SCP-1850

登録日:2021/05/22 Sat 23:40:18
更新日:2022/11/19 Sat 15:17:46
所要時間:約 7 分で読めます






「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、両方だ!」



SCP-1850とは、SCP Foundationが収容しているオブジェクトである。
項目名は「和名:ソッピースオオタカ/Accipiter sopwithii」。
Object Class:Safe

説明

SCP-1850は、ソッピース・トライプレーン戦闘機…の姿をした鳥。
何を言ってるのかわからない?うん、項目の作成者にもわからない。でも、SCPなんて基本そんなものだろう。


SCP-1850は見てくれはレトロな飛行機であるが、その機体(?)は生体組織でできた、紛れもない生物である。ナマモノである。
DNAの分析の結果、種族としてはハイタカ属の未知の鳥類であることが判明している。ちなみに性別はオスのようだ。
胴体は羽毛のない表皮で覆われており、支柱などの構造物は骨でできている。
ただ、解剖の結果、内部構造は航空機と鳥類のどちらとも異なるようだ。

あ、「お前は鷹か?鷹なのか?つまりお前は生まれ持っての空の王者なのだ!我と手を組めば、空の王者たるお前は空の覇者となるのだ!さあ、共に飛び立とうではないか!」とか、
「SCP-1850と言ったな…私をもう一度、第一次世界大戦の空の勇者にしてくれないか」などと考えて搭乗しようなどと考えないほうがいい。

こいつのコクピットは実は口と消化器を兼ねた器官だということが判明している。

単刀直入にいえば、乗ったら食われます。


コクピット=口に約8kg以上の質量でなおかつセ氏30度以上の温度を持つ物体が触れると、「操縦席」や「シートベルト」はその物体を拘束し、噛み砕き、分泌された消化液と混合してドロドロに溶かし、「コクピット」の表面全体から吸収する。
最近の飛行機って怖い。
SCP-1850は餌を食べてから24~36時間後に機銃を何発か発射する。
えっと、ここで嫌な予感がした人、正解。

この機銃の弾丸、グアノです。要はウ○コです。
飛ぶ速度は約8m/sであり、その材質と相まって職員にとって(物理的には)それほど重大な危険になることはないようだ。
…精神的な破壊力はある意味アヴェンジャーよりヤバそうだが。

SCP-1850に感覚器は見当たらないが、外部刺激を感知してそれに反応することができる。
しかも、脳やそれに相当する器官すら見当たらないのに、顔や声を覚えることもできるようだ。
まあ、クラゲだって脳がないけど、中には高度な眼をもっていて、しかも画像を認識できる能力を備えているやつもいることを考えれば、こちらは納得行かないでもないかもしれないが。
ちなみに、特定の職員を機銃で狙うこともあるようだ。

SCP-1850は機械部品に相当する器官を動作させることも可能である。
例えば車輪を転がしたり、エルロンを曲げる、プロペラを回すなど。ちなみにプロペラを回すのは喜びのサインらしい。かわいい。
SCP-1850は地上にいるときは不動であり、触ったり調べたりすることは可能である。コクピットに入らなければ。
ただ、体組織サンプルを採集しようとすると嫌がったり、雷の日はガクブル、飛行セッションのためにテザー(ロープ)をつけられている間は飛び跳ねて嫌がったりもする。
まあ、曲がりなりにも生物なので、体組織を採集しても再生することはできるのだが。

ちなみに同位体を使って栄養の流れを追跡してみたところ、その多数が体内に保存されており、外部エントロピーは含まれていないことが確認されている。
要は「謎の無限エネルギー」や「謎の栄養生成」などが無い、真っ当な生物である、ということである。(見た目以外は)

SCP-1850が財団に保護されてから33年ほど経っているようだが、現在は組織再生速度が保護当初から10%程減少している。
これは病気などではなく単なる老化のようだ。
ちなみにレントゲン撮影をしたところ、変形性関節症も発症していることも明らかになっている。

SCP-1850は散歩、つまり飛行セッションの際は、離陸後にハイタカ属の典型的な方法で滑空する。
20~30分飛んだあと、自ら着陸して格納庫に戻る。お利口さん。


というわけで、特別収容プロトコル。

特別収容プロトコル

SCP-1850はサイト-6の航空機格納庫で保管、というか飼育されている。
格納庫内の温度は15度以上に維持されている。
SCP-1850の着陸脚には無線ビーコンが装着されている。格納庫を出る際にはこのビーコンのバッテリー確認と動作チェックを必ず行うことになっている。
職員はSCP-1850を沈静化させずにコクピットに入り込むことは禁じられている。まあ、沈静化させなければ食べられてしまうからね。

沈静化は、精神安定剤ジアゼパム20gを餌に注入し、餌を30度まで温めてからコクピットに放り込み、消化が終わるまで待つという方法。
これで90分ほど沈静化できる。

3日ごとに、SCP-1850にはハツカネズミ、ネズミ、ウサギ、鶏、鳩を餌として合計65kg与える事となっている。よかった…餌にされるDクラスはいないんだ…
さらにそれに加え、コンドロイチン硫酸3gとグルコサミン15gもサプリメントとして与えることになっている。

財団の獣医師から「こいつも鳥だからなあ…運動させないとまずいぞ?」という勧告があったため、5日置きに係留飛行させることとなった。
テザーは強化鋼製ケーブルで作られており、長さは最大150m。
テザーはSCP-1850が格納庫を離れる前に取り付けられる。
飛行中は財団の軽飛行機2機が随伴する。
係留飛行は40分まで。
ちなみに、飛行を終えたらSCP-1850を洗うことになっている。いい暮らししてるのな。


補遺

19XX年の某日、サイト-6に地震による被害が生じ、その結果SCP-1850が脱走した。
あわや収容違反か!?と思われたが、SCP-1850は3分間自由に飛んだあと、勝手に財団施設に戻ってきた。
なんだかんだで財団施設が気に入ってるようだ。


考察、或いは勝手な想像

「飛行機の形をした謎の鷹」という、1000番台のオブジェクトとしてはかなりシンプルなオブジェクトであるSCP-1850。
しかもプロペラを回して喜んだり、財団の施設が気に入ってるようだったり、敵対的な行動も見せた様子が無いなど、可愛らしさすらある。
が、よく読むと、どことなく不穏な部分も垣間見れることがわかるだろう。

特別収容プロトコルには「餌を65kg与える」とあるが、この65kgという数値は御存知の通り、成人の平均的な体重とほぼ同じ数値である。
また、SCP-1850が餌と認識する条件は、「温度が30度以上」というものもある。
「65kgで、30度以上の温度の物体」と考えると、少し嫌な想像ができてしまう。

そしてもっと嫌な想像ができるのが、口=コクピットそのものである。
SCP-1850は飛行機の姿をした鳥である。
姿形は飛行機そのものである、つまりこいつの口は体の前面ではなく上部に付いているのである。
しかも、トライプレーンの画像をぐぐるなりして調べてみればわかるだろうが、コクピットは主翼後方という、通常の鳥の捕食行動には明らかに不都合な位置にある。
まさか、逆さまになって獲物を口に放り込む…なんてアクロバティックな捕食行動をしていたわけでもあるまい。こいつが鳥のように餌を「ついばむ」ことは困難だろう。
そう考えるとこいつの本来の「餌」は、鳥や小動物ではなく、もしかしたら人間だったのかもしれないと考えることもできる。
なぜ飛行機の姿をしていたのか?もしかしたら飛行機に「擬態」して、何も知らないパイロットを「捕食」するためだったのかもしれない。
もしかしたら、トライプレーンの現役時代には…
「いつの間にか飛行機乗りが消えていた事故」があったり、「人食いトライプレーン」が存在していたのかもしれない。


追記・修正は、SCP-1850にジアゼパムを20g与えてからお願いします。


SCP-1850 - Accipiter sopwithii
by Dr Bazan
http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1850
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1850(翻訳)
この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。

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最終更新:2022年11月19日 15:17