シャドウ丸/カゲロウ

登録日:2020/06/27 (土曜日) 15:17:15
更新日:2022/08/20 Sat 21:56:38
所要時間:約 27 分で読めます




※推奨BGM:HEART TO HEART


町に謎のロボットが現れた!
そいつはデッカード達と同じ心を持っていたんだ。

その上捜査を邪魔しに、もう一体別のロボットが出現!
「事件には関わるな」って言うんだよ!

心を持ったロボットはブレイブポリス以外いないはずなのに、
こいつら一体何者なの!?


次回、勇者警察ジェイデッカー!


影の刑事


みんな、見てね!!




シャドウ丸カゲロウは、サンライズ・名古屋テレビ(現:メ〜テレ)制作のロボットアニメ『勇者シリーズ』第五作『勇者警察ジェイデッカー』に登場するロボ。

シャドウ丸は第10話で初登場、後のシリーズに登場する『忍者ロボ枠』の先駆け的存在でもある。
そのプロトタイプであるカゲロウは第10話と第11話のゲストロボとして登場、彼の存在は今後のストーリーを左右する存在となる。






シャドウ丸



ある時は謎のアニマルロボット。


ある時は超音速ジェット機。


そして、またある時は覆面パトカー。


しかし、その実態は……!


変化っ!!


ブレイブポリス別動隊……シャドウ丸!*1


【データ】

形式番号:BP-501型
ロボットモード全長:5.4m
重量:3.27t
最高速度:145km/h
最高出力:4,620ps
通称:忍者刑事



【機能・武装】

シャドウ丸は警視庁の『ブレイブポリス・プロジェクト』により生み出された5番目のブレイブポリス。
正式配備されたBPタイプとしては、初めて多段変形機能と『隠密回路』を兼ね備えている。
『忍者刑事』の通称が示すように、額には警視庁のシンボルである桜の代紋が施された鉢金、胸部パーツには十字手裏剣のマークが施されている。

隠密回路は一種のステルス機能であり、通常のビデオカメラに姿が確認されるものの、熱・音響・動体・金属・武器といった各種センサーに確認されることがない。
『あたかも姿だけあって、肉体だけ持たない』その機能は、さながら『幽霊』にもとらえられる。
また、世界中の電子機器にアクセスし情報を得るハッキングシステムも持っており、まさに『影の刑事』というべきロボット忍者である。

武装は忍者刀に十字手裏剣を使用。忍者刀を構える際はもちろん逆手持ち。
懐には小刀も忍ばせており、状況に応じては二刀流鎖鎌で戦うことも。
正式拳銃と狙撃用のライフルも所持してはいるが、使うのはごく稀。
隠密捜査・諜報活動に重点を置いているため、エネルギー消耗を避けた実体的装備が中心。そのためか、戦闘力が低めなのが欠点。


【性格】

性格はいわゆるニヒリストを気取っているが、義理堅く非情になりきれない面を持っている。
第11話では、風呂上がり姿の友永あずきとうっかり出くわして赤面するという三枚目な一面も見せた。

自身が機械であるがゆえ『人間と違って何度でも生き返る』ことを自覚しており、常に人命を優先する主義。
第32話ではガンピュレーター・システム搭載型AIロボ・アームガンの誘爆から勇太と身柄を確保したシステム開発者のエドガー・ポプキンス博士を守るため、湾岸無人プラントから遠ざけている。
勇太のことは「ちびボス」呼ばわりするものの、他のブレイブポリスには「〜の旦那」と呼び、「〜ですぜ」とかつけたり、「合点!」と返事するなど、事あるたびに時代劇がかった口調を好む。

デッカールームにいることは少ないが、「誰か一人忘れちゃいませんか?」と天井の裏側から現れたり、音もなく現れたりする神出鬼没なところがある。
勇太「テレビの見すぎだよ……」

しかし、事件の真相を暴いたり、窮地に陥ったブレイブポリスを見かねて敵のトリックを見破ったりと、ここぞという時に欠かせない影の功労者的存在でもある。

そんなシャドウ丸は上司の前や公の場では基本的に一人称が『私』で丁寧口調だが、地が出たときなどは『俺』になることがある。*2

第40話における謎の飛行物体による夢の世界では、ブレイブポリスを脱退してロボット役者として再スタートを切っていた。
とある無国籍映画の撮影シーンで、忍者ロボに襲われる姫君を救わんと巨大ガマを召還し『影の狼』を名乗るその姿はまさに水を得た魚であった。
この忍者ロボ、ノリノリである。


【各変形形態】

シャドウ丸は状況に応じてロボットモードを含めた五つの姿を使い分ける。
他のメンバーが変形時に「チェンジ!」と叫ぶのに対し、彼の場合は「変化!」と叫ぶのが特徴。
その形態は以下の通り。


警察犬モード

体長:3.8m
最高走行速度:427km/h
跳躍距離:120m

デッカードが初めてシャドウ丸を見た時の姿。
警察犬の一万倍の嗅覚を持ち、第20話ではこれを活用し東京都廃棄物処理プラント・通称『砂時計』内にいる勇太の位置を探り当てた。
また、水中の移動も可能。第11話では隠密回路を活用し潜水空母アビス内に潜入している。

なお、本人はこの形態を警察犬ではなくあくまでも「アニマルロボット」と称している。
第11話ラストでブレイブポリス入りされる際、犬小屋を建てようかと半ば冗談で言われた際には「確かに、警察犬ロボットとして作られちゃいるが……これでも狼のつもりなんだ!」と、犬呼ばわりするのをかなり気にしていた。*3
同話Aパートで友永家を訪れた際、勇太の姉である友永あずきが提供した燃料を一気にガブ飲みする様はまさに犬そのものであった。


ジェット機モード

全長:4.7m
最高飛行速度:3,620km/h
最大推力:18t
ペイロード:10.7t

偵察・パトロール時に好んで使用する姿。
この形態でハッキングシステムを作動する際は機体上部からセンサーを展開する。

一応、他の仲間を機体に乗せることも可能。
ファイヤージェイデッカー初合体回の第29話では、アーマードチーフテンに武器をどこかへ飛ばされた後、飛行用ローターを破壊されたガンマックスアーマーを乗せている。
機首先端には二門の機銃、両翼部にはミサイルが装備されており、牽制時にはそれを用いる。
第12話では分銅型のアンカーも使用。古代昆虫バラメス(第三形態)の上で強酸性鱗粉を受け動けなくなったジェイデッカーに機銃を浴びせ拘束をほどき、落下する直前に救助した。


覆面パトカーモード

全長:4.9m
最高走行速度:467km/h

他のブレイブポリスと並走する際に使用する姿。
サイレンを鳴らす際はルーフパネル中央からパトライトをせり出す。
一応、車体後部からは二連装ビームキャノン砲を展開し攻撃可能。


戦車モード

全長:5.1m
最高速度:328km/h

第11話でお披露目の第五の姿。またの名を『シャドウ丸タンク』
カゲロウとの模擬戦の中、攻撃力の強化が必要だと知ったシャドウ丸本人の要望で追加された形態である。
覆面パトカーモードと同様に後部の二連装ビームキャノン砲からビームを発射するが、威力は増大している。
初陣では手裏剣や忍者刀すら通じないアビスガードの装甲を貫通する威力を見せた。
この形態は、ブレイブポリスの基本設計を担当した新庄健ですら知らないものだった。



カゲロウ



俺の名はカゲロウ。俺は死なん……捕まりもせん!


【データ】

形式番号:BP-500X型
ロボットモード全長:5.4m

CV:中原茂


【特徴】

多段変形機能の試作機として開発されたBPタイプで、覆面パトカーと怪鳥に変形可能。
カゲロウもまた、シャドウ丸と同じく隠密回路を搭載しており、手裏剣と鎖鎌が武器。

一見、シャドウ丸とほぼ同じ外見だが、シャドウ丸がなのに対し、カゲロウは深緑色のボディカラー。
また、右目には赤外線スコープのようなカメラが眼帯のように施されており、背部のウイングもシャドウ丸のものより鋭角的。
胸部には狼の模様がプリントされている。

カゲロウのデータを基にして兄弟機であるシャドウ丸は作られ、完成後はその戦闘データ蓄積のため幾つもの模擬戦を重ねていった。
言うなればカゲロウはシャドウ丸の友でもあり、兄弟子でもあり、分身ともいえる存在でもある。

正式にシャドウ丸がロールアウトされた後、カゲロウは自身の超AIを初期されて別の部署に移行する予定だった。
だが、それをよしとしない彼は自らの意思で脱走する。そして……。


【影の刑事】

夜の街に怪ロボット出現――緊急信号をキャッチしたデッカードは恵比須埠頭に急行。
そこで彼は、炎上する自動車を目撃。さらに、それを破壊後怪鳥に変形したロボットと、影からを目撃する。
さらに、翌日のパトロール中に紫色のジェット機にちょっとした挨拶といわんばかりに妨害されてしまう。


カゲロウには関わらない……ブレイブポリスのためです!


この言葉を残し、ジェット機は姿を消した。
謎の変形ロボットの破壊活動はとどまることを知らず、ついにブレイブポリスに逮捕状が出されることになる。
そのロボットと対峙したブレイブポリスは、自分達と同じ超AIを持つロボットだと知る。


来るなブレイブポリス! お前達にはわからない……俺の『心』など!


『カゲロウ』と名乗ったロボは自動車に変形、ブレイブポリスから逃れるように去る。
追跡しようとするデッカードだがそこへ紫の自動車が乱入。
ビルドチームに追跡を任せ、デッカードは喋る紫の自動車を逮捕しようとするが、それは変形しあのアニマルロボットとなった。
カゲロウには近づくな、と再び警告したアニマルロボットはデッカードの前から姿を消した。

自分達と同じ『心』あるロボットの逮捕に戸惑うブレイブポリス。
勇太は電子音声を発する機械ばかりを狙うカゲロウのこれまでの行動から、次は最新の電化製品が展示するトーキングエレクトロニクスの会場が狙われることに気づく。
その予想は悪い意味で的中、トーキングエレクトロニクスの会場には既にカゲロウが出現しており、運悪く逃げ遅れたあずきが人質となってしまう。
現場に急行したブレイブポリス。世話になっている友永家の一員を救うため、自ら志願したデッカードに、あの声が響いてきた。


できるかな……? あんたみたいな堅物に!

カゲロウのことは、この私に任せてもらいます。


再び現れたアニマルロボットに警戒するブレイブポリス。
両者を諌めた冴島総監から、アニマルロボットは自己紹介もかねて真の姿であるシャドウ丸となり、疾風のごとく会場に踊りこむ。
シャドウ丸は脱走したカゲロウを止めるため、ブレイブポリスとは別に行動していたのだ。

廃墟と化した会場にひとり潜入するシャドウ丸。
そこには、あずきを人質に立てこもるカゲロウがいた。
刀を構え人質を手放すように言うシャドウ丸だが、カゲロウは頑なに鎖鎌を手放そうとしなかった。
超AIは極秘システムのため、そのデータが外部に流出されてはならない……職場移動の際にこれまでの記憶を消去するのも、そのためだった。
事の真実を冴島総監と藤堂主任に聞かされたブレイブポリス。
特に、デッカードは一度は勇太との思い出を消されフォーマット化された自身をカゲロウに重ね合わせていた。


……カゲロウ。誰もお前を殺したりしない。

そうとも……別の職場に行かされるだけだというのだ。
だが、それは死ぬのと一緒だ!!

造られて以来、訓練し、テストし、お前と過ごした日々……。
その記憶が、すべて消されてしまうのだぞ!!

代わりに新しい記憶がもらえる!

そうだな、俺はお前の影にすぎない。
記憶など単なるデータの集まりだ。
だがな、シャドウ丸!
それだけが、俺がここにこうして生きているという証なのだ!
お前との思い出を失ったら……俺は、俺でなくなる!!


カゲロウの悲痛な言葉を聴き、言葉を失うシャドウ丸。
両者の会話を聞いていたあずきもまた、カゲロウの哀しみを察していた。
やがて……刀を収め、シャドウ丸は静かに言う。


わかった……カゲロウ。

なら、生きてみなよ。お前がいいと思うまで……!


その言葉を受け、あずきを解放したカゲロウは離脱。
しかし、友との『約束』もむなしく、彼は生みの親であるエクセレント社の新庄に捕縛されてしまうのだった。


【激闘シャドウ丸!】

デッカールームからカゲロウの通報を受け、緊急出動するブレイブポリス。
市街地を無差別に攻撃するカゲロウは、以前喋る機械のみを破壊していた時とは比べ物にならないほど被害を広げていた。
破壊してでも止めようとするブレイブポリスの前にシャドウ丸が乱入。
勇太をボスと認めない彼は、カゲロウを庇うかのように立ちはだかる。


どうしたんだ、カゲロウ! 随分とご機嫌斜めじゃねぇか。


だが、友の呼びかけにカゲロウはトーキングエレクトロニクス会場の時と異なり、ノイズに近い奇声を上げ襲い掛かる。
パワージョーのアシストを受け、ジェイバスターを構えるジェイデッカーだが、カゲロウのことを思うとトリガーが引けなかった。
マクレーンのショットガンで飛行能力を失い、覆面パトカーとなり逃亡するカゲロウを追跡するシャドウ丸。
なぜ約束を破ったのか、と問う声にも耳を貸さず無情にもマシンガンを突きつけられてしまう。
それが答えか、と問われながら無言で冷たい笑みを浮かべたカゲロウは天井に向けマシンガンを乱射、ジェイデッカーと勇太に襲い掛かる。
必死に友を止めようとするシャドウ丸だが、一方的な攻撃に打ちのめされてしまう。
半壊寸前の状態の中、やむを得ずカゲロウの腹部に刃を突き立てた。

オイルを吐き、事切れるカゲロウ。
物言わぬ鉄の躯と化した友を抱きかかえ、オイル塗れのままシャドウ丸は嘆き悲しむ。


こんな……お決まりの終わり方かよ……? カゲロウ……!!


激しい猛攻に傷ついた影の刑事のカメラアイにも、血涙のようにオイルが流れ落ちていた……。

機能停止したカゲロウを検査した結果、その頭脳には超AIではなく破壊のみをインプットされた戦闘用AIが積まれていた。
友を殺めたことで自暴自棄になっていたシャドウ丸は、燃料補給されない状態のままデッカールームを飛び出してしまう。

一方、カゲロウの事件は警視庁内でも波紋が広がっていた。
会議室で様々な議論が飛び交いながらも、いつもならいの一番で「ブレイブポリスに『感情』を与えたのが間違いだった」という意見に賛同するはずの東一門副総監はひとり口をつぐんでいた。
それもそのはず、今回の事件は彼の旧友にして後輩でもある新庄が絡んでいることを知ったためであった。

カゲロウが暴走した時の晩、東は新庄と再会。
学生時代から病弱で、「600万ドルの男」のごとく人工知能に「優れた頭脳と鋼鉄の体を持つ自分の分身を生み出す」ことを欲した新庄は、「超AIに感情など不用」と嘯き姿を消していた。
その行方を追い、東は知人の南からその居所を知らされる。
だがエクセレント社に属する新庄は、新型潜水空母・アビスを独立国に売り渡すため海外に向かおうとしていたのだ。
もはや警察の手の届く問題ではなく、下手に動くと国際問題に発展してしまう……会議終了後も苦悩していた彼の心を救ったのは、冴島総監の言葉だった。


彼らは未熟だ。だが人間もまた未熟なのだ。だから人間を救うことができる。


そう言いながらブレイブポリスに『心』を与えてよかったと信じる冴島総監の言葉を受け、
意を決した東は新庄を止めてほしいと新庄の住所が書かれた紙を手渡すのだった。


一方、警察犬モードで街をさまようシャドウ丸は、エネルギー切れに陥り友永家に来訪。
あずきと再会した彼は『心』など持たなければよかったと心中を告白する。


『心』などなければ、カゲロウも逃げたりしなかった。私たちが戦うことも……!
私は、こんな風に造られたことを憎みます!


影の刑事の嘆きに対し、あずきはミルクを飲み干した愛猫のうるにゃんを抱きかかえながら言う。


でも、私は素敵なことだと思うけどな。

だって、あなたに友達が悩んだのも、あなたがそんなに泣きそうなのも……
ただの、喋るロボットさんじゃないからでしょう?

もしも、友達が壊れて、そのことを悲しむこともできなかったら
その方がイヤじゃないですか。

だけど、あなたには『心』があるから友達のことを絶対に忘れない。
それって、とっても素敵なことだと思いませんか?


一度はカゲロウに人質にされながらも、命の恩人に優しく諭すあずきの言葉に、シャドウ丸の心はわずかながらに救われるのだった。
そこへ勇太が駆けつけ、今回の事件の真相を聞くや否や一気にオイルを飲み干してジェットモードに変形。
エクセレント社のコンピューターにハッキングし、アビスの位置を特定していの一番に向かうのだった。


アビス内に単身突入したシャドウ丸は、メインコンピュータールームで新庄と対峙。
かつてカゲロウだった超AIの記憶は新庄の手で消去され、アビスの頭脳「カゲロウ・シンジョウ」に仕立て上げられていた。
ブレイブポリスを知り尽くした新庄をコピーしたアビスのロボット魚雷攻撃で苦戦するジェイデッカーとビルドタイガー。
さらにシャドウ丸もカゲロウをコピーしたアビスガードに苦戦していた。
シャドウ丸は新庄すら知らない戦車モードに変形して迎え撃つが、アビスガード2から思わぬ声が響いてくる。


シャ、シャドウ丸……。
お、俺だ……カゲロウだ……。
俺は、ここにコピーされて……。

カゲロウ……?!

そうさ!
お前たちの『心』や『記憶』など、コピーされたり消去されたりするデータにすぎない。
どうする? カゲロウのデータはそこにあるぞ……?


戦闘データのみならず、人格すらもコピーするという策でシャドウ丸を狡猾に追い詰める新庄。
動揺している隙を突き、アビスガードは腕に仕込まれたビーム砲で標的を始末せんとする。


カゲロウはもう死んだ……!
この俺が殺したんだぁっ!!


だが、それよりも早くシャドウ丸の慟哭の如き叫びと共に*4、戦車モードのビームがアビスガード2を貫いた!


システム制御を失ったアビスはビルドタイガーのタイガーキャノンを受け浸水寸前に陥る。
警察がなんの権利でアビスを攻撃するのか、と苦し紛れに問う新庄に対しシャドウ丸は言う。


超AIは、心ある正義のため!兵器などに利用するのは最悪の犯罪だ!!


最後の悪あがきとして新庄はアビスに抹殺しろと命令するが、
新庄の命令を無視して逃げるように海溝の奥深くへと移動していく。


イヤダ……私ノ体ガ・破壊サレル……

戻れカゲロウ!それ以上潜ると水圧で潰れる!

イヤダ。戦イハ・イヤダ。
イタイ、苦シイ……私ハ・逃ゲル。

どうしたんだ!? 私の頭脳を完全にコピーしたはずなのに!!
なぜ私の言うとおりにならんのだぁっ!?

新庄さん……よく見ろよ!
そいつはあんた自身だ。

なに……?

小心者で、弱虫で、自信過剰で他人を踏みつけにできる……。

あんたは自分の『影』を作ったんだよ!!


自身の頭脳だけでなく、弱い『心』までもコピーしてしまったことに絶望する新庄。

シャドウ丸は深く、より深く沈んでいくアビスに新庄とカゲロウのAIと運命を共にせんと制御ルームに居残る。
これ以上は水圧に耐え切れないため、ジェイデッカーとビルドタイガー、そして勇太はアビスをただ見送ることしかできなかった……。


その時、奇跡が起きた。


脱出カプセル・準備完了。
搭乗員ハ・脱出ヲ急ゲ。搭乗員ハ・脱出ヲ急ゲ……。


AIルームの背後でシャッターが開き、脱出ポッドが目に入る。
ゲートが展開するポッドを見て、シャドウ丸はアビス=カゲロウのAIを見やる。


逃げろ、というのか……?


早く行け……シャドウ丸!


シャドウ丸の耳には、完全に消されたはずのカゲロウの声が響いていた……。

かくして、地上に帰還したシャドウ丸。
夕陽が照らす海岸で、その無事を喜ぶ勇太らに対しなぜ生還できたのか答える。


カゲロウが……『もう少し生きてみろ』と、言ったんだ……。


気恥ずかしげに微笑むシャドウ丸。
彼が口にしたその言葉は、かつて彼自身が友に向けたものであった。

カゲロウは犠牲になったものの、友との『約束』を胸にシャドウ丸はブレイブポリスの一員となった。
新庄も逮捕されたものの、超AIの構造は結局エクセレント社に流出されてしまう。
やがてこの事件は、後にブレイブポリスと『心』ある兵器との辛い戦いに繋がることになる……。


シャドウ丸大砲(おおづつ)変化! 必殺!!ブレイブキャノン


宇宙からの侵略者・バラック星人の艦隊を迎え撃つブレイブポリス。
ひとり地球に残り宇宙開発機構のギャモン少尉を追っていたシャドウ丸は、その正体を現しカプセル怪獣・バラクロンを放ったバラック星人の前に苦闘を強いられた。
電磁フィールドに捕縛された他の七人と異なり合体機能を持たない彼は、救援もままならない状態で市民を守るために持てる機能を最大限にまで活用するが、機能停止寸前にまで追い詰められてしまう。
光線を放つバラクロンの一つ目を弱点だと思い、死なばもろともと短刀を投擲。
しかし、結局は蚊の一刺しでしかなく、反撃として放ったバラクロンの衝撃波の直撃を受けてしまった。


――……何も感じない。――

――……そうか、俺はカゲロウの処に行くのか……。――

――だけど、悔しいな……――


志半ばで倒れる自身を悔やむシャドウ丸。
やがて……泣きじゃくる勇太と一瞬だけ映ったカゲロウの幻影を見やりながら、意識を手放した。

そこへ一筋の流星が地球に飛来。
宇宙艦隊を退け土星軌道上にいたブレイブポリスを地球に送還させたその光は、機能停止したシャドウ丸を復元しただけでなく、巨大な銃へと変形させた
あまりにも巨大すぎるがため、一人で持ちきれないジェイデッカーは、仲間の力を借りてトリガーを引く*5
銃身から宇宙にまで伸びるほど凄まじいのエネルギー波*6が放たれ、バラクロンを消滅させた。

バラック星人もまた、『銀河警察』を名乗るエネルギー生命体・ハイジャス人により逮捕され、彼らはブレイブポリスを高く評価しながら宇宙に帰還する。
しかし、ハイジャス人はブレイブポリスと地球人の『心』が『善』か『悪』かを見極めるため、あらかじめシャドウ丸に監視システムを組み込んでいた……。



【余談】

放送当時、タカラから発売されたDX玩具「忍者刑事シャドウ丸」は、『トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ』に登場したシックスショットの二度目のリデコ商品。
そのため、劇中と異なり分離形態のデッカードらよりも巨大なロボット玩具に違和感を感じた視聴者も少なくなかったであろう。
そして、年末回であるバラック星人編の後編(第43話)で見せた一話限りのブレイブキャノン変形シークエンスでは、事情を知らない視聴者は度肝を抜かれ、玩具の元ネタを知っている人は「そうきたか!」と納得せざるを得ない演出となっている。大きさの概念を捨てるんだ!
更にメタいことを言うと、玩具を小型化した場合、安全基準などの問題から複雑な多段変形ギミックを仕込めないという事情もある。
多段変形玩具はパーツが複雑になるため、サイズが小さいと破損して誤飲に繋がり兼ねないのだ。

高松信司監督のtwitterによると、シャドウ丸の名前の由来は横山光輝先生の漫画「伊賀の影丸」の主人公・影丸から。
当初は影狼(カゲロウ)の名があがっていたが却下され、プロトタイプの名前として使われている。
他の案には猿飛佐助ならぬ「犬飛五助」の名が出かけたが、最終的にシャドウ丸に落ち着いたとか……。

1998年に発売されたPS用ソフト『新世代ロボット戦記ブレイブサーガ』にもカゲロウと共に登場。第12話~第16話の間に発生するサブシナリオを攻略しないと仲間にならない隠しキャラとなっている。
また、カゲロウは本編では悲劇的な最期を遂げたものの、サブシナリオを二度クリアすることで仲間になる。
ただし、カゲロウを生存させたまま敵(アビスガード)を全滅させないと仲間にできないため、カゲロウの護衛を忘れずに。
シャドウ丸・カゲロウ共に忍者ユニットだけあって高い移動力と味方の中でも群を抜いて行動速度が速いことがウリだが、多段変形が再現されてないのが残念。それでもセブンチェンジャーに比べればかなり使える方だが
なお、サブシナリオの中には後輩忍者シャドーダグオンと共にショーグン・ミフネ率いる忍者軍団と戦うステージがある。
瞬兵「火鳥さんがいたら、大喜びしそうだなぁ……。」
結局ミフネを逃がしてしまうものの、ステージ終了後に最後にシャドウ丸とシャドーリュウこと羽柴竜がなぜ意気投合したのかが描かれている。
シャドウ丸「なァに、簡単なことですよ。じゃの道はヘビ……と、言うじゃありませんか。つまり……忍びの道は、忍び。そういうことです。」
「……そうだな。」

PS2ソフト『新世紀勇者大戦』にもカゲロウ共々登場。こちらではシャドウ丸は通常加入でカゲロウだけが隠しキャラ。
カゲロウは主人公機であるレイゼルバーでアビスに追いつくことができれば、超AIを回収されて加入する。
ちなみに原作同様の理由で自暴自棄になったカゲロウを見た兆太は、人格を持つレイザーをパートナーにしているにもかかわらず「良心回路が壊れたロボット」扱いをして勇太に滅茶苦茶怒られている。
忍者ユニットのため2回行動を持つものの、如何せん低火力であり、忍者ユニットだけでもカゲロウ共々ワーストクラス*7。ちなみにシャドウ丸タンクも一度だけ登場。
ゲーム自体がジェイデッカー優遇のため、シャドウ丸は(というよりもブレイブポリスが)強制出撃がサブロボの中では多め。

スーパーロボット大戦30』にも勿論登場。
シャドウ丸は無条件で仲間になり、カゲロウも登場する。
通常時、そして暴走時のカゲロウをシャドウ丸で撃墜した場合、隠しミッションが発生しカゲロウも仲間になる。
なお、この撃墜に関してはシャドウ丸の改造が許されない状態であるため無改造のシャドウ丸で撃墜しなければならず、非常に厳しい条件となっている。
更に彼との合体攻撃「ブレイブニンジャアタック」も使用可能となる。
シャドウ丸は隠密や諜報の際には活躍するがカゲロウを仲間にしていると彼も同行し、見事なコンビネーションを披露する。




まあ、理屈はともかく……我々は、この『人の心』ってものが愛しいんですよ。



wiki篭りの旦那方、追記・修正は任せましたぜ!

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最終更新:2022年08月20日 21:56

*1 以上、第10話におけるシャドウ丸の名乗り。放送当時、番組内で放送された「五段変形 忍者刑事シャドウ丸」の玩具CMでも立木文彦氏のナレーションで似たような紹介がされている。ただし、こちらは第11話でお披露目の戦車形態の紹介も含まれている。

*2 ちなみにブレイブサーガでは普段の一人称が『あっし』になっており、ますます時代劇口調に拍車がかかっている。

*3 この後、勇太に「じゃあ、オオカミ小屋を作ろう!」と提案され、さすがのシャドウ丸もタジタジになっていた。

*4 この時、シャドウ丸が戦車モードのまま回避する際、アビスガード2の攻撃がコンソールにまで届き、死の恐怖でうずくまる新庄の場面が映っている

*5 ちなみにその位置は右側にデュークファイヤー、左側にスーパービルドタイガー、下部にガンマックスアーマー。位置的にガンマックスが危険そうだがそこはツッコムだけ野暮ということで……。

*6 このシーンは第3作『伝説の勇者ダ・ガーン』のダ・ガーンXが使うブレストアースバスターのバンクが一部流用されている。

*7 忍者最強のビッグボルフォッグが最高火力18000なのに対して、シャドウ丸は6500、カゲロウが6000と3倍近い差がある