SCP-729-JP

登録日:2020/9/25 Fri 08:47:42
更新日:2023/11/21 Tue 01:05:59
所要時間:約 6 分で読めます




少なくとも我々は、君が名俳優であることを知っているぞ。


SCP-729-JPはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。

特別収容プロトコル

SCP-729-JPは現在、██県██町に存在する財団フロント企業経営の中華料理店”██飯店”に収容されている。
又、この店の営業時間中は常に1人以上のエージェントを店内に待機させ、もしイベントが発生したらプロトコル”大根役者”に基づく方法でイベントを阻止する。
…「大根役者」って、どんなプロトコルなのだろうか…

説明

SCP-729-JPは中華料理を供する飲食店に出現する、椅子の形をした実体である。出現ごとに差異はあるが、材質は木製、床に固定されてないタイプ。
こいつは元々そこにある椅子と入れ替わる形で出現し、さらに元の椅子を完璧に模倣する。
なので後で書く「イベント」以外に判別する方法は無い。
「イベント」は、こいつとその隣の椅子に成人男性が同時に座ると発生する。座るタイミングは問われないらしい。

イベントについて
まず、その2人の間で「肘が何度もぶつかった」とか「食事の際に立てる音がうるさい」とか、軽い口論が始まる。口論は徐々にエスカレートしていき、突き飛ばす、小突くとかの暴力手段に出て、ついには席を立っての殴り合いと変化する。

この時双方の身体能力に関係無く、正拳、突き、手刀、蹴り、昇龍拳とかの高度な格闘テクニックを用いる。SCP-729-JPに座っていた方は、コイツを盾にしたりブン回して武器にしたりとか、争いの道具に使うようになる。SCP-729-JP「あァァァんまりだァァアァ」

んでもって、戦いは絶対にSCP-729-JPに座っていた方の勝ちで終わる。最後にお相手は異常なまでに大きく吹っ飛ばされ、SCP-729-JP自身は決着の瞬間、又はその前にぶっ壊れる。そして敗者は失神し、勝者は自分と相手の分の金を払って足早に店を去る。

これでイベントは終わり。ちなみにこのイベントが起こってる間店内の人間には認識災害が発生し、外に出るとか警察を呼ぶとかそういう対処法を思いつかなくなる。
双方を仲裁しようとは思いつくが、「巻き込まれたくない」とかで実行には至らない。
そしてイベントが完遂すると別の認識災害が発生し、起きた喧嘩を「そこまで重要じゃない」と考えるようになる。この結果誰も警察、救急機関とかに通報しない。

そして勝者が店から出ると同時に敗者は目を覚ますが、2人共無傷、あるいは軽い擦り傷位しかしておらず、さらに「軽い口論になった」位の認識しかしていないことが分かっている。

んでイベントが終わると、SCP-729-JPは消失し、半径3km以内の別の店に出現する。この時受けた傷は完全回復している。

発見の経緯
SCP-729-JPは20██年█月頃、██県██町にて発見された。
近くにあるサイト-81██に勤務していた██博士が、同僚である███博士に「昨日の昼食時、たまたま入ったラーメン屋で妙に激しいアクションの喧嘩が起こった。お互い格闘技の経験者だったのだろうか、珍しいものを見られた」と話をしたことが最初のSCP-729-JPの実例。この時はまだ異常存在としての認識はされていなかったが、その後この事例に酷似する報告が相次いだ為調査が行われ、発見に至った。

ちなみにイベントは店外からも観察可能だが、店内に入る、外から石とか何かを投げ込む等明確に干渉しようとすれば先程解説した認識災害に陥る。


補遺1

20██/██/██、財団フロント企業経営の中華料理店”██飯店”にSCP-729-JPが出現し、一般客の間でイベントが発生、小競り合いが始まってしまう。その時居合わせていたエージェント・██は大声で仲裁するよう両者へ近づく。認識災害は!?

その時だった。

たまたま店内の床が水で濡れており、エージェントは派手に転んでしまった。

そして争っていた両者も含めた全員の客・従業員は全員爆笑し、エージェントは二人に笑いながら助け起こされた。その後一般客は食事に戻り、従業員は業務に戻った。

翌日、同じ店でまたもやイベントが発生したが、同じエージェントが再び大声で仲裁の言葉を投げつつ両者へ近付き、わざと派手に転んで見せると、またもや店内は爆笑に包まれた。
この報告を受けた研究チームはこのエージェントと実験を行った。判明した結果は以下の通り。

  • イベントの渦中にある両者へ関わろうとした際、転倒する、足を引っかける、テーブルや椅子にぶつかるなど、スムーズな移動に失敗する
  • 同様の場合において、両者へ掛けようとした言葉を途中で言い間違える、発音などが不明瞭になる(所謂”噛む”)、言葉を忘れたかのように口ごもり、間が空くなど、発言に失敗する
  • 「店内で起こった喧嘩の見物人」としては、明らかに異常、または目立ちすぎる行動をとる(いきなり踊り出す等)

これらの行動を行うことにより、イベントを中断出来ることが分かった。さらには同日中はイベントが再発生することもなく、SCP-729-JPも移動しないことが分かった。
この性質を利用して、イベントが発生したらわざと「NGシーン」的行動をとり、爆笑を起こしてイベントを中断させろ、というのが最初に説明したプロトコル”大根役者”である。

補遺2

SCP-729-JPと██町内にかつて住んでいた人物の██ ███氏との関連性が指摘されている。この人はアクション映画、主にカンフー映画の大の愛好家であり、カンフー映画のポスターやフィルムといった、非常に多彩なコレクションを所持していることでこの町では有名な人物であり、「カンフー映画の素晴らしさを後世に伝えていきたい」と個人的な普及活動も行っていた。だが、200█年█月に発生した地震により倒れてきた家具によって頭部を強打したことで亡くなった。
この際、██氏はコレクションを所蔵していた倉庫にて、倒れてきた棚から何かを体の下に庇うような姿勢のまま亡くなっていたが、彼の体の下には何もなかったという。

そして、この方が日頃から一番大事と自慢していた有名アクション俳優である█████・███氏が撮影に実際に用いたという木製の椅子がなくなっていた。近隣を捜索したが、行方は未だ不明。


SCP-729-JP - ジャッキー・チェア



関連記事

SCPの世界には、椅子に関するSCPが何体か存在する。

SCP-396 「>突然の椅子<」

プラスチックと鉄で構成されている椅子。1~11か月に1回の頻度で、世界中のどこかの椅子と入れ替わる。座ってた人も一緒に入れ替わる。
転移先はクルーズ船の椅子から監獄の死刑用の電気椅子まで様々。

殺伐とした財団世界に
_人人人人人人人_
> 突然の椅子 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


SCP-1609 - 椅子の残骸

近づく人に襲い掛かる、粉砕された椅子の残骸。
以前は疲れた人間のそばに転移で出現し、休ませてあげようとする優しい椅子だったのだが、
破壊フリークことGOCに見つかりあえなくバラバラにされた結果、凶暴化してしまった。
現在は花壇のマルチング材(土の表面を覆う保護剤)として収容中。……この関連項目にいてもいいよね?


SCP-1475-JP「標的はノースカロライナ」

なぜか「Welcome to America(アメリカへようこそ)」と背もたれに書かれた胡散臭い椅子。日本スギ製。
座るとド派手な爆発と共にその人間をアメリカのノースカロライナへ向けて「発射」する。爆発は演出に過ぎないようで。椅子も人間も傷つけない親切設計。
全部で13脚あり、このうち最後の一脚だけは使用が禁じられている。


SCP-2950「ただの椅子」

金属製の折り畳み式の椅子。座ると快適だと感じ、長く座ってると立つことを拒否する。1時間以上経つと、強制的に立たせることすら不可能になるらしい。
…詳しくは記事へ。




追記・修正よろしくおねg…あ?テメェ食事の音うるせえんだけど?

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最終更新:2023年11月21日 01:05