ヘブンズ・フォース

登録日:2021/03/22 Mon 15:06:42
更新日:2024/01/08 Mon 23:32:40
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煌龍は帰ってくる。新たな正義を、その身に宿し。



《ヘブンズ・フォース》はデュエル・マスターズの呪文である。


概要

ヘブンズ・フォース UC 光文明 (2)
呪文
S・トリガー
コストの合計が4以下になるように、好きな数の進化ではないクリーチャーを自分の手札からバトルゾーンに出す。
DMR-21 「革命ファイナル 第1章 ハムカツ団とドギラゴン剣」で登場した光文明の呪文。
久々に登場した「ヘブンズ」名称カテゴリの呪文であり、先行する《ヘブンズ・ゲート》のように踏み倒しを行うことができる。

その幅はコスト4以下と狭いものの、「合計コスト4になれば何体でも、そしてどんな文明でも」ばらまけるのが利点。
白黒赤で組まれることが多かった【ジョバンニスコール*1や、光を採用した3色【バニラビート*2で色事故を防ぎスムーズに展開することを可能にする。

そして踏み倒しのメタクリーチャーは2マナが下限であるため、先攻2t目でこれを唱えると踏み倒しメタが間に合わないという異常事態に陥ってしまう。
一方で自分はその踏み倒しメタを豪華に2枚踏み倒してしまうのもありである。

こんなにユーティリティが高いカードでありながら、レアリティがまさかのアンコモン。
後にはプロモーションカードやウルトラゴールデンカードにまで上り詰めた。
……しかし、このカードの存在はデュエル・マスターズ史を何度も乱したとも言える。

歴史

このカードが当初登場した際に使われたのは【サザン・ルネッサンス】。
《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》のシンパシー対象となる光の3コスト以下のウィニーをばら撒くことができる。
サザンはミラダンテXIIの革命チェンジで使い回すことができるため早期に出せれば出せるだけ好都合なのだが、
2t目に小型を2-3体ばらまいておけば3-4t目にはサザンが降臨という寸法である。

そしてもうひとつ使われたのが【赤白レッドゾーン】。
《ヘブンズ・フォース》の効果で《轟速 ザ・レッド》や《轟速 ザ・ゼット》を踏み倒し、最短2tで《轟く侵略 レッドゾーン》に侵略させるという超高速デッキに仕上がる。
このデッキの誕生は《ヘブンズ・フォース》ありきであり、一時期こそ【赤黒レッドゾーン】に押されていたものの、
そちらのキーカードである《絶叫の悪魔龍 イーヴィル・ヒート》《復讐 ブラックサイコ》が殿堂入りしたことで、
レッドゾーンデッキのなかで最もオーソドックスなカラーとなった。

この2デッキで《ヘブンズ・フォース》が輝けた背景には2マナの踏み倒しメタが《制御の翼 オリオティス》程度しかなかったことが要因とされる。
【サザン・ルネッサンス】で踏み倒すカードはオリオティスからすると『不正』ではなかったので、脅威でもなんでもない。
レッドゾーンデッキもオリオティスを出されたら小型バラマキで一旦しのげばよかったので回避可能だった。
くわえてオリオティスは2デッキと色が合うのでむしろ同系メタに入れられることも多かった。

しかし新章DMに入ると《異端流し オニカマス》や《デスマッチ・ビートル》の登場で2t目で唱えられないと事故るだけになり、
一旦《ヘブンズ・フォース》は鳴りを潜め、レッドゾーンデッキの主流は【赤青レッドゾーン】*3や【赤緑レッドゾーン】*4になった。

しかし双極篇になると一転、踏み倒しメタの流行が《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》に移り、
オリオティス時代のように軽量でごまかしたり、4マナ溜まったときに使うことで呪文メタクリーチャー*5を出すマナを残して、
《正義の煌き オーリリア》や《ゴリガン砕車 ゴルドーザ/ダイナマウス・スクラッパー》を出せることから、
当時呪文をガンガン使う【チェンジザダンテ】に強く出られるとして、【赤白"轟轟轟"ブランド】での採用が見られるようになった。
このデッキでは《ヘブンズ・フォース》のあまり気にされない弱点である「手札消費が激しい」点を、
逆に《"轟轟轟" ブランド》の「手札がそれ1枚のときノーコストで召喚できる」効果につなげるという利用法が流行ったのである。
これによって《ヘブンズ・フォース》の殿堂入りを求める声もあがったが、このときは採用率が50%程度の《瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》を身代わりにすることで生き延びた。
サグラダ・ファミリアが抜けた程度で轟轟轟の勢いが収まるはずもなく、余った枠に《正義の煌めき オーリリア》をぶち込んで《ヘブンズ・フォース》から最速で投げる事でミラーマッチにおける相手の《ヘブンズ・フォース》を封じる構築が一般化する。
更に言うとオーリリアは《ヘブンズ・フォース》のみならず《メンデルスゾーン》や《フェアリー・ライフ》といった初動呪文まで封じられるため多くのデッキがとばっちりを受け環境から脱落する事に。

そして超天篇になると再び《ヘブンズ・フォース》はDMPの記憶から失われる。
これは当時の環境における呪文主体デッキへのメタは超天篇で登場した《音奏 プーンギ》で十分であると判断されたことで、
なんだかんだで出されると辛い《異端流し オニカマス》《デスマッチ・ビートル》に弱いとされて、
やはりプーンギに追い出されたサグラダ・ファミリアともども轟轟轟への採用を見送られるようになったのである。
サグラダ・ファミリア「なんで私殿堂入りしたんですかね?」

まぁそうは言ってもこの時期成立した【赤白ミッツァイル】なんかでは普通に採用されてたし轟轟轟の殿堂入り後は【赤白ミッツァイル】のキーカードとして猛威を奮っていた。
そしてこの【赤白ミッツァイル】は殆ど双極~超天篇のカードばかりで構成される都合上殿堂環境のみならず2ブロック構築も多いに荒らし回る事になり*6、この時期も殿堂入りを求める声が大きくなっていたがその後に登場したマナドライブという能力との相性の悪さから次第に数を減らした結果殿堂入りは免れている。

しかし今度は《ヘブンズ・フォース》圏内に入る《暴走獣斗 ブランキー》の登場で、
再び復権した【赤白レッドゾーン】に採用されるようになる。
このデッキは《STARSCREAM -ALT MODE-/STARSCREAM -BOT MODE-》、《GOOOSOKU・ザボンバ》の登場や、
轟轟轟で《ヘブンズ・フォース》を間接的に不採用に追い込んだ《音奏 プーンギ》などによる、
「デッキからも超次元からも超GRからも手札からも踏み倒しまくるメタビートデッキ」として発展したうえ、
仮想敵となる【ダッカルパラノーマル】が「パワーラインの低いクリーチャーメタ」を中心とするため、
「パラノーマルラインに入らないクリーチャーを2マナで踏み倒す」《ヘブンズ・フォース》の需要が上がった。
ちなみにその【ダッカルパラノーマル】も、《緑知銀 ダッカル》を出すために《ヘブンズ・フォース》を使うようになっていった。

そして《爆龍覇 ヒビキ》が登場したことで、今度は【連ドラグナー】での採用が見られるようになった。
なんといってもSAを持ち、《爆熱剣 バトライ刃》を用いてドラグナーたちや強力なドラゴンの踏み倒しを開始するこのデッキでは、初速が肝心であったのである。
しかしこの段階ではメタ次第で他のデッキでも勝ち目はあったし同じくTier1デッキ【カリヤドネループ】なんかには場合によっては押し切れずループに入られ負ける事が多く、かなり母数が増えていたが圧倒的という程ではなかった。
……しかし《勇者の1号 ハムカツマン蒼》を使い早期に《∞龍 ゲンムエンペラー》《ニコル・ボーラス》といった出したら勝ちレベルのドラゴンを安定して踏み倒す【ハムカツドラグナー】が開発されると状況は一変、環境の殆どを埋め尽くした。
この頃になると《爆龍覇 ヒビキ》をメタるために【赤白レッドゾーン】は本来レッドゾーンと相性の悪い《希望のジョー星》を入れ、
【連ドラグナー】相手にはレッドゾーンの踏み倒しを諦めて優秀なメタクリーチャーたちと侵略元でビートをするという対策を行うように。
このとき、《ヘブンズ・フォース》の「文明を指定しない踏み倒し」はジョー星下でも有効であるため問題はなかった。
そして【連ドラグナー】以外の相手には、それこそこちらも《爆龍覇 ヒビキ》を《ヘブンズ・フォース》で踏み倒し、
《斬鉄剣 ガイアール・ホーン》を持たせて《轟く侵略 レッドゾーン》に侵略するというエグいデッキが作られるようになったのである。
つまり、当時の環境は殆ど《ヘブンズ・フォース》ありきで環境が回っており、《ヘブンズ・フォース》を使わずに環境に食い込んでいたのは【カリヤドネループ】くらいの悲惨な状況であった。

そして10月末、かなり久々に発売されるスーパーデッキ、『蒼龍革命』。その新規カードとして《エヴォ・ルピア》の情報が公開される。
この《エヴォ・ルピア》は出た時にカードを1枚引き、その後でこのクリーチャーから進化できる5コスト以下の進化クリーチャーに進化させられるという効果を持つ赤白青の4コストクリーチャーだった。
つまり、《ヘブンズ・フォース》を使えば最速2ターン目に《凰翔竜機バルキリー・ルピア》か《鳳翔竜騎ソウルピアレイジ》を早期に出し、《蒼き団長 ドギラゴン剣》や《蒼き守護神 ドギラゴン閃》にチェンジする事で手札を温存しつつの現実的な2ターンキルが成立してしまうのである。
これを見た時に大半のプレイヤーの頭には《ヘブンズ・フォース》は規制されるのでは?という疑問が浮かんだ。
そして『蒼龍革命』の発売日が迫る中公開されたカードリストに《ヘブンズ・フォース》の文字はなく、この時殆どのプレイヤーは確信する。
相性が良い上に高騰している《ヘブンズ・フォース》の再録がないという事は間違いなく《ヘブンズ・フォース》は規制される、と。

その後公式生配信内で《ヘブンズ・フォース》のプレミアム殿堂入りが発表。
《ロジック・サークル》で簡単にサーチできるために殿堂入りでも生温いこのカードは、一発でプレミアム殿堂に指定されてしまったのである。


余談

愛称は「ヘブフォ」。

このカードは直前で殿堂入りした《フェアリー・ギフト》の調整版として出たとする説がある。
ギフトと異なり上限が決まっていることで、大型獣の踏み倒しを防ごうとしたというわけである。

しかし「自身は大型獣ではないが、大型獣をすぐ出せる」《轟速 ザ・レッド》を始めとした4マナコマンドや、
「《蒼き守護神 ドギラゴン閃》や《時の法皇 ミラダンテXII》などにつなげる5コストドラゴンを踏み倒せる」《エヴォ・ルピア》のように、
《ヘブンズ・フォース》の配慮を台無しにする「踏み倒しクリーチャーの踏み倒し」が横行してしまった。
《爆龍覇 ヒビキ》の場合に至っては《∞龍 ゲンムエンペラー》(コスト∞)まで出てしまう。
また「軽量獣にすれば同時に一度に出せる(≒手札を早期に減らすことができる)」効果は
ばらまくことで早期に出せる《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》や手札を1枚にすることで踏み倒せる《"轟轟轟" ブランド》とも相性が良かった。
いくらでもやりようがあったのである。

あとギフトはなんだかんだ自然+召喚したいクリーチャーの文明のマナがないとどうにもならないのに対し、
《ヘブンズ・フォース》は光だけあれば無視できてしまうのも強い点。
【赤白レッドゾーン】で火がないことはまあないだろうが、「火をマナに置きたくない」場面はあるだろう。
そんな場合でも最短2tでレッドゾーンを場に叩きつけられるのである。
とまあこのカードは自由度が高すぎるため、今後のカードデザインにも容赦なく支障を来すカードであったといえる。
そういう意味ではプレミアム殿堂になってよかったカードとも言える。
そもそもこのカードをメタりうる2マナメタクリーチャーは、もれなく《ヘブンズ・フォース》自身とも相性がよく、
したがって最終的には《ヘブンズ・フォース》を使う側が相手の《ヘブンズ・フォース》を警戒してそれらのメタクリーチャーを出すという、
ボルバルみたいな事が起きかねないというのも重大な問題であった。



追記・修正は相手がオニカマスやデスマッチやミクセルを出す前にお願いします。

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最終更新:2024年01月08日 23:32

*1 もっとも、革命ファイナル環境ではジョバンニスコールは白赤2色で組まれることが多かった。

*2 革命ファイナルでは《ベイB ジャック》という忌み子が存在しており、これでジャックと《駱駝の御輿》《アクア・ティーチャー》をばらまくことで高速で勝利につなぐことができる。

*3 言うまでもなくオニカマスや《単騎連射 マグナム》と《音精 ラフルル》の『単騎ラフルル』コンビを取り込めるカラーである。

*4 デスマッチの他、マナブーストなどによる安定性が売り。

*5瞬封の使徒サグラダ・ファミリア》など。

*6 革命ファイナル登場のカードだから使えないんじゃないの?と思われるかもしれないがプロモーションカードとして再録された時に双極篇のブロックマークが付けられていたため超天篇までは使用可能になっていたのである。