ザオヴァナイン・カイザー

登録日:2019/08/31 Sat 22:15:26
更新日:2024/02/10 Sat 22:27:18
所要時間:約 10 分で読めます







オラクルを生み出すべく降臨したイギー・スペシャルズとの最終決戦に挑む「刃鬼」。

苦戦する中、不思議な事が起こり、次元のはざまから双極や龍素の力が「刃鬼」を助け、最強のカイザー軍団が生まれた。




ザオヴァナイン・カイザーとは、デュエル・マスターズのクリーチャーである。
DMBD-09「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 必勝!! 闘将ブレードオーガ」にて初登場。


解説

ザオヴァナイン・カイザー P 光/水文明 (9)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/ハンター 9000
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時または攻撃する時、相手とガチンコ・ジャッジする。自分が勝ったら、相手はこのターン、呪文を唱えられない。(ガチンコ・ジャッジ:各プレイヤーは自身の山札の上から1枚目を見せ、それを一番下に置く。そのカードのコストが相手以上であれば、自分の勝ちとする)

多色キング・コマンド・ドラゴンハンター。キング・コマンド・ドラゴンでは初のを含む多色。
cipとアタックトリガーでガチンコ・ジャッジが発動し、それに勝つとそのターンだけ相手が呪文を唱えられなくなるロック能力を使える。

イラストには四つの大剣を携えた雄大にして美麗なドラゴンが描かれており、その強キャラ感全開なビジュアルから性能の方も期待されていた。


ところが、このカードの情報が発売前に判明した瞬間、刃鬼のクロニクルに期待していた多数のファンから阿鼻叫喚の嵐が巻き起こった
前評判の時点でかなり酷評されたのは主に以下の理由からである。

◇ガチンコ・ジャッジが不安定/ライバルも多すぎる

このクリーチャーの最大の効果であるガチンコ・ジャッジだが、そもそもガチンコ・ジャッジ自体が不安定。
しかもガチンコ・ジャッジに勝った末に得る呪文ロックの能力は、1ターン限定なので短い始末。
呪文のインフレに応じた形で安定して継続できる呪文ロック効果を持ったクリーチャーが多数いる中で、目玉の呪文ロックが不確定要素と言うのは酷すぎる。
同コストの呪文ロック持ちなら《光神龍スペル・デル・フィン》か《偽りの王 ナンバーナイン/歓喜の歌》がまず優先される(文明色も被る)。

一応、スペル・デル・フィンなどと異なる点としては「効果が発揮していれば、ロックを行っている本体が場を離れても効果が継続する」という点はある。
自分のターン中、相手が呪文以外のカードを活かして除去を仕掛けてきた際の緊急事態に関しては対応が利く時点でそこそこ強い。
ただし、その手のカードも《音精 ラフルル》や《ジャミング・チャフ》というザオヴァナインよりも軽いカードがあるので結局苦しい。現在ではラフルルはプレミアム殿堂だが、代わりに《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》が登場したため、苦しい点は変わっていない。
そもそも刃鬼で踏み倒して出した上でガチンコ・ジャッジするならば《勝利宣言 鬼丸「覇」》という超強力なクリーチャーが存在するわけで……

◇単純にコストが高い割にはパワーも低め

まず単純に9コストなので通常の召喚がキツい。
ただし、これに関しては踏み倒しなどの手段も多いハンター(そもそも収録デッキにコンセプト的に踏み倒し前提だろう)なのでそこは大きな問題ではない。
それよりも大きな問題は、近年のDMにおけるコスト設定にしては控えめなパワー設定にあると言えるだろう。

能力や種族的な評価を抜きにした攻撃要員として見た場合、純粋なパワースペックが低い。
多色の9コスト設定のドラゴンという見た目に反し、パワー9000のW・ブレイカーと数値が低く設定されている。
このカードが登場した超天篇のパワー基準ではなく、刃鬼が登場したエピソード2当時の大型多色のパワー基準で見ても適正か怪しい。*1

つまり、ロック発動に失敗してもその代わりにファッティとして相手の場に睨みを聞かせる働きも期待しにくい。
特に近年は除去手段としてマッハファイターが普及しているため、それらに即座に討ち取られる可能性も否定できない。
除去耐性として機能するパワー設定じゃないので、ロックが失敗しても1ターン程度は挽回の余裕を持つことも難しいのだ。
攻撃するにもW・ブレイカーなので、殴っていくにも平凡な攻撃力と言うのも悲しすぎる。

逆に考えると、パワーが10000以上あれば大きく評価が変わった可能性はある。
パンプアップ性能を持つスペル・デル・フィンはともかく、ナンバーナインとは差別化できた可能性は高い。

◇酷評点まとめ

問題点は上記の通りだが、要は「超天篇時代に出すべきスペックではない」という所だろう。

開発はエピソード2を嫌っている」「エピソード2のレア枠辺りにいそう」「ザオヴァナインじゃなくてザコヴァナイン」など、ザオヴァナインへの散々な罵倒が行われた。
革命ファイナルでインフレ上等な多色クリーチャーを見せた公式が、まさかインフレに反した多色カードを出すとは予想しなかったが故の衝撃も大きかった*2

更にこのカードの悲劇な点としては、同発のDMBD-10「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 SSS!! 侵略デッドディザスター」が前評判から高評価だったこともある。
DMBD-10の新規カードが相当強力な事が判明する最中、DMBD-09はザオヴァナイン以外にも《ナチュラトゥルー・トラップ》などのインフレに反した新規カードが存在したことで不安を加速させた。
一応、DMBD-09にも《リュウセイ・天下五剣カイザー》を初めとする強力な新規もいたのだが、ザオヴァナインとナチュラトゥルーの破壊力はそれを霞ませたのである。


評価された点

一方で「呪文ロックの時点で言うほど弱い訳ではなかろう」など、酷評に対する反論も出ていた。
発売されたDMBD-09が刃鬼デッキらしく何だかんだで強力だったこともあって、ザオヴァナインへの再評価も議論された。
そして、ザオヴァナインは以下の点が評価を得ている。

◇種族がハンター

ザオヴァナインの最大の評価点。むしろこれしか明確な評価ポイントがない。

「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》の効果で踏み倒せる。DMBD-09のカードなのだからある意味当然ではあるが。
呪文ロック自体がハンターでは珍しいので、【カイザー「刃鬼」】で攻勢に出るのに安全を確保する要員として機能できる。
刃鬼の効果でスピードアタッカー付与のクリーチャーと一緒に踏み倒し、アタックトリガーを即起動可能にしてガチンコ・ジャッジを再発動できるようにするとなお安定する。

問題は結局ガチンコ・ジャッジなのでこれでも確実な安定にはならないのと、強力な候補が多数いる刃鬼の枠に入るかどうかという点。
特にシールド焼却と敗北回避という安全性を与えられる《不敗のダイハード・リュウセイ》はライバル。ダイハードにはできない革命0トリガーなどへの対処で差別化したい所だが超天篇環境では余り見かけないのが辛い所。
余談だがDMBD-09は刃鬼デッキに必須とされるダイハードの再録が無かった事も評価を下げる一因となっている。

◇多色の9コスト

光/水の9コスト設定なので《極まる侵略 G.O.D.》の踏み倒し対象になる。つまり【九極侵略】への採用を検討できる。
白青構築の【九極侵略】でのマナ基盤要員としても使えないこともない。
そんなんもっと強力な《サファイア・ウィズダム》でええやんと思うが、一応非進化なのとロック効果の範囲で差別化は容易。
まぁ《偽りの名 ナンバーナイン》が存在するので余り採用はされないだろうが……

◇評価点まとめ

こうして見ると一応他カードと僅かに差別化できる点があり、使い道は全くない訳ではなかった。

腐っても呪文ロックと強力種族持ちな事もあって、使ってみようと思えば一定以上の力を不安定ながらも発揮できなくもない。
イラストも壮大で威厳さがあり、コレクションとしての価値は高いので飾っておくのも良いだろう。

それでも悲しい事に「完全に使えない訳でもない」という評価された一方、「使いにくすぎる」「そこまでするなら他のカードでいい」という評価は前評判から変わらなかった。
発動自体が不安定なメイン能力と無駄に控えめなパワー設定も重なり、ぶっちゃけDMBD-09を改造する際に真っ先に抜かれる。
ハンターである事を活かしていきたいが、ハンター自体は定期的に新規は出ているが積極的なプッシュは終了している状況なので、その未来も微妙な所。

発売前から低評価を下されてネタカードとして扱われたザオヴァナインは、DMBD-09後もその評価から脱する事はあまり出来ていない。
2019年9月のレートではシングルカードが安くて100円で販売されており、350円もすればプレイヤーからキレられるレベル。
超切札級に思えるイラストに反した効果がネタにされている部分も大きいため、フレーバーテキストでもあれば*3完全にネタ化したかもしれない。

しかし、いつかザオヴァナインが輝くことを夢見ているファンも多いはずである…多分。


相性の良いカード

「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」 VIC 無色 (11)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター/ゼニス 14000
T・ブレイカー
このクリーチャーが召喚によってバトルゾーンに出た時、相手のシールドを数え、その回数相手とガチンコ・ジャッジする。その後、こうして自分がガチンコ・ジャッジに勝った数、ハンターを1体、自分の墓地、マナゾーン、または手札からバトルゾーンに出す。
エターナル・Ω
DMBD-09のメイン。DMBD-09のデッキコンセプト的にザオヴァナインと組み合わせて使用する事が想定されている。
現状のザオヴァナインの生命線とも言える大事な相棒である。ただし刃鬼視点ではザオヴァナイン以外に相棒候補がいくらでもいるのが悲しいが…。

大魂蟲オオ・ヘラクレス VR 自然文明 (6)
進化クリーチャー:ジャイアント・インセクト/ハンター 7000
進化-自分のハンター・クリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、自分のマナゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つ、進化ではないハンター・クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから選んでもよい。それをバトルゾーンに出す。
W・ブレイカー

獣鬼装甲トラマルGGG R 火文明 (5)
進化クリーチャー:ヒューマノイド/ハンター/エイリアン 6000
進化-自分のヒューマノイド1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、相手と3回ガチンコ・ジャッジする。自分が3回勝ったら、コスト12以下の進化ではないハンターを1体、コストを支払わずに召喚してもよい。自分が2回だけ勝ったら、コスト8以下の進化ではないハンターを1体、コストを支払わずに召喚してもよい。
W・ブレイカー

狩猟のガイア・エッグ R 自然文明 (3)
クリーチャー:エッグ 1000
自分のターンのはじめに、自分の山札の上から1枚目を墓地に置く。そのカードが進化ではないハンター・クリーチャーであれば、このクリーチャーを破壊して、そのハンターをバトルゾーンに出す。
このクリーチャーは攻撃することができない。

希望のファンクラップソディ R 光//火文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/アーマード・ドラゴン/デーモン・コマンド 7000
バトルゾーンにある自分のハンターとエイリアンはすべて、「スピードアタッカー」を得る。
W・ブレイカー
自分のハンターまたはエイリアンが破壊された時、自分の山札、マナゾーン、または手札を見る。その中から、破壊されたクリーチャーと同じ名前を持つクリーチャーを1体選び、バトルゾーンに出す。このようにして山札を見ていた場合、その後シャッフルする。

王牙秘伝ゴールデン・ビクトリー R 無色 (9)
呪文
アタック・チャンス-《黄金龍 鬼丸「王牙」》
自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から好きな枚数の進化ではないハンターとエイリアンをバトルゾーンに出してもよい。このターン、そのクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。その後、それ以外のカードを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
刃鬼以外の主なハンター踏み倒しが可能なカードの一例。

刃鬼よりも出しやすい分、ハンターの踏み倒し効果の安定性は刃鬼よりも欠ける。ゼニスである刃鬼と比べても仕方ない話ではあるが。
ただ、刃鬼を使用しないこれらのカードをコンセプトにしたファンデッキにならザオヴァナインを投入するのも良いかもしれない。
特にファンクラップソディは除去耐性の強化とスピードアタッカー化からザオヴァナインとの親和性自体は高い。

反撃の城 ギャラクシー・ファルコン R 火文明 (1)
城-自分のシールドをひとつ選び、このカードを付けて要塞化する。その要塞化されたシールドがシールドゾーンから離れた時、このカードを自分の墓地に置く。(「S・トリガー」能力を使う場合は、このカードを墓地に置く前に使う)
バトルゾーンにある自分のハンターはすべて「スピードアタッカー」を得る。
ハンターにスピードアタッカーを付与できる低コストの
この城を使えばザオヴァナインはすぐにアタックトリガーを起動できる。

無双の超越者ファイナル・ストームXX NEX SR 火文明 (20)
クリーチャー:進化クリーチャー:アーマード・ドラゴン/フレイム・コマンド/レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 23000
このクリーチャーの召喚コストを、マナゾーンにある自分のドラゴン1体につき2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない。
超無限進化:ドラゴン1体以上の上に置く。
Q・ブレイカー
このクリーチャーが出た時または自分のターンのはじめに、自分の山札の上から1枚目を表向きにする。それがドラゴンなら、このクリーチャーの下に重ねる。
メテオバーン:このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを好きな数、墓地に置く。それらのコストが合計20以上なら、このターンの後に自分のターンを追加する。
DMEX-17で登場した《鬼無双 カイザー「勝」》の上に《奇跡の覚醒者ファイナル・ストーム XX NEX》が乗った合体クリーチャーにしてザオヴァナインが注目を浴びる事となったカード。
無双の超越者もザオヴァナインと同じくハンターであるためどちらも刃鬼の踏み倒し対象であり、ザオヴァナインはドラゴンなので無双の超越者の進化元になれるため共存が可能。
更にザオヴァナインはコスト9であるためコスト11の刃鬼と共に進化元になる事でエクストラターンの獲得条件である「メテオバーンで合計コスト20以上を墓地に置く」が満たせる。
そしてザオヴァナインはcipで呪文ロックを行うため進化元になってバトルゾーンを離れても呪文ロックは有効。
と、ザオヴァナインの強みを存分に生かしつつ安全にエクストラターンが狙えるコンボが誕生した。
無論、刃鬼と無双の超越者ありきの評価であり、相変わらず単体の使いづらさは変わっていないものの、ここに来てザオヴァナインはようやく「進化元にしても呪文ロックが続くコスト9以上のドラゴン/ハンター」と言う独自の強みを手にしたのである。


背景ストーリー

DMBD-09の背景ストーリー的には、刃鬼のカイザー軍団の一員として《「終」の極 イギー・スペシャルズ》と戦ったと思われる。

なお、ザオヴァナインのイラストをよく見ると頭上に球体があるが、これは《予言者プロキオン》に似ているとの指摘がある。
プロキオンと背景ストーリー上での関連性があった可能性はあるが、詳細は不明。
プロキオンは光文明なので、多色ながら光文明でもあるザオヴァナインが関係性を持てる接点はあるが…。

一部の考察では、効果の類似性などから《偽りの王 ナンバーナイン》が鎧を脱いだ姿がザオヴァナインで、解放後に刃鬼に加勢したのではとの考察もある。
ただし、その考察だとナンバーナインにはない水文明を所持している点や「真実の名」に目覚めていない点などに疑問が残る。



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最終更新:2024年02月10日 22:27

*1 9コストの多色という点を踏まえるとパワー12000~14000のT・ブレイカーが妥当。

*2 と言っても、前年度のクロニクルであるDMBD-05のメインだった多色クリーチャー《無双龍幻バルガ・ド・ライバー》なども、近年の多色のインフレの最中に出されたカードとしては抑え気味な性能だったが。

*3 本項目冒頭の文章は、DMBD-09に収録された《フェアリー・ライフ》の文章である