六人の同志

登録日:2021/04/27 Tue 03:51:32
更新日:2023/02/24 Fri 13:01:25
所要時間:約 6 分で読めます










六人の同志とは、漫画るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の登場勢力。


■概要

原作本編の最終章となった人誅編の主な敵対勢力。
雪代縁により、人斬り抜刀斎(緋村剣心)に怨みを持つ者から選りすぐられた戦闘集団。
抜刀斎に対する復讐として彼が関わる人々や施設を次々に襲撃する破壊活動「人誅」を計画・実行する。

なお、「人誅」とは幕末に抜刀斎をはじめとした人斬りが標的を暗殺した後に現場に残した「天誅」の文言になぞられた造語。
「天誅」が「天が裁きを下す(=日本の為に害為す存在を天に代わって排する)」という天意の下で自己の正統性を主張する意味合いだったのに対し、「人誅」には「天が裁かぬなら自分達(=人間)が裁く」という意味が込められている。


「抜刀斎への復讐」という目的のためだけに集まっているため相応に結束力は強いが、同時に個々人の復讐(とそれを口実にした戦闘行為)が根本にあるため、実態としては互いに互いを利用し合うという関係。
縁もその辺を考慮し「人誅の計画が終わった段階で協力関係は解消し、後は早い者勝ちで抜刀斎を殺していい」という確約の下で関係を構築した。
ただし、実際のところ縁にとって他の面々は人誅を効率よく進めるための手駒でしかなく、端から使い捨てにするつもりだった。
それどころか用済みの鯨波(発狂状態)を見捨て、同じく用済になった外印を「奴が余計な情報を漏らさないよう」という身勝手な理由で配下に殺させようとしたり酷薄そのもの。なので前章の敵集団だった十本刀などに比べるとその実態は打算的で殺伐とした関係性である。
蒸気機関車という文明の発達に感心したり、改名案に「戌亥とその下僕共」「外印と愉快な仲間達」「天井裏から愛をこめて」を挙げたりとノリの良い一面もある

メンバーの顔合わせは人誅編の序盤であるが以前から勧誘などはしていたようで、縁が日本にいなかった間は外印がメンバーを募っていた。
また、半数以上が幕末に人斬り抜刀斎と死闘を繰り広げた闇乃武の関係者となっている。

作中では横浜に用意した屋敷を拠点に、鉄道を使って東京へ出向き襲撃を行っている。
更に縁率いる上海マフィアの全面的なバックアップを受けており*1、アームストロング砲や爆弾、当時としては最新鋭の兵器である気球などの強力な装備を用いている。



■メンバー

人誅編はほぼアニメ化されていないため、声はゲーム版、演者は実写映画版『最終章 The Final』より。

雪代縁

六人の同志のリーダーにして人誅編の大ボスキャラ。
剣心の先妻・雪代巴の実弟(つまり剣心の義弟である)で、上海マフィアの頭目。
姉の死以来、狂気とともに生きてきたダウナー系復讐鬼。
詳細は雪代縁の項目を参照。


機巧芸術家(からくりあるていすと)”外印

人形師一族の末裔。
六人の同志に入れられてはいるものの、剣心に対しての怨みは全く無く、自身の美学の追及の為、縁と行動を共にしているに過ぎない。
詳細は外印の項目を参照。


“武身合体”鯨波兵庫

かつて戊辰戦争の際に抜刀斎と戦った幕府所属の元武士。
不殺を信念に掲げていた剣心に殺されなかったことを、死に場所を奪われたと解釈。
失った腕の代わりに重火器を携え、人誅編開幕の号砲を放つ。
詳細は鯨波兵庫の項目を参照。


“無敵鉄甲”戌亥(いぬい) 番神(ばんしん)

古流格闘術「術式無敵流」を継承する武術家で、人斬り抜刀斎時代に剣心が殺害した辰巳の弟子。
外見はアーミールック風味の道着とドレッドヘアー、バンダナが特徴。
詳細は戌亥番神の項目を参照。


“人間暗器” 乙和(おとわ) 瓢湖(ひょうこ)

細身で長身かつ、化粧をしているなど女性的な外見が特徴の暗器使い。
その外見から左之助からは「オカマモドキ」呼ばわりされた。
モデルは『サムライスピリッツ』の風間蒼月…と、思われがちだがそうではない*2
詳細は乙和瓢湖の項目を参照。


“人体精製”八ツ目(やつめ) 無名異(むみょうい)



俺は化物じゃなく人間を超えた者なのだ!!

闇乃武の一員であり、越後で金脈を掘り当てていた一族の出身。

他の面々よりも早く金脈を掘り当てる事を目的とした人体精製術により手足が常人の倍くらいはある長さとなっている奇形の怪人。
中でも目を引くのは、手足の中でも特に異常に長く伸びた左腕。
また、手足以外にも
  • バンダナ越しの鋭い白目や大きく裂かれた口
  • 骨灰で固めて鋭利にした歯
  • 異様に長い舌(これは人体精製術関係なく自前)
など、本当に人間なのかと疑わせる身体となっており、斎藤一からも「バケモノ」呼ばわりされた。少なくとも穴掘りのためにその牙はどう考えてもいらない
詳細は八ツ目無名異の項目を参照。


■読者からの評価

剣心の過去に因縁を持ち、剣心に対して復讐心を持つものたちの集団と、一見美味しそうな立ち場ではあるのだが、
剣心を追い詰めるためなら、赤べこ・前川道場・浦村署長一家とわずかでも縁のある人間たちを襲うなど手段は選ばない外道の巣窟。
その理由も
  • 敵討ちを口実にただ破壊と殺戮を愉しみたいだけ
  • 自身のプライドを傷つけられたから
  • 単なる美学の追及
  • そもそも過去に直接剣心と対峙していたのは半数程度。
……と真っ当な理由を持つのは縁一人(といっても、縁も縁でそもそもの発端が誤解から生じたものであり、多くの凶行を犯してきたためにあまり同情は出来ないのだが)しかいない。
それでも鯨波と八ツ目がまだ真っ当に剣心を憎んでいるように見えてしまう他3人のアレ具合
微妙な連中も混じっていたものの全体的には人気が高かった十本刀との差別化を図ったようだが、結果的にあまり功を奏しなかった。

実際十本刀の面々と比較をしても、戦闘力ではあちらの作中上位の強者に比肩しうる強者があまりおらず、各々に重いエピソードや一筋縄ではいかないキャラ付けがされている訳でもなく、外伝作品で一気に株が上がったりといった機会もなく、単に剣心以外のキャラの見せ場を作るための敵役以上の域を出ていないのが実情。
劇中においても大半が最初こそ手こずってはいたものの、縁を除いた全員があっさりと敗北し、中には露骨にザコ扱いされたりかつての強敵への当て馬的な扱いをされるなど強さ的にも微妙な描写となっている。

こういった点からか、読者からは「小物過ぎる」「魅力に乏しい」といった声が多く見られており、評価は芳しくない。
尤も、その後完全に全員から見事にザコだの見せかけの強さ扱いされた挙句あっさり一蹴される四神に比べれば、インパクトはあるキャラ付けや一応苦戦はさせているだけずっとマシではあるのだが。

ただ、番神に関してはそのバカキャラぶりが功を成してか、人気は結構高め。

一方、実写映画においては十本刀の面々のほとんどがお世辞にも良い扱いだったとはいえないのに対して、
こちらは人数が少ない関係もあって皆多かれ少なかれ見せ場を与えられており(それでも少々尺が足りなかった部分も否めないが)、
製作関係者達の演技・演出も相まって悪役としては比較的優遇されていると言えるだろう。








追記・修正は苦しまずにお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • るろうに剣心
  • 人誅編
  • 悪の組織
  • 人誅
  • 六人の同志
  • 私怨
  • 敵集団
  • 異能
  • 雪代縁
  • 鯨波兵庫
  • 戌亥番神
  • 乙和瓢湖
  • 八ツ目無名異
  • 外印
  • 外印と愉快な仲間達
  • 悪の組織
  • 復讐者
  • テロ
  • 戌亥とその下僕共
  • 天井裏より愛を込めて
  • イロモノ集団
  • 人誅
  • 同志
  • 烏合の衆
  • 六人組
  • チームワーク皆無
  • 悪役

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年02月24日 13:01

*1 縁は元々抜刀斎への復讐のために必要な力として武器マフィア組織を作り上げただけであり、一連の人誅が完了してしまえば組織自体が必要でなくなるため、「完了後はナンバー2の呉黒星に組織を譲る」という約束の下、私事である人誅へのバックアップを了承させていた。

*2 連載当時からかなりの数の指摘の手紙が来ていたらしいがコミックスのおまけコーナーで作者が明確に否定している。