ソード・ワールド2.0

登録日:2021/06/16 (水) 23:00:00
更新日:2024/02/20 Tue 01:16:57
所要時間:約 50 分で読めます





概要

ソード・ワールド2.0 (以降「 2.0 」)とは、2008年に発売された北沢慶/グループSNE製作のTRPGである。2018年にはバージョンアップ版の ソード・ワールド2.5 (以降「 2.5 」)も発売されている。この記事は特に断りがなければ最新版である2.5に準じて、2.5で実装されてないか改訂が行われた内容については2.0についても触れるように記す。

ソード・ワールド(以降「 無印 」)の「フォーセリア」とは全く別の、三本の剣によって生み出された世界「 ラクシア 」を舞台としている。その中でも2.0ではテラスティア大陸、2.5ではアルフレイム大陸をメインステージとしている。魔法や多種族が存在し、人々を脅かす魔物が跳梁跋扈し、勇気ある者たちがその対処に活躍する――俗に言う「剣と魔法のファンタジー世界」を踏襲した世界観だが、銃やバイク、飛空艇など、先の時代の遺物である機械も存在する。

世界観

まずはじめに、第一の剣ルミエル、第二の剣イグニス、第三の剣カルディアの3本の「 始まりの剣 」によって世界は創られ、剣たちは使い手を求めてさまざまな生命を原初の世界に生み出した。そして、その過程で誕生した 人間 を扱う能力を持っていた。

人間は「始まりの剣」に触れることでその力を得て、人を導くとなったが、さまざまな神が生まれる中で「始まりの剣」を求める争いが起きた。その過程である神が魂を「穢れ」させる手法を生み出し、凶悪な姿をした怪物―― 蛮族 を生み出した。長きに渡る戦争の末に、神々は戦いの傷を癒すために眠りにつき、世界には人族と蛮族、そして絶えない争いだけが残された。

神々の時代である 神紀文明時代 (シュネルア)、魔法が大いに発達し、魔法王が世界を支配した 魔法文明時代 (デュランディル)、魔動機術の発明により魔法が大いに人々に普及し技術が大いに進歩した 魔動機文明時代 (アル・メナス)を経て、プレイヤーが冒険することになる現代に至る。魔動機文明は300年前に発生した「大破局」で蛮族によって滅亡に追いやられており、それを辛くも生き長らえた人々は、僅かに残された技術をもとにその復興を目指している。

人間、エルフ、ドワーフなどの 人族 に対し、神々の時代に人間が魂の歪み――「 穢れ 」を取り入れて強大に進化した 蛮族 (バルバロス)が存在し、神々の時代から不倶戴天の敵として争い続けている。他にも、ドラゴンなどの有史以前に始まりの剣によって生み出された 幻獣 、「穢れ」に汚染され現世を彷徨う魂 アンデッド 、異世界よりラクシアの侵略を企てる謎の種族 魔神 など、世界に根付く脅威の数は計り知れない。ただの動植物ですら、現実のそれよりも遥かに巨大かつ獰猛に進化している。

民草には対処不可能なそれらに立ち向かい、様々な問題を解決するのが、プレイヤーがなる 冒険者 である。冒険者は 冒険者ギルド に所属することで様々な仕事を斡旋され、その実力に応じて剣にちなんだランク(ダガー、レイピアなど)を与えられる。2.5では冒険者及び冒険者ギルドの成り立ちも記されており、魔法文明時代にラクシアに侵略してきた魔神に対処する防人のネットワークが受け継がれたものとされている。

システム

無印同様、「 2d6 *1 +基準値 」でほぼ全ての判定を賄うことが可能。他のTRPGと比較してルールが覚えやすく、必要なものが入手しやすい6面ダイスくらいなので、TRPG初心者にもお勧めされやすいシステムのひとつである。慣れないうちはややこしいと評判のレーティング表も「威力表」に名前を変えて健在。
一方で戦闘は明確にテコ入れされ、まず敵味方の陣営が分けられるようになった。それぞれの陣営のキャラクターは戦闘開始時(2.5では「戦闘準備」と定義された)に「先制判定」を行い、陣営毎に達成値が最も高いキャラクターの数値を比較し、高い陣営から行動する。同じ陣営内であれば行動順は自由なため、味方が魔法やバフを使った後に前衛が接敵するなど、戦術の幅が広がっている。

さらに、「特技」を冒険者レベル1、3、5……と2レベルおきに習得することが可能。これによって上級の装備ができるようになったり、よりダメージの大きな攻撃ができるようになったり、魔法を複数の対象にかけられるようになるため、同じ技能を習得しているキャラクターでもさまざまな差別化を行うことができる。HPも冒険者レベルに応じて上がるようになった。
また、大型の魔物には「部位」という概念が付加されており、例えばドラゴンなら「頭部」「胴体」「翼」のように分かれ、独立したステータスを持っている。移動こそ一括で行われるが、手番ごとにそれぞれの部位が独立して行動するため、複数部位を持つ魔物はその部位の数だけの強さを持つことになる。ただし、部位を持つ魔物は「コア部位」が指定されており、その部位のHPが0以下になると気絶する。

他にも技能レベルの上限も10から15になっており、経験点を消費せずにシナリオ毎に能力値が成長するようになった。ただし、「2d6を振り、それぞれの出目に対応した能力値のどちらかを+1する」というシステムになっているため、必ずしも目当ての能力値を伸ばせるわけでもなくなっている。

ルールブックとサプリメント

基本ルールブック裏表紙で「国産No.1TRPG」を謳っているだけあって、関連書籍が大量に刊行されている。この記事を読んでソード・ワールドシリーズに初めて触れるwiki籠りはどれから買えば良いか悩むと思われるため、参考にして頂きたい。
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基本ルールブックⅠ〜Ⅲ(共通)

略称:基本(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)
まずはこれだけあればOK。というかこれが無ければ始まらない。2.0、2.5ともにルールブックⅠはレベル6まで、Ⅱはレベル10まで、Ⅲはレベル15までをサポートしており、ルールブックⅠだけでも十分に遊べる。ルールブックⅡ以降は新しい種族や技能なども追加される。

アルケミストワークス(2.0)

略称:AW
新技能「アルケミスト」の追加の他、アイテムの再掲載や新規掲載がされたデータブック。各種技能の解説や神様の掘り下げなどもあり、実質的な上級ルールブックのような内容になっている。

バルバロステイルズ(2.0)

略称:BT
プレイヤー用の蛮族キャラクターの作り方や、魔物のデータが掲載されたデータブック。新規収録の魔物も多いので、GMをするなら買っておいて損は無い。他にも様々な状況における処理を提供するシチュエーション戦闘も収録されている。

ウィザーズトゥーム(2.0)

略称:WT
魔法を一新し、「深智魔法」を初めとした様々な追加データを記したデータブック。特に妖精魔法はこのサプリの採用前と後で完全に別物になるので注意。神器や魔剣といったアーティファクトも掲載されているが、ほとんどは取引不能か非売品なためGMがシナリオフックにする程度だろう。

カルディアグレイス(2.0)

略称:CG
新規PC用種族と新たな冒険者技能が追加されるデータブック。新技能を使いこなす魔物のデータも掲載されている。巻末にはここまでのサプリのデータ一覧があるので何かと便利。

イグニスブレイズ(2.0)

略称:IB
新規PC用種族と魔物データが追加されるデータブック。戦闘特技が大幅に改訂されており、新規で追加が行われたほか、既存の特技にも習得しやすくなったものがある。

ルミエルレガシィ(2.0)

略称:LL
新規PC用種族とアルケミストワークス以来のアイテム追加がメインのデータブック。新規ルールとして「トレジャードロップ」が実装されている。

フォルトナコード(2.0)

略称:FC
「超越者ルール」が実装され、レベル上限が17に拡張されるデータブック。それに伴う特技や魔法など、そして強さが青天井なPC達に対抗しうる魔物データやキャンペーンのソースなども記載。超越者以外も「名誉点事業ルール」によって店を開いたりすることができる。

エイジ・オブ・グリモワール(2.0)

略称:AOG
新たな舞台として魔法文明時代のラクシアで遊ぶことができるシステム。現代では絶滅した種族や失伝した技能などが掲載されている。

ゲームブック形式サプリメント(2.0)

「ミストキャッスル」「フェアリーガーデン」「エターナルエンパイア」「カースドランド」「ミストグレイヴ」「エンドレスメイズ」が該当。ゲームブック形式でソロプレイも可能になったシナリオブック。非常に殺意が高いと評判。

プレイヤーズハンドブック(共通)

「フェイダン博物誌」「ザルツ博物誌」「ユーレリア博物誌」「ダグニア博物誌」「ディルフラム博物誌」「イスカイア博物誌」(2.0)、「ブルライト博物誌」(2.5)が該当。各種地方がピックアップされており、特産品や地域特有の魔物、戦闘特技をアレンジする「流派」などが掲載されている。「ディルフラム博物誌」には蛮族用の超越者との選択ルール「求道者ルール」が、「イスカイア博物誌」には「エイジ・オブ・グリモワール」の超越者用拡張データも記載されている。

バルバロスブック(2.0)

略称:BB
蛮族に焦点を当てた文庫本サイズのサプリメント。前半は各種蛮族の紹介としてオムニバス形式の小説、後半は各種蛮族のPC作成に必要なデータ、そして小説に登場する蛮族のエネミーデータが掲載されている。特に完全体のドレイクやバジリスクのPCを扱うにはこの本が必須。

ラクシアゴッドブック(2.0)

略称:RGB
ラクシアの神々に焦点を当てた文庫本サイズのサプリメント。基本形式はバルバロスブックと同様。新たなPC用種族「センティアン」のデータ、特殊神聖魔法の再録や新録、神々にゆかりのあるアイテムなどが収録されている。

エピックトレジャリー(2.5)

略称:ET
2.5版「アルケミストワークス」のようなデータブック。それぞれの技能の世界観的な解説の再録のほか、新規アイテムやリファインされた2.0掲載のアイテムが掲載されている。トレジャードロップルールも仕様を変えて実装。

モンストラスロア(2.5)

略称:ML
2.5版「バルバロステイルズ」のような魔物中心のデータブック。蛮族PCの追加は無いが新たな技能「ドルイド」「デーモンルーラー」が実装される。

メイガスアーツ(2.5)

略称:MA
2.5版「ウィザーズトゥーム」のようなデータブック。深智魔法の再録、新たな信仰対象となる神の追加、妖精魔法のカスタマイズを簡略化して実装など魔法についでの記載が多い。他にも2.0からウォーリーダーが再録された他、新技能であるジオマンサーも追加された。

バトルマスタリー(2.5)

略称:BM
2.5版「イグニスブレイズ」か。新技能「バトルマスタリー」の追加が目玉。放浪者(ヴァグランツ)専用を含めた全ての戦闘特技一覧が再録され、2.0は主に「博物誌」系サプリに掲載されていた流派秘伝も正式実装。魔物データの追加、再録もある。

アーケインレリック(2.5)

略称:AR
2.5版「カルディアグレイス」。種族にフォーカスを置いたサプリで、新種族「スプリガン」「アビスボーン」のほか、アウトロープロファイルブックに先行掲載されていた「アルヴ」「シャドウ」「ソレイユ」「ウィークリング」、2.0からは「フロウライト」「ハイマン」「ダークドワーフ」が再録。
また、エルフやリルドラケンなどお馴染みの種族をアレンジしたデータ「希少種」も実装された。その他、各種族に伝わるアイテムなどの追加データや新たなボス魔物も掲載されている。

種族

プレイヤーが使用可能な種族は5種類だけだった無印と比較して大幅に増加し、基本ルールブックだけでも10種類程度、サプリによる追加も含めれば30種類以上にも及ぶ。また、種族による技能習得制限が比較的緩くなっており、例えばエルフもプリースト技能を習得できるようになった。
無印には一応存在した所謂「ハーフ」はラクシアには存在せず、例えば人間とエルフの間からは人間かエルフのいずれかが生まれることになる。しかし、先祖に他種族の血が混ざっている場合、隔世遺伝的な形で両親のどちらでもない種族の子が誕生することが稀にあるとのこと。また、種族同士で子供ができるかできない(確認されていない)かの組み合わせもある。
2.5ではサプリ「アーケインレリック」において既存種族の 希少種 が実装。通常種とは少し違った種族特徴を持つキャラクターを作れるようになった。

人族

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人間

初出:基本ルールブックⅠ
ラクシアにおけるヒューマン。生まれにもよるが突出した点は存在せず、逆に苦手な職業もない良くも悪くも器用貧乏な種族。
しかし、種族特徴[剣の加護/運命変転]によって1日1回だけあらゆる2dの出目をひっくり返す(例えば、1ゾロ(自動失敗)なら6ゾロ(自動成功)になる)ことが可能*2。レベルが上がると特徴使用時の出目にボーナスを得ることができるようになる。このことから、1ゾロや判定失敗が死に直結しかねないスカウトやプリーストは人間じゃなければ安心できないというプレイヤーも存在するとかしないとか。

エルフ

初出:基本ルールブックⅠ
ご存知耳長で高身長で長命な種族。種族特徴は[暗視][剣の加護/優しき水]。[暗視]はによって暗い場所で視界を確保でき、[剣の加護/優しき水]は水中で発声が可能になり、息継ぎなしで1時間活動可能になる。特徴が地味だったからか2.5では毒、病気属性に耐性を得るようになった。レベルが上がると味方1人も水中で行動できるようになったり、水中で休息すると通常より高い効果を得られたりする。
「技」「心」に優れ「体」、特に筋力に劣るため、魔法技能やスカウトに向く。設定上魔動機術には疎いとされているが、器用度と知力が突出しているので何気に銃を持つ適性が高く、そういうキャラクターをロールプレイしてみるのも面白いかもしれない。

ドワーフ

初出:基本ルールブックⅠ
背が低くがっしりとした種族。男性はイメージ通りの髭もじゃ、女性は合法ロリ少女のような姿である。種族特徴はエルフ同様の[暗視]に加え、[剣の加護/炎身]によって炎属性のダメージや悪影響を一切受けない。レベルが上がると味方1人もその効果を受けられるようになったり、純エネルギー属性にも耐性を持つようになる。
器用度、筋力、生命力、精神力が高いが、敏捷度が致命的に低く10にも満たないことすらありえる。このことから持ち前の打たれ強さを活かしたファイターや、移動距離をカバーできるライダーと相性がいい。敏捷度を気にしなくていいことからシューターも良い。魔法なら知力が低めで精神力が高いのでコンジャラーやプリーストによる支援が有力か。

タビット

初出:基本ルールブックⅠ
直立したうさぎの姿をした人族。もっふもふ。寿命は50年と短めだが、その分多産系でもある。
種族特徴は[第六感]で、危機感知判定を「冒険者レベル+知力ボーナス」で行える。後述の通り知力が高いのでそれを活かすことが可能。レベルが上がると罠感知判定も同様の基準値で行え、さらにレベルが上がればそれらの判定にボーナスを獲得する。
とにかく知力が高く、生命力と精神力はそこそこ、それ以外はからっきしというわかりやすい魔法向け種族。首から下は飾りだとよく言われる。しかしプリーストだけは何故か習得できず、タビット本人(?)達は「自分たちは呪われた神の末裔だから」などと考えている模様。余談だが、公式では何故か肉球を推されることが多い(現実のうさぎには肉球は無い)。

ルーンフォーク

初出:基本ルールブックⅠ
魔動機文明時代に生み出された人造人間。製造設備「ジェネレーター」から産出され、設備そのものの製造法が失われた現在でも現存器から担当している。
外見は人間と大差ないが、首周りなどに硬質なパーツがあることで見分けられる。また寿命はタビットと同じく50年とやや短めなものの、生まれてから死ぬまで外見年齢が変化しない。
種族特徴は[暗視]と[HP変換]。1日1回、主動作でHPを任意の数値だけMPに変換可能で、低くなりがちなMPをカバーできる。レベルが上がると補助動作でできるようになったり、使用回数が増えたりする。
「体」の能力値と器用度が高く、精神力が低くなりやすいことから戦士向けな種族と言える。公式では設定上相性の良いマギテックシューターがよく見られるが、器用度こそ高いものの知力は並で精神力は低いので別段適性が高いというわけではない。もちろん、相性が悪いというわけでもないが。
人造の魂故に神の声を聞くことができず、妖精を見ることもできないのでフェアリーテイマーとプリーストを習得できない。2.5ではドルイドも習得できないとされている。他にも、蘇生されても「穢れ」が一切溜まらない代わりに過去1年の記憶を失ったり*3、誕生から寿命での死亡(機能停止)まで肉体的に成長しなかったりと、何かと特殊な要素が多い種族である。

ナイトメア

初出:基本ルールブックⅠ
人間、エルフ、ドワーフ、リルドラケンから稀に誕生する、穢れを持った非常に厨二心を擽られる種族。生まれに関わらず人間の姿で、色白で角と痣がある。
不老という驚きの特性を持つものの。その容貌や穢れに対する忌避感、生誕時に角で母体を傷つけてしまうことから忌み子とされることが多い。
このことから蛮族側につき、自らを「ダークナイト」と名乗るナイトメアもいる。ただしリルドラケン生まれだけは例外で、卵生なことに加えて親子意識よりも兄弟意識の方が強いことから「少し変わった子」程度の扱いしかされない。生来の角も生まれる時に卵の殻を割るのに便利だとか。
種族特徴は[異貌][弱点]。[異貌]は補助動作で姿を変貌させ、鎧による魔法行使のペナルティを受けなくなり、また発声も不要となる。[弱点]は単純なデメリットであり、生まれの種族に応じた属性と、銀の武器によるダメージが増加してしまう*4。レベルが上がると異貌中に与えるダメージが上昇したり、命中判定と行使判定にボーナスを得たりする。
蛮族同様に穢れを持つだけあって、能力値は全体的に高水準。人間以上に万能な種族だが、その能力値と種族特徴から魔法戦士への適性が極めて高い。

リルドラケン

初出:基本ルールブックⅡ
神々の時代にドラゴンが始まりの剣の祝福を受けたことで誕生した人族で、直立した身長2mほどのドラゴンのような姿をしている。その恐ろしい外見に反して温厚かつ社交的な種族で、戦士の他にも商人として働く姿もよく見られる。
種族特徴は[鱗の皮膚][尻尾が武器][剣の加護/風の翼]の3つで、前者2つは防護点を上昇させる、尻尾を武器として扱えるといったもの。[剣の加護/風の翼]は1日につき一定時間だけ空を飛べ、飛行中は近接攻撃の命中力、近接攻撃に対する回避力にボーナスを得る。レベルが上がると飛行中に全力移動が可能になり、飛行時間も長くなる。
能力値は器用度と知力が低く、筋力と生命力が高い。特に生命力は生まれと出目によっては30にも到達し、特徴も相まってとにかく打たれ強い。低い器用度は命中力にプラス補正のかかるメイスを装備したり、飛ぶことでカバーできる。特技〈テイルスイング〉を活かしたグラップラーも選択肢に入り、グラップラーらしからぬ耐久力を発揮することができるだろう。

グラスランナー

初出:基本ルールブックⅡ
自由を愛する小柄な人族。好奇心が旺盛な一方、手癖が悪いことから商人などから嫌われることもある。種族特徴は[マナ不干渉][虫や植物との意思疎通]。[マナ不干渉]はMPを持たない代わりに精神抵抗力判定を要求される効果に対し、成功することで一切無効化することができるというもの。[虫や植物との意思疎通]は字面の通りだが、危険を感じる程度で会話などを行えるわけではない。
プレイアブルな種族の中でも特に尖った能力値の持ち主で、敏捷度と精神力がずば抜けて高く、筋力は「1」すら有り得るほど貧弱。無印と違って魔法の習得自体は可能だが、魔晶石などの補助無くして使えないので非現実的。非力でまともな装備もできないので、アタッカーとして扱うことは厳しいと言えよう。
しかしグラスランナーの真骨頂は尖った能力値を最大限に活かすことであり、特技〈挑発攻撃〉を交えたフェンサーでパーティの盾になったり、精神力の高さからバードで高達成値の呪歌を撒き散らしたりすることでGMを泣かせることができる。精神力と特徴のおかげで魔法も非常に通りづらい。

シャドウ

初出:カルディアグレイス(2.0)、アウトロープロファイルブック(2.5)
月神シーンの加護を受けた、灰褐色の肌と三つ目を持つ種族。強靭な肉体を持つ戦闘種族で、密偵や傭兵を生業としていることが多い。種族特徴はお馴染み[暗視]と[月光の守り]。精神抵抗力が常に+4され、低い精神力をカバーしている。レベルが上がると毒、病気属性に耐性を持つようになり、さらに精神抵抗力にボーナスを受けるようになる。
能力値は「技」≧「体」>「心」と言ったところで、見るからに戦士向けである。スカウトに関しては敏捷度は高いので先制判定に関しては申し分ない一方で、低い知力のせいで探索関連が苦手になりがち。

フィー

初出:カルディアグレイス(2.0)
妖精の中でも強い自我を持ち、人族としての性質を持った種族。種族特徴は[妖精の加護]と[浮遊]で、[妖精の加護]は特定属性に対して与ダメージの上昇と被ダメージの軽減を受け、[浮遊]は足場が悪いことによるペナルティを受けなくなる。レベルが上がるとダメージへの補正が上昇し、さらに一度に2つの属性まで選択できるようになる。
能力値は敏捷度と知力と精神力が高く、他はまずまず。プリーストとマギテックを習得できず、生まれに関わらずフェアリーテイマーをLv1で習得するのでビルドの幅は広いとは言えない。蘇生に関してもリザレクションの代わりに20点の魔晶石を必要とし、穢れを受けないなどルーンフォークのように特殊である。ただし、こちらは4回までしか蘇生を行えない。

フロウライト

初出:カルディアグレイス(2.0)、アーケインレリック(2.5)
「生きた魔晶石」とでも形容できる、全身が透明な鉱石で構成された人族の中でもひときわ特異な存在。しかし好奇心旺盛で他の人族との積極的というどこぞの竜人のような種族。顔の周りが光を発し、その色合いに感情が出ることから見た目以上に表情豊かである。
種族特徴は[魂の輝き][鉱石の生命][晶石の身体]。[魂の輝き]は半径10mを照らす松明いらずな特性。[鉱石の生命]は飲食や呼吸が不要で、毒、病気属性の効果を受けなくなる。そして[晶石の身体]は防護点が上昇し、最大MPが大幅に上昇するといったもの。おまけで水に沈むようになる。レベルアップでは防護点と最大MPにさらに磨きがかかる。
能力値は生命力が低く、精神力がかなり高い。呼吸をしないのでエンハンサー技能を習得できない。リルドラケン以上の防護点を持つが、HPはガラスの如く脆いため前衛に立つのはやや不安。しかし、特技〈頑強〉などを習得すればとんでもないことになる。MPは最大値こそ無尽蔵だが、毒属性無効の裏返しで魔香草などによる回復を行えない……が、2.5において専用の回復アイテムが実装された。

ハイマン

初出:イグニスブレイズ(2.0)、アーケインレリック(2.5)
古代魔法文明時代に生み出された改造人間。白い肌に加え、体のどこかに魔法陣を持つ。魔法に高い適性を持つが、生命力が貧弱で寿命が人間の1/3ほどであることから失敗作の烙印を押されてしまった。長らく遺跡で休眠状態であったが、「大破局」による地殻変動で覚醒し、地上に再び姿を現したと言われている。
種族特徴は[デジャヴ]と[魔法の申し子]。[デジャヴ]は前世の記憶が時たまフラッシュバックし、1日1回だけ魔法の行使判定以外の知力基準の判定にボーナスを得る。[魔法の申し子]は魔力が上昇し、行使判定で6ゾロを出すとMP消費が0になる。レベルが上がれば1ゾロでもMPを消費しなくなり、さらに魔力も上昇する。その設定通り「心」の能力値が高く、生命力が低い。同じ魔法向け種族のタビットと異なり、プリーストを習得可能である。

ミアキス

初出:イグニスブレイズ(2.0)
猫耳と尻尾が生えた種族。種族特性は[暗視][猫変化][獣性の発露]。[猫変化]は猫に変身する能力。ただし変身中は耳と首以外の装飾品が外れてしまう。[獣性の発露]は爪と、猫変化中は牙を武器にし、受け身を「冒険者レベル+器用度ボーナス」で行える。レベルが上がると猫耳尻尾を消したり、さらに他の人族に化けることが可能になる。
能力値は「技」系が高く、筋力と精神力が低め。重装備ができないことからフェンサーやグラップラー辺りが有力だろう。知力はそこそこ確保できるが、精神力が低いので魔法技能に向いているとは言えない。

ダークドワーフ

初出:イグニスブレイズ(2.0)、アーケインレリック(2.5)
神々の時代に人族を裏切り、蛮族に与したドワーフの末裔。このため、人族でありながら蛮族と同等に扱われる特殊な種族である*5。「ダーク」とつくが通常のドワーフと比べて色白。種族特徴は[暗視]と[黒炎の遣い手]で、HPを消費することで攻撃を「〇炎無効」を無視する炎属性に変化させ、ダメージを上昇させる。
能力値は全体的にドワーフよりも高いが、生命力だけはやや低い。このことから種族特徴も合わせてドワーフよりも攻撃的に立ち回ることが可能。ただし、種族特徴でHPを消費する必要があり、「剣の加護/炎身」も失われているため防御性能は原種ほど過信できない。

ヴァルキリー

初出:ルミエルレガシィ(2.0)
ナイトメアのように人間から突然変異で誕生する種族で、生まれつき体に翼のような模様を持つ。しかし、こちらは穢れを持たず、神の祝福を受けた子として丁重に育てられる対照的な存在。また、ナイトメアと異なり女性しか存在しない。
種族特徴は[戦乙女の光羽][戦乙女の祝福]。[戦乙女の光羽]は落下ダメージを一切受けず、転倒しない。[戦乙女の祝福]は同じ座標の味方1人の抵抗力を上昇させる。能力値は親譲りのバランス型だが、精神力が高く、敏捷度がやや低くなりやすいためそれを補うライダーと相性が良い。特徴で騎獣を強化することもできる。

ソレイユ

初出:ルミエルレガシィ(2.0)、アウトロープロファイルブック(2.5)
太陽神ティダンによって生み出されたと言われる筋骨隆々とした大柄な種族。種族特徴は[太陽の子][輝く肉体]。決してその時不思議なことを起こすライダーではない。[太陽の子]は日光浴でHPを回復し、昼間は精神抵抗力に大幅なボーナスを得るが、夜は逆にペナルティを受けてしまう。[輝く肉体]は1日1回、対象の判定にペナルティを与える。ただし金属鎧を装備していると効果が半減する。
能力値はもはや清々しいレベルで脳筋戦士向け。「技」はなかなか高く、「体」は30近くにもなる全種族トップクラス、そして「心」はグラスランナーの筋力並み。MPが低すぎるので魔法はまず向かないどころか、練技すらまともに使えるか怪しい。このため否が応でも戦士技能を主軸に成長させていくことになるだろう。
あまりに知力が低すぎる為にRPで交易共通語すら怪しい扱いをされる事も

レプラカーン

初出:ルミエルレガシィ(2.0)、基本ルールブックⅢ(2.5)
小柄でもふもふの耳を持った種族。男性は髭が生えて更にもふもふと化す。手先が器用だが人見知りで、普段は人々から姿を隠して生活している。種族特徴は[暗視][見えざる手][姿なき職人]。[見えざる手]は装飾品の枠が1つ増え、[姿なき職人]は主動作でMPを消費して透明化する。レベルが上がると装飾品の枠がさらに増え、1ラウンド1回補助動作で装飾品の変更が可能になる。
能力値は器用度が飛び抜けて優れ、他は平均かそれ以下。クロスボウやガンを扱うシューターや、スカウトに適性を持つ。敏捷度もそこそこあるのでフェンサーやグラップラーとして前に出るのも悪くない。能力値こそぱっとしないものの、種族特徴で「能力増強の指輪」などのアイテムを活用すればそれ以上の活躍を期待できるだろう。全体的に大器晩成型。

センティアン

初出:ラクシアゴッドブック
彫像が神の力を受けて命を持った特殊な種族。繁殖能力こそ持たないが、質感は人間のそれと変わりない。受肉させた神が第一・第三の剣に連なる神の場合は人族、第二の剣に連なる神の場合は蛮族として扱われ、生まれながらに必ずその神のプリースト技能を習得している。
種族特徴は共通して[刻まれし聖印]によって聖印を装備せずに神聖魔法を行使可能で、さらにどの剣に連なる神のセンティアンかによって特徴を持つ。第一の剣の神の場合は[神の御名と共に]により、主動作で行使した神聖魔法の出目が一定以下の場合にMP消費が0になる。
第二の剣の神の場合は[神への礼賛]で、MPを追加で消費することで神聖魔法の威力を増やすことが可能になる。第三の剣の神の場合は[神の庇護]で一定レベル以下の神聖魔法の消費MPが減少し、[神への祈り]で1日1回、10分間祈ることでMPを回復する。また、全ての神に共通でレベルが上昇すると神聖魔法の魔力も上昇する。
能力値は元が彫像だからか生命力がかなり高く、それ以外は平均並みだが器用度が低くなりがち。先述した通りどの生まれでもプリースト技能をLv1で習得することになり、種族特徴もプリースト関連となるため、それを活かすならば自ずとビルドは限られてくるだろう。プリースト自体が汎用性の高い技能であることは救いだろうか。

ノーブルエルフ

初出:エイジ・オブ・グリモワール(2.0)
エルフの上位種と言われる人族。外見は通常のエルフよりも更に端麗で、神々しいほどの魅力を放っていたとも言われている。寿命や老いといった概念も存在しないが、その分肉体的には脆弱な上に出生率がかなり低く、魔法文明時代末期にはそれが更に落ち込んでしまう。彼らが気づいた時には既に遅く、必死の(時には狂気的な)努力の甲斐も虚しく魔法文明と共に滅びてしまった。
種族特徴は[暗視][剣の加護/水の申し子][カリスマ][痛みに弱い]。[剣の加護/水の申し子]は[剣の加護/優しき水]の上位版で、水上や雪上を地上のように歩くことが可能。[カリスマ]は精神力基準の行動判定にボーナスを得る。[痛みに弱い]はナイトメアの[弱点]のような単純なデメリットで、受ける物理ダメージが増加してしまう。能力値はエルフとほぼ同等だが、合計値、特に「心」の数値はエルフより高い。

マナフレア

初出:エイジ・オブ・グリモワール(2.0)
全身からマナの炎を噴き出す人族。溢れ出るマナを第3の腕にように扱うことができる。しかし、その性質から貴族、すなわち魔法使いになることが不可能なため被支配階級に甘んじることになり、最終的には魔力の供給源として魔法王たちに使い潰され絶滅したという悲しい末路を辿った種族である。
種族特徴は[溢れるマナ][マナの手]。[溢れるマナ]は最大MPを「冒険者レベル×3+精神力」で算出する特徴で、魔法使い技能を取らずしても潤沢なMPを確保可能。[マナの手]は腕が3本あるとして扱われる特殊な特徴で、また味方に触れることでMPを譲渡できる。レベルが上がると3本目の腕が10m先まで対象にすることが可能になる。
能力値は筋力、次いで敏捷度が高くなりやすく、知力が低い。一切の魔法使い技能が習得できないことも相まって、設定通り戦士以外の道は基本的に狭いと言える。高いMPを活かすにはエンハンサーや、同サプリで追加されたアーティザンをサブ技能として習得するといいだろう。[マナの手]の性質を活かせば離れた相手に近接攻撃をしたり、両手武器+盾を持つなどトリッキーな挙動も可能。

リカント

初出:基本ルールブックⅠ(2.5)
獣の耳と尻尾を持つ何気に今まで猫耳と蛮族しかいなかった獣人。前向きな性格で社交的な者が多い。種族特徴は[獣変貌][暗視(獣変貌)]。主動作で頭を獣のそれに変化させることで筋力ボーナスを増加させ、さらに暗視も獲得する。しかし変貌中はリカント語しか話せなくなる。レベルが上がると補助動作で変貌可能になり、敏捷度ボーナスも上がる。
能力値は敏捷度と知力が高いのでメインスカウト向け。器用度や筋力も悪くないので、前に出て戦うのが基本となる一方、変貌を使用すると神聖魔法と森羅魔法以外の魔法を使えなくなるため、それ以外の魔法技能には向かない。精神力が低いため敵の魔法やMP切れには注意。

メリア

初出:基本ルールブックⅡ(2.5)
植物から人族となった種族。草花を由来とする短命種と樹木を由来とする長命種が存在し、前者は寿命がわずか10年とハイマンより短い。なお、両者で能力に差はない。種族特徴は[繁茂する生命]。睡眠不足によるペナルティを受けず(眠ることは可能だし眠る効果は受ける)、レベルが上がると日光の下では生命抵抗力と生死判定にボーナスを受けるようになる。
能力値は知力と精神がそこそこ、生命力がかなり高く、他は伸び悩むことから魔法使いに向いている。高い生命力と種族特徴のおかげで魔法使いとは思えないレベルで硬く、不意の被弾に対して強い。

ティエンス

初出:基本ルールブックⅢ(2.5)
魔法文明時代に人間とアストレイド(神族の魔物)を合成したことで誕生した人造種族。宝玉のような部位を身体に持ち、任意で休眠状態になることで寿命以上に長生きすることが可能。種族特徴は[通じ合う意識]で、言葉を交わさずに相手と意思疎通が可能になる。騎獣に対しては判定にボーナスも与えられる。
神族を元にしているだけあって能力値は優秀。生命力と精神力が高くなりやすく、弱点もないので同じ万能種族のナイトメアよりも耐久に優れる。種族特徴まで活かすとなれば、ライダーになるのが良いだろう。

アルヴ

初出:アウトロープロファイルブック(2.5)
ヴァンパイアの魂が"導きの星神"ハルーラによって転生、人族になったと言われる種族。白い肌に黒い眼球という明らかな人外の姿だがれっきとした人族である。他人からマナを吸わなければ生きることができず、その姿から無知な人々に蛮族に間違えられることも多いと苦悩することが多い種族だという。
種族特徴は[暗視][吸精]。響きがえっち。1日に[精神力ボーナス]回まで、主動作で接触可能な対象のMPを一定量吸収することが可能。ただし人族と蛮族しか対象に取れず、MPを持たないキャラクターやアルヴ同士を対象にすることはできない。レベルが上がると射程10mで吸精を行えるようになり、吸収量も増える。
能力値は知力が高く、ボーナス3も余裕で狙える。それに次いで敏捷度と筋力も優秀。しかし生命力と精神力が低く、打たれ弱く息切れしやすい。攻撃的な能力値のため前衛後衛を問わずアタッカー向けで、スカウトへの適性もあると言える。

蛮族

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ドレイク

初出:バルバロステイルズ(ブロークン)(2.0)、バルバロスブック(ナイト)(2.0)
蛮族を統べるエリートで、蛮族の代表格とでも言える種族。美しい人間の姿に竜の角と翼を持ち、魔剣を持って生まれる。しかし稀に魔剣を持たずに生まれたり、後天的に魔剣を失う場合もあり、PCとしては完全なドレイクは「ナイト」、魔剣を持たないドレイクは「ブロークン」と称され区別される。
完全なドレイクは自らの魔剣を取り込むことで竜に変身する能力と、強さに応じた「爵位」を持つ。一方で魔剣を持たない「ブロークン」は明らかな劣等種として扱われ、生まれた直後に処分されることが大半の他、魔剣を失えば妖魔などの下級蛮族にすら軽んじられるという。運良く生き延びたそのようなドレイクが、人族社会に逃げ込むこともあるという。
種族特徴は共通の[暗視][弱点(魔法ダメージ+2)]に加え、ブロークンは[限定竜化]、ナイトは[魔剣の所持][飛行][竜化][光のブレス]を持つ。[限定竜化]は飛行とブレスの能力を得るが、設定的にもデータ的にも非常に扱いづらいのが難点。ナイトの各種能力は、ほぼほぼ魔物としてのドレイクの通りである。
能力値は蛮族の貴種とだけあって全体的に非常に高い。ブロークンとナイトで能力値自体には大差なく、またブロークンは生来の穢れが3点と「守りの剣」の影響下でギリギリ活動できるレベルとなっている。ナイトは存在がバレた時のリスクや穢れが4点であることを踏まえると人族のシナリオで使うことは想定されていないと思われる。

ダークトロール

初出:バルバロステイルズ(2.0)
トロールと呼ばれる強さと鍛錬を好む蛮族の上位種。身長は3mにも及び、巌のような黒い体躯を誇る。武人然とした性格の者が多く、弱者に興味を持たず強者との戦いを求めていることから敢えて同族と敵対し、人族の味方として振る舞う者も存在し、そのようなダークトロールをPCとして扱うことが可能。
とはいえ、姿を変える程度ではまず隠すことは不可能な巨体、守りの剣の影響下に入れない4点の穢れ、初期で交易共通語を習得していないなど、いざ人族の領域で冒険しようとなると乗り越えるべきハードルがこれでもかと立ちはだかる。他の蛮族と同様に蛮族領で使用するか、GMの許可を念入りに得てから使うべきである。
種族特徴は[暗視][弱体化][トロールの体躯][弱点(魔法ダメージ+2)]。能力値こそ敏捷度と知力以外優秀だが、特徴で太陽の下では命中と回避に-2のペナルティを受けるのがキツい。耐久力が高くリルドラケンのように防護点の上昇があるため、〈かばう〉主体のファイターが無難な選択肢だろう。

ラミア

初出:バルバロステイルズ(2.0)
人間の上半身と蛇の下半身を持つ種族。女性しか存在しない。1日に18時間まで下半身を人間のものに変化させられるが、その場合は能力が低下する。穢れが2点と比較的少なく、人族の血を吸わないと生きることも繁殖もできないことから蛮族にしては穏やかな性格の者が多い。もちろん、積極的に人を襲うようなラミアもいるが。
種族特徴は[暗視][ラミアの身体][ラミアの吸血][変化][弱点(土属性ダメージ+3)]。能力値は蛮族らしく優秀で、特に「心」が高い。また、牙と尻尾を武器として使える。おまけに牙による攻撃が命中すれば、ダメージを減少させる代わりにダメージ分だけHPを回復することを選択可能。レベルが上がれば1日1回だけ、HPの代わりにMPを回復することもできる。
しかし、[変化]によって人族として活動するなら話は変わる。多くの判定や最大HP、MPにペナルティを受け、[暗視]と[弱点]以外の種族特徴を失うことになる。魔法の行使判定だけはペナルティを受けないので、あえて種族特徴を捨てて魔法使いになる選択肢もアリといえばアリ。

ライカンスロープ

初出:バルバロステイルズ(2.0)
いわゆる「人狼(ワーウルフ)」。ただし虎や熊の姿をしたものも存在する。人間の姿をとることが可能で、人化したライカンスロープを見分けることは不可能。また彼らは繁殖能力を持たず、人間を攫っては満月の夜に特殊な儀式を行い同族にすることで増える。独自のコミュニティを築き、人族や蛮族の争いには中立的だというが、生態故に人族には迷惑な存在である。
種族特徴は[暗視][獣人の力][獣化][弱点(銀武器ダメージ+3)]。[獣人の力]は太陽の下では命中と回避にペナルティを、満月の夜には逆にボーナスを受ける。[獣化]は獣の姿をとることで牙を武器として扱い、さらに防護点を大幅に上昇させる。ただし、銀や魔法の武器による攻撃や、剣のかけらで強化された魔物による攻撃にはこの防護点を適用できない点に注意。
能力は全体的に高いが、生まれは軒並み戦士向け。器用度、敏捷度、筋力のいずれかをダイスロールした後に+6することが可能で、元々の能力値が人間の戦士レベルであることも相まってボーナス4を狙うことも不可能ではない。太陽の下でのペナルティは他の蛮族より緩いので、それを打ち消すこともできる。

コボルド

初出:バルバロステイルズ(2.0)
直立した犬のような最弱の蛮族。もふもふ。従順で臆病故に他の蛮族からは奴隷や非常食として扱われ、それを嫌って人里に逃げてくる個体も多い。正体を隠すことはまず不可能だが、余程蛮族に嫌悪感を持つ地域でもない限り、むしろ隠さなくても問題ない。穢れも1点とナイトメア並みなので、人族の領域で生活することは蛮族の中で最も容易に思われる。
種族特徴は[種の限界][軽視][小さな匠][弱点(魔法ダメージ+2)]。[種の限界]はどう足掻いても技能レベルを5までしか上げられないというもので、キャンペーンや高経験点スタートで使うことが難しい。[軽視]は1戦闘に1度だけ、「どうせコボルドだし……」と対象を自分から他に逸らせる。[小さな匠]は非戦闘時の器用度基準の判定にボーナスを得る。
能力値は「技」「心」こそ人間並みだが、「体」は期待値で2桁に届かないほど貧弱。必然的に耐久力も低いため、ファイターであっても前衛に立つのは不安。器用度と知力はそこそこ確保できるので、シューターや魔法技能が無難だろう。もちろん、銃を持つことも可能。[小さな匠]を活かせるスカウトやレンジャーもアリ。

ウィークリング

初出:カルディアグレイス(2.0)、アウトロープロファイルブック(2.5)
人間などが穢れを持って生まれるナイトメアとは逆に、蛮族から稀に誕生する穢れの少ない個体。当然、その分親よりも能力が劣ることからモヤシ野郎(ウィークリング)と呼ばれている。強さこそ正義の蛮族社会では迫害されることが多く、大半は幼い頃に命を落とすが、運良く生き延びた者が人間社会に亡命することがある。
PCとして使用可能なウィークリングはガルーダ、バジリスク、マーマン、ミノタウロスの4種。2.5ではマーマンの代わりにタンノズのウィークリングが実装された。
それぞれが親に対応した種族特徴と弱点を持つため、親の種族に拘らなければ人間レベルに器用な種族になるが、逆に言えば種族特徴まで活かそうとすると自ずとビルドが限られることもある。特に「《薙ぎ払い》を強化する」という効果のミノタウロス生まれに顕著。

ラルヴァ

初出:カルディアグレイス(2.0)
人間と吸血鬼のハーフというナイトメア並みに厨二心が擽られる種族。病的に青白い肌に暗闇で赤く光る目を持つものの外見は人間に近く、その性質上人間社会で生きることが多い。
種族特徴は[暗視][吸血の祝福][忌むべき血][弱体化][弱点(物理ダメージ+2)]。[吸血の祝福]はラミアにように牙で攻撃して与えたダメージの分だけHPを回復できるが1日1回しか使えない。[忌むべき血]は武器に血を塗ることでHPを消費して物理ダメージを上昇させる。後者2つはデメリットでしかなく、[弱体化]は日光の下では命中力と回避力に-2のペナルティを受ける。
ノスフェラトゥの子ということで能力値は総じて高水準だが生命力だけは低く、[忌むべき血]を活かすには戦士技能を取らないといけない上にただでさえ低いHPを消費しなければならない。おまけの[弱体化]である。このことから前衛と後衛でスイッチ可能な魔法戦士向けと言われるが、いずれにしてもかなり上級者向けの種族である。

バルカン

初出:イグニスブレイズ(2.0)
第二の剣イグニスそのものを信仰する、3mにも及ぶ巨体に赤黒い皮膚、魔神じみた姿をした蛮族。本来は排他的な種族だが、PCとして使用可能なバルカンは裏切り者を追う「咎人」の宿命を負うことになる。しかし彼らには「同族で争ってはいけない」という掟があり、その罪の証として翼を切り落とされており、PCのバルカンは飛行することが不可能である。
種族特徴は[暗視][炎無効][バルカンの宝石][弱点(水・氷属性ダメージ+3)]。[バルカンの宝石]は生まれつき両手に宝石が埋まっており、炎属性と土属性の妖精使いの宝石として扱えるというもの。レベルアップでさらに特徴[強制召喚]を習得し、1日1回だけHPとMPを消費して冒険者レベル以下の炎属性か土属性の妖精を召喚可能になる。さらにレベルが上がるとHPとMPの消費量を増やして召喚できる妖精のレベル上限が上げられる。
能力値は高水準にバランスが取れており、特に生命力がダークトロール程ではないが高い。「心」の能力値もそこそこあるので魔法も使えるが、始まりの剣そのものを信仰するからかプリーストは習得できない。また、ダークトロール同様の人族社会で暮らすために超えるべきハードルをいくつも抱えている。

バジリスク

初出:バルバロスブック(2.0)
ドレイクと並ぶ蛮族の支配者。外見は人間と変わらないが、石化の呪いを秘めた邪眼とそれを抑制するための眼帯、触れた者を傷つける毒の血液、そして巨大な8本脚の爬虫類のような魔物形態に変身する能力を持つ。ドレイクと比較して変わり者が多いらしく、さまざまな実験を行ったり石化させた物をコレクションすることを好むらしい。それ故か、魔物データでも「反応:中立」となっている稀有な蛮族。
種族特徴は[邪視と瞳石][猛毒の血液][魔物化][弱点(水・氷属性ダメージ+3)]。[邪視と瞳石]は発動体なしで真語、操霊魔法を行使可能となり、補助動作で相手を石化させることが可能。[猛毒の血液]は近接攻撃でダメージを与えた対象に毒属性の魔法ダメージを与え、魔物化は魔物としてのバジリスクと同様に変身する能力。
能力値は高い「心」が保証されるためドレイクよりも魔法使い向きだが、種族特徴を完全に活かすには前衛に立たなければならず、おまけに魔物化すると知力が-12点されるため、魔法使いとしての能力が低下してしまう。また、ドレイク(ナイト)同様の理由で人族社会での運用は絶望的であることについては注意されたし。

リザードマン

初出:バルバロスブック(2.0)
身長2mほどの直立したトカゲの姿をした蛮族。リルドラケンに似ているが翼や角は無い。主に水辺での生活を送り、蛮族の中でも排他的だが、仲間意識が強く連携能力に長けている。穢れは3点と人族の領域でもギリギリ活動可能だが、普通の人族とはかけ離れた容貌のため、リルドラケンのふりをするなどしないかぎりは混ざるのは難しいだろう。
種族特徴は[尻尾が武器][水中活動][無呼吸活動][弱点(土属性ダメージ+3)]。[尻尾が武器]はリルドラケン同様のもので、[水中活動]は水中での行動にペナルティを受けない。[無呼吸活動]は1時間呼吸をせずに活動可能で、毒、病気属性への抵抗力にもボーナスを得る。レベルが上がると近くにいる味方に数に応じて命中力にボーナスを得る[仲間との連携]か、傷ついた味方の数に応じて与えるダメージが増える[敵への憤怒]から選んで取得できる。
能力値は全体的にバランスが取れているが、特に敏捷度が優秀。筋力、生命力もそこそこ高く、精神力が最も低くなりやすい。前に出ることで意味を発揮する種族特徴を持つため、やはり戦士か魔法戦士に向いていると言える。

ケンタウロス

初出:バルバロスブック(2.0)
ご存知半人半馬の蛮族。蛮族の中でも独立して行動しており、武人然とした性格の者が多い。また、穢れが3点なので一応「守りの剣」の影響を受けないが、そのあまりにも特異な外見故に正体を隠すことはほぼ不可能なのが難点。
種族特徴は[半馬半人][馬人の武術][弱点(土属性ダメージ+3)]。その外見通り非常にユニークで、前者は蹄を武器として扱え、移動距離が通常の2倍になる代わりに騎獣に乗ることができず、装飾品の枠も変化する。後者は一部の騎芸を騎乗せずに適用できるというもの。レベルが上がると背中に仲間を乗せられるようになる。
能力値は器用度がかなり高く、筋力、生命力、精神力も優秀だが大柄だからか敏捷度は低い。特異な体型だからかグラップラー技能が習得できない。種族特徴を活かすならファイターorフェンサー+ライダー技能が筆頭候補であり、面倒な騎獣の管理をせずに騎芸の効果を受けられるのがメリットとなる。ちなみに、やろうと思えば騎芸【遠隔指示】を習得することで騎獣を運用することは可能。

技能

無印とは異なって技能のレベル上昇に必要な経験点は2種類(テーブルA、テーブルB)のいずれかになっており、テーブルAの技能は必要経験点は多いがメイン技能として、テーブルBの技能は必要経験点が少なくサブ技能として運用される傾向にある。

戦士技能

武器を使って戦うための技能。武器による命中力判定と、シューター技能以外は攻撃を回避する回避力判定を行えるため、前に立って打たれ弱い魔法使いなどを守るのに必須の役回り。
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ファイター(重戦士)/テーブルA

初出:基本ルールブックⅠ
重装備に身を固め、最前線に立つ戦士技能。無印の同名技能とほぼ同等だが、全ての武器や防具を使えた旧版と異なり、投擲以外の射撃武器や格闘武器がファイターで使用不可能になっている。また、強力な武器や防具は言うまでもなく高価であるため、常にお金に悩まされる技能だったりもする。
防護点の高い金属鎧を装備できるため非常に堅牢で、特技〈かばう〉を習得すれば味方を守ることもできる。逆に〈全力攻撃〉〈薙ぎ払い〉などの攻撃的な特技を習得すれば、攻撃力と防御力を両立した前衛になることもできる。防具を固めておけば〈全力攻撃〉の回避力へのペナルティも気になりにくい。しかし、回避力を要求される魔法ダメージであるガンは天敵。

グラップラー(拳闘士)/テーブルA

初出:基本ルールブックⅠ
武器に頼らず、己の肉体を駆使して戦う戦士技能。装備が大幅に制限されるため防御面は心もとないが、Lv1の時点で特技〈追加攻撃〉を習得し、2回攻撃を行うことが可能。また、敵にダメージを与えつつ行動判定にデバフを与える〈投げ攻撃〉、敵の攻撃に対して反撃する〈カウンター〉を自動習得し、高い火力や妨害能力を主軸に立ち回ることになる。
その凄まじい手数とダメージを上昇させる特技〈魔力撃〉の組み合わせ(通称「まりょップラー」)が2.0では猛威を奮ったが、2.5では特技の仕様が変更され、攻撃のうち1回にしか乗らなくなり弱体化した。その一方で〈投げ攻撃〉が宣言特技ではなくなり、〈牽制攻撃〉や〈魔力撃〉などと組み合わせやすくなった点もある。

フェンサー(軽戦士)/テーブルB

初出:基本ルールブックⅠ
軽量武器を扱う戦士技能。無印のシーフ技能の戦闘部分だけ抜き出したような性能で、必要筋力の上限が半分になる代わりにすべての武器のクリティカル値が-1される(クリティカルしやすくなる)。近接攻撃だけでなく投擲攻撃も可能なため(もちろん、投擲攻撃にもクリティカル値減少は乗る)、そちらをメインに立ち回るのもアリ。
総合的な防御力はファイターに、攻撃力はグラップラーに劣るため、上手く使わなければ中途半端な性能になってしまう。しかし、上記2つの技能と比較すると必要な経験点が少なく、他の技能との兼業に向いている。特に同じく装備が制限されるスカウトや魔法技能と相性が良い。あるいはあえて兼業せず、高レベルによる命中や回避の優位性を持つのも良いだろう。

シューター(射手)/テーブルB

初出:基本ルールブックⅠ
射撃武器を行う戦士技能。こちらも無印のレンジャー技能から戦闘部分だけ取ったような性能で、必要な経験点もフェンサーと同等。ボウ(弓)やクロスボウの他、マギテック技能と組み合わせればガン(銃)を扱うこともできる。必要筋力や防具に制限はないが、戦士技能で唯一デフォルトで回避力判定を行うことができず、特技〈射手の体術〉が必要。

バトルダンサー(戦舞士)/テーブルA

初出:バトルマスタリー(2.5)/テーブルB
ようやく追加された新規の戦士系技能。その名の通り舞い踊るかのような身のこなしで戦う技能で、武器に関しては格闘を含む近接武器全般と投擲武器を筋力いっぱい装備可能。一方で防具はグラップラーと同様の制限を受け、当然盾も装備できないため耐久面には難がある。
習得した時点でバトルダンサーでのみ使用可能な追加の宣言特技を1つ獲得し、火力や妨害に偏重したグラップラーとは異なる柔軟でトリッキーな戦闘が得意。Lv7になると特技《舞い流し》で、「形状:射撃」の魔法などに回避力判定で対抗可能になる。

魔法使い系技能

魔法を使うための技能。全てテーブルAである。
「魔法技能レベル+知力ボーナス」が「魔力」となり、行使判定やダメージ計算の基準値となる。敵に魔法の効果を十全に発揮するには、行使判定で敵の精神抵抗力を上回らなければならない。抵抗されると魔法によって与えるダメージが半減したり、効果を全く表さなくなってしまう。
逆に言えば(グラスランナーなどの例外を除けば)抵抗されても半分のダメージは通る上に魔法ダメージは敵の防護点を無視するため、MP消費にさえ目を瞑れば強力なダメージディーラーとして活躍することが可能。もちろん、技能にもよるが充実した補助や回復といった切れる手札の種類が多いのは魅力的。
魔法技能をLv1習得する毎にMP最大値が3点上昇し、複数の魔法技能を習得すればその数だけ上昇量が重複するため、特に特技〈魔法拡大〉を多用するならば魔法技能を兼業して損はないだろう。
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ソーサラー(魔術師)

初出:基本ルールブックⅠ
古代魔法文明で体系化された「真語魔法」を扱う魔法技能。無印のソーサラー技能を二分し、攻撃や妨害系の魔法を集めたようなもので、世界観的にもコンジャラーとは理屈がほぼ同じとされている。また、双方のレベルを上げることでより強力な魔法「深智魔法」を使えるようになる。
全体的に相手の抵抗を抜くことを前提とした魔法が多く、高い魔力を要求される。また、金属鎧を装備していると行使判定に大幅なペナルティを受けるため、他の魔法技能と比較して戦士技能との兼業が難しいとされている。しかし、特技〈マルチアクション〉と相性がいい魔法「ブラスト」なども存在するため不可能ではない。要するにロマンである。また、ナイトメアであればこれらの制限を無視することができる。

コンジャラー(操霊術師)

初出:基本ルールブックⅠ
同じく古代魔法文明で体系化された「操霊魔法」を扱う魔法技能。無印のソーサラー技能を二分した片割れで、回復や補助系の魔法が多く、アンデッドやゴーレムを作ることも可能。さらに重要な要素として、死者の蘇生を行えるほぼ唯一の魔法系統である。ただし、蘇生やアンデッドは世界観的には禁忌であり、知識のない者から恐れられることも多い。
以上のことから察せるだろうがとにかく器用。ソーサラーとの相性は先述の通りだが、他にも戦士技能と兼業すればゴーレムと自身で前線を構築することもできる。(攻撃や妨害系の魔法もないことはないが)補助や回復魔法は相手の抵抗を抜く必要がなく、ソーサラー同様の金属鎧によるペナルティも存在こそするものの気になりにくい。

プリースト(神官)

初出:基本ルールブックⅠ
「神の声」を聞くことで「神聖魔法」を扱う魔法技能。旧版とは異なり、信仰する神に関わらず同一の技能となっている。一般的に「ヒーラー」と呼ばれる役回りの魔法が多く、回復能力に関しては魔法技能の中でも随一のためパーティに1人は欲しい。鎧のペナルティがないため戦士技能とも兼業は容易で、育ちきった神官戦士は非常に頼もしい。
プリースト最大の特徴は、術者が信仰する神によって一部の使用可能な魔法が変化することである。第一の剣と第三の剣の神を信仰する場合は蛮族に、第二の剣の神を信仰する場合は人族に対して有効な魔法を習得し、それぞれの神によって独自の「特殊神聖魔法」を使用できる。信仰によってロールプレイの方向性を見い出してみるのもよい。

マギテック(魔動機師)

初出:基本ルールブックⅠ
300年前に滅んだ魔動機文明を支えた技術「魔動機術」を扱う魔法技能。鎧によるペナルティは存在しないが、特に低レベルでは直接攻撃を行う魔法に難儀するため戦士技能との組み合わせがほぼ前提となっている。探索を補助できる魔法があるのでスカウトやレンジャーと、バイクを作れるのでライダーとも相性がいい。
そしてマギテック技能といえば、やはりシューター技能との組み合わせによる銃使い(通称「マギシュー」)である。命中はシューター、ダメージはマギテックに依存するものの、火力役としての能力は本作屈指。回復弾を撃てばプリースト以上の効率と回復量の回復ができる。さすがに複数への回復は厳しいが。
2.0では特技〈両手利き〉による二挺拳銃の2回攻撃+「ショットガン・バレット」などの範囲攻撃弾が凄まじい性能を誇ったが、2.5では範囲攻撃系の弾丸が両手持ちのガンでしか使えなくなってしまった。

フェアリーテイマー(妖精使い)

初出:基本ルールブックⅠ(2.0)、基本ルールブックⅡ(2.5)
妖精と心を通わせ、その力を「妖精魔法」として扱う魔法技能。旧版のシャーマンとほぼ同等だが、性別による差異はなくどこでも魔法が使える。
サプリ採用環境、あるいは2.5では炎、水・氷、風、土、光、闇の6属性から数種類選択し(プリーストと異なり後で変更も可能)、それに応じた魔法を使えるようになる。妖精は金属を嫌うため、金属鎧を装備しているとソーサラー同様のペナルティを受ける。
複数の属性から魔法を選択できるため、コンジャラーに匹敵するレベルで器用。例えば炎で攻撃、風で補助、光で回復なんてこともできる。扱える属性が多いので、敵の弱点を突きやすいのもメリット。特定の魔法で3ラウンドだけ妖精を召喚できるが、召喚中は妖精魔法を使えないデメリットが重く、また各妖精の能力を熟知している必要もあるので上級者向け。
またサプリ採用環境では6属性全てと契約する事で「混沌属性」と言われる攻撃魔法を使用可能になるが(2.0基本でも一部使用可能)、個別属性の高位魔法が使用出来なくなるため一長一短ではある。

デーモンルーラー(魔神使い)

初出:カルディアグレイス(2.0)、モンストラスロア(2.5)
異界に存在する「魔神」の力を借りる「召異魔法」を扱う魔法技能。魔神そのものがラクシアにおいては危険な存在と認知されているため、デーモンルーラーもまた一般人はおろか冒険者からも危険視されることが多く、そういう意味では非常に使いづらい。
2.0では使用が露見すれば私刑すら有り得ることからほぼNPC専用の魔法のようになっていたが、2.5ではルールも扱いやすく刷新され、世界観的にも魔神が浸透していることから「対魔神の研究」という大義名分を持ち、ある程度はプレイヤーも扱いやすくなった。それでも街中で大っぴらに使うと白い目で見られること間違いないが。
特徴としては前衛向けのバフ・デバフと後衛向けのダメージ魔法、そして魔神召喚が挙げられる。召喚した魔神は命令を聞いてくれるとは限らず、戦闘終了後に送還判定を行わなくてはならないなど、他の魔法技能と比べて癖が強い。

グリモワール(秘術師)

初出:エイジ・オブ・グリモワール(2.0)
古代魔法文明に存在し、現代では失われた「秘奥魔法」を扱う魔法技能。使用には「魔導書」を必要とする。後述する「その他技能」のようにレベルが1上がる毎に魔法を1つ選択習得するため、他の魔法技能より使える魔法の数は少なくなるが、それぞれの魔法の性能は一枚上を行く。意外にも鎧の制限がなく、武器や盾として扱える魔導書もあるため魔法戦士にも向く。

ドルイド(森羅導師)

初出:モンストラスロア(2.5)
自然に宿る動植物の魂と交流し「森羅魔法」を扱う魔法技能。植物の力で持続的な回復力を与える、動物の精霊体を具現化して必中の物理ダメージを与えられるなど使い勝手は良い。補助動作で使用可能な魔法が多数存在するが、当然使用した数だけMPを消費するので何も考えずに乱発すればあっという間にガス欠してしまう。
動植物の力を借りることから、抵抗に生命抵抗力が要求される魔法が多い。また「シンボリックロア」と呼ばれる、1日1回などの使用制限が存在する非常に強力な魔法を切り札として使うこともできる。

その他技能

その技能単体ではなく、他の技能との組み合わせを前提とした補助的な技能。全てテーブルBである。
例外的にバードやアルケミスト、ミスティックはメイン技能として運用するに足りる性能を持つ。また、スカウト、レンジャー、セージ以外の技能はレベルが上がる毎に1つ、新たな能力を習得することで強化していくことができる。
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スカウト(斥候)

初出:基本ルールブックⅠ
無印のシーフ技能の戦闘以外の部分を抜き出したような技能。探索から罠や鍵の解除、さらに重要な要素として先制判定を行えるためパーティに1人は必須と言える。とはいえ、下記のレンジャーやセージ同様にこれ単体では戦闘能力は皆無なため、スカウト一本伸ばしという成長は避けるべきである。
レベルを上げることで有用な特技を自動習得し、中でもLv7習得の〈ファストアクション〉は、先制することで最初のラウンドに2回行動できるという極めて強力なもの。ただし、サプリ「イグニスブレイズ」採用後は自力で先制判定に成功しなければならない。

レンジャー(野伏)

初出:基本ルールブックⅠ
無印の同名技能の(ry。スカウト同様に探索を行えるが、屋外(2.5では「自然環境」と定義された)でしか判定できないという意味では下位互換となる。しかし、薬草やポーションの回復量を増やすことが可能で、MPを回復する「魔香草」の存在からやはりパーティに1人は欲しい。
こちらもレベルアップで特技を自動習得し、〈不屈〉でHP0以下でも気絶することがなくなり(当然、死亡は回避できない)、〈ポーションマスター〉で1ラウンド1回だけ補助動作でポーションを使えるようになる。耐久型のファイターにとって嬉しい特技が揃っており、これ目当てでレンジャーを伸ばす冒険者も多い。

セージ(賢者)

初出:基本ルールブックⅠ
さまざまな知識関連の判定や、言語の習得に必要な技能。特に「魔物知識判定」は重要で、この判定に成功しなければ弱点の効果が例えプレイヤーが知っていたとしても適用されない。レベルによる自動習得特技の〈マナセーブ〉でMP消費を軽減し、〈弱点看破〉で相手の弱点の効果を倍増させるなど魔法技能と好相性。両方とも知力を要求されるため、兼業も自然である。

エンハンサー(練体師)

初出:基本ルールブックⅡ
特殊な呼吸法によって自らの肉体を変化させる「練技」を扱う技能。MPを消費するが発声は不要で、魔法ではない。全てが補助動作で使用可能なため、戦士が自己強化を行うのに適しているが、当然MPや経験点の消費があるので「素直に技能を伸ばした方が強いのでは?」という事態が往々にして発生する。活かすならエンハンサー独自の能力を扱っていくべきだろう。

バード(吟遊詩人)

初出:基本ルールブックⅡ
様々な効果をもたらす楽曲「呪歌」を扱う技能。会話限定だが、Lv1ごとに1つ言語を習得することが可能。判定が精神力依存という何気に数少ない技能である。MPの消費はないが無差別に効果をもたらすため、運用には(PLの)熟練が必要。2.5では新たな要素「楽素」「終律」やバード専用の特技などが実装され、強化されたとともに処理の複雑さが増した

ライダー(騎手)

初出:基本ルールブックⅢ
動物や幻獣、バイクなどの「騎獣」を乗りこなす技能「騎芸」を扱う技能。騎獣も攻撃を行えるので手数が増えたり、騎獣に探索を行わせたり、ライダー技能そのもので魔物知識判定(セージと異なり弱点は抜けない)を行えるなど汎用性の塊。ただし騎獣の存在が前提となるため、生身では魔物知識判定以外は経験点の無駄になってしまう。

アルケミスト(錬金術師)

初出:アルケミストワークス(2.0)、基本ルールブックⅢ(2.5)
物質の「特質」を抜き出した「マテリアルカード」により、支援や妨害を行う「賦術」を扱う技能。マテリアルカードにはB、A、S、SSランクの4種類があり、最低のBランクが20Gでランクが上がる毎に値段が10倍になり(つまりSSランクは20000G)、ランクに応じて発動する効果が変動する。
賦術は補助動作あるいは主動作で使うことが可能で、補助動作では1ラウンドに1回、対象1体にしか使うことができない。また、達成値を求めない(0として扱う)ため、敵には自動的に抵抗されてしまう。一方、主動作で使えば特技なしで複数を対象にすることが可能になり、魔法のように達成値を求めることができる(当然、自動失敗のリスクもある)。
極端な話をすればLv1からでもSSランクのマテリアルカードを使えるため、お金さえ用意できれば金の暴力で殴ることすら可能。しかし、直接攻撃は行えないため、支援に徹したい訳ではないのならば味方や他の技能との組み合わせは必須。もちろん、無計画に高ランクのマテリアルカードを消費し最終的に赤字になってしまえば本末転倒なのでご利用は計画的に。

ウォーリーダー(軍師)

初出:カルディアグレイス(2.0)、メイガスアーツ(2.5)
戦術指揮により味方を鼓舞する「鼓咆」を扱う技能。ただし、自分は効果を受けられない。長らくスカウトでしか行えなかった先制判定を行える第二の技能であり、さらに特定の鼓咆を習得すれば知力基準で行えるようになる。また、名誉点によって効果範囲が広がる特性を持つが、一定以上になればあまり気にされることがなくなる要素ではある
2.5ではバード技能の「楽素」のように「陣気」という固有のパラメータを得るようになり、それを消費することで軍師自身を瞬間的に強化する「陣率」を使用可能になった。

ミスティック(占者)

初出:カルディアグレイス(2.0)
対象に幸運や不幸をもたらし、時に因果すら捻じ曲げる「占瞳」を扱う技能。判定の達成値に応じて効果が変動するため制御が難しく、使用すると代償としてHPやMPの消費が必要なものの効果そのものは強力。特に高レベルになれば後出しで行動をなかったことにしたり判定をやり直したりすることが可能になる

フィジカルマスター(部位操者)

初出:バルバロスブック(2.0)
形態変化する種族、すなわちドレイク(ナイト)とバジリスクのみが習得可能な「魔装」を扱う特殊な技能。これらの種族は変身することで複数の部位を得るが、それらを活かすためにこの技能が必要となる。逆に言えば、この技能がなければ変身すると弱体化するというみっともないことになってしまう。変身しないにしても、ドレイクなら魔剣の、バジリスクなら邪視の強化なども可能なため、これらの種族でプレイするなら是非取っておきたい。

アーティザン(魔工士)

初出:エイジ・オブ・グリモワール(2.0)
魔法文明時代に存在した、物品に印を刻み込み、さまざまな効果を発動させる「呪印」を扱う技能。MPを消費して起動(アクティベート)することで効果を発揮する点はエンハンサーに近いが、こちらはより強力な分、発動するには装備できるアイテムが限定されるなど制約も多い。

アリストクラシー(貴人)

初出:エイジ・オブ・グリモワール(2.0)
魔法文明時代に存在した、貴族の支配力(ドミニオン)によって平民を支配する「貴格」を扱う技能。貴族としての風格や立ち振る舞いを意味するほか、戦闘では配下の集団である「レギオン」を統率することが可能で、自分以外のキャラクターを扱うという意味ではライダーに近い。

ジオマンサー(天地使い)

初出:メイガスアーツ(2.5)
世界そのものに満ちる力により、さまざまな現象を起こす「相域」を扱う技能。「天」「地」「人」の3種の「命脈点」と呼ばれる固有のパラメータを生成、消費し、全て補助動作で扱うことができるが対象がランダムで決定されるという特異な性質を持つ。

神様

神紀文明時代に「始まりの剣」に触れたことで神格を得た 古代神 (エンシェント・ゴッド)、古代神の導きで神格を得た 大神 (メジャー・ゴッド)、神格を得て日が浅い神 小神 (マイナー・ゴッド)の3種類に大別される。なお、数が非常に膨大なため、ここでは一部の神様だけ紹介を行う。

第一の剣の神

+ ...

始祖神ライフォス(古代神)

世界で初めて「始まりの剣」に触れたとされる神。神像では壮年の男性とされ、聖印は調和を意味する3つの重なった輪。調和と友愛を重んじ、まずは話し合いでの解決を行うことを信条とする。しかし、ライフォス自身がダルクレムに散々痛い目を見せられてきていることから蛮族に対しては極めて敵対的であり、世界の摂理に反するアンデッド、世界の秩序を乱す魔神についても積極的な戦いを推奨している。
特殊神聖魔法は弱くはないものの、扱いにはひと工夫必要なものが多い。ただし、Lv10で習得する「グレイス・オブ・ルミエル」はあらゆるキャラクターに種族特徴[剣の加護]のうち1つ(Lv1相当)を持たせることが可能、つまり(人間を除く)全ての種族に[剣の加護/運命変転]をつかわせることができるため、非常に強力。

太陽神ティダン(古代神)

ライフォスの親友であり、世界で2番目に誕生したとされる神。神像は剣と太陽を持った筋骨隆々とした男性とされ、聖印は日輪を象ったメダル。太陽神とだけあって「光属性」な印象が強く、公明正大さ、争わず分け隔てなく富を分配することを美徳とする。一方でライフォス以上に"穢れ"を嫌い、特にアンデッドは日光を嫌うことからティダン神殿はアンデッド退治に大きく力を入れている。余談だが、騎士神ザイア曰く「女にだらしない」らしい。
特殊神聖魔法は太陽神らしく周囲を明るく照らす「サンライト」、アンデッドに大きなダメージを与える攻撃魔法「レイ」など、扱いやすいものが揃っている。しかしLv13で習得する「エヴァンゲル」だけは、毒や呪いなどの効果を解除するものの、使用条件がある上にこのレベル帯の魔法にしては達成値を比較する必要があるなどやや使いづらいか。

第二の剣の神

+ ...

戦神ダルクレム(古代神)

最初に「第二の剣」イグニスに触れて神となった者。神像は両手剣を持ち角を生やした巨漢であり、聖印は大剣の形をしている。強くなるために戦うことを肯定し、敗者と弱者は破滅するという如何にもな蛮族思考信条の持ち主。当然ながら信者のほとんどは蛮族、というよりは強くなるために手段を選ばない結果「穢れ」を取り込んで蛮族を生み出した張本人である。
神話では「第二の剣」だけでは飽き足らず、ライフォスの持つ「第一の剣」を奪おうと争いを吹っかけたのが「神々の戦争」の発端であると語られ、ラクシアの未だ終わらぬ戦火の元凶であると言える。しかし、その隙を突かれて何者かに「第二の剣」を盗まれてしまい、その結果戦争はさらなる混沌を深めて行ったという。
特殊神聖魔法は蛮族を強化するものが5つ中2つであり、それ以外も強力なものの人族の信仰は推奨されないため基本的には敵の蛮族が使うことになる。特にLv7習得の「バーサーク」*6とLv10習得の「トループ・オブ・イグニス」*7のシナジーは恐ろしく、熟練の冒険者すら絶望のどん底に陥れるだろう。

第三の剣の神

+ ...

賢神キルヒア(古代神)

第三の剣から直接神格を受けた唯一の神。神像は思慮深い表情の老人か穏やかな笑みの若者で、性別不明として作られることが多い。聖印は水晶玉。その名の通り知識を探究し、謎を解き明かすを良しとする神であり、学者や魔法使いに信仰されることが多い。
特殊神聖魔法知識判定などに関係する強力なものが揃っているが、特にLv10習得の「プレコグ」は、あらゆる判定の出目を「4,4(8)」として扱うという固定値信者垂涎の強力なもの。また、Lv13で習得する「コンプレーション」は消費MPこそ重いものの、なんと「10秒間Lv10までの真語・操霊・妖精魔法を扱える」という凄まじい効果を持つ。当然ながら参照するデータが莫大なため、ある意味プレイヤーの知識をも試す神様であると言える。
ちなみに性別に関しては不明説が優勢のようで、第三の剣系の神の中に「キルヒアの娘」を名乗る駄女神戦勝神ユリスカロアがいても男性説は否定されがちだったり。

出自不明

+ ...

狂神ラーリス(大神)

ラクシアの神々の中で最も謎に包まれた「狂える神」。またの名をファラリス(ラクシアのすがた)。神像も聖印も魔神を模したものだが、ものによって形状がまちまちで、ラーリスのそれであると判別するのは難しいという。基本的に大陸の範囲で信仰される大神の中では珍しく、遠く離れたテラスティアとアルフレイムの双方で信仰されている。その信者のほとんどは異世界の存在である「魔神」で、ラーリス自身もまたラクシアのものでは無いという見解もある。
信条は至って単純で、「完全なる自由」である。しかしその解釈すらも自由であり、どれだけ邪悪なことをしても咎められず、魔神とは精神性が全く異なるラクシアの住民には受け入れ難いものとなっている。

追記・修正は古代神をコール・ゴッドしてお願いします。
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最終更新:2024年02月20日 01:16

*1 6面ダイス2個の合計

*2 ちなみにこれの由来は、グループSNEの過去作品『央華封神』内のシステム「裏成功」だそうな。

*3 公式リプレイでは記憶を戻す事ができたが、PC達が高レベルの高名な冒険者になっており、相応のコネがあったのも大きい。

*4 厳密にはルール上の「弱点」とは異なり、無条件にその属性のダメージが増加する。魔物能力の「〇〇に弱い」と同等の効果。

*5 人族に認められるには名誉点が必要だが、「バニッシュ」などの蛮族に有効な魔法は効かず、「フィアー」など人族に有効な魔法が有効。

*6 自身の命中力判定、抵抗判定、ダメージに大幅なボーナスの代わりに回避に大幅なペナルティを受け、魔法が使えなくなる

*7 一定範囲内の蛮族にLv7以下のダルクレム特殊神聖魔法を習得させる