SCP-3057

登録日:2018/07/22 Sun 08:53:27
更新日:2023/10/30 Mon 15:10:25
所要時間:約 5 分で読めます




SCP-3057とは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」によって生み出されたオブジェクト(SCiP)の一つである。
項目名は『化石燃料』。オブジェクトクラスは堂々の「Keter」。

特殊収容プロトコル

まず最初に言っておくが、SCP-3057は財団内でも極めて収容の難しい現象系オブジェクトである。
しかも発動条件はそれなりに簡単なため、さすがの財団でも全てを阻止することはできない。
というわけでこのオブジェクトはKeter指定されている。
肝心のプロトコルはこんな感じ。
少量のSCP-3057-1がサイトに収容されます。機動部隊イプシロン-6(“オイル・スリッカーズ”)の構成員は、大規模な原油流出事故の発生時に初期対応部隊として活動し、SCP-3057を介して生成される全ての生命体を破壊します。
Keterオブジェクトにしてはかなり簡素なプロトコルだが、逆に言えば財団をもってしても後手に回らざるを得ないということである。

概要

SCP-3057は、原油が先史時代以前の生物に置き換わる現象系オブジェクトである。
先史時代を簡単に説明すると、「人間の文字による記録が始まる前の時代」、つまりは紀元前3000年ぐらいから前全体を指す。
先史時代より前の生物とは、要するに生物の教科書に乗っていそうな三葉虫とかフズリナとか恐竜とかそんな感じの生物のこと。

そして、報告書には明記されていないが、今までの事件発生記録から考察して、コイツの発動条件は原油の流出事故が起こること。そりゃあ収容不可能だわ。

そして、 収容プロトコルにも明記されていたSCP-3057-1とはこの現象で発生した先史時代の生物、なんと先カンブリア時代の藻の一種であることが確認されている。
財団はこの藻の拡散をなんとか抑えたが、その後も同種の現象が確認されたため、そこで発生した生命体に関しては全て破壊するようにプロトコルが組まれている。
以下、SCP-3057によって発生した生物は順番にSCP-3057-2~5とナンバリングされている。

ナンバリング 種類 被害 備考
SCP-3057-2 アノマロカリス(大型で肉食系のエビに似ている。節足動物の祖先) 海岸沿いでの十数件の負傷 財団は新種のクラゲとして民間に情報を提供し、全SCP-3057-2個体を破壊するために活動中。
SCP-3057-3 メガネウラ(全長65cmほどの巨大トンボ) 無し 出現直後、酸素濃度の違い(当時は約35%)により全個体が死亡。
SCP-3057-4 ヴェロキラプトル(白亜紀の肉食性恐竜) 今日までに11名の死傷者(うち2人死亡) 周辺の湿地に逃亡。財団はヒクイドリが逃亡したというカバーストーリーを流し、機動部隊によって個体を破壊する取り組みを実行中。
SCP-3057-5 メガロドン(全長18mの巨大ザメ) ビーグル二号(船)の乗組員の喪失 機動部隊("もっとデカイ船が要る")が追跡中。

…と、散々な結果である。
3以外は全部被害が出ているし、-4、-5に至っては普通に死傷者が出るレベルである。
そしてヴェロキラプトルには羽毛が生えていた。
そんなことはどうでもいい。生物学者にとっては重要かもしれないが。


実は、SCP-3057を引き起こした張本人とのインタビューログが残っている。

インタビューログ

<記録開始>

エージェント デンスワース: どうやってこんな事をしたんだ? あれは化学薬品か?

PoI-8A051: “どうやって”は“何故”ほど重要なことではない。

エージェント デンスワース: いいだろう、なら訊いてやる。何故1つの環境災害を遥かにデカい事案に変えた?

PoI-8A051: 本気か? 先史時代の藻類の花は、500万バレルの毒を海洋に投棄するよりも悪いことだと思っているのか

エージェント デンスワース: 絶滅種を現世代に引っ張り出してだな、現代の世界に放り出しておいて、悲惨な結果を予想してませんでしたってのは虫の良い話だろ。

PoI-8A051: 毎年10億トン以上の二酸化炭素を大気圏に拡散させることよりも悲惨な結果かね?

エージェント デンスワース: 勘弁してくれ。正気かアンタは?

PoI-8A051: 君が懸念しているのは、何種類かの古臭い生物が息を吹き返して生態系をもう少し複雑にする事だ。一方で、私が懸念しているのは、我々がこの惑星全体を脱テラフォームする運動にどれほど無自覚に取り組んでいるかという事だ。君こそ正気か?

エージェント デンスワース: 俺はアンタのイカれた世界のグリーンピース云々を議論するためにいるんじゃねぇんだよ、アル・ゴア。どうやってアンタがこれを起こしたかを知るためにいるんだ。伝える気になるまではこの部屋から出さねぇぞ。

PoI-8A051: それなら、暫くはここにいることになりそうだ。

<記録終了>

このPol-8A051という人物が、SCP-3057を引き起こした張本人である。
本人曰く、「原油事故で環境汚染されるのを防ぐためにやった(超意訳)」らしいが、何も絶滅種を復活させることもなかろうに…
ちなみに、インタビュー内で語られている「アル・ゴア」は、環境問題に集中して取り組み、世界に警鐘を鳴らした、元アメリカ副大統領であり、「イカれた世界のグリーンピース」とは、実存する環境保護NGO「グリーンピース」のことであると推測される。環境保全を重視するあまり、他の災害を引き起こしてしまった彼をイかれた世界のグリーンピースと呼んだのだろうか。
また、この人物、インタビュー内でははぐらかしているが、原油から古代生物を生み出すという、超化学的な技術の持ち主である。いったいどんな人物なのか…?























PoI-8A052( マナによる慈善財団の元・従業員)はこの災害による環境被害を逆転させる試みとしてSCP-3057を引き起こしました。

マ ナ に よ る 慈 善 財 団

なんとコイツ、あの人助け集団である、マナによる慈善財団の元従業員だったのだ。退職しているあたり、慈善財団の無能さに呆れでもしたのかもしれない。

というか本当にめげてくれ、頼む

追記・修正はヴェロキラプトルの羽毛を確認してからお願いします。

CC BY-SA 3.0に基づく表示

《原文》
SCP-3057 - Fossil Fuels
http://www.scp-wiki.net/scp-3057
アカウント削除により著者不明

《日本語訳》
SCP-3057 - 化石燃料
http://ja.scp-wiki.net/scp-3057
by C-Dives

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最終更新:2023年10月30日 15:10