ペスター

登録日:2020/03/20 Fri 20:18:44
更新日:2024/04/20 Sat 00:52:54
所要時間:約 6 分で読めます





ペスターとは、円谷プロのウルトラシリーズに登場する怪獣である。
初登場は『ウルトラマン』。

【データ】

身長:50m*1
体重:2万5千t
別名:油獣

●目次


【概要】

石油を常食とするの怪獣。1日1兆円分もの原油を飲むという。
ヒトデが横に連結したような姿をしており、体の中心部に蝙蝠を思わせる頭が存在するので、ヒトデが海洋汚染物質や石油等で変異したものという説がある。
口から火炎と青い怪光線を吐く。後者は海中を移動している時にしか使用しておらず、地上から海面を見ると光線と言うよりは燐光に見える。
体内に石油を溜め込んでいるため、泳ぐガソリンタンクとも言え、下手に攻撃すると爆発の恐れあり。
海中を時速100キロで泳ぐ。


【シリーズでの活躍】

◆ウルトラマンでの活躍

ウルトラマン』第13話「オイルSOS」に登場。

石油の産出量の多い中近東で油田やタンカーを襲っていたが、科学特捜隊中近東支部の警戒が厳重になったので日本へ逃げ延び、東京湾でタンカーを襲っていた。
なぜわざわざ石油のない日本へ……
だがある夜、酔っ払いに目撃されて通報された事から科特隊に存在を知られる。

科特隊はペスターの爆発でコンビナートに被害が出る事を恐れ、海上にドラム缶をばら撒いて湾外におびき寄せてから爆破する作戦を取るも、
ペスターは結局湾内に戻り、しかも焦ったイデ隊員が湾内で発砲したために、怒ってコンビナートに上陸。

火炎放射でコンビナートに大火災を巻き起こしたが、腹にビートルの攻撃を受け、さらに周囲を火災に囲まれて動けなくなり、そのまま熱気で蒸し焼きになりぶっ倒れた。……アホか。資料によっては「炎を吐くが火に弱い」と記述している。
現れたウルトラマンも、ペスターがもはや死にかけなのを確認するとペスターを無視して火災消火に向かう始末。
するとペスターはひょっこり顔を上げて隙だらけの背中を火炎放射で攻撃するも、驚いたウルトラマンがいきなり放ったスペシウム光線を顔面に受けて絶命(顔面を狙ったためか、爆発はせずにその場に崩れ落ちた)。
火災もウルトラ水流で消火された。


◆ウルトラマンパワードでの活躍

「S22の水中映像を分析した結果、怪獣の正体を確定しました。ペスターです。
この怪獣は原油を食料とし、体内で加工する機能を持っている」

「生きる石油精製所……?」

ウルトラマンパワード』第10話「二人の英雄」に登場。パワードペスターと呼称される。

身長:55m(50mと記載する資料もあり)
体重:4万6千t

やはり石油を主食とするヒトデの怪獣。地底の油脈で誕生したという設定がある。
普段は中心で体を二つ折りにして直立したヒトデのような形態で海中に潜んでいる。
有事の際にはその肉体を左右に大きく開き、醜悪な顔を露出させる。また、外側に対して内側(体を開いた場合は正面側)には無数の吸盤があり、
生物チックでなかなかグロテスク。
体温が高くて液体窒素弾も通用せず、弾力のある体のために打撃にも強い。相手を挟み込んで圧死させる戦法が得意。
やはり口から火炎を吐く。感覚器が単純なため、超音波に弱い。

油脈を使って地中を移動しながら、アントニオ湾石油会社の関連施設を襲っていた。
水中を探索していたW.I.N.R.の特殊潜航艇S22号を襲撃したが、ストライクビートルが投下した音波ミサイルに怯んで撤退。
その後は油脈を通って地上に出現し、液体窒素弾で凍らされてもすぐに解凍し、エドラント隊長のストライクビートルを火炎放射で撃墜した。
さらに出現したパワードに対しても、爆発の被害を恐れるパワードを挟み込んでも苦戦させる。

しかし、石油会社の社員で元W.I.N.R.パイロット候補生だったアルトゥーロ・メンデスがストライクビートルの予備機に搭乗して出撃。
ペスターの星型のボディの先端にある触角だけ(一歩間違えたらペスターのボディに直撃して大炎上)を正確に狙撃したことで、
平衡感覚を失ったペスターは混乱してパワードも離してしまう。
その隙に飛びかかったパワードによって上空に投げ飛ばされ、メガスペシウム光線で爆破された。


なお、本作でペスターが吐く炎は合成ではなく火炎放射器による本物の炎
そしてそのペスターの前に立ちはだかり、両手を向けて押しとどめようとするパワードも合成ではなく本当に手をかざしている
カメラをペスターの後ろに置き、遠近法であたかも本当に受けているように見せているが、実際には炎に触れないよう撮影している……
……のだが、もし火力や距離を間違えればアクターの両手が焼けただれる極めて危険な撮影であった。


◆ウルトラマンXでの活躍

ウルトラマンX』第1話「星空の声」に登場。

スパークドールズから実体化した怪獣であり、中東の油田地帯を襲撃するニュース映像にのみ登場。
劇中でウルトラマンとは戦っていない。

着ぐるみはアトラクション用の流用。
「倉庫に何かデカい座布団らしき物体があると思ったらペスターの着ぐるみだった」というノリで発見された代物らしく、
『ウルトラマンX』公式サイトに掲載されている写真でも一目で分かるくらいにクタクタのヨレヨレで結構汚れている。


◆セブンガーファイトでの活躍

『セブンガーファイト』第9話「灼熱!凍結!大地獄!!」に登場。
多数の怪獣が潜むスフラン島に出現し、島の防衛施設を石油の貯蔵庫と誤認して襲撃しようとし、駐留していたストレイジセブンガーと激突。
火炎放射でセブンガーを苦しめ、更に続けて現れたガンダーと共に2対1で圧倒したが、ハルキの機転でガンダーと同士討ちする形で撃退された。

着ぐるみは『X』のものと同一(DVD収録のオーディオコメンタリーより)。


◆ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突での活躍

第1話に登場。
水の惑星リクエターでデビルスプリンターを摂取した個体が登場したが、ベムスターとは異なり元が弱い怪獣では強化されたところでどーしよーもなかったようで、
ウルトラマンフーマに全く手も足も出ず翻弄された挙句に極星光波手裏剣で瞬断された。
戦闘シーンは画面に映ってから凡そ20秒くらい(うち2秒はアイキャッチ)。


◆その他の活躍

一峰大二氏のコミカライズ版『ウルトラマン』では、海中に目の光る謎の黒雲として登場。
ハヤタの乗るビートルを水柱攻撃で撃墜し、海中で変身したウルトラマンを翻弄。
正体もわからない相手に闇雲に戦うウルトラマンを粘着性の油塊に閉じ込めて敗退させる(この後救助されたビートル機に、さっきまで同乗していたはずのイデ隊員の姿が見えないが、誰も心配していない)。この時油塊を跳ね飛ばすためにウルトラマンが海上で錐揉み回転をしたのが、本編(ブルトンの回)よりも先に「回ればなんとかなる」技を使った記念すべき第一号であった。
陸上戦となった第二戦では、火炎放射でウルトラマンを火だるまにし、タンカーをも真っ二つにする強力な絞め技でウルトラマンのカラータイマーが赤になるまで締め上げるという活躍を見せるも、組み合っている途中でウルトラマンが無理矢理ガソリンタンクに飛び込んだために絞め技が外れ、油まみれになった所にスペシウム光線を受けて消し飛んだ。

『ウルトラセブン』の没脚本「宇宙人15+怪獣35」及び、それを一峰氏がコミカライズした『ウルトラセブン -ゴードの巻-』にも登場。
海上を飛ぶウルトラホーク1号&3号を奇襲し、火炎放射で撤退に追いやった。

漫画『ウルトラマンSTORY 0』ではグビラやタッコングと共にウルトラマンジャックを襲うも、3匹まとめてスペシウム光線で倒された。

ゲーム『大怪獣ラッシュ ULTRA FRONTIA』では第3弾からプラズマ怪獣として参戦。何と、あのガタノゾーアを押しのけてアクアペスターオリハルコンペスターとしてボス枠で参加した。

ウルトラマンオーブ 完全超全集』に掲載された「ウルトラマンオーブクロニクル〈年代記〉」では、第2章「深淵より出づる者たち」で、水の惑星ヌオックにガマクジラやタッコングと共に水の魔神として封印されていた。

Marvel Comic社のアメコミ『ザ・トライアルズ・オブ・ウルトラマン』では、1#でウルトラマンと水中で対決し、ウルトラスラッシュで四散する。
なおウルトラマンはこの後壊れた水中の重油管の修理をし、水上に浮上する前に時間切れになったため、人間に戻ったハヤタは危うく溺れ死ぬところであった。


【関連キャラ】

怪獣戦艦 ペストリア

身長:391m
翼長:1525m
翼高:707m
体重:690万t

『アンドロメロス』の雑誌展開にイラストで登場した怪獣戦艦。グア三兄弟の次男ジュダの座乗艦である。
ペスターがモチーフだが、巨大宇宙人が乗る戦艦なので、凄まじい巨大さ。
機体両側にブラックホール砲を装備。

てれびくん1982年6月号に登場。先月号で怪獣戦艦ギエロニア1号機によるエープ星襲撃に失敗したジュダが、再度エープ星を襲撃するために搭乗。
大量のペスダ兵を送り込んで、今度はメロス達が来る前に制圧に成功、エープ星人達を捕らえ、改造エープ星人に改造、洗脳して自軍の戦力とする。
その後、駆け付けたメロス達にペスダ兵と改造エープ星人達を蹴散らされると撤退した。
破壊されていないが、イラストのみで着ぐるみが作られていないためか、その後は登場せず、ジュダは怪獣戦艦ベムズンを使用するようになった。
居村眞二氏の漫画版では未登場。

その後はテレビシリーズにも登場せず、忘れ去られたと思われたが…

ウルトラマンタイガ トライスクワッド ボイスドラマ』第15話に、やはりグア軍団の戦力として37年ぶりに登場。
こちらはブラックホール砲の発射口が頭部になっており、反重力ネットや火炎放射器も装備している。
ウルトラマンタイガとアンドロアレスに敗走した外宇宙侵略機械部隊戦闘隊長イムビーザの前に、宇宙空間を割って出現し、イムビーザを粛清するとタイガ達に襲い掛かる。
アレスの全エネルギーを込めたコスモオーラを受けて大半の装甲を失っても動きを止めず、反重力ネットでアレスを捕らえるも、
タイガのストリウムブラスターで頭部を破壊され、アトミックパンチでジェネレーターを貫かれて倒された。
ちなみにボイスドラマ中では「ペスターに酷似した怪獣戦艦」としか呼称されておらず、後に発売された超全集にてペストリアだと明記されている。


【余談】

  • 名前の由来は「Petroleum(ペトロリウム、石油)」と「Starfish(スターフィッシュ、ヒトデ)」。

  • 着ぐるみは第12話のドドンゴに続く、2人で着込んで操演するタイプ。口の開閉はマペット方式で表現されている。

  • デザインは成田亨氏。コウモリの羽をヒトデに置き替えてデザインされた。
    ちなみに『ウルトラマン』劇中で、フジ隊員が用意した想像図という形で成田によるデザイン画がそのまま使用されている。

  • 第13話は、上原正三氏が書いた『ウルトラQ』の没シナリオ「OIL SOS」から「石油を食べる怪獣」というアイデアを流用したもので金城哲夫が同音のサブタイトルを用いた理由は明らかになっていないが「OIL S・O・S」での江戸川由利子のセリフの一部は『ウルトラマン』第13話の準備稿でアキコ隊員のセリフに流用されている。
    映像作品中でウルトラマンとさしたる絡みもなくあっさり倒されてしまってるのはその名残りと言われ、準備稿・決定稿の両方で、ペスターはビートルのロケット弾攻撃によって木端微塵に破壊されており、ウルトラマンは製油所の消火作業に終止している。

  • ペスターによるコンビナート破壊シーンは、後に第16話で等身大バルタン軍団による地球攻撃シーンに流用された。

  • 第32話ではジェットビートルに消化液噴射装置が取り付けられていて、ザンボラーが発生させた山火事を消火しているが、これは一部の視聴者から第13話におけるコンビナート火災の反省から追加されたとも考察されている。



追記・修正はコンビナートの火災を消し止めながらお願いします。

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最終更新:2024年04月20日 00:52

*1 大伴昌司氏の著作『ウルトラ怪獣入門』『怪獣図解入門』ではこれに加えて「大きさ(全長)80m」と記されている。