九太/蓮(バケモノの子)

登録日:2020/07/09 Thu 22:50:51
更新日:2022/02/07 Mon 09:02:31
所要時間:約 6 分で読めます




CV:宮崎あおい(少年期)、染谷将太(青年期)

アニメーション映画『バケモノの子』の主人公。

「もしあんといて本当に強くなるなら…俺あんたの弟子になってやってもいいぜ」

俺は行きます!あいつのこと宜しく頼んます!」

概要

ひょんなことから人間とは別個の知的社会性種族の獣人・バケモノの熊徹の元で暮らすこととなった人間の少年。

熊徹を師として武芸修行に励むことになるが、
反発し合いながらも彼との交流を重ねることで種族の壁を超えた信頼関係を築いていく。

青年に成長すると、年相応に自尊感情が芽生えたことで、自らの在り方を模索することになる。

性格・能力

物語冒頭では幼くして度重なる不幸に見舞われた影響かかなり人格が荒んでしまっており、
子供ながらに他者に対して威圧的な態度を取る場面が目立った。

この一面は熊徹と馴れ合っている際に特に強調され、
彼とは良き師弟関係を築いているとはいえ、日頃は熊徹と当たり散らし合いをしている。

ただし粗暴な態度は飽くまで熊徹以外している様子は見られず、
それ以外の他者に対しては寧ろ謙虚で愛想がいい
実際二郎丸という親友に恵まれていることや、その他のバケモノたちから評判を買っている。またお世話になった人への義理と感謝を忘れることもない。
その他、それまで見ず知らずの存在だった楓をいじめっ子たちから助けたり、
熊徹に重傷を負わせたとある人物に対しその苦悩を理解して救いの手を差し伸べるなど、
御人好しな面も見られる。

劇中ではあまり強調されていないが、凄まじいまでのハイスペックマンである

それまで誰も会得出来なかった熊徹の独自の武術を日頃の彼の動作を真似するという奇策で会得に成功したほか、
青年時では人間界の学問を小3レベルから数ヶ月*1で大学受験が可能になるまでの学力を身につける*2など、
最早チートである。
そもそも自宅を出奔して渋天街に暮らすまでの数日間9歳でほぼ自給自足のサバイバル生活をしていたりするため、
その潜在能力は計り知れないと言えよう。


来歴

9歳のとき、母親の実家の有力者の策略で両親が離婚し更に母親が交通事故によって他界したことで彼らに引き取られることになるも、彼らの余りに冷淡かつ無神経な態度に反発し行方を眩ます。

その最中、一緒に高架下の駐輪場で遭遇した謎の二人組が通りかかりその後を追うと、人間とは対を成す存在であるバケモノの街・『渋天街』へ迷い込んでしまう。

その後露店街で素顔を露わにした例の二人組の男、熊のバケモノ・熊徹と再会し、彼の自宅に案内され、そこで新たに『九太』と名付けられる。

その翌日の朝、熊徹から朝食に誘われるも苦手な食材である生卵を食べるよう強要されたことから言い争いとなり、その場から逃走。しかし広場で熊徹が同じ次期宗師候補の一人・猪王山と対決になると、周囲が熊徹を応援しない様子を見て彼が自分と同じ「一人ぼっち」であることを悟る。熊徹はその対決に敗北するも、自らと同じ境遇を持つ彼にシンパシーを持ち、弟子入りを決意した。

しかし師事や指導の経験が皆無であった熊徹は技の説明をかなり大雑把かつ漠然にしており、当然それでは理解できるはずもなく、周囲からの偏見の眼差しもあって不安を感じていた。

しかし宗師・卯月の手引きによって強さの意味を見出し、そして熊徹の動作を日常的に観察し真似をし続けた結果、独創的な彼の武術を会得した。
それをきっかけに次第に九太は街の住民たちにも受け入れられていくことになる。

それから8年が経ち、17歳の青年に成長した彼はある日、ふと迷い込んだ路地裏を通じて意図せずして久方ぶりに人間界の街・渋谷へ舞い戻る。

そして立ち寄った図書館で手に取った白鯨を読んでいた際、「鯨」という文字の読み方が分からず、偶然隣にいた女子高生にそれを尋ねる。

その後、その少女を図書館でのマナーの悪さを指摘されたことに逆ギレしていじめていた不良たちから助け、そして彼女に9歳から一切教育を受けていないことを打ち明けると、少女から勉強を教わることを提案される。
元より年相応に自尊心が芽生えていた彼はそれを承諾し、それから彼女は「楓」と名乗り、楓から人間の勉学を教わるようになる。

そうして数ヶ月が立つ頃には大学受験に挑戦出来る程にまで学力が身につき、
受験に必要な新しい住民票を取得する過程でそれまで行方知れずであった父親の居場所を突き止める。そしてその住所を追って実父の住むマンションの付近を訪れた結果、実父との再会した。

しかしある日の夜、熊徹の自宅に帰宅し大学進学を考えていることを伝えるが、
彼はそれを頑なに反対したことで内心で抱いていた熊徹への不信感が決定的となり、
一方的に別れを告げてその場から去ってしまう。

その後、渋谷の繁華街に立ち寄った際、自身の不穏な影を目にし、恐怖に駆られ、
図書館で待ち合わせていた楓と落ち合うと、不安からくる鬱憤を彼女にぶつけてしまうも、楓から平手打ちを喰らい慰められた平常心を取り戻し、改めて熊徹と話を付けるべく渋天街へ向かう。

街へ戻ると、次期宗師を正式に決定するための闘技試合が行われることを二郎丸から聞かされる。二郎丸と互の師の健闘を讃えあう握手を交わし、一郎彦から見送りと称して竹林に案内されると、突如彼が豹変して暴行を受ける。

翌日、熊徹を見守るために密かに試合会場である闘技場へ訪れると、彼は猪王山に追い詰められいるのを見て居ても立ってもいられなくなり試合に乱入、熊徹を叱咤激励して戦意を取り戻させる。

そして彼に声援を送りながら一心一体となり猪王山に猛攻を仕掛け、
ついにダウンを奪い熊徹を勝利に導いた。

九太「ヒヤヒヤさせんな」

熊徹「心配しろなんて頼んでねぇよ」

九太「よく勝てたもんだぜ」

熊徹「勝つに決まってんだろ」

九太「馬鹿言え、へろへろだった癖に」

熊徹「うっせぇ」

そう言葉を交わすと、二人で喜びのハイタッチを交わした。

しかしその時ーーー

「アハハハハハハハハハハハ!!!父上、私の念動力と父上の剣で勝負をつけました、あなたの勝ちです!熊徹みたいな半端者に父上が負けるわけがありませんからね!!!」

猪王山が敗北したことを不服に思った一郎彦が、闇の念動力を用いて猪王山の剣を熊徹に突き刺した。

当然ながら激怒し、自らも闇の念動力を解放して自身の剣の鞘を引き抜き、そのまま一郎彦目掛けて突き刺そうとする。
だが、楓の御守りが目に入ったことによって我に帰り気を失う。

その後、瀕死の熊徹を横目に目を覚ますと、一郎彦が自分と同じ人間であること、そして彼は自分と違い己のコンプレックスに打ち勝てずそれが原因で生じた闇の念動力に飲み込まれてしまったことを猪王山から聞かされる。

そしてそんな一郎彦を救い出せるのは同じ境遇にあった自分しかいないことを悟り、闇に侵されてしまった彼に闘いを挑むことを決意。
見送りに来た多々良と百秋坊に感謝の念を伝え、その場を後にした。

渋谷に出向くと、闘いに備えるために楓を呼び出し白鯨を預けさせると、
自身を追跡しに来た一郎彦と期せずして対峙しその場で彼と斬り合いになる。
だが強大化した闇の力を増幅させた一郎彦には力及ばす、已む無く一旦は退避を決め込む。
更に一郎彦は楓が落とした白鯨を目にしたことで巨大な怪物・鯨に姿を変え暴走し、世界を危機に陥れる。

その後、代々木体育館へ落ち延びると、鯨が現れ、覚悟を決め一郎彦の前に立つ。

自らを犠牲にして鯨を吸い込もうとしたが、目の前に付喪神に転生した熊徹が助太刀に現れ、そのまま彼と一体化する。

それに思わず涙を流すも、

熊徹「何泣いてんだバカ野郎!メソメソしてる奴は嫌いなんだよ!!!」

と叱咤激励され、闘志を奮い立たせる。

そして剣を構えると、鯨が出現する度に彼本人が姿を現わすことを見抜き、そのタイミングに合わせて勢いよく斬りかかり、闇を斬り伏せた。

鯨は消滅し一郎彦はその場に力なく倒れ込むと、

ー俺たちはバケモノじゃない。あの美しいバケモノにはなれない。自らを呪い胸の闇にもがくひ弱な人間に過ぎないー

ー但したった一つ言えることがあるとするば、俺たちは人間でありながら、バケモノの中で暮らし、バケモノに育ててもらった。
つまり"バケモノの子"だー

ーそのことを今、俺はとても誇らしいと思うんだー

そう自分なりの労う言葉を、彼に語りかけた。

渋天街へ帰ると、街は総出で世界を救った九太を讃える祝賀会を開催することになり、それに出席する。

その最中、多々良に呼び出され会に参加していた楓から白鯨を返されたのち、高認の願書を提示され受験するかどうかを尋ねられた。

バケモノ界での目標を達成したこと、そして人間界で受験という新しい目標を見つけたことでそれ以上渋天街に居付く必要がなくなったことから、
受験を意思を示し、祝賀会が終わると街を去ったのであった。

その後は実父と共に生活し長らく離れていた人間界に馴染むべく勉学に明け暮れる日々を過ごした。

彼はこの先もあらゆる困難に見舞われるであろうが、
それでも熊徹という何にも勝るとも劣らぬ剣を携えているため、
決して己の闇に呑まれることない逞しい剣士として生き続けるだろう。


もしあんといて本当に強くなるなら…俺あんたの記事追記・修正してやってもいいぜ

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最終更新:2022年02月07日 09:02

*1 逆算すると、大体3〜4ヶ月程度と推測できる。

*2 当然教えた楓からはかなり評価されているが、本人は「楓の教え方が上手いんだよ」と謙遜していた。