ハンデス/手札破壊(TCG)

登録日:2017/09/05 Tue 23:59:19
更新日:2024/02/19 Mon 21:32:09
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「手札破壊デッキか…」

「夢もロマンもないデッキだな、全く」

「いや、それも一つの戦略だ」


手札破壊、またはハンデスとはTCGにおける効果の一種、またはその効果を主体とした戦略のこと。



概要


大半のTCGにおいて最も重要視されるアドバンテージ、それは手札である。
大半のTCGは手札がなければ行動できず、手札の枚数はそのまま試合の有利/不利に直結しやすい。
この手札に対してそれを直接的に減らしてしまう効果を「手札破壊」と呼ぶ。
直訳のハンドデストラクション、これを省略して「ハンデス」という略称が用いられることもある。

TCGの元祖たるMTG、その最初のカードパックたるアルファから手札破壊の概念は存在している。
手札破壊の祖と呼べるのは精神錯乱/Mind Twist(MtG)。TCG黎明期のぶっ壊れカードの代表例でもある。

基本的に、どんな強力なカードも使われるまでは全て等価値な1枚のカードでしかない。
手札にあるうちから直接的な耐性を持っているようなカードはほとんどなく、
一旦場に出てしまうと厄介極まりないカードも手札にあるうちならば他のカードと同様に処理できる。

また、遊戯王OCGのような伏せカードのシステムがない場合、対戦相手にのみ非公開な領域は基本的に手札だけである。
このようなTCGの場合、もし相手に手札がなければ場のカードのみで勝利、敗北の判断すら付いてしまう。

欠点は(各TCGの性質にもよるが)先んじないと意味が無いこと。
「相手が使う前に潰す」という発想であり、先に相手が手札を有効に使いきってしまえば効果が薄くなる。

また、盤面に直接的な影響はないため、「序盤の主導権を握る」「優勢時のダメ押し」にはなるが、手札破壊それ自体が「逆転の一手」になることは基本的にないと言える。

これらの性質から、序盤から手札を使い切って攻めてくる速攻タイプのデッキとは相性が悪い。

裏を返せば、序盤から発動できるハンデスは相対的に強力。
ハンデス効果は破壊する枚数だけでなく、「ゲームの流れの中で、どのタイミングで手札破壊効果を発動できるか」も重要な要素となる。
デュエルマスターズスケルトン・バイスはそれを示す典型例と言えよう。

このような性質から、通常は相手の手札に干渉するカードには場に干渉するカードより重い条件やコストが課されていることも多い。
しかしながら、TCG黎明期には適正なコストが分からずにぶっ壊れになったカードが多々ある。
これはドローソースと同様、手札の価値自体が確立していなかったことによるもの。

HearthstoneShadowverseといったDCGの場合はプログラムによる管理で「手札内のカードの強化」が実現しており、
これを主軸とした効果・戦術(Shadowverseのスペルブースト等)を容易く崩壊させてしまうハンデス効果は殆ど実装されていない。

手札破壊は以下のいくつかのタイプに分類する事ができ、そのタイプによって課されるコストも変動する。


手札破壊の分類

効果の強さとしては概ね⑤>③>②>①。
④に関しては条件の内容によるため一概には判断しにくい。
また、コストの概念があるTCGに関しては、効果の強さ=使いやすさとも限らない点に注意。

①相手に選んで捨てさせる

「相手は手札を1枚選んで捨てる。」というような記述になる効果。
相手に選択権があるため、コストは比較的軽めに設定される傾向にある。

その場では不要なカードを捨てるだけで済んでしまうため、効果は薄いことも多い。
しかしながら、相手の手札が少ない場面を狙ったり、軽いが故に連続使用することで大幅に相手の手札を削ったりといった利用法もある。
また、墓地利用系のカードを相手に積極的に落とされてしまうため、使用タイミングは慎重さが必要。


②無作為に捨てさせる

「自分は相手の手札の内容を確認せずに捨てる。」「相手は手札1枚を無作為に捨てる」といった記述の効果。
別名「ランダムハンデス」。
ランダム性はあるものの、その時相手に必要なカードが落とせる可能性がある分①よりも強力な場合が殆ど。
完全にランダムであるが故にTCGによってはピーピングハンデスよりも強力になることもある(後述)。

ランダム性の確保については指定していないことも多い。
一般的には裏向きのカードを混ぜた中から1枚を指定する、手札を並べた後サイコロを振って出た番号で指定する、等で担保する。
心配な場合はジャッジの相談をしておこう。


③相手の手札を確認し、その中から捨てる

「相手の手札を確認し、その中から自分は1枚選び、そのカードを捨てさせる」といった記述の効果。
別名「ピーピングハンデス」。
その時に一番脅威となるカードを確実に捨てさせることができるため、単なる1枚のカード以上の価値がある。
相手の手札内容も確認できるため、不確定性が大幅に減り、TCGの醍醐味である「読み合い」を一方的に放棄できる。

が、強力ゆえに捨てさせるカードに条件が付いていることも多い。
MTGのようなコストをカードで管理しているTCGではそのコスト用カード(土地など)を指定できないようにしているものが大半。
そのため、そういったカードを捨てさせられるランダムハンデスの方が刺さるという状況も。


④条件を指定し、相手がそれを持っていた場合捨てさせる

「カード名を宣言し、同名カードを相手が持っていたなら捨てさせる」
「特定のカテゴリのカードをすべて捨てさせる」
「直前に手札に加えたカードを捨てさせる」
などの効果。

基本的には相手を選ぶものが多く、癖の強いカードが多いのが特徴。
しかし、コストが軽めだったり、条件さえ合えば複数枚の手札を落とすことができたり、癖が強いかわりに使い方次第で大きな効果を発揮する。
また、効果の都合上手札の確認(=ビーピング)をするものが多いため、③の側面も持っていたり。
ただ、カード名を宣言するタイプは正確に宣言しておかないとトラブルになる可能性があるため注意が必要。

相手のデッキ傾向が分かっていれば、的中率が上がるため、1試合2本先取のマッチ制を採用しているTCGでは①や②よりも強力になる傾向がある。
手札ピーピングと組み合わせたり、「デッキや墓地からカードを手札に加える効果」の発動後なら確実なハンデスが狙える。


⑤全て捨てさせる

その名のとおり、「相手は手札を全てを捨てる」という記述の効果。
手札が空っぽなら、相手は次のターンには行動そのものができなくなることも多い。
「通れば勝ち」に近い切り札級カードが持っていることが多いが、コストは重めのカードが多い。

ただし、墓地に落としてはいけないようなカードが含まれていることもあるため、場合によっては③の方が良い、ということもある。


各TCGにおける手札破壊/ハンデス手段及びそれに特化したデッキタイプ


Magic the Gathering



上述のとおり手札破壊に関しても開祖たるTCG。
直接的に手札破壊を行う色は主に。黒の代表的な役割の一つであり、今日までに様々な種類の手札破壊効果がデザインされている。
また、は相手の手札を強制的に交換させ、枚数は減らないもののカードを入れ替えることで戦略を崩す。
精神や記憶を汚染、破壊するイメージの名称が多い。

遊戯王



マナのようなコストの概念がないTCGであること、手札の枚数次第で場に何枚展開または妨害できるか決まりやすいという性質から1枚の手札が他のTCGよりも重い。
しかし初期の頃は「ハンデス三種の神器」などのハンデスパワーカードが目立つ。
それらが規制された後の「新・ハンデス3種の神器」も《ダストシュート》や《マインドクラッシュ》の積み込み疑惑や巻き戻しなど不正の温床、ルール上の問題を多く抱えていた。
現在ではハンデスにはある程度の準備が必要だったり、安易な1対1交換を許さない効果管理がなされている物が多い。


遊戯王ラッシュデュエル

手札破壊をすると何かしらの効果を発動するカードと組み合わせたり、相手のドローやサーチ直後に使って、相手の思惑を狂わせたりできる。
しかし、毎ターン手札が5枚になるまでドローする、というルールなので手札破壊自体にほとんど利がない。
むしろ、手札で処分に困っていたカードを捨てさせて相手を有利にする危険性すらあり、他のカードゲームとは扱いが異なる。召喚できる数にも制限がないため、そもそも手札が残らないこともザラ。


デュエル・マスターズ



元となったMtGと同じく、弟分のデュエマにおいてもハンデスは重要な戦略の一つである。
相手の予定や計算を狂わせるのは勿論の事、手札にあることで真価を発揮するニンジャ・ストライクや革命0トリガーを潰す意味でもハンデスの価値は大きい。
プレイヤーの年齢層の関係上やりすぎると嫌な顔をされる事も少なくないが、勝つ為なので仕方ない。
やはりというか、主な使い手はMtGのの流れを継承する闇文明だが、
実は形は違えど全ての文明にハンデスの手段が存在する。


ポケモンカードゲーム


以前はハンデス手段が一定数用意されていて、スタンダードレギュレーションでもハンデスデッキの構築が可能だった。
しかしサンムーン末期、エクストラレギュレーションにて、通称「超越ガブギラ」と呼ばれるデッキが登場すると事態が一変。
このデッキは先攻1ターン目に大量のハンデスを仕掛け、相手が何も出来ない状況を作る凶悪なデッキで、CL東京2020では上位4名のうち優勝含む3名が使用するという異常事態に。

この大会の直後、ハンデス系のカードは軒並み使用禁止となり、以降は新たにハンデスカードが作られることも少なくなった。
そのため、現在のスタンダードレギュレーションでは、ハンデス主体のデッキの構築が難しく、ほとんど見られなくなっている。
しかし、エクストラレギュレーションでは「N」などを利用したハンデスデッキが未だ一定数存在している。
更に、殿堂レギュレーションでは、上記の「超越ガブギラ」がほぼ無規制で使えるなど、更に凶悪なハンデスデッキが構築可能。


また、ポケモンカードには強力なドロー効果を持つ効果が多数登場しているため、ハンデスはリソースを減らすというよりは「相手にドローソースを消費させ、間接的に山札を減らす」「相手にドロー用のサポートを使わせて、他のサポートを使えない状況にする」手段として活用されることもある。
故に、LOデッキで用いられることも多い。

バトルスピリッツ



色の役割で手札破壊効果は緑、紫、青の役割となっている。
他にも白は「効果でのドローを咎める効果」役割を持ち、効果でドローした場合に手札を捨てさせるペナルティを課す効果を持つ。
また、ピーピング効果は乏しく、相手の手札を容易には覗けないようになっている。

また、このTCGの特徴として「手元」という領域が存在する。手元に置かれたカードは相手にも公開状態になるものの
手札と同様にコストを支払えば召喚やカードの使用が行える、いわば第二の手札である。
この領域は手札ではないためハンデスを受けない。しかし手元のカードを破棄させる効果も存在している。

カードファイト!!ヴァンガード



ぬばたま」というハンデスカードを主軸とするクランが第一弾「騎士王降臨」から存在している。
この環境で「忍竜 ドレッドマスター」が当時としては屈指のオーバースペックなカードとして登場したこともあり、
バランス調整のためか以降2年半、新規のカードが一切追加されないという憂き目に遭うことに。
時は経ち、再収録されたぬばたまは「相手の手札を一時的にバインド(除外)し、ターン終了時にそれを戻す」という能力へと調整されて新規カードが登場。
その他、別クランのカードにも相手の手札に干渉する能力が数は少ないが存在している。

WIXOSS


主に青の特性として存在する。
もっとも得意とするのはコード・ピルルク
ちなみに彼女の後継のアロス・ピルルクは逆に対ハンデス戦術を得意としている。

アニメでは第1期selector infected WIXOSSにおいて、ピルルクの相棒であるあきらっきーこと蒼井晶が得意としていた。
ピルルクたんの持つハンデスやピーピング、そしてあきらっきーの煽りプレイで相手セレクターのメンタルを揺さぶって勝つのが彼女の基本戦術。
また晶は連続ハンデスを「ぽいぽい祭り」と呼んでいた。

Z/X -Zillions of enemy X-

黒の世界(Z/X)のトーチャーズという種族が手札破壊を得意とし、相手の手札が一定枚数以下なら自分や味方が強化される能力を併せ持つ。手札破壊性能も高く、中盤以降、手札を残してターンを終えることはほぼ無くなる。
ただ、このゲームは毎ターン2枚ドローできる上、ウェイカー等の手札が無くても出せるカードがあり、相手ターン中に手札破壊をするのは難しいため、そこまで手札破壊は脅威の戦術ではない。
もちろん、手札が多い程有利になる青の世界(Z/X)にとっては天敵だし、たまに相手がドローした直後に捨てさせて何もさせないコンボが発見されてしまい大会を荒らしたりすることはある。

カルドセプトシリーズ


非情に特徴的な要素として本シリーズでは基本的に手札がライバル全員に常にオープンである。
このため、ピーピング型の手札破壊カードは存在せず、また手札破壊自体が非常に低コストであるという他のTCGと比べた場合異色の傾向がある(これはカルドセプト自体が3人以上の対戦を前提としており、自分が他セプターの手札を破壊すると「自分=魔力と手札破壊スペルを消費」「破壊されたライバル=手札を消費」「他のライバル=被害0」という結果になりがちなので、自分が得するタイミングを選んで撃たないと漁夫の利を取られがちなため)。
例えば最も基本的な手札破壊カードであるシャッターはわずか30Gで使用可能。
ただし、シャッターはアイテムかスペルしか壊せずクリーチャーは破壊できないという制約がかかっている。
クリーチャーも破壊できるスペルならばより大きなリスクがかかるようになっており、「破壊対象」でコストの差は決定される。



私は「追記・修正」を発動した。お前の手札の「古い記述」を捨てろ!

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最終更新:2024年02月19日 21:32