代役

登録日:2021/02/06 Sat 23:17:09
更新日:2024/03/27 Wed 21:50:41
所要時間:約 6 分で読めます




代役とは、代わりの役である。
もとい役を演じる人が何らかの理由により演じる事が出来ない場合に用いられる役者の事である。
基本的に「別の役者が同一キャラクターを演じる場合」を指すが、本項では「前任者と同じ立場の別キャラクターを演じる場合」も一部紹介している。
また、「声優/俳優変更」「降板」にも触れる。

一人多役も参照。


概要

キャラクターに声や体で命を吹き込む「声優」「俳優」と呼ばれる人達。
彼ら彼女らによってキャラクターは動きだし、喋りだすのである。
だが、キャラクターは架空の存在としても演じている人間は実在人物。
どれほどの実力者であっても人間である以上、常に万全というわけではない。
病気や怪我、産休、…あるいは加齢、死去、不祥事等により演じられなくなった時、そのキャラクターは大抵の場合、「死亡」「転勤」等により物語から退場となる。
だが、そのキャラクターが重要なキャラで退場させることが出来ない場合、「代役」が登場するのである。


実写ドラマ・特撮での代役

実は代役が立てられることは余り無い。
というのも基本的にドラマは演者の「顔」や「体」がそのキャラクターとなる為、代役となるとやはり違和感が大きくなりがち。
なので代役を立てるより物語からは退場となる事が多い。
退場理由のほとんどが「遠い場所への転勤、異動」か「死亡(病死や殉職)」であり、特段の事情がなければ何の理由も語られずにフェードアウトする事も多い。
このパターンの有名どころは『必殺』シリーズの中村主水(演者の藤田まことの死去に伴い、西方へ赴任したという設定になった)だろう。
中にはコンビ的キャラクターの片割れが降板した事でもう一人も出なくなってしまうなんてパターンも存在する。

しかし、その人物の役割が大きく、ストーリー上欠かせない場合は代役を立てることもある。
例えば、『ウルトラマンタロウ』では副隊長役の東野孝彦が3話を残すところで怪我をして入院してしまったため、急遽異動という名目で新しい副隊長が登場するという展開があった。
本作では隊長役の名古屋章がスケジュールの関係で殆ど出演できず、副隊長が実質的な隊長として物語を引っ張っていたため、副隊長不在で物語を自然に展開することが難しかったことによる。

また、特撮ヒーロー作品においてオールスターものを作成する場合、オファーの都合等で同様に声優が声のみを代役することも見られる。
これまた例に出すと、『ウルトラマンタロウ』で主役の東光太郎役及びタロウの掛け声を担当した篠田三郎は、「自身の青春の思い出として大切にとっておきたい」として関連作品への出演を辞退しており、
それによってタロウのみ人間態の登場はなく、声も声優の石丸博也森久保祥太郎両氏*1が代役として務め、
戦闘時の掛け声のみ、『ウルトラマンタロウ』本編で篠田が演じたライブラリ音声が使われている*2
この他、スーパー戦隊シリーズにおいて変身後は顔がわからない事を逆手に取り、壮大な死亡回が作られることもあった。その場合は変身後の姿のみの登場で、声は声優が代役をする事になる。
よく知られるのは『超電子バイオマン』のイエローフォー殉職回だろう(詳細は項目参照)。

特撮番組は非現実的な描写が許されるため、何らかの理由を付けた上で「容姿は異なるが同一人物」と主張し、代役を立てるケースもある。
仮面ライダー電王』のハナが一例で、演者の白鳥百合子が体調不良により降板したため、中盤からは「時空の歪み」によって子供化したという説明でコハナが登場した。これはその後のストーリーに繋がる重要設定として生かされている。

特撮以外だとドラマ『相棒』の衣笠藤治副総監が有名で、演者の大杉漣の急逝により、シーズン16最終回以降は杉本哲太が代役を務めている。
相棒シリーズは基本的に演者が亡くなった場合はそのまま退場することが多いが、流石に衣笠はそうはいかず、以降ずっと杉本氏が演じている。
また主役にしても、水谷豊 演じる杉下右京は固定で、右京の相棒役のレギュラーが降板すると新しい相棒がレギュラー入りするようになっている。
この作品は2人だけの特命係というコンセプトなので、相棒役もなくてはならない存在なのだ。
他にもドラマ『半沢直樹』では7年ぶりの新作の際、かつてレギュラーを務めていた俳優が別のドラマとバッティングしてしまった為、代役的キャラクターを用意した。
…のだがその用意したのが原作では退場済みのライバルであり、スムーズに行くはずの事がひと悶着もふた悶着もする羽目に……。


基本的に実写の類で代役が立てられるというのは演者が死亡、引退した、もしくは成長した…等、待っていても解決しない事情が起こった場合のみであり、病欠、産休等の復帰の可能性が高い場合は「一時退場」の形が取られることが多い。
他にも子役の場合は成長が早いため、最初に出演して間が空いた際は演者が変わっていることもある。
???「ちょっと見ん間に雰囲気変わったんとちゃうか?」

また、俳優が激しいアクションができない、もしくは禁じられている場合はスタントマンやスーツアクターが代わりに演じる事もある。
これも広義の意味では代役と言えるだろう。
特殊な例にはロード・オブ・ザ・リングにて普通の人間より明らかに背の低いホビット役がある。
ホビットだけのシーンは普通の身長の俳優が演じているが、他の種族と同じ画面に映る際は身長の低いスタントマンが演じていた。

変わったところでは、初代ゴジラは「怪獣王ゴジラ」としてアメリカで公開されるにあたってアメリカ人のオリキャラが登場するシーンが多数追加されているのだが、当然そのためだけにオリジナルの俳優を呼べるはずもなく、既存の映像が流用出来ない場面では全て背格好の似た代役を顔が映るアングルを避けて撮る事で対応している。
中でも眼帯を付けた側ばかり映る芹沢博士は有名。

人間以外だと兵器も代役になることがある。軍の全面協力により本物の兵器が出てくるのを売りにしている大作戦争映画はいくらかあるが、最新兵器を撮影に使わせてもらえるわけもないので、型落ちの兵器が後の世代の兵器の代役として使われることになる。
快く当時の最新戦闘機・F-14を飛行隊ごと貸してくれた『ファイナル・カウントダウン*3』『トップガン(第1作のほう)』みたいなケースもあるにはあるが…
逆に古い兵器も実物が存在しないことも多く、こちらも別の兵器を代役に立てることになる。英伊合作映画「The Valiant」では戦艦ヴァリアントの代わりに前年に退役したイタリアの巡洋艦ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブルッツィが撮影に用いられ、日米合作映画「トラ・トラ・トラ!」では日本軍の航空機が米軍のレシプロ機を改造して再現され、空母赤城に見立てた空母ヨークタウン*4から実際に発進している。
この手ので有名なのは「ティーガー1重戦車」などのWW2ドイツ戦車だろうか。一応、動くホンモノを使えないわけではないのだが*5、基本的には用意できない&「ドイツ軍が出てくるWW2映画で戦車がいないのはちょっと厳しい」ため、戦車の代役を立てて撮影するのが普通。
よく使われるのはいじくっていい稼働車の調達が容易なT-34やIS-2、T-44のようなソ連系戦車、撮影した時期に協力してくれた軍が使っている現役戦車(ちょっと昔の映画に多いパターンのため、パットンシリーズのことが多い。もちろんある程度は見た目を改造している*6)。あとはごくまれに装甲車だったり*7や民生用のトラクター、果てはイチから*8作ってしまうことも。
ちなみに銃でも事情は同じで、「UZIサブマシンガンの本物が入手しづらいから*9」「さすがに仮想敵国にDShK38重機関銃を調達しに行くのは…」でそれぞれM10イングラム、M2ブローニングを改造した「代役の銃」が有名。
映像業界でノウハウがある程度共有されているのか、UZI(イングラム)…通称ウジグラムに関しては本邦でも『あぶない刑事』にて制作された。

それと日本ではいわゆる「城」「建物」も代役として登場する。
特に江戸時代の中心であった江戸城は現存していない為、同じように立派な姫路城が「代役として出演」することが多い。他にも和歌山城などが江戸城等の代役として舞台になることがあるとか。
また連続テレビ小説『カーネーション』の冒頭は大正時代の大阪府岸和田市をだんじりが走るというシーンから始まるが、実際の岸和田市にその時代の建物はほぼ残っていないため、京都府の東映太秦映画村に五軒屋町のだんじりを輸送してそこで実際に曳いて撮影したエピソードもある。

舞台劇の代役

公演の期間中に演者が急病などで倒れた場合、公演が中止されることもあるが、代役を立てて続行することもある。
代役として出演する役者は台本読みと舞台の立ち回りを1日足らずで終わらせて本番に臨む必要があるため、それなりに技量のある人が選ばれる。
一方で舞台はドラマのようなリアリティを追求することが難しく、全体的な雰囲気さえ伝わればどうにかなるという特徴がある。
細かい仕草や小さな声は遠くの席から分からないため、身振り手振りもセリフもドラマより大袈裟にしてちょうど良い塩梅になる。
このため、代役の役者の年齢が元の役者と多少歳が離れていても大きな問題はない。

三谷幸喜脚本の舞台劇「江戸は燃えているか」では昼公演に出た松岡茉優が急な体調不良でその日の夜公演のみ休演となり、代役が見つからなかったため、三谷幸喜本人が台本片手に黒子姿で舞台に上がり、台詞を読み上げるという形で代役をこなしたというエピソードがある。
女性の代役を男性がこなすというのは舞台劇ならではのものだろう。


アニメにおいての代役

恐らくアニヲタ諸君が代役と聞いて思いつくのがこれであろう。
とはいえアニメのキャラクターは大抵が「架空の人物」であり、乱暴な言い方をすればアニメーターが違ってもほぼ同じキャラを書くことが可能である。
しかしただ1つだけ人間が演じなければいけないものがある。それは声。
こればかりはどうしようもならない為、声の俳優…要するに「声優」の出番となるのだ。
とはいえ声優もやはり人間、様々な理由でキャラクターを演じる事が不可能になることも多々ある。
しかしドラマなど「顔」が出るものと違い、声というものはある程度誤魔化しが聞く為か、別の演者となってキャラクター本人はそのまま続投することが多い。
ちなみに声優降板は殆どの場合(演者本人が申し出ない限り)急な事なので、代役は今までゲスト、準レギュラーで出た声優が演じる事が比較的多い。
逆に全く新しいキャストを代役として器用する場合、オリジナルの役者が演じたイメージを可能な限り損ねない人物が選ばれることが多い。
もしくはスピンオフ等で演じた声優が複数いる場合は、そちらから引っ張ってくることもある。
親子で声優、俳優をしている人物も多く、息の長いコンテンツでは親の代役を子が請け負ったりするパターンも増えている。

著名なケースとしては、『ルパン三世』で主役のルパン三世を演じた山田康雄の逝去を受け、その代役として起用されたクリカンこと栗田貫一が挙げられる。
栗田は本職がモノマネタレントであった上、山田のモノマネ*10を得意としており、生前の山田康雄本人も認める再現度だったため、キャラクターのイメージを殆ど変えることなく交代を果たした。
代役を立てられた後本来の声優が復活した場合だが、元に戻る場合と代役がそのまま演じ続ける場合の2パターンに分かれる。両方ともそれなりに見受けられる。
前者の場合は一時的に代役を務めた声優が正式キャストとして別役で登場するケースもある。
話の流れで本来の役と代役しているキャラが戦う一人芝居状態になることもあったり。

また機動戦士ガンダム 水星の魔女のニカ役の宮本侑芽が病気になり一時的に降板することになったが、その際の代役はなんと売れっ子の白石晴香という事で驚かれた事もある。
白石はそれまで水星の魔女どころかガンダムシリーズにも登場しておらず、そういう意味では大抜擢と言える。
そして宮本が回復した際にニカ役にも復帰し白石はそのまま降板となり、以降も別キャラで登場したりはしなかった。

特殊な例として、90年代辺りまでは「少し前までレギュラーだったキャラが話の都合で一時的に退場しているが、ちょっとだけ声がある」とか特殊な場合は本来の演者とは別人が演じることもある。
代表例としてはドラゴンボールZの天津飯は本来は鈴置洋孝が演じていたが、天津飯が死亡(要するに一時的にレギュラー落ち)後に一言だけ新しく喋る必要がある場合は鈴置氏の都合がつかなかったのか山寺宏一が代役を務めた
またレアケースとして本田ヒロト役の近藤孝行は病気降板。その後は代役の菊池英博が最終回まで演じたが、劇場版で12年ぶりに復活した例もある。

なお原作が18禁アダルトゲームの場合、アニメ化する時はほぼ全員が何故か代役となる。
…しかし声質や演技は代役とは思えないほど異様に似ている事が多い。
要は「生き別れの双子(兄妹)」というやつである。まぁ容赦なく総取り替えされることもあるんだけどね。*11


元々演じている人のイメージが強い場合、他の人になることで視聴者の強い違和感を誘う可能性があることなどから代役を立てない場合もある。
この場合は過去の音声を使い回したり、キャラが一切喋らなくなることが一般的。
例を挙げるとピカチュウの担当である大谷育江が体調を崩した際、ピカチュウは万国共通で大谷の声で定着していることから、同じく大谷の担当であったマネネ等は代役を立てた中、ピカチュウだけは過去のサンプリングで対応した。
ぶりぶりざえもんは担当であった塩沢兼人が亡くなったことで、遺族への配慮等もあって 約16年 もの間代役を立てず声なしとなっていたが、時代の変化に合わせる形で神谷浩史が二代目となった。

2023年現在「かつてのアニメを現在の技術で蘇らせる」という名目でリメイクが行われることも増えているが、その際もオリジナルキャストが事情による登板出来ない場合、代役となる。
主人公以外総取替なんてことも起こり得る。そしてここまでするなら主人公も変えろよと言われる。


ゲームにおいての代役

こちらも声以外は別人でもカバー可能なので、声優の代役がメインとなる。
とはいえゲームに関しては基本的に「そのゲーム限りの配役」なので代役もクソもないように思えるが、2021年現在はいろいろな理由で代役が増えている。
何故ならシリーズ物やオールスター物、長年続くソーシャルゲーム等は「かつてのキャラをもう一度登場させる」事が増えているからだ。
キャラクターが生きていても声優に事情がある場合はやはり代役の出番となる。
特にソーシャルゲームは「仲間になる=サービス終了まで永遠に離脱させることができない≠死亡、引退等で退場させることができない」都合上、演者が降板した後も代役が立てられるケースが多い。
ただし稀に「本来の声優が亡くなった為キャラクターとしても死亡、もしくは別の存在に成り果てた」という設定にされることもある。
このパターンはギルティギアシリーズのなんか最近生き返ったけどザトーONEや、声優変更前後で明らかに性格が違うダオス等が有名か。
奇しくも両方とも塩沢兼人が演じたキャラクターであり、ぶりぶりざえもんの件も加えてみるとよほどスタッフに愛された人だったのかもしれない。
声優降板後のキャラクターに関しては、声優降板前の音声をそのまま使用するパターンも、新しいキャストが今までの台詞も全て取り直すパターンも双方見かける。

そしてもう一つが「アニメのゲーム化」や「アニメキャラがゲストで登場するゲーム」が増えていること。
例を挙げるならばスーパーロボット大戦シリーズSDガンダムGジェネレーションシリーズ等、数十年前のアニメを扱うゲーム。
半世紀近く前の作品まで扱う都合上、演者が鬼籍に入っていたり引退していたりでそもそも収録が不可能だったり、打診はしたが当時の声を出せないからと断られたり…と、
代役として近い声を出せる他の声優を代役として建てるケースが多い。
ただし打診を断られた場合でも後のシリーズに本来の声優が参戦するケースも稀に見受けられる。

また、過去シリーズもしくは類似ゲームで声を収録した後に演者が鬼籍に入ったケースでは、「ライブラリ出演」として生前の声を使用することが多い。
特にスパロボでは徹底して原作通りの配役にこだわっていたが、大量の台詞が必要となる『スーパーロボット大戦30』では過去作に出演していたキャラクターでも代役を起用することとなった。
前作に出演していたのに不祥事を起こしてキャスト変更になったキャラクターもいる。

原作が18禁アダルトゲームの場合、コンシューマ化する時はほぼ全員が何故か代役となる。
…しかし声質や演技は代役とは思えないほど異様に似ている事が多い。
要は「生き別れの双子」というやつである。*12

余談だが、進撃の巨人LORD of VERMILIONⅢにゲスト出演した歳、「キャラクターの版権は取れたがキャラクターボイスの版権は難航し、CVが金属音のようなSEになった」事例もある。
代役でも何でも無いが恐らく数少ない事例であろう。

成長による降板は大抵が俳優であるが、声優でも無いことは無い。
有名な事例として『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のアル役を務めた浪川大輔は収録当時小学生、その後声変わりを経て当時の声が出せなくなったため、ゲームではアルを代役の比嘉久美子が演じている例もある。…一回だけ、『機動戦士ガンダムUC』のリディのついでにアルの収録も試みたがダメだった、とは浪川氏本人の談*13
しかしその後も『ポケ戦』DVDBOXやBlu-rayBOXのCM、また『Gジェネジェネシス』など一部のゲームでは浪川がナレーションとして登板し、「成長したアルが当時を振り返っている」かのような感動的な演出がなされている(特に映像ディスクボックスではどちらもはっきりと「青年になったアルが話している」ことがわかるセリフで締めている*14)。
「加齢などの声質の変化で当時の声を出せない」と言うのもまた成長による降板か。
代役にまでは至ってないが島田敏関智一佐々木望らは「当時の声が出せない」と発言したりもしており、そういう意味ではやはり「声」もまた「人」のものと言えるだろう。
ガンダム系ゲーム、特にシナリオ再現型の「SDガンダムGジェネレーションシリーズ」では声優の代役の他に「キャラの代役」というものもある。
例としては「コロニーの落ちた地で…」シナリオのマヤ・コイズミは、Fの際には部下のエイドリアンの役目も担っていた。(そのエイドリアンはジオン一般兵となっており、マヤの奇行に絶句するシーンが印象深い。ちなみにGENESISでは無事エイドリアンが登場した。
他、「機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91」シナリオではブレイウッドオペレーターの女性の出番がオミットされており、彼女の台詞はアルバート・エルゼナーというおっさんが喋ることとなる。


2013年に発売されたPSP版「デジモンアドベンチャー」では、キャラの殆どがTVアニメ版と同じ声優が演じている中、高石タケル役は潘めぐみが声を当てている。前任の声優がトラブル等に巻き込まれて声優業を事実上引退状態になり、どうしてもお願いできなかったと関係者が語っている。尚、潘は後のリメイクアニメ版「デジモンアドベンチャー:」でも同役を演じている。

アニメを扱うゲームにおいては死亡、病気等の事情以外にも代役を立てられるケースがある。それは声を専門としていない芸能人、特に大物俳優がゲスト出演した際
芸能事務所から考えたら大抵の場合(本人が乗り気であろうと)アニメに登場するのはあくまでゲスト。ゲームにまで出る筋合いは皆無なのである。
なのでそういった俳優が登場しているアニメがゲームになる際はキャスティングが注目される。
かつて武藤遊戯役を演じた風間俊介は、所属事務所がその辺りに特に厳しいジャニーズ事務所だった事もあり、ゲームに登場する時は別人が演じていた。
ファンからも復帰は不可能と見られていたが、こちらも上記の本田君同様映画版で12年ぶりに奇跡の復帰。
その後の遊戯王デュエルリンクスで遊戯3役を演じている。
また前述のスーパーロボット大戦でも津嘉山正種、上川隆也、高畑淳子といった大物俳優によるアテレコが実現されている。上川氏に至ってはアニメ本編より演技が迫真になってたとか。
しかし成功例ばかりではなく、例えば上記遊戯王でも主人公遊戯が長年代役だった他、その遊戯が復活した映画版に出てきた藍神の林遣都は「ゲスト」だった為残念ながら不参戦。声質がかなり似ている小林千晃が代役となったほか、「ロンブー田村さん本人は乗り気だが、やはり呼べない」として代役を立てることそのものが見送られる(=ゲームに参戦しない)『時空を超えた絆』のパラドックスのようなケースも出ている(なおパラドックスは後にリンクスに参戦し、田村氏が声を担当してファンを喜ばせた)。それと東映版で各キャラを演じた人たちも稀に反応する。

スパロボでも劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-の登場人物であるラピスを演じたのが仲間由紀恵であるが、現在に至るまでアテレコが実現していない。
他にもファイナルファンタジーシリーズのヴァンはアテレコした武田航平自身がリベンジしたいと熱望しているのに、事務所の意向で代役が立て続けられていた。
現在はHDリマスター版の発売によるリベンジがようやく実現したが、「声優でない芸能人のゲスト出演」がその後のゲームに及ぼす影響は無視できない。
だがそこで登場する代役の演技には前任者へのリスペクトが感じられることがほとんど。せっかくなので聴き比べて見ても悪くはないだろう。
厄介なのは演者である俳優や芸能人が何らかの不祥事を起こした時で、「キルミーベイベー」で呉織あぎり役を演じたのは高部あいであったが、その後コカイン所持で逮捕され芸能界引退となり、スマホゲーム「きららファンダジア」ではあぎり役は篠田みなみが演じていた。

特殊なケースではあるが、『龍が如く』シリーズのように実在の俳優をキャラクターの外見のモデル及び声優として起用している場合は代役の起用が非常に困難となる。
話題作りの手段としては強力だが、万一大人の事情で再登場が絶望的になり代役を起用せざるを得なくなった際はモデルから作り直す必要があるという諸刃の剣でもある。
なお、海外展開にあたって海外版発売元等の意向により、元々俳優を起用していない完全オリジナルモデルの匈奴キャラを現地の俳優で再モデリングするという非常に稀な代役パターンも存在する。


メディアによる代役?

代役とは少し違うが、ドラマCDとアニメでは大抵の場合声優が違う
この場合はゲームなどに客演する場合は大抵はアニメの声優がメインとなる事が多い。
例を挙げれば、「ソードアート・オンライン」のWeb版時代のボイスドラマのキャストはアニメ化後ほぼ顧みられることがない。
書籍版18巻巻末のスペシャルサンクスも完全にアニメ・ゲームのスタッフとキャストのみが記載された。
ちなみに、これが完結したのはアニメ化の一年前(つまり商業化後)である*15

最近の漫画やライトノベルはある程度人気が出た時点でドラマCDやCMなどでボイスが付き、その後アニメ化が決定した場合に改めてキャスティングが行われる場合も多い。この場合もアニメ版の声優が『正式』なものとして扱われる場合が多く、代役と見なされることは稀である。

また、『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』のマジカルステッキ役については、原作の時点でキャラ付けが『月姫』に登場した琥珀・翡翠姉妹そのままだったこともあり、
アニメでも中の人ネタ的な意味合いで、『MELTY BLOOD』(『月姫』の格闘ゲーム)で琥珀を演じた高野直子、翡翠を演じた松来未祐がそれぞれマジカルルビー、マジカルサファイアを演じていたが、
松来の逝去に伴い、それ以降の『Fate/Grand Order』等でのマジカルサファイア役はアニメ『真月譚 月姫』で翡翠役を演じたかかずゆみが役を引き継ぐこととなった。


創作における代役

今までは「実在人物の事情による演者の変更」をメインに紹介してきたが、実は創作ストーリーにおいても「代役」というのは割と多い。
文化祭やイベント等で本来の出演者が急病、ドタキャン、渋滞で間に合わない…等の理由で、主人公たちに助けを求めるという展開は鉄板ネタである
しかも頼んでくるのは知り合いだったり見知らぬ人間だったりとまちまちである。
お人好しな主人公一行は快く引き受けるが、結果に関しては美男美女の集まりと言えど演技はド素人なので大抵ひどい事になる。
…と思いきや意外な演技力を見せたり演技そっちのけで大暴れしたりするがなんだかんだでうまく行くことが多い。
しかし大体の視聴者、読者は思うだろう。「頼む相手を選べ」と。
恋愛ものでは『ロミオとジュリエット』等恋愛要素のある劇の主役を本作のヒーローとヒロインが代役を担当する展開も鉄板。
芝居で演じるラブシーンは代役の緊張も相まって二人をドキドキさせ、距離を縮めるイベントになる。役の衣装を着た二人がお似合いとからかわれるおまけもあり。
演劇ものでは一人だけ役が貰えなかった主人公がメインキャストの不調により代役、しかも大役に抜擢され、主人公の成長や出世に繋がる展開になる。
一方主演俳優を陥れて代役として主演の座を奪い、自身のチャンスにしようと目論む悪人なんてのもいたり。

代役に関する人気エピソードとしては、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の「ライブアライブ」がある。
文化祭に出演予定のガールズバンドが当日にメンバーを2人欠き、見かねたハルヒが長門有希を巻き込んで代役を買って出たというもの。
別用でコスプレしていた姿のままステージに上がったため、最初は観衆から好奇の目で見られ、キョンも唖然としていたが、いざ曲が始まるとアクシデントも暴走もなく見事に代役をこなした。
古い例だと漫画『七色いんこ』があり、同作は題名と同じ通り名で呼ばれる代役専門舞台俳優にして怪盗を主人公にした作品。
どんな年齢・容姿の俳優にもなりきり傍から見ると完璧に役をこなす彼だが、同時に「自分の芝居のルーツはオウムの声真似を見たことから」(=オリジナリティのない模倣でしかない)と密かにコンプレックスをも抱いており、その点をベテランに指摘されたこともあった。

他にも世界観がハードなものであれば夜伽の代役というものもある。
ファイアーエムブレム 風花雪月に登場するユーリス=ルクレール(美少)は、当時人気絶頂であった舞姫ドロテア=アールノルト(美少)の代用品として扱われた過去がある。
自分を「美少年」と自負し、更に両性愛者でもあるユーリスも流石にこれはトラウマらしく、歌う事に抵抗があるほどである。
余談だが戦国時代は「女性の生理は不吉な物」と考えられていた為、こと戦場に置いては彼女たちを連れて行かず、ムラムラしたら少年のお尻で代用していたようだが、さすがに各種創作で再現された事はない。女性だけの大奥でも似たような性事情があったとか。


一般人にもありうる代役

本項の内容に沿い、ここでは返答による他人への成り代わりである「代返」を紹介する。

代返とは、代理の返事のこと。要するに誰かの代わりに「はい」と返答する。それだけである。
これは主に学校の授業開始時に出席しているかの点呼に行われるもので、これは場合によるが重要なことである。
要するに生徒全員を完璧に見ている訳ではない場合、最初の返事さえあれば「出ている」事になるのだ。

例えば大学の大講堂を使った、人が散らばっている講義を想像するとよいだろう。
小中高と違って席順が決まっていない事が多いため、先週中央にいた者が今週そこにいなくても、
それは単に端の窓際で日を浴びて講義を受けたいだけ、という可能性も実際にありうるのだ。
そのため、名簿だけを見て名前を呼ぶ教授に上手く返事さえ出来れば出席者が一人増える事にもなりうる。
もっとも生徒への関心がない人の場合、高校でも数十人のうち決まった席が欠けていても居眠りしていても気付かない事も
あるのかも知れないが……。

代返が発生する理由は主に出席日数不足により単位を落とす事への対策である。
故に理由は単なるサボりもあれば、苦学生ゆえにバイトの穴埋めが抜けられず仕方なく誰かに頼むとか、
ちょっとした病気であと一歩なのに……という時に心苦しくも学校に下手に連絡出来ない(落とすと留年=学費等がまずい)ような
事情があるケースもあるかも知れない。

代返そのものは校則で規定がなければ重い罪にはならない可能性はある。そもそも代返を利用しても、学習していなくて苦労するのは
代返を頼んだ本人だからだ。しかし、もし必修単位レベルのものを一部でも代返と代理レポートなどで完全に通して得た上に
卒業生でございと履歴書に書くような悪質な人間は、ただの学歴詐称犯である。
二次元ではちょっとしたサボりの代返を食券などを貰いバイト感覚でやるキャラがたまに出てくるが、下手すると学歴詐称の片棒担ぎなので
もしも現実で頼まれてもやりすぎないように注意しよう。





追記・修正は、最後まで演じることの出来なかった演者の無念と、それを背負いプレッシャーと戦いながら演じる代役者に敬意を示しながらお願いいたします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 声優
  • 俳優
  • 代役
  • 声優変更
  • 代わり
  • ピンチヒッター
  • 代打
  • 大人の事情
  • あれ、ちょっと見ん内に前と雰囲気変わったとちゃうか?
  • アニメ
  • 映画
  • 演劇
  • ゲーム
  • ドラマ
  • 創作
  • 出演者

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月27日 21:50

*1 長らく石丸が担当していたが、『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』では若い頃のタロウを森久保が担当し、続編の『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』では完全に森久保に引き継がれた。

*2 ちなみにタロウの弟子であるウルトラマンメビウスも、演者の五十嵐隼士が俳優業を引退したために同様の措置が取られている

*3 厳密には空母ニミッツを丸ごと使わせてくれたため、「当時のUSSニミッツ所属部隊が使っていた飛行機すべて」

*4 ミッドウェー海戦で戦没した方ではなくエセックス級の方

*5 例えば実際に、映画『フューリー』では一部シーンだけながらボービントンの博物館にティーガー1の実車を借りて撮影している

*6 M47の塗装だけ変えてティーガー2と主張した『バルジ大作戦』みたいなケースもあるが…

*7 前述の『フューリー』など

*8 『戦国自衛隊(旧版)』『ぼくらの七日間戦争』などに出てきた61式戦車がこのパターン。

*9 アメリカでライセンスが行われておらず、民生モデルそのものが作られていない…などによる

*10 栗田が思いつきで留守番電話の案内音声にルパンの声を真似て入れていた所、山田が栗田の留守中に電話を掛けてきたためその案内音声が流れてしまい、意趣返しのような意味合いを込めて山田が留守電メッセージをルパンの声で残したという有名なエピソードもある

*11 ネタバラシすると、声優は売れる前に使ってた芸名や名義使い分け等、芸名を複数持っている事が多い(トラブル回避などの理由もあるだろう)。で、それを18禁ゲームの時に使ってるだけである。これがアニメ化やリメイク時に名前だけ変わって声が変わらない理由である。18禁ではないが、アニメ版ワンピースだと「粗忽屋〇〇店」というどこかで聞いたような声の声優がキャスティングされている。誰って?さぁ……?

*12 コピペじゃないよ?

*13 いわく、「やり切って「お疲れさまでした」を言おうとしたら、スタッフが微笑んで僕の肩を叩いた」

*14 DVD:「バーニィ、忘れないよ。」 Blu-ray:「バーニィ、忘れてないよ。」

*15 余談だが、同作HPは2021年現在abec氏によってキャラデザが作り直される前の、原作者自身の絵柄によるキャラデザを見ることができる数少ない場となっている。