと反論し、ある意味ゴルゴを黙らせた異例の人物。

PART.11「不穏な動き」

あらすじ

PART.2の事実上の続編。日本の丸の内にて、「斉田石油ホールディングス株式会社」で、寺嶋は自社がイラク石油開発の参入枠を確保したことに喜びを見せる。
寺嶋は現地大使館との緊密な連絡の必要性から外務省への連絡を頼み、外務省法では「G」は既に動いていてイラクに入国していたことが確認されるが…。

登場人物

  • 寺嶋
PART.2から再登場。自社がイラク石油開発の参入枠を確保したことに喜ぶ。
部下がある程度安全対策の準備を整えていたことを聞くと、現地大使館との緊密な連絡の必要性から、外務省への連絡を頼んだ。

  • 古山
寺嶋の部下。現地調査と「たびレジ」への登録を既に行っていた。
米国のセキュリティ会社と契約して現地での警備を頼むことを決めている。

  • 江端
外務省の「外務省邦人テロ対策室」における首席なる人物。
黒田へと様々な指示を行い、大使館に「G」態勢で対応するように促した。

  • 黒田
江端の部下。「G」は既に動いていてイラクに入国している情報を掴んだ。

  • デイブ・マッカートニー
シリーズお馴染みのゴルゴと長い付き合いのある頼れる武器屋。
自身の元に来たゴルゴの時間への正確性に感心し、ゴルゴの依頼で「イラク人になるための道具の準備」として「付け髭」を用意する。
付け髭はケプラー繊維とスペクトラ繊維を混合して極限まで自然に近い肌合いを出しており、デイブも自信作の様子。
注文通りに3Aの防弾レベルを維持しているとの事で至近距離で射撃されても平気らしいが、手間がかかったとの事…なんだその髭!?

  • ゴルゴ13
デイブに依頼したイラク人の変装用の付け髭をセットするが、フィット感や防弾性を褒めながらも、全く変装になっていないことを確認する。

PART.12「伏せる、逃げる、隠れる」

あらすじ

11話から話は続いて、舞台はイラクのバスラ市。
寺嶋達の前には警備を担当する『GR社』のアリなる人物が挨拶をし、対テロ訓練で学んだ事をしっかりと実践する必要性を説いた。
そして街中を歩く中で、古山は特に危ない感じもしなかったため、ホテルに戻ることを提案する。
するとふと寺嶋が見つめた先には、車両から飛び出てくるイスラム過激派のテロリストがいたのだ。

冷静になって襲撃対策の基本動作を思い出そうとする寺嶋の頭の中にはゴルゴが浮かび上がり……。

登場人物

  • アリ
寺嶋の警備を担当するGR社の社員。
後に戦闘に巻き込まれた寺嶋の救援に向かうが、その後にアリという人物はGR社に存在していないことが判明する。
実はその正体はゴルゴ13であり、ずっと
…この話では、変装していたゴルゴは一般人並みに喋っているので変装に違和感がない。それくらい出来るのなら本編でも努力しろ。

  • 寺嶋
バスラ市で部下達と歩いている最中に戦闘に巻き込まれるが、ゴルゴ13の発言を思い出して必死に銃弾から身を守ろうとする中でアリに救われる。
襲撃事件から一か月後にアリの存在を振り返って彼の不自然な存在に疑問を抱くが、その瞬間に油田を発掘して大喜びした。

番外編「感染症流行下の世界と隙を狙う者たち」

コロナ禍に見舞われてから追加された番外編。「13」の数字を変えないために番外編扱いとなっているものとみられる。
コロナ禍に見舞われた世界であるものの、原作の画を使用している関係上、マスクやパーティションなどの感染症対策描写は省略している旨の断り書きがある。

あらすじ

舞台は東京・青山製薬。
新型コロナウイルスによるルンデンシュタインへの入国制限が緩和されたとの報道を受け、小野営業部長は部下にその裏取りと、現地で共同開発中の治療薬の状況の視察のため、出張の準備をするよう指示する。
また、松田顧問に対しては、新薬の販売計画についてチームにアドバイスするようお願いする。
その後、松田は飲み屋で作戦会議中のチームのもとを訪れるが…。

登場人物

  • 小野
営業部長で眼鏡をかけた容姿が特徴の男性。新型コロナウイルスによるルンデンシュタインへの入国制限が緩和を受け、出張の準備に入る。

  • 松田
社内で新聞を読んでいた最中、新薬の販売計画についてのチームへのアドバイスを任される。
その後に飲み屋で上田が出張をストップしている話題になるが、上田は今年度の安全対策予算を削られたからテロを理由に危機を煽っているだけだと考えていた。

  • 柳田健
松田曰く研究者肌の男性で製薬研究部の開発室長。
ルンデンシュタインに留学した経験があり、コロナ禍がなければルンデンシュタイン支社に赴任予定だった。
青山製薬研究部開発室で宮下広報部長に呼び出された柳田は外国の雑誌記者の取材を受けることになるが、その記者の姿がゴルゴ13にそっくりな事に気が付く。
出張で仕事に成功した後にルンデンシュタイン国立病院研究所に勤務するジュリーをデートに誘おうとするが、そこでテロに巻き込まれる。

  • ゴルゴ13
「バイオメディカル・サイエンスモニター」なる雑誌の東京特派員、ディーン・西郷という強面の男として柳田に接触。
青山製薬とルンデンシュタイン国立病院研究所の共同で開発中の新型コロナ治療薬の開発状況についての取材ということだが、専門的な説明を強要する。
言っていること自体は正しいのだが、あまりにも記者とは思えない高圧的な態度で柳田に呆れられた。
1年前には外務省主催のテロ誘拐対策実地訓練の講師としてデューク・東郷の名で活動していたらしく、その時の訓練の過酷さは実戦さながらだったらしい。

後に青山製薬で安全対策に関する助言に感謝されるが、「ここは禁煙だ」と葉巻を吸っていたこと注意される

PART.13「エピローグ」

ラストエピソードは、日本企業はとんでもない成長を遂げ、ゴルゴの決め台詞はアメリカで社会現象化したという内容。
アメリカは日本に先を越されて一部では大規模デモと言う社会不安をも招き、最後は大統領がゴルゴに頭を下げて依頼している。
外務省の漫画だからとはいえ、安全対策マニュアルでここまでの展開に世界情勢が日本の思うがままに動くのは、なかなかカオスな世界観だったと言えるだろう。

あらすじ

舞台は夜中のアメリカ・アトランタのCNBテレビ局。

テレビ局ではサム・O・コーシーなる人物がキャスターを務める「ビジネス・ワールド・サテライト」なる番組が始まった。
ニュースの話題はここ数年快進撃を続ける日本経済の話題からだった。
日本の自動車メーカー7社の収益はいずれも過去最高で、チヨダ自動車は3年連続販売台数世界一を記録したようだ。
専門家の分析では、日本経済の強さはここ数年の積極的な海外進出が理由らしい。

あらゆる分野に日本企業の姿があり、それを下支えする中堅・中小企業の存在も注目され始めた。
東証内部の株取引フロアでは、日経平均株価は大台の3万円台を突破した。

しかし、以前から日本の技術自体は評価はされていた。
専門家のDr.ブリッジボードの話では、日本企業の海外進出は安全対策がネックだったことで、テロ対策が出来ない中堅や中小は海外に展開できなかったのだ。
だが、ここ3年間では日本人のテロ犠牲者は0人を記録している。

その秘密は「Gマニュアル」という安全対策マニュアルが理由だった。
米国内でも噂が広まっているこのマニュアルはなぜ日本だけが独占しているのかと一部から不満も出ており、国務省前では公表を求めて連日大規模デモが起こっている。
ニューヨークの若者の間では「G」ブームが巻き起こり、「俺の後ろに立つな」というフレーズのTシャツが「Gシャツ」と呼ばれて社会現象となった。

ただし、ブリッジボードが言うには面白いのは「G」が何を意味しているのかと言う部分らしい。
ネット上の推測の一部説には「GOD」という説も出ている事から、「G」は既に神格化されて神の領域にいるのかもしれないと自論を述べた。
キャスター達は、我々がニューヨークの集団にいたら「我々キャスターの前に立つな」と叫ぶとジョークを述べたのだった。

ジョークに現場で笑いが起きる中、トランク大統領のニュースに話が切り替わる。
その様子をテレビで見ていたゴルゴは、パソコンで、高倉と思われる人物宛のメールに「ミッションコンプリート」と打ち込み…。

登場人物

  • ゴルゴ13
高倉宛にミッションコンプリートの報告を行い、海沿いの町を一人歩いていた。
その後に夕焼けの海を漂う船で1人バカンスを味わっていたが、海からは出現した潜水艦に乗る二人組の男がバカンスの邪魔をされる。
今度はアメリカ大統領からの依頼で、米国企業の安全のために力を貸してくれと言う内容だった……。





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最終更新:2023年09月29日 08:59

*1 最初から断るのが正解だと考えて女性を試した=食事の誘いに乗るようならまだ危機意識が甘い、という見方もできるが、誘いを断られたゴルゴの顔は明らかに戸惑いであるため、本気で誘ったと思われる

*2 初期の版では「トップの意識」。