嵐が丘

登録日:2019/02/26 (火曜日) 06:17:19
更新日:2024/02/02 Fri 05:04:32
所要時間:約 30 分で読めます




嵐が丘』とは1847年に出版されたエミリー・ブロンテの長編小説。
原題は『Weathering Heights』

ちなみに著者の姉は『ジェーン・エア』などで有名なシャーロット・ブロンテ。
妹のアンも『ワイルドフェル・ホールの住人』(または『ワイルドフェル屋敷の人々』)を執筆し、三人纏めて『ブロンテ姉妹』とも呼ばれる。

ジャンルは一応愛憎劇もしくは復讐劇……なのだが、復讐者であるヒースクリフの執念が凄まじすぎて、おそらくそのジャンルでは収まりきらない作品になっている。
というかジャンルについては未だに決まり切っていない問題。

イギリスの田舎に立つ屋敷『嵐が丘』を舞台にした『アーンショウ家』と『リントン家』2つの家がもたらした悲劇が登場人物の生々しい感情とともに描かれる。

【あらすじ】

自称人間嫌いのロックウッドは都会生活に疲れ田舎の「スラッシュクロス(鶫が辻、以下同)」と呼ばれる屋敷に移り住むことにした。
大家のヒースクリフが住んでいるという「ワザリングハイツ(嵐が丘、以下同)」に向かったロックウッドだが、ヒースクリフをはじめ嵐が丘の人々は何故か奇妙な冷え切った関係だった。
その夜、成り行きから嵐が丘に宿泊したロックウッドは少女の幽霊を目撃し、しかもヒースクリフがその少女に呼びかけながら泣き崩れる様子を見て仰天するとともに、深く興味を抱く。
翌日、鶫が辻に戻ったロックウッドは、かつて嵐が丘で働いていたという鶫が辻の家政婦ネリーから、二つの屋敷の物語を聞く。

【登場人物】

◆ヒースクリフ
『嵐が丘』の主人公。そして稀代の復讐者。クールで無愛想な性格。
浅黒い肌を持つ混血児にして孤児。港町リヴァプールで当時の嵐が丘主人(キャサリンたちの父)に拾われ、実の子供以上に可愛がられて暮らすことになる。

きちんと体裁を整えればそれなりに見栄えのする容貌なのだが、得体のしれない出生とコミュ障気味な性格が災いし、嵐が丘の他の住人から嫌われ、虐められて育つ。
しかしそんな彼にも仲良くしてくれていたキャサリンを大切に思い、いつしか彼女に恋をしていた。

だが主人が亡くなって生活は一変、自分を嫌っていたヒンドリーによって下働きに落とされる。
それでもキャサリンとは裏で愛し合っていたのだが、彼女はある事故をきっかけに優雅で上品な隣家のリントン家で暮らすことになり、その長男エドガーと結婚してしまう。
絶望したヒースクリフは嵐が丘から失踪、何をどうやったのか3年後にエドガー並みの裕福な紳士となって帰還。そして財力に物を言わせた彼の復讐が始まった。

エドガーに屈辱を与えるためだけにその妹と駆け落ちして息子を産ませ、リントン家を乗っ取るためだけにその息子を利用し、ヒンドリーを賭博で借金漬けにして財産を巻き上げ、果ては何の罪もないその息子ヘアトンを下働きに落とした挙句、ネチネチ虐めるためだけに飼い殺しにする。

それでもキャサリンだけは憎み切ることができなかった。それどころか彼女を死なせたことを延々18年以上も引きずった挙句、一緒に埋まりたいと墓を掘り返すという執着っぷりを見せる。死後には二人して幽霊になり、嵐が丘を仲良くさまようという結末を迎えた。

◆キャサリン
ヒロイン。嵐が丘の主人の娘。愛称は『キャシー』。
あたりに並ぶもののない美少女であり、かつ天真爛漫で無邪気な性格で、我儘で傲慢なお嬢様気質だがヒーロー(ヒースクリフ)には優しいという、こう書くとまるで現代ラノベヒロインのような人物。

その奔放な性格や自由すぎる思想はヒースクリフやエドガーたちを振り回し、間違いなくただでさえややこしい『嵐が丘』という作品をさらにややこしくした。
ただし本人に悪気は一切無く、むしろ善意の結果、悲劇を呼び寄せてしまう。

ヒースクリフとは互いに魂の片割れと認め合うほどの仲であり、実際にその愛情はヒースクリフが下働きの身分に落とされても変わらなかった。
しかし彼女が療養のためにリントン家に長逗留したことがきっかけで、二人の運命は大きく変わってしまう。

◆ヒンドリー
アーンショウ家の長男でキャサリンの兄。
典型的な三下小物であり、生意気で無愛想なうえに父親の愛情を奪ったヒースクリフを徹底的に嫌っている。
父親が亡くなり、新たに当主となってからはヒースクリフを下働きに降格させて徹底的に虐め倒した。

登場人物たちの中では最も早くフランシスという名の女性と結婚。
ヘアトンという子供をもうけそこそこ幸せに暮らす……はずだったが、フランシスは産後の肥立ちが悪く早死にしてしまい、それ以来酒浸りの生活を送っている。

完全に酒に身体を蝕まれており、狂人のような妄執に憑りつかれいきなり癇癪を起こしたり病気がちだったりする毎日。

◆エドガー
リントン家の長男。キャサリンに言わせればヒースクリフとは対照的な人物。
ややヘタレなところがあるが基本的に紳士的で教養のある男。要するに本作でも数少ないまともな人間。

キャサリンの真っ直ぐな気性や天真爛漫な性格に惚れて彼女にプロポーズをする。
そのまま彼女と幸せに暮らすはずだったのだが、復讐鬼・ヒースクリフに目をつけられたことでその生活は崩れていく。

おとなしい常識人ゆえに、本作で一番悲惨な目に遭った人。
妹を寝取られ、妻キャサリンは娘を残して早死にし、跡継ぎとなる男児を得ることができず、愛娘のキャシーも奪われ、本人も失意の中で病死してしまった。

◆イザベラ
リントン家の長女でエドガーの妹。
お嬢様気質でやや世間知らずな一面があり、失踪してから戻ってきたヒースクリフに惚れ、エドガーたち周囲の反対を押し切って彼と共に駆け落ちする。
……ここで男を見る目が無かったのが彼女の最大の不幸だろう。

もちろんヒースクリフはイザベラのことが好きで結婚したはずもなく、駆け落ちした後は虐待され続けていた。
というか結婚したのはエドガーに屈辱を与えるためである。

虐待の一環で関係を強要されていたのか、ヒースクリフから逃げた後に出産している。
リントン家に帰ってきた時にはすでに精神を病んでおり、以前の面影は消え失せていた。

◆キャサリン・リントン
エドガーとキャサリンの娘。本作屈指の萌えキャラ
名前が同じとややこしいので親の方を『キャサリン』娘の方を『キャシー』と呼ぶ。
キャサリンが病死してしまったため月足らずで生まれて来てしまった少女。
そのため多少体の弱いところはあるものの、母親そっくりの美貌と無邪気で天真爛漫な性格で、ネリーたちに手を焼かせている。

父にヒースクリフの恐ろしさを教えられても「ちょっと嘘をついたりする」くらいだと思い込んだり、ヘタレ全開のリントンを見捨てずに一緒に遊んであげたりする姿は、基本的に救いがない本作における数少ない癒し。

◆リントン・ヒースクリフ
ヒースクリフとイザベラの息子。
息子の名前を自分の実家の姓にしたのは、イザベラなりの復讐だったのかもしれない。

生まれつき病弱で甘やかされて育ったために、ヘタレで神経質で我儘が酷く、すぐに病気がつらいだの何のと愚痴る嫌味なおぼっちゃま。

イザベラの死後、強引な形で父ヒースクリフに引き取られる。しかし後継ぎとして期待できないとわかると速攻で見限られ、リントン家を乗っ取るため道具として使い捨てにされた。

◆ヘアトン・アーンショー
ヒンドリーの息子。
父が亡くなった後、嵐が丘でヒースクリフと共に暮らすことになる。
だがヒースクリフが過去に自身を虐待した男の息子をそのままで暮らさせるはずもなく、本来なら嵐が丘の後継ぎだった彼を下働きに降格させ、さらに教養が一切身につかないようにしていた*1。そのため18になっても読み書きすらできない人間に育ってしまう。

◆ネリー
アーンショウ家に小さい時から仕えていたメイド。一応この作品の語り部。
本作の情報源だが、下層階級であるメイドゆえに教養はなく、そのものの見方は上流階級に対する偏見に満ちている。そのためロックウッド≒読者に対しても時折間違った情報を伝えることがある。
この性質は『嵐が丘』という作品そのものが当時賛否両論となるひとつの原因となった。

メイドとしてもいろいろな意味でアクティブであり、若いころはヒースクリフ虐めに参加していたり、内心キャサリンを嫌っていて涼しい顔でチクチクと意地悪を言ったりと、割とやらかしている。
また何故かやることなすこと裏目に出ることが多く、無駄に人間関係を混乱させ、『嵐が丘』を悲劇に導いた人物の一人。

◆ロックウッド
本作の語り部。本作は事情を全く知らないロックウッド≒読者が、ネリーの語りを聴く、という形になっている。ただしロックウッド自身、物事を取り違える場面もしばしばで、読者を混乱させてくれる。

自称人間嫌いであり、都会での生活に疲れて田舎の屋敷「鶫が辻」に住むことにした。その関係で近所に住むヒースクリフたちと出会い、彼らに興味を持つようになる。

【ネタバレを含む本作のストーリー】

ある日、嵐が丘の主人が出先から連れ帰ったのは、英語もろくに話せない、薄汚れた混血の少年だった。
どういうわけかその子供をいたく気に入った主人は、少年を薄気味悪く思う周囲の反対を押し切り、「ヒースクリフ」と名付け、自分の子供であるヒンドリーやキャサリンと同等の待遇を与えてかわいがる。

跡取り息子であるはずのヒンドリーにとってみれば、この事態が面白いわけもなく、やがてヒースクリフに暴力を振るうようになるが、腹を立てた父に跡取り教育の名目で寄宿学校に放り込まれてしまう。

一方、最初は兄同様に父への反発からヒースクリフを虐めていたキャサリンだが、持ち前の好奇心から無邪気に話しかけるようになり、ヒースクリフもそんな彼女に少しずつ心を開いていった。
でも、俺ってどこの子供なんだろう
ヒースクリフほど気品に満ち溢れた人も居ないわ。きっと中国の皇女様と、英国王様の隠し子だったのよ!
……この時代のふたりは本当に仲がよくほほえましい。
だがそんな穏やかな生活も長くは続かなかった。

年老いて病気がちとなった主人は始終イライラし、特にヒースクリフの待遇に神経を尖らせるようになる。
召使たちにとってヒースクリフは”本来は自分たちより下の立場のはずなのに、主人のきまぐれでお坊ちゃん扱いしなければならない嫌な奴”であり、白い目で見られがちなのも仕方ない部分があった。
しかし主人にはそんなヒースクリフが不憫でならず、ついえこひいきしてしまう。結果としてますますヒースクリフが嫌われるという悪循環に陥っていた。

その主人もついに亡くなる時が訪れ、それからがヒースクリフにとって地獄の始まりだった。

自分をのけ者にしていた父が亡くなったと聞いて、大学暮らしであったヒンドリーが帰郷し、正式にアーンショウ家の当主となる。
そしてまず行ったことは、父の愛情を奪った大嫌いなヒースクリフを、養子同然の扱いから最下層の召使いに降格させてただ働きをさせることだった。
まだ子供で、この家以外で暮らすすべを持たないヒースクリフは、逃げることもできないまま過酷な仕事を強要され、その精神は徐々に壊れ始めていく。
少なくともこの生活は5年間続いていたようだ。

しかしキャサリンは変わらずヒースクリフに愛情を注ぎ続けていた。
汚れるのも構わず、ヒースクリフの仕事を手伝い、勉強を教えるキャサリン。嵐が丘のお嬢様でありながら、ともに荒野を駆けまわって遊ぶキャサリン。ヒースクリフにとって、彼女は生きるための支えだった。

だが二人の間に出来てしまった身分の差は、確実にヒースクリフとキャサリンの間を隔てつつあった。

ある日、キャサリンとヒースクリフはふざけ半分にリントン家の屋敷である「鶫が辻」に忍び込むが、不審者として番犬をけしかけられ、キャサリンが足を噛まれてしまった。
召使であるヒースクリフは追い出されたが、嵐が丘のお嬢様であるキャサリンはリントン家に招かれて手当てを受け、そのまま5週間の療養生活に入る。

クリスマス前にキャサリンは嵐が丘へ戻ってきたが、リントン家で教育を受けた結果、彼女は礼儀作法や優雅さを身に着け、見違えるようなレディに変身していた。
思わずキャサリンに対して引け目を感じ、突き放してしまうヒースクリフ。一方、リントン家の長男エドガーはキャサリンに恋心を抱きつつあった。

その後、ヒンドリーの妻フランセスは男の子を産むが、産後の肥立ちが悪く亡くなってしまう。
自暴自棄となったヒンドリーは酒に溺れ、生まれたばかりの息子ヘアトンを虐待するようになる。
嵐が丘の屋敷は次第に荒れ果てていくが、エドガーだけはキャサリンに会うために屋敷を訪れ続け、ついにキャサリンにプロポーズ。キャサリンはネリーに相談を持ちかけた。


そうよ、悩んでいるのよ。だから話さずにはいられないの! どうしたらいいのか、教えてくれない?
今日、エドガー・リントンが結婚を申し込んできて、あたしは返事をしちゃったのよ。
でも、まず承知したか断ったかを教えるよりも前に、どっちにすべきだったのか、言ってくれない?


(中略)それに、この家の悪人の主人がヒースクリフをあんな低い身分に落としたりしなかったら、こんな結婚なんか、考えもしなかったでしょう。
いまとなっちゃ、ヒースクリフと結婚しては自分をおとしめることになっちゃうわ
だから、あたしがどんなにヒースクリフを愛しているか、それは絶対に本人に教えてはダメなの。
しかも、ねえ、ネリー、これはヒースクリフがハンサムだからではなく、彼の方があたし以上にあたしだからよ。
魂というものが何でできているか知らないけど、彼の魂とあたしの魂は同じものなの。ところがリントンの魂は、月の光と稲妻、霜と火くらい違うの

アーンショウ家は腐っても上流階級に位置する地主であり、その娘であるキャサリンにとっては同じ地主の息子であるエドガーが結婚相手としてふさわしいのは常識だ。エドガー本人も美形で優しく、キャサリン自身憎からず思っている相手である。

心の底から愛しているのはヒースクリフだが、彼の身分は今や下っ端の召使であり、彼と結婚すれば自分も貧しい下層階級に落ち、二人とも一生みじめな生活を送ることになる。

つまりキャサリンは、結婚後の生活と言う現実に負けてエドガーの求婚を承諾したものの、それがヒースクリフの愛情を裏切る行為であることに耐えられず、せめてネリーに「仕方のないことです」と肯定してほしかったのだ。

しかし下層階級であるネリーには、キャサリンの悩みは贅沢で馬鹿馬鹿しいものであり、やりこめてやろうと
「ご自分が彼と別れた時のお気持ちを、考えたことがありますか。そしてひとりぼっちになってしまった彼のつらい気持ちを? いいですかキャサリン」と意地の悪い愛情論を突き付ける。

その言葉に思わずキャサリンが叫び返す。

ヒースクリフがひとりぼっちになるですって! あたしたちが別れるですって!
いったい誰が、別れさせられるというの? そんなことをする奴は、ミロの運命をたどることになるわ。
あたしが生きている限り、別れはしないわよ。ネリー、どんな人のためだろうと。
世界中のリントン家の人間が溶けてなくならないかぎり、あたしはヒースクリフを棄てるのを承知なんかしないわ。
そんなこと、させるものですか。あたしにそんなことが考えられるものですか! 

そんな犠牲が必要なら、あたしはぜったいリントン夫人になんかならないわよ。あたしにとっては、ヒースクリフはこれまでとちっとも変わらない大事な人よ。
エドガーには、ヒースクリフにたいする反感を棄ててもらわなくっちゃ。すくなくとも、彼を認めてくれなくちゃ。
ヒースクリフにたいするあたしの本当の気持ちが分かれば、そうすると思うけど。

ネリー、お前はあたしを身勝手な女だと思っているでしょう。でも、あたしがヒースクリフと結婚したら、二人とも乞食になるしかないなんてこと、考えたことある?
ところがエドガー・リントンと結婚すれば、あたしはヒースクリフの出世を助けてあげれて、ヒンドリー兄さんの支配から解放してやれるわ

(中略)この世であたしがあじわった、ひどく虐めないろいろな思いは、すべてヒースクリフそのものだったのよ。
そしてあたしは、その一つ一つをはじめからじっと観察し、その感情を味わってきたの。
あたしが人生で大切に思っていたのは、ヒースクリフだったの。たとえ他の者はみんななくなっても彼は消えないし、あたしも永久に消えないわ。
またほかの全てがのこっていても彼が消えてしまったら、宇宙は巨大な、あたしとは無縁の存在になってしまうでしょうね。

(中略)エドガーに対する愛は、あたしにはよくわかっているのよ。森の木の葉みたいなもので、時と共に変わるでしょう。冬が来れば木の葉が変わるみたいに。
ところがヒースクリフにたいするあたしの愛は、土に埋もれた永遠の岩みたいなものなのよ。

(中略)ネリー、あたしはヒースクリフなのよ。彼はいつでも、どんなときにも、あたしの心の中にいるの。
べつによろこびではないわ。あたし自身が自分にとっていつでも喜びではないのと同じで。そうではなくあたし自身なのよ。
だから、あたしたちが別れるなんていう話は二度としないで。そんなことはできないんですもの

確かにキャサリンはエドガーのことを愛している。だがそれ以上にヒースクリフのことを愛している。
……というかそういう言葉を超越した自分の半身であると信じている。
キャサリンにとってエドガーへの愛とヒースクリフへの愛は全くの別物で、その二つが同時に存在することは矛盾しない。
だからエドガーと結婚してもヒースクリフと別れることはないし、むしろリントン家の財産を使うことによって、彼を救うことができると信じているのだ。

もちろんこれはエドガーにとっては失礼極まりない話であるし、いかにも人種や身分の差(ヒースクリフは混血の上に孤児である)が大きい18世紀末のイギリスといえど、ヒースクリフにとってもそう簡単に納得できるものではないだろう。理屈だけで言えば合理的でも、相手の感情をまるで無視している。常識と生活を選んでエドガーと結婚するのなら、ヒースクリフとは(たとえプラトニックにせよ)きっぱりと別れるべきなのだ。

この日の夜、嵐が丘でひとつの事件が起きた。
なんとヒースクリフが失踪してしまったのだ
しかも最悪なことに「ヒースクリフと結婚しては自分をおとしめることになっちゃうわ」という部分だけを聞いて。
エドガーという勝ち目のないライバルがいた上に、キャサリン自身の言葉で敗北者であることを突き付けられてしまい、ヒースクリフの精神はもう限界を迎えていた。

……せめてキャサリンのヒースクリフに対する想いを聞いていれば、この後の物語も少しはマシな展開を迎えていたかもしれないが……。

ちなみにネリーはキャサリンの言葉を聞いて、ヒースクリフが彼女に気が付かれないように出ていこうとするのを、止めようともせず普通に見ていた。ネリーェ……。

ヒースクリフの失踪を知ってキャサリンはほとんど発狂しかけ、感情の激しさのあまり衰弱状態に陥るが、ネリーの看護とエドガーの愛で何とか回復してリントン家へと嫁ぎ、このときネリーもキャサリンについて鶫が辻へ移った。

それから3年後、キャサリンはヒースクリフへの思いを残しながらも、エドガーとそれなりに仲良くやっていた。

ところがそこへ、失踪していたヒースクリフが嵐が丘に帰ってくる
しかも薄汚れて貧相だった昔の面影はなく、莫大な財産を持つ立派な紳士となっていた。

ヒースクリフ、あなたその格好どうしたの?
実は俺は中国の皇女様と英国王様の隠し子だったんでね。彼らから財産を頂いたんだ

……もちろんそんなはずはなく、相当な悪事に手を染めてなりふり構わず財産を作ったであろうことは誰から見ても明らかなのだが。
それでもヒースクリフが戻ってきたことを無邪気に喜ぶキャサリン。
だがヒースクリフが帰ってきた本当の目的は、自分から全てを奪ったものたちへの復讐だった。

ヒースクリフは手始めにヒンドリーの元へ向かう。
彼は妻を亡くしたショックから酒に心も体も蝕まれ、勝てもしない賭けに溺れる毎日だった。
そこにヒースクリフは言葉巧みに誘導し、彼に賭博を申し出る。
アルコールで殆ど頭の回らないヒンドリーが勝てるはずもなく、ヒースクリフはあっという間に彼の財産の全て、つまり嵐が丘そのものを乗っ取ってしまった

そのころリントン家でも問題が起きていた。
エドガーの妹イザベラが、ヒースクリフに恋をしてしまったのだ。

エドガーはヒースクリフに対する嫌悪から、キャサリンは誰よりもヒースクリフを知るゆえに、それぞれイザベラを止めようとする。
しかし恋する乙女状態のイザベラはかえってますます反発し、特にキャサリンに対しては嫉妬も手伝って、顔を合わせれば口喧嘩になるという険悪な関係に陥っていた。
またエドガーも疫病神のようなヒースクリフを本気で危険視するようになり、キャサリンに彼と自分のどちらかを選ぶよう迫る。

追いつめられたキャサリンは精神に異常を来すようになり、部屋に引きこもり、食事はほとんどせず、「死にたい」「死にたくない」を日ごとに繰り返すような毎日を送っていた。
そのうち無理がたたったのか重い脳炎になってしまう

その混乱をチャンスと見たのか、イザベラがヒースクリフと共に駆け落ちする
だがヒースクリフが嵐が丘に戻ってきたのは復讐のため。
イザベラを手中に収めたとたん、虐待を始めるのだった

二人が去って後、キャサリンの病状は小康状態となり、エドガーの子供を授かっていたことも判明、しばらくは穏やかな生活が続いていた。

しかしいらんことしいのネリーがイザベラからの手紙で誘い出され、キャサリンとの仲を取り持つようヒースクリフに強要される。
自業自得な部分があるとはいえ、ヒースクリフとエドガーの間で板挟みになったキャサリンは、ストレスに妊娠での消耗も加わり激しく衰弱していった。

ある日、ネリーがヒースクリフの元へキャサリンからの手紙を届けに来る。
その内容は、キャサリンはもう殆ど虫の息であり、今度エドガーが出かけている隙に会いに来てほしいというものだった。

ネリーの案内で鶫が辻を訪れたものの、死の間際で錯乱状態のキャサリンを見て、
ああ、キャシー!俺の命!こんなこと耐えられるか、と叫ぶヒースクリフ。
ねえ、お願いよ、行かないで。これっきりになるというのに!と呼び掛けるキャサリン。
ついに二人は互いの愛情を確かめ合い、しっかりと抱きしめあった。

主人エドガーが帰宅しても離れない二人に、焦ったネリーが騒ぎ立てたことで逆に事態を察したエドガーが駆けこんでくる。
ヒースクリフの腕の中で気を失っているキャサリンを見て、怒りのあまり掴み掛ろうとするエドガー、しかしヒースクリフは、

お前が悪魔でなければ、まず彼女の看病をしろ。俺に何か言いたいんなら、それからだ

それだけ言って、鶫が辻から出ていった。

その夜、キャサリンは亡くなった。


なんだと、あいつはどこまでも嘘をついていたんだな! いまはどこにいる! あそこじゃない、天国じゃない、肉体は滅びちゃいない、どこなんだ?
何たることだ、お前は俺の苦しみに何か関心はないと言った! だから、おれは祈りをひとつ捧げるぞ、それが舌がこわばっちまうまで繰り返すからな、
キャサリン・アーンショウ、俺が生きているかぎり、お前が眠らないように!
お前は俺に殺されたと言ったが、それならおれに憑いて離れるな。殺された人間は、殺した人間に間違いなく憑く。
俺は信じている、この地上にはさまざまな亡霊がさまよっていることを。いつまでも、俺から離れるな、姿はどうでもいい。
おれを狂わせてくれ、ただ、おれを、お前がいないこの谷に放り出すのはやめてくれ!

おお、神よ! こんなことが言葉になるものか! おれは命無しでは生きていけない! 魂なしでは生きていけない!

ヒースクリフは半狂乱になって叫ぶ。魂の半身を失った男の叫びだった。

キャサリンの胎内の赤ん坊は、未熟児だったがかろうじて助かり、「キャサリン・リントン(キャシー)」と名付けられた。
キャシーはキャサリンの忘れ形見としてエドガーに大切に育てられることになる。

この混乱の隙をついてヒースクリフの支配から何とか逃げ出したイザベラは、兄エドガーの援助でロンドンに逃れ、ヒースクリフの息子リントン・ヒースクリフを生んだ。

嵐が丘では、妹の後を追うようにして兄ヒンドリーが亡くなり、ヒースクリフが館の実権を手に入れる。

本来の館の跡取り、ヒンドリーの息子ヘアトンは、亡きキャサリンに似た顔立ちの、美しく健康で利発な少年であり、実はヒースクリフも気に入っていた。しかしヒンドリーへの憎しみに歪んだヒースクリフは、そんな自分の本心をもねじ伏せて復讐を遂行し、かつての自分がそうだったようにヘアトンから身分を奪って下働きへと落とし、教養を得られない生活に追いやってしまう。

ここから、物語の中心は第二世代へと移る。

12年後、キャサリンの娘キャシーは、鶫が辻のお嬢様として慈しまれ、美しい少女へと育っていた。

ある日、イザベラの訃報が鶫が辻に届き、父エドガーは残された甥リントンを迎えるためにロンドンへと出かける。キャシーは嵐が丘に近寄らないよう常々言いつけられていたが、この隙に好奇心から出かけてしまい、ヘアトンと出会う。18歳にもなって読み書きもできないヘアトンに驚きながらも、いとこの存在を知って喜ぶキャシー。

一方、エドガーが連れ帰ったリントンは、お坊ちゃまだが病弱で神経質でヘタレ。それでも彼を歓迎するキャシーだったが、リントンは強引にヒースクリフに引き取られてしまう。

しかしヒースクリフにリントンへの愛情などあるはずもなく、その狙いは彼とキャシーを結婚させることだった。
エドガーは妻を亡くしたショックから衰弱し、先は長く無い。そこでリントンとキャシーを結婚させれば、ヒースクリフは嵐が丘と鶫が辻、自分から全てを奪った二つの家から、逆に全てを奪い返すことが出来るのだ。

だがそれから数年後、キャシーが16歳になるころには、もともと虚弱体質のリントンは、20歳まで生きられるのかも難しい状態となっていた。
焦ったヒースクリフはリントンを焚きつけたり、リントンの体調を心配するキャシーを煽ったりと策を弄するが、肝心のリントンは体調が悪いのどうのと文句を言うばかりでキャシーを口説こうとせず、娘の身を案ずるエドガーやネリーの妨害もあってうまくいかない。

ついに業を煮やしたヒースクリフは、キャシー(とネリー)を嵐が丘の一室に監禁する。
ヒースクリフの企みを知り、母親譲りの気丈さで彼に悪態をつき続けるキャシー。
しかしヒースクリフはエドガーの衰弱が激しいことを持ち出して脅す。このまま監禁され続ければ、父の死に目に会えないことへの恐怖や、リントンへの同情心から、ついにキャシーは結婚を了承してしまった。

エドガーはヒースクリフが何かを企んでいることに気が付き、遺言書を書き換えてリントンに財産が渡らないよう手配するが、弁護士はすでにヒースクリフに買収されていた。

キャシーはリントンの手助けで嵐が丘から脱出し、かろうじて父エドガーを看取ることができた。

私は、あのひとのところへ行くよ、愛しいお前も、あとからおいで

これがエドガーの最後の言葉になった。

そして、キャシーを守ろうとかきくどくネリーを一蹴し、ヒースクリフはキャシーを嵐が丘へと連れ去ってしまう。
こうしてヒースクリフはアーンショウ家とリントン家の全てを掌握した。

その後のことは嵐が丘の家政婦ズィラに聞くところとなるが、しばらくしてリントンも病死し、キャシーは彼を見捨てた嵐が丘の住人全てを恨み続けているという。

それでもまだ、ヒースクリフの復讐は終わらない。
キャシーとヘアトン、アーンショウ家とリントン家の血を受け継ぐ人間はまだ存在しているのだから。

こうしてネリーの長い話は終わった。
ロックウッドはしばらく鶫が辻に住んでいたが、結局田舎の生活も面倒くさくなり都会に帰ってしまった。
それからしばらくして、私用で近くを通りがかかったロックウッドは、ネリーが鶫が辻から嵐が丘へ移ったことを聞いて彼女を訪問する。

そこでネリーから聞かされた衝撃的な事実、それはヒースクリフの死だった。

きっかけは些細な口喧嘩だった。

実質的な軟禁生活を送り、ヒースクリフを倒す手段もなく鬱屈した日々を過ごしていたキャシーは、やがて互いに複雑な関係にありながら、あまり知らない人物であるヘアトンに興味を持ち、何かと話しかけるようになる。
荒んだ生活をしていたヘアトンは、最初こそ煙たがっていたものの、あきらめようとしない彼女に次第に態度を軟化させていく。
作中屈指のニヤニヤポイント。

やがてキャシーは少しずつヘアトンに勉強を教え始める。
もちろんヒースクリフには反対されたので、彼に見つからないようにこっそりと。
ヘアトンのあまりの覚えの悪さに悪態をつくキャシー。それに反論するヘアトン。それでもふたりは確かに楽しそうだった。
二人のその姿は、幼い日のヒースクリフとキャサリンに似ていた。

ある日、偶然ヒースクリフは勉強に励む二人の姿を見つけてしまった。
何か言おうとするヒースクリフ。
だがヘアトンにじっと見つめられると戦意をそがれたように言葉を失う。教養を身につけたヘアトンの顔つきは、まさしく愛するキャサリンそのものだった。

お粗末な結末じゃないか

ヒースクリフがぽつりとつぶやく。
そして彼は初めて、自身の心中をネリーに語った。

ヒースクリフにとってキャサリンとは世界の全てであり、それゆえに彼にとっては世界の全てが、彼女を失ってしまったことを突き付けてくる恐ろしい記録だった。

だからキャサリンを特に強く思い出させるアーンショウ家とリントン家、その全てを壊してしまいたかったのだ。

しかしすべてを壊し続けてきた結末は、それでもアーンショウ家であるヘアトンとリントン家であるキャシーとの間に愛がはぐくまれてしまうという「お粗末」なものだった。

この日からヒースクリフは少しずつ変化していく。

妙に機嫌が良くなり、あれほど嫌っていたヘアトンに対しても殆ど癇癪を起こさなくなった。
一方、穏やかになる態度と反比例するように顔色は悪くなり続けた。
また深夜に出かけたり絶食を始めたりと、奇行を重ねるようになっていく。

そして絶食を始めて4日目、ヒースクリフは部屋で眠るように死んでいた

ヒースクリフが死んだことによりアーンショウ家とリントン家の財産はそれぞれヘアトンとキャシーの元に戻った。
2人は今後結婚する予定であるらしい。

一方、ヒースクリフが幼かったころ彼を虐めていた使用人の一人ジョウゼフは、雨がそぼ降る夜にはヒースクリフとキャサリンの亡霊が見えると言って怯え、村人も度々辺りをさまよう二人の姿を目撃しているという。

ロックウッドはこの静かな土地で、安らかに眠ることのできない亡者が存在するなどと、誰が想像できるるだろう、と考えながら嵐が丘を後にした。

【評価の変遷】

イギリス文学の中でも当時結構評価が割れたことで有名な作品。酷い時には「最悪の構成」とまで言われていた。

評価が割れた第一の理由としては登場人物の個性が強すぎたこと。
「登場人物の個性を楽しむ」という文化・「縦筋・初期設定をあまり意識せず、キャラクターを走らせる」ことによる展開の紡ぎ方が現れたのは結構最近のことであり、
19世紀ではまだ登場人物というものは言ってしまえば物語の筋を展開させるための舞台装置に過ぎなかった。
その状況で魅力的だがエキセントリックなキャサリン、粗暴だがツンデレ的な優しさを持っているヘアトン、そして執念だけで生き続けているヒースクリフなど、本作は結構個性の暴力である。
特に復讐のためなら倫理観なんてお構いなしのヒースクリフのキャラクター性はインパクトが強く、当時のイギリスでは到底受け入れられやすいものではなかった。
ついでに登場人物全員に見受けられる演劇のようなポエミーな台詞も批判されがちだったらしい。
要するに登場人物のアクが強すぎ、心理が生々しすぎた。

第二の理由は構成があまりにもややこしかったこと。
この項目では分かりにくいが、本作の大半は「ネリーがロックウッドに嵐が丘の過去を伝える」という構成になっている。
そのためネリーの語りから読者に対して情報が伝えられていくのだが、ネリーは教養のないメイドであり、頭もいいとは言えない。
そのため下層階級という立場から、上流階級に対する物の見方をするため、読者に対して間違った情報を伝えることがしばしばある。
つまりネリーは典型的な信用できない語り手なのだ。

この手法を使った作品の例を挙げると、有名なのがアガサ・クリスティー「アクロイド殺し」。
或いは登場人物全員の証言が食い違う芥川龍之介の「藪の中」。
アニヲタ的にはラヴクラフトらクトゥルフ神話の諸作品もしばしば「語り手が狂気に陥っている」ので、
物語が真実か妄想や幻覚の類かはっきりしないまま終わる」ことがある。
現代においてはこうして比較的受け入れられているものだが、19世紀前半においてはそうではない。
1925年に出版されたアクロイド殺しですらその表現手法には当時大いに物議をかもしたことを考えると、
その一世紀近く前の1847年に出版された『嵐が丘』がいかなる評価を受けたかは想像に難くないであろう。
またエミリー・ブロンテはこれを計算して書いたわけでもなく、ただ手癖で書いたらこんな構成になったというのも原因のひとつである。

ついでに作者のエミリー・ブロンテが『嵐が丘』を出版して間もなく亡くなっていることも評価が分かれる原因となった。
当時は女性の地位が低いために元々表舞台に立つことが少ない上、作者の早世によって追加情報が出る可能性がすぐさま絶たれてしまったのである。

ちなみに20世紀に入ってからはW.S.モームの選んだ『世界の十大小説』のひとつに選ばれるなど評価はかなり高まっている。
もっともモームも評価する一方で若干詰めが甘いことを手厳しく貶していたりもするのだが。

ついでに世界の三大悲劇のひとつにも選ばれている。
選ばれた理由は『嵐が丘』が閉じた世界観であるから。というか三大悲劇はそれが理由で選ばれている。
『嵐が丘』はネリーが語り部であるために、嵐が丘の外で起きている出来事については描写されることはない。
ヒースクリフと嵐が丘主人の出会いも、ヒースクリフがどのようにして財産を稼いだのかも一切触れられない。
それは、嵐が丘という舞台の外側で起きていることだからだ。
嵐が丘という狭い箱庭の中だけで完結している物語であると言えるだろう。

というか極論を言ってしまえばネリーは監禁から解放された直後に警察に通報すれば、そこでヒースクリフは逮捕され、復讐劇は終了した。
何故やらなかったかと言えば、この物語は『嵐が丘』という狭い世界の物語であるため、
外部の存在に干渉させるという方向性に話を持っていくことは作劇的に不可能なのである。

このように閉じた世界観であるために外部の存在は干渉することが出来ず、そのため悲劇は偶然ではなく必然的なものになってしまう。
……というのが世界の三大悲劇の考え方である。

実際この物語を神の視点から逆算して見ていくと、偶然と言えるのはせいぜいリントンが病弱という点くらいしかない。
それ以外は起こるべくして起こったと言える必然的な事態である。

ちなみに世界の三大悲劇を定義した詩人兼文芸評論家であるエドマンド・ブランデンは嵐が丘の箱庭のような狭い世界観の中に、
ヒースクリフという狂気的な化け物が存在していることを「まるで神話のようだ」と語っている。

【余談】

☆また批評の際によく言われているのが、アーンショウ家とリントン家の家系図がきれいな線対称を成しているということ。
エドガー=キャサリン
ヒンドリー=イザベラ
ヒースクリフ=ヒンドリーの奥さん
ヘアトン=リントン
という感じ。

☆なんと7回も映画化しているのだが、何故か大体失敗している。
特に初回である1939年版は何を思ったのか、第二世代編をカットし全編ヒースクリフとキャサリンのメロドラマにするという大胆な改変をしている。
ちなみに日本でも和風にアレンジされた映画版を制作している。結構面白い。



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最終更新:2024年02月02日 05:04

*1 皮肉にもその姿はヒンドリーに虐げられるヒースクリフに瓜二つであった。