遺品/技の受け渡し/継承

登録日:2018/01/12 (金) 21:37:49
更新日:2024/03/21 Thu 19:48:44
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「一緒に戦ってくれッ!!」


ある人物が使用していた、身に付けていた品物や技が、別の人物の手に渡る事。

これだけではなんてことはないが、漫画やアニメなどの創作物においては、重要なターニングポイントや燃えるシーンとなり得る要素である。
なぜか?その理由を以下に説明していこう。


①:キャラクターの成長の証として
例えば、主人公が厳しい修行の果てに師匠から許しを得て、代々、連綿と受け継がれてきた技や武器などの品物を得る事は、それだけで「そのキャラクターがそれを継承するだけに足る人物となった」事を表し、一回り成長した事を分かりやすい形で伝えることが出来る。
たゆまぬ努力が実を結んだその瞬間に立ち会った時、見る側である我々もまた晴れやかな気持ちになれる事だろう。

②:脱落した仲間と共に闘う意思表示として
志半ばで病に倒れる、不慮の事故で、強敵との戦いの中でなど、それまで苦楽を共にしてきた友人や仲間がやむを得ない理由で離脱してしまったり、最悪の場合は死んでしまうのもまたよくある展開である。
それでも残った者が、いなくなった者の魂と共にあり続けるという決意を込めて、その者が身に付けていた物を受け継ぐ。
仲間の離脱や死というドラマ、そしてその行動が後の逆転への布石になるなど、目頭が熱くなる展開と共に伏線としても機能させることができる。

脱落した仲間の遺品を受け継ぐという展開は物語的に悪役サイドでも行われることがある。
ただし、見捨てた仲間の道具だけを自分が受け継いで利用するパターンが少なくなく、燃えるというよりも無情な恐ろしさを演出するシーンとなることも多い。

③:敵対していた人物の遺品を使う
これは上記の例とは変わった変則パターンでの継承展開。
主人公や悪役が敵対していた人物の遺品として残された武器や技を継承して利用してしまうという物。
「鹵獲」とか「戦利品」の一種とも言えよう。強敵を克服した象徴或いは散り際に味方化したなど、、
主人公側がこのパターンだと熱い展開の場合もあるが、敵側が主人公側の仲間の遺品を継承する展開は敵の醜悪な性格を強調するための演出となる。
このパターンでは脱落した人物の仲間が遺品や技を使っている事に反発するというシチュエーションも見られる。


以下に、それらの主な例を挙げていこう。
不特定多数の相手から技を奪う固有能力倒した相手から物をはぎ取るのがテーマの作品はまた別の話で。



「ジョジョ 継いでくれ!わしの遺志をーー!! 究極!深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)!!」

②のパターン。ディオ・ブランドーが復活させた伝説の騎士・タルカスとの戦いで自らが死ぬという予言を師・トンペティから受けていたツェペリ。
それでもなお、窮地に立たされたジョナサンを救うために立ち向かうが、タルカスの必殺技「天地来蛇殺」を受けて胴体を真っ二つに両断されてしまう。
ツェペリは最期の力を振り絞り、波紋法の究極奥義「深仙脈疾走」で自身の生命エネルギーをジョナサンへと受け渡し、これによって2人分の波紋の相乗効果を得たジョナサンはタルカスを撃破する。
それを見届けたツェペリはジョナサン、スピードワゴンに看取られて息を引き取る。その意志は波紋と共にジョナサンの中で、彼が身に付けていたシルクハットと共にスピードワゴンの中で生き続け、ハットは後に自身の孫であるシーザーにも受け継がれた。
ちなみにジョナサンはツェペリさんより前に黒騎士ブラフォードから③のパターンで剣を受け取っている。



「おれが最期にみせるのは代々受け継いだ未来にたくすツェペリ魂だ!人間の魂だ!」
「JOJO――!おれの最期の波紋だぜ――!うけとってくれ―――ッ」

②のパターン。「柱の男」達の本拠である廃ホテルを目前に、シーザーは彼らが行動出来ない昼間のうちに襲撃し一気に決着をつけるべきと提案。
だが、ジョセフは何万年も昔から太陽が昇る時間を生き抜いてきた彼らが、なんの対策もしていない筈がないと反対し、意見が対立する。
いつもの調子で罵り合いに発展する2人。ジョセフに祖父を侮辱された事でシーザーは激昂し、単身でホテルへと乗り込んでしまった。
リサリサから語られたシーザーの血統に関する壮絶な過去を知ったジョセフはシーザーの後を追うが、既にワムウとの戦闘に突入していたシーザーは彼の「神砂嵐」によって致命傷を負ってしまう。
だが、未来へ託すツェペリ魂、人間の魂を見せるため、シーザーは最後の死力を尽くしてジョセフの解毒剤となるピアスをワムウから奪い取り、自らのバンダナに結びつけ、血液のシャボンによってジョセフへと託し、瓦礫の下敷きとなった。
ワムウはシャボンを割ってピアスを奪い返す事も出来たが、シーザーに戦士としての敬意を表してそうはせず、その場を後にする。
そして、到着したジョセフとリサリサはこのシャボンと、瓦礫の下から流れ出た血によってシーザーが死んだ事を悟る。
その後、ピアスと共に託されたバンダナはジョセフが身に付け、これがその後のワムウとの戦いでの勝機となった。

シーザーの死、そして彼の名を叫び慟哭するジョセフは、ジョジョ全編を通しても屈指の名シーンに挙げるファンも多い。
そして、第3部の格ゲーでは……

「シィィィザァァァァ!!」
「今も我が心に…」

②のパターンだが①の要素も含まれている。
初期からの仲間たちだったキャンチョメ、ティオ、そしてウマゴンも魔界に送還されブラゴ達と2組、クリア・ノートに立ち向かうガッシュと清麿。
しかしその力は絶大で、追い詰めたと思われた時にクリアが発動した「シン・クリア」による超強化により二組は絶体絶命のピンチに追いやられる。
だがその時ガッシュの魔本が輝きを放ち、持ち主である清麿はその意味を悟り呪文を唱えた。……ガッシュの術ではなく、ダニーの「ジオルク」を。
そして思わぬ出来事で完全に回復したガッシュたちの側には、これまで出会い、そして魔界に還っていった魔物たちがガッシュらを助けるために現れたのだ。*1
魔物たちから受け継いだ怒涛の「シン」級最強術の連打によりこれまで手も足も出なかったクリア最終形態を追い詰め、
そして敵だったもの、味方だったもの、出会わなかったものも含めクリア以外のすべての魔物がガッシュに手を貸した事で発動した自身の最強術「シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ」にて遂にクリアは斃された。

魔物の王を決める戦いとして、ゼオンが語ったようにその王の器へのふさわしさ、そしてこれまで築いてきた絆の意味証明する出来事だった。
この時クリアは一方的にボコボコにされてるのだが、見方を変えれば沢山の魔物が「シン」の最強術を総出で連発しなければ倒せない程の脅威だったこともうかがえる。
(しかもコルル、ウマゴン、キャンチョメの術がなければ逃げられ地球ごと滅ぼされていた可能性もあった)


(あのミラーを壊せばそれで終わる…。でもいいのか、本当にそれで…!? どうすればいいんだ、俺は…!)

②のパターン。ライダーバトルを止める為にコアミラーの破壊を試みて他のライダーと戦う真司と、無情になれずに同様にライダー達に牙をむかれた連。
真司は戦いの最中で龍騎への変身のためのデッキをオーディンに粉砕され、蓮がベルデのファイナルベントを身代わりとなって受けてしまう。
しかし、致命傷を負ったにもかかわらず最後の意地でベルデに報復のファイナルベントを浴びせて殺害を行う連。
瀕死の状態で倒れる連を前に涙を流す真司だったが、そんな真司に連は仮面ライダーナイトのデッキを手渡し、恋人の後を頼みながら死亡する。
そんな彼らのやり取りの合間に他のライダーはコアミラーの守護者であるモンスターに苦戦していたが、やがて真司の目の前に詰め寄ってくる。
真司は意を決して連の変身ポーズで仮面ライダーナイトへと変身し、更には強化形態であるナイトサバイブへパワーアップしたのだった。
ファイナルベントでコアミラーを防衛していたミラーモンスターを撃破した真司だったが、迷いながらも彼が選んだのはコアミラーの破壊かそれとも……?



「人間が俺にくれた…宝物だ。俺とお前はダチではないが…持っていてくれ。燃えてしまうと、もったいない…」
「テメェは…いくつも許せない事をした!俺の心を利用し、姉ちゃんを侮辱し、クリムの発明を悪用し続けた!だがなッ!今一番許せねぇのは…俺の…」
「俺の「ダチ」の命を奪った事だぁ――――ッ!!」

②のパターン。ゴルドドライブ・蛮野天十郎の圧倒的な力の前になす術をなくした剛とチェイス。
シンゴウアックスを手に、剛にトドメを刺すべく歩み寄るゴルドドライブ。マッハドライバー炎を破壊されて変身が解除されたチェイスは、咄嗟にブレイクガンナーで魔進チェイサーに変身し、その身を挺して剛を庇った。
以前に「お前はロイミュードなんだ。「ダチ」になんてなれるわけあるか!」と突っぱねたチェイスのこの行動に戸惑う剛。既に自分の命が幾ばくもなくなったチェイスは、「人間が自分にくれた宝物」である免許証とシグナルチェイサーを剛に託し、彼を守るためにゴルドドライブへと特攻し自爆してしまう。
だが、チェイスの決死の行動も虚しく、ゴルドドライブには傷ひとつ負わせることは出来なかった。
勝ち誇った笑い声をあげチェイスの死を「無駄死に」と嘲笑するゴルドドライブ。
しかし、これが剛の怒りに火をつけ、チェイスから託されたシグナルチェイサーを自身のマッハドライバー炎に装着する。
そして、奇跡は起きた。
本来はチェイス専用に調整されているため、それ以外の者には使えないはずのシグナルチェイサーが、チェイスを「ダチ」と認めた剛を仮面ライダーチェイサーマッハへと変身させたのだった。

それまで強化形態がタイプデッドヒート止まりで、後塵を拝する事が多く不遇な扱いが続いていたマッハが、最後の最後で新たなパワーアップを経て実の父であり、最強の敵・ゴルドドライブを討つという展開、チェイスの死に怒りを爆発させる剛役の稲葉友氏の鬼気迫る熱演も相まって、仮面ライダードライブの終盤からの怒濤の盛り上がりを象徴する名シーンとなった。



「シーザー、頑張れ。頑張るんだ。確かに兄さんはもういない。だが、兄さんは決して死んではいないはずだ! お前の心の中に、そして俺の心の中に兄さんは今でも生きている。そして『悪を倒せ』と叫んでいる! だから俺は戦う、すべてを忘れて……平和な時が来るまで戦う!!」

②のパターン。第42話、仮初の命が尽きたブライは弟であるゲキに自身の装備であるドラゴンアーマーとレンジャーアンクレット、そして獣奏剣を託し息を引き取る。
翌話である第43話にて、ブライの死を受け止めきれず魔女バンドーラの呪文で自由に動けなくなった守護獣ドラゴンシーザー大獣神と共にドーラアンタイオスに挑むが結局苦戦してしまう。
ドーラアンタイオスの本体に飛び込み、心臓部に辿り着いたゲキはその猛攻に苦戦しながらもシーザーを励ますために獣奏剣を力強く吹きながらこの台詞を言う。
その時、ゲキの正義の心に呼応するかのようにダイノバックラーが黄金色に輝きドラゴンレンジャーの装備が装着され、正義と力の戦士・アームドティラノレンジャーが誕生。シーザーもまた、バンドーラの呪文から解放されるのだった。

アームドティラノの出番は2回と少なかったものの、ドラマチックな展開とシーザー復活のシークエンスから、この形態の人気は高い。



「天宝来来の玉には……まだ誰も知らない、大いなる力が秘められている。私が裏切ったため、我々はそれを成しえなかった……。お前達で受け継ぐのだ……」
「亮……。私の、愛する……息子よ……」
「おやじぃぃぃぃぃッッッッッ!!!!!」

②のパターン。6000年前、ダイ族でありながら力を欲し、ゴーマ族の大僧正リジュの弟子となった張遼。
しかし、心の底では愛を失ってはおらず、人間の女性との間に生まれた息子・亮が彼を改心させた。
死の間際、張遼は亮の持つ天宝来来の玉に全気力を注ぐ。彼の仲間だった先代のダイレンジャーの霊もまた、他のメンバーの玉に全気力を注ぐことによって、大連王の五星合体が可能となった。



『私の力を、星を守る戦いに使ってくれ。ヒュウガ……それが出来るのはお前だけだ!』
「黒騎士……戦おう。一緒に……星を守るために!!」

変則的だが②のパターン。第二十五章、ひたすら宇宙海賊バルバンの復讐に燃えていた黒騎士ブルブラックは、星を守る戦士の心を思い出しその身を散らす。
しかし、魂は死んではおらず愛剣であるブルライアットの緑の結晶に宿っていた。
翌話である第二十六章にて、イリエス魔人族のゲルトゲルトの鏡封じの術を受け動きの取れないギンガイオーの姿を見て歯噛みするヒュウガの手元にブルライアットが飛んでくる。
相棒である重星獣ゴウタウラスも駆けつけ、ヒュウガは新たな黒騎士となりギンガイオーの窮地を救った。

ギンガマン本編中盤を盛り上げた黒騎士ブルブラックが絡んだギンガの光争奪戦からの黒騎士継承は、これまでの物語を踏まえると名シーンといえる。



「急にどうしたんだよ、縁起でもない!」
「逆だよ、演技担ぎだ。戦隊で一番若い君に託したい。若さは未来の可能性だからな」

①のパターン。
ブレイブ43にて、ソウジはトリンの必殺剣・トリニティストレイザーを会得。
獣電戦隊最年少たる『斬撃の勇者』に未来の可能性を見出したトリンは、ブレイブ45にて一億年もの間手にしてきた自身の愛剣・フェザーエッジを彼に託す。
トリンの死後、ソウジの合図と共にフェザーエッジが召喚。10年後でも、兜武神デーボス率いる新生デーボス軍との戦いで使用している。

「僕たちは……無敵の戦隊だからね」(指パッチン☆)


①と②の複合パターン。
先代の黄金騎士であり鋼牙の父・冴島大河は、幼い鋼牙をバラゴの凶刃から身を呈して守りその命を落とした。
魔戒騎士となるために優しく、時に厳しく見守ってくれた父の死に悲嘆する鋼牙を見かねた執事のゴンザは、遺された牙狼剣をクレーン車を手配して持ち上げて回収しようとするが、ソウルメタルで作られた牙狼剣はそんな物では持ち上がるわけもなく、鎖が引きちぎれて剣は真っ直ぐに地面に突き刺さった。
「己の力で引き抜け」…まるでそう鋼牙に語りかけるように。
鋼牙は魔導輪ザルバに契約を持ちかけるが、まだ子供である鋼牙には無理だと一蹴して取り合おうとしない。それでも鋼牙が食い下がると「お前の行こうとする道はこういう事だ」と、恐ろしい幻影を見せる。
彼と契約する事はすなわち、決して終わることの無いホラーとの戦いに身を投じること…まさにこの幻影のような悪夢とも言える日々が始まる事を意味する。
だが、それを承知で鋼牙はザルバと契約を結び、再び一人、修行を始めた。
見守ってくれていた父はもういない。来る日も、来る日も、孤独に剣を振るい、心身を鍛え上げた。家族との団欒、男子としての青春…普通に生活していれば得られたであろうかけがえのない物を全て捨てて。
それでも牙狼剣は抜けない。それに苛立ち、剣を足蹴にする事さえあった。
幾日、幾月、幾年が過ぎたか。既に青年に成長した鋼牙は、それまでことごとく抜く事が叶わなかった牙狼剣の前に立ち、意を決して再びその柄を握り締めた。
剣は、何の抵抗もなく鋼牙の手中に収まった。剣が、父が、自らを黄金騎士と認めてくれた瞬間であった。
その時、鋼牙の中に広がったのは幼い自分と今際の父の姿だった。

『鋼牙……お前がガロの称号を受け継ぐんだ』
「そんなのいやだッ!!」

物言わぬ骸と化した大河はザルバを介し、優しい声で泣きじゃくる鋼牙を諭した。

『守りし者となれ。そして強くなれ!』

こうして亡き父よりガロの黄金の鎧と剣を継承した鋼牙は晴れて黄金騎士となり、父が遺したこの言葉は鋼牙の魔戒騎士としての根幹を成す物として、彼の中に深く根ざす事となった。


『往け、新たなるガイアよ! 私を越えて、すべてを救う騎士となれ!』
「私は……あなたの剣にかけて誓う……。必ず、この国のホラーを討ち果たし、人々を守ってみせると!」

こちらも①と②の複合パターン。

堕ちた魔戒法師メンドーサの策略で故郷のヴァリアンテ国を追われたアルフォンソ王子は、魔戒騎士ラファエロに窮地を救われる。
そ国を脅かす真の脅威・ホラーの存在と『守りし者』こと魔戒騎士の存在を知らされたアルフォンソはラファエロに弟子入りする。
ラファエロもまた、アルフォンソに病の身を押して持てる限りの技を伝授する。
そして、『オルビエンのキマイラ』と呼ばれるはぐれホラー・アンフェルに追い詰められたレオンとアルフォンソの窮地を救うために駆けつけるが、病魔に勝てず無残な最期を遂げる。
しかし、ラファエロの魔戒剣はアルフォンソの手に渡り、ガイアの鎧もまた彼に継承された。
アンフェルを討滅後、『時たゆたう場所』でラファエロはガイアの鎧が受け継がれたことを喜び、アルフォンソもまた亡き師に代わりて『守りし者』として戦うことを涙ながらに誓うのだった。


③のパターン。第34話、アルセーヌが愛した銃ルパンマグナムの在り処を突き止め乗り込んだルパンレンジャー。
しかしそれを手にするにはその人にとっての足枷=大切な人の幻を撃たなくてはならないという、過酷な試練を乗り越える必要があった。
そもそも大切な人のために活動してる以上、そんなこと出来るはずもなく倒れていく仲間たちだが
魁利だけは今からでも道を踏み外さぬよう諭す兄・勝利に「めちゃくちゃ快盗向いてる」と自己評価した上で引き金を引く。

「俺の勝ちだな、アルセーヌ」
「私の愛用のコレクションは君に預けるとしよう」

かくしてルパンマグナムを託された魁利。
恒例の新アイテム回だが、コンプレックスそのものに自ら背を向けたとも言える彼の行動は傍目から見ると手放しで喜べるものではなかった……。



②のパターン。中世の時代、聖剣・グランドリオンを賜った勇者サイラスと、その親友であり、サイラスに比肩する実力を持ちつつも、心優しい性格から争いを嫌っていたグレン。
サイラスはグレンを伴ってデナドロ山で魔王との決戦に挑むが、グランドリオンを折られてしまい、サイラスはグレンを逃がすために魔王に捨て身の攻撃を仕掛けて命を落とし、グレンもまた魔王から受けた呪いによってカエルの姿に変えられてしまう。
10年後、魔王が行おうとしているラヴォス復活の儀式を阻止するために未来からタイムスリップしてきたクロノ達に協力を仰がれるが、サイラスが死んだことへの自責の念に苛まれていたカエルはすっかり腑抜けてしまい、これを拒絶。この時、同じくサイラスの遺品である勇者バッジを、酒場で酔い潰れて紛失してしまうという失態もおかしていた。
しかし、クロノ達が勇者バッジと、グランとリオンとの戦いで手に入れた、折られたグランドリオンの刃をカエルの元へと届けると、自身が持っていたグランドリオンの柄に刻まれたボッシュの銘を頼りに、グランドリオンを元の姿に修復。
亡き親友の意志を受け継ぎ、再び魔王との決戦に挑む決意を固めたカエルは、魔岩窟へと赴き、その封印を聖剣でもって破壊。魔王城への道を切り開いた。

「カエルのテーマ」をバックに魔岩窟の大岩を切り裂くシーンを始め、カエルは実に多くの名シーンに恵まれている。
プレイヤーから「世界一カッコいい両生類」「主人公はクロノだが、真の勇者はカエル」と評され、今なお根強い人気を誇るキャラクターである。



①と②の折衷パターン。自身の死期が近いことを悟り、自らの拳を後の世へと伝えるため、後継者探しに山を降りた老師。
心優しい性格を持ちながら、太った体格をバカにされてどこでも働かせてもらえず、食い逃げで生きる糧を得ていたサモ、天涯孤独の身で山賊に身をやつしていた、素早い身のこなしの少女レイ、誰よりも強くなる可能性を秘めながら、町の無法者の言いなりになり盗みを働いていたユンの3人を門下生として迎え、修行の日々を送っていた。
ある日、ユンを脅していた無法者が、町の外れにある殺人拳の集団・義破門団に入門した事を触れ回り、狼藉を働いた。
止めに行こうとするユンだったが、老師は「力に力で向かえば、それは町の人達に返ってくる。お前たちはまだ心の修行が出来ていない」としてこれを禁じ、自ら町へと赴いて無法者を成敗する。
だが、その報復として義破門団は老師の道場に刺客を差し向け、弟子のうち2人を殺害してしまう。(誰が生き残るかは、誰に最も多く修行をつけたかで決定する。なお、均等に行った場合はサモが最優先)
殺された弟子を道場裏手の山で弔った後、生き残った弟子に、老師は己の命を燃やして、心山拳の究極奥義「旋牙連山拳」を見せる。
そして老師は1人、義破門団の本拠地へと乗り込むが、それを察した弟子は既に先回りしており、共に頭領であるオディワン・リーを討つべく、門下生を次々に打ち破っていく。
残るはオディワンただ1人。だが、ここで暗殺拳の使い手であるソウズ、マンズの2人が老師を取り囲み、分断されてしまう。
だが、弟子は殺された同門の想いを胸に、ただ一度その目で見ただけの「旋牙連山拳」を見事に継承してオディワンへと叩き込み、闘技場から吹き飛ばされたオディワンは銅鑼に激突して、その身で豪快に打ち鳴らした後に絶命した。
宿敵を倒し、老師の元へと駆け寄る弟子。
だが、既に老師の命は燃え尽きており、後には弟子の慟哭が響き渡るだけであった……。

ここで生き残った弟子は、最終編で「◯◯拳師範」(◯◯の部分は自分で設定した名前になる)と名義を変えて参戦する。
サモはやや癖のある性能だが耐性無視の固定ダメージ技持ち、レイは使いやすい技が揃っている&唯一の女性キャラ、ユンは全能力がカンストまで高められるなど使い勝手がよく、主力として最後まで活躍してくれる。

功夫編では旋牙連山拳を使用できるのは一度きりだが、最終編でLv16まで上げることで習得、何度でも使えるようになる。



「こいつのロックにはタイマーがセットされている。後はよろしくな、ウルフ」
「雷電、俺もお前のミームに感染したようだ」
「誰かに救われた者は、誰かを救いたくなるってわけだ!」

「嬉しいね…お前は俺の…体現だ…」

変則的だが③に近いパターン。アームストロングの野望を挫くため、パキスタンへ乗り込んだ雷電は、彼の操るメタルギアエクセルサスを撃破した。
だが、アームストロングとの直接対決ではその体内に仕込まれたナノマシンと全身サイボーグとなった雷電すら軽々と弾き飛ばす超人的なパワーによって苦戦を強いられ、高周波ブレードをへし折られてしまう。
その最中、破壊されたと思われたウルフが荒野の一騎討ちで倒したサムエルの愛刀・ムラサマブレードを携えて現れ、サムからのメッセージを再生する。
それは、もし自分が敗北した時には、このムラサマを雷電へ託すという旨を伝えるものだった。
「雷電を助けるのは自由だ。だが自由には責任が伴う。こいつが負けた時、お前がどうなるか分かっているな?」とアームストロングは脅しをかけるが、ウルフは上述のセリフと共にムラサマを雷電へと投げ渡す。
ムラサマを手に再びアームストロングと相対する雷電。高周波ブレードでは傷ひとつ負わせられなかったアームストロングの肉体は、ついにナノマシンの自己修復さえ追い付かないほどに切り刻まれ、最期は核となる心臓を雷電の手によって引きずり出され、握り潰された事で決着。
「お前はこれからも気に入らない奴を力で捩じ伏せてやれ」と自らの理想の体現である雷電に語りかけたアームストロング。彼の遺体は雷電の影のように横たわり、図らずも雷電がアームストロングのミームをも継承したことを表していた。



「オルガ・イツカを覚えていますか?」

②のパターン。ライド達鉄華団団員を守るため戦火に身を投じていったオルガや三日月達。
彼らの努力も虚しくラスタル・エリオンの非人道的な戦略によって社会的に孤立、そのいざこざの中でライドの身に命の危機が迫る寸前、オルガは身を呈して庇い短い生涯を終えてしまう。
そして三日月もまた仲間達を逃がすため大量殺戮兵器の前に命を散らした。
死の寸前にオルガが残した遺言を胸に抱き、ライドは停滞することを拒み、前に進み始めた。
首に纏うはオルガのマフラー、手に握りしめるは三日月の拳銃…ライドは復讐者の道を選んだのだ。
標的はノブリス・ゴルドン。ラスタルの協力者にして世界に厄災をもたらすもう一人の悪鬼。かつての仲間達とは距離を置き、現場の部下の独断行動によるオルガ暗殺を防げなかったことを理由にノブリスを射殺、ライドの復讐の道はようやく始まりを告げた。
最大の怨敵ラスタルを目指し、一部の志を共にする同士とアンダーグラウンドに潜伏する姿でこの物語は幕を下ろす。



「オレのガンダム……ドレッドノートH(イータ)をなめるなよ」

③のパターン。メビウス・ゼロ部隊のメンバーの不完全なクローンとして生まれたプレアとスーパーコーディネイターの失敗作として生まれたカナードの奇妙な縁。
最終的に戦うことでしか分かり合えなかった二人だが、「人と人とは、想いでつながっている」というプレアの想いは短い生涯と引き換えにカナードを救い出した。
後に、その愛機であるXアストレイ/ドレッドノートガンダムはカナードが操縦することになり、「DESTINY ASTRAY」冒頭ではカナードの依頼を受けたロウの手でHユニットが装備されている。



「先帝の無念を晴らす!!」

②のパターン。帝国歴1000年より始まった七英雄との戦い。強大な力を持つ古代の元英雄達を相手にするには、現代の人間はあまりにも非力すぎた。
そんな中、当時の皇帝レオンはその人間の経験や意志、能力をそのまま継承させる「伝承法」を用いて皇帝の座と共に七英雄と戦う決意をする。かくして、レオンは自らが捨て石となり、息子のジェラールに戦士としての能力、知識、経験を継承させ、ここから七英雄とバレンヌ帝国の長い戦いが始まったのである。
それより世襲制だったバレンヌ帝国の皇帝は、身分・出自に関わらず先帝が選んだ者が次代の皇帝となる。
皇帝となった者は常に前線に立ち続け、その命が尽きるまで戦い続ける宿命を課せられ、新たな領土・仲間・技術・武具を発展させたうえでまた次に託し、七英雄と戦えるだけの戦力を整える役目がある。
果たして、最後の伝承者となった皇帝によって七英雄との戦いにピリオドが打たれることになる。
その歴代皇帝の遺骸がルドン高原に打ち捨てられている?知らんな。


  • ヘクトールとパトロクロス(ギリシャ神話)
③のパターン。
英雄アキレウスがギリシア軍総大将と仲違いしてストライキを決め込んでいる間にあわや陥落の危機となったため
アキレウスの親友パトロクロスがアキレウスの鎧を借りて戦うがイーリオス軍総大将ヘクトールに討ち取られ、
アキレウスの鎧も戦利品として持ち去られてしまう。新しい鎧を作りパトロクロスの仇討に出たアキレウスに
ヘクトールは手に入れたアキレウスの鎧を着込んで応戦するが、アキレウスは鎧と兜の間に隙間が開いていることを知っていたため敢え無く討ち取られる。


①と②の折衷パターン。
仲間達の多大な犠牲を払いつつ、時空を股に掛けたサノスとの最終決戦を制したアベンジャーズは
それぞれの時代から集めたインフィニティ・ストーンを元に戻すという最後の任務へと赴く。
その役目を買って出たスティーブはサム、バッキー(ウィンター・ソルジャー)、ブルース(プロフェッサー・ハルク)の見守る中、時空転移装置によって出発。
現実の時間にして約5秒で済む任務だが、ブルースが呼び戻そうとしてもなぜかスティーブは姿を現さない。
機械の故障か?とブルースを急かすサムだったが、バッキーだけは何が起きたかを理解し、サムに呼びかける。
視線を移すと、そこには1人の老人がベンチに座り込んでいた。バッキーに促され、その老人へと歩み寄ったサムがその顔を覗き込む。

……その正体は、年老いたスティーブ・ロジャースその人であった。
インフィニティ・ストーンを返却した後、スティーブは「改めて自分の人生を歩んでみたい」と思い至り、帰還することなく2019年までの歳月を過ごしたのだった。
「素晴らしかった」とその日々を語ったスティーブは、『キャプテン・アメリカ』としての象徴であるヴィヴラニウムのをサムに手渡す。

「感想は?」
「借り物みたいだ」

「君の物だ」
「……ありがとう。ベストを尽くすよ」

サムの手を優しく包み込むスティーブ。その左手の薬指には、指輪が光っていた。
こうして初代キャプテンアメリカことスティーブ・ロジャースの長きに渡る戦いは終わった。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」ではトニー(アイアンマン)ナターシャ(ブラック・ウィドウ)、ヴィジョンともども戦死者として扱われており、スティーブは歴史の表舞台から完全に姿を消した事となる。



「さあ、俺のアームパーツを持って行ってくれ…」
「なあ エック…ス… 一緒に連れて行ってくれよ… お前の…つくる 懐かしい…未…来…へ…

②のパターン。
VAVAに圧倒されるエックスを助けるためにゼロは自爆。エックスは一人でVAVAを倒すことができたものの、ゼロはもう助からない状態だった。
この時、ここに来るまでにカプセルでアームパーツを取得していない場合、ゼロのバスターを受け継いで装備することになる。
オリジナル版ではカプセル版と性能が同じであるため、少しジャンプを駆使してアームパーツを入手していることで十分なケースが多く、ここでバスターを受け取ることは少ない。
一方リメイク版イレギュラーハンターXはカプセル版が大幅に弱体化、ゼロのバスターは入手タイミングがかなり遅くなったものの破格の攻撃力を持つという形で差別化されたため、ここで受け継ぐまで我慢するケースが多い。
ちなみに上記の二段目におけるゼロ最期のセリフは漫画版『1』の名場面として有名。後にAMAKUNI氏によるスタチューフィギュアとなった。

実はゼロの装備をエックスが受け継ぐ展開は後のシリーズでも存在する。
ロックマンX3ではゼロ(X2で復活した)で特定のボスを倒すと死に際の自爆に巻き込まれ、死亡こそしないものの戦闘不能になるため、エックスにビームサーベルを託す。
ロックマンX5ではコロニー破壊に成功したエックス編のエンディングで、ゼロの生存は絶望となってしまうが、それから3年、エックスがゼロのゼットセイバーを手に新たな戦いに向かうところで物語は幕を閉じる*2
さらにカードダス「メガミッション2」では、倒されたエックスのバスターの残骸をゼロが組み込んで戦うという逆パターンも存在する。


物語が島の戦える侍がほぼほぼ全滅した状態からスタートする為、戦うための武具を求めて主人公の仁は多数の遺品を手にすることとなる。
協力することとなったやもめの女武者「安達政子」から死んだ息子の鎧を譲り受ける事から始まり、呪われた伝説の武器(仁曰く「呪いの事は後で考える)や伝説の人物が使っていた鎧(曰く蒙古で試してみるか「頑丈で驚くほど軽い」)などなど。
そんな中でも特に印象深いのが「境井家の鎧」
これは仁の父親が最期の時に身につけていた鎧…つまり、仁が臆病風に吹かれ見殺しにした父親が纏っていた鎧ということとなる。
その事をずっと悔いていた仁であったが、成長し、蒙古から島を取り戻す事を決意した彼は遂にこの鎧をつけることが出来たのであった。
そして、境井家二代に仕えた老婆「百合」と出会い、彼女から厳しかった父の意外な素顔を知り、仁はあの時の苦い思い出に少しずつケリをつけていくのであった…。
なお鎧が手に入るのは物語の中盤辺りであるが、性能は攻撃一辺倒ながら非常に強力であり最後まで十分に通用する。…どころかラスボスで有効的な鎧の1つと言えるだろう。



「おれは‥‥騎士ガンダムたちを‥‥ムダ死ににはさせない!」

②のパターン。前話で無双し、先発隊として旅立ったアルガス騎士団とメテオガンダム達が泥に埋もれて死んでいるのを発見した見習い騎士のアルフは、
ゼータの亡骸から脱がせた鎧を着込み仇討ちを宣言。宣言に応えて現れたザクトパスをオーラを纏った突進パンチで見事討ち取った。

「ニュー!おまえの力がほしい!」

その直後現れた空を飛ぶ敵に対しても、ニューの杖を手に取って空を飛び、法術で戦う。
尚、ゼータの鎧に身体強化能力はないし、ニューの杖もそれ単体で法術が使えるアイテムではないのでこの活躍はほぼ自力。
実際にニューの杖を乱戦で落としてしまった後も法術を使い、最終話ではゼータの鎧も砕けてスペリオルドラゴンのようなパーツが生えてきたので、
遺品継承と言うよりは仲間の死による潜在能力の覚醒イベントである。




追記修正は仲間の魂と共にお願いします。

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最終更新:2024年03月21日 19:48

*1 ダニーのみ基本術だが、これだけで瀕死寸前のガッシュを完全に回復しているため彼は本当にこの術しか持っていなかった可能性がある

*2 当初は本当に完結の予定だったが、結局短期間で新たな事件が起こったという設定でシリーズは継続している。