対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~

登録日:2021/07/22 Thu 15:07:00
更新日:2024/02/29 Thu 10:08:50
所要時間:約 10 分で読めます





対ありでした!



次は殺す!!!




概要

『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』は、月刊コミックフラッパーで連載中の漫画作品。
作者は『柚子森さん』等の江島絵理。
既刊5巻(2022年10月時点)。

2D対戦型格闘ゲームに熱中するお嬢さま学校の少女達を描いたコメディ漫画。
非常に綺麗なタッチの絵柄、外見に反してぶっ飛んだ性格の登場人物達*1、お嬢さまにあるまじき台詞の応酬が主な特徴。
基本の舞台はお嬢さま学校だが、公式の格ゲー大会に出場したりと校外も舞台となる。
これに伴って男性キャラクターも登場するなど所謂「美少女動物園」タイプの作品ではない。

作者の江島氏は前作『柚子森さん』の連載中に気分転換で格ゲーを始めたらドハマりし、「格ゲーの漫画を描きたい!」と思い立ったのが執筆の切っ掛け。
キャラクターの台詞の一部は江島氏が実際に格ゲーの対戦で感じた心の叫びである。
また、プロゲーマーの格ゲー配信でよく耳にする「 "あの頃(古き時代)" のゲーセン」の話に心惹かれ、「当時を知らない自分が "あの頃のゲーセン" を描いても "濃さ" は出せない。数々のゲーセン話から私が "思った" ゲーセンを描こう」という考えがコンセプトにあるとのこと。

題材が題材なだけに格ゲー関連の用語が頻出するが、初出の単語についてはコマ内外で簡易解説が入る他、単行本ではより詳細な解説ページが追加されていたりと格ゲーをよく知らない読者でも理解しやすいよう配慮されている。
江島氏としては極論格ゲー用語が分からなくても「勢い」を感じて欲しいらしい。

2巻から次第にコマ内に「!?」が頻出するようになり、台詞の途中で語句を " " で囲んでルビを当てることが増えたり、挙句の果てには暴走族のような見た目のキャラクターが登場したりと、往年の週刊少年マガジン、特に不良漫画『疾風伝説 特攻の拓』のパロディも本作の特徴となりつつある。
※コミックフラッパーは講談社ではなくKADOKAWAの出版です。


「格ゲーを嗜むお嬢さま」という題材から、ジャンプ+で連載中の漫画『ゲーミングお嬢様』との類似点を挙げられることが多い。
一時期はパクリ扱いされることも多かった*2ようだが、『ゲーミングお嬢様』の読切が発表されたのが2019年12月4日、本作の連載告知が行われたのも同日付近であり、題材が被ったのは完全な偶然もといシンクロニシティ。
『ゲーミングお嬢様』原作の大@nani氏と江島氏の対談では、お互いに意識していること、開き直ってお互いの作品に登場した台詞やテクニックをパクリ合ったといったエピソードが語られている。


単行本2巻が刊行されたタイミングでアニメ化が発表された。
メディアミックス展開前提の作品という訳ではなかったにもかかわらず、あまりに早すぎる話に江島氏も喜ぶよりも驚愕したとのこと。
ただし、発表時点では到底アニメ化するだけの話数ストックが溜まり切っていなかったため2022年11月現在放送時期は未定。
放送に先駆け、声優のボイス付PVがYoutubeで公開されている。

更に、単行本5巻が刊行されたタイミングで実写ドラマ化が発表された。
こちらは2023年に放送が予定されている。


あらすじ

お嬢さまに憧れ、お嬢さま学校「黒美女子学院」に入学した深月綾は、周囲から注目を集めている同級生「白百合さま」こと夜絵美緒が隠れて2D対戦型格闘ゲーム「Iron Senpai4(通称:π4)」をプレイしている姿を目撃する。
美緒は綾に対して口止めを懇願するが、手のタコから綾も格ゲーマーであることを看破、対戦を申し込む。
過去の苦い思い出から「格ゲーはもうしない」と決めていた綾だったが、美緒に煽られたことを切っ掛けに彼女と対戦、格ゲーへの情熱を思い出したことでその後も共に隠れてπ4に興じるように。
更に先輩寮生で同じく隠れてゲームをしていた一ノ瀬珠樹、格ゲー経験者の犬井夕も交え、お嬢さま達は格ゲーに熱中していく。


用語

  • 黒美女子学院
中高一貫の全寮制お嬢さま学校。
厳格な校則と寮則が定められており、違反を犯せば退学もあり得るというテンプレ通りの乙女の花園。
もちろんゲームは持ち込み禁止、スマートフォンも就寝の3時間程前にはロッカーに仕舞わなければならない。
ただしPCは持ち込みOKで、各部屋に有線LANポートが完備されている。
高等部の生徒の多くは内部進学生で外部入学生は珍しく、目立つ生徒は注目の的になる様子。

  • Iron Senpai
作中で主にプレイされている2D対戦型格闘ゲーム。
鋼先輩、猫見書記、沙月主将といった学生モチーフのキャラクターを操作して戦う。
2作目「Iron Senpai2(通称:π2)」で大ヒットして社会現象となりシリーズ化し、現在は最新作「Iron Senpai4(通称:π4)」が広くプレイされている。
タイトル通り「先輩」と名がつくキャラが複数存在し、これらは共通して「波動殺」「昇天拳」「竜巻回転肘」の3種の必殺技を持つ。
綾達はゲーミングノートPCにこれをダウンロードし、しっかり有線LAN接続で遊んでいる。
明言されていないものの元ネタは『ストリートファイターシリーズ』。

  • EXjp
アメリカ最大の格闘ゲーム大会「EX(エクストラ)」の日本版。
アマチュアからプロゲーマーまで、多くのゲーマー達が様々な格ゲーで己の腕を競い合う。
作中では福岡で開催され、アクセスの良さから黒美女子組もエントリーした。


登場人物

  • 深月綾
CV:ファイルーズあい(PV)
本作の主人公その1。黒美女子学院高等部1年。一般家庭出身の外部入学生。
高身長かつ抜群のスタイルと巨乳の持ち主。
小学生の頃にπ2にハマり、同学年の男子達に混ざって己の腕を鍛え上げてきた生粋の格ゲーマー
しかし、飛び抜けて強くなってしまったために、遊び仲間達は綾に勝つことを諦めて中学の頃には格ゲーを卒業。
綾自身もオンラインのランクマッチを「ポイントを稼ぐ作業」と感じるようになり情熱を喪失、以来格ゲーを卒業してお嬢様への憧れから黒美女子に進学した。
美緒と出会ったことで格ゲーへの情熱を取り戻し、再び命を燃やすほどにやり込むようになる。
格ゲーに関しては負けず嫌いで、ヒートアップすると口汚い言葉を連発することもしばしば。
勉学に関しては成績優秀な特待生で、美緒や珠樹、なつめに勉強を教えている様子も見られる。
百合嗜好の持ち主なのかは不明だが美少女に弱く、美緒の本性を知っても尚密着されるとドキドキし、涙を見ると甘やかしてしまう。

  • 夜絵美緒
CV:長江里加(PV)
本作の主人公その2。黒美女子学院高等部1年。外部入学生。
「白百合さま」という渾名で学院中から注目を集めている美少女。
美貌だけでなく身に纏うお嬢さまオーラ*3も凄まじく、人を惹き付ける魅力の持ち主。
その本性は日常生活の中ずっと格ゲーのことばかり考えている格ゲーバカ
筋金入りの勉強嫌いで、中学では確固たる決意で親や教師からの目をガン無視してゲームばかりしていた。
しかし、中3の時に母親にゲーミングノートPCを没収されてしまい、返却の条件に「指定の高校への合格」を提示されたため必死の受験勉強の末に黒美女子に進学してきた。黒美女子がゲーム禁止だと知ったのは合格の数日後であった。
校則・寮則違反であることを気にも留めずに隠れて格ゲーをしていたところを綾に目撃され、オフラインでの対戦相手欲しさから彼女を焚き付け格ゲーに復帰させる。
そのやり込み振りに違わない相当な実力の持ち主であり、特に体力1ドットからの驚異的な粘りと前歩きからの投げの差し込みを得意とする。
一方で勝利への意識が先行し過ぎたり、緊張に飲まれると驚くほどあっさりと負けることも。
スタイルや癖が後述のgekidoと似通っていることが指摘されている。
基本的な思考レベルが小学生のままであり、自分の思い通りにならないことがあると涙を見せ、それ故に未来のことなど考えもせず全力で「今」を楽しんでいる。

  • 一ノ瀬珠樹
黒美女子学院高等部寮務委員。4階階長。
職務に忠実な寮務委員……と見せかけてこっそりπ4を嗜んでいた隠れ格ゲーマー。
綾と美緒がπ4をプレイしている現場を発見し寮則に則って処分しようとしたが、綾に格ゲーマーであることを見抜かれた上に美緒に挑発され、π4で白黒つけようとするもあっさり敗北。
以来2人に教えを乞うようになった。
綾や美緒と違って根っからの黒美女子であるにもかかわらず、格ゲーをしているのは「ある人に追いつきたいから」らしい。
実力はそれなりのものを持っているが、ランクマッチでボコボコにされたため受け身のスタイルが染みついていた。
後に綾考案の練習法を想定以上に反復し、積極的な攻めのスタイルと対戦の楽しさを取り戻した。

  • 犬井夕
黒美女子学院高等部寮務委員。
ゲームに寛容な実家で多くの弟達と一緒にπ2をやり込んでいた格ゲーマー。
続編のπ3はアーケードでやり込んでいたほど。
綾と美緒がπ4をしている現場を発見し、珠樹が処分しようとしたところで彼女が隠れてゲームしていることを暴露した。*4
「人として壊れていて面白そう」な後輩2人、開き直った珠樹と仲良くなりたい*5という考えで自身もπ4対戦会に参加する。

  • 咲坂なつめ
黒美女子学院高等部1年。内部進学生。綾のルームメイト。
非常に丁寧な言葉遣いをする黒美女子の典型とも言えるお嬢さま。
勉強は少々苦手らしく、よく綾に教えてもらっている。
一度綾のお願いで美緒と就寝時に部屋を取り換えたことがあり、それ以来2人が交際中と勘違いしている。

  • 藤宮森乃
黒美女子学院高等部生徒会長兼寮務委員会長。
福岡出身で、何故かEXjpが開催される休日に合わせて帰省した。

  • 一ノ瀬花
黒美女子学院高等部寮務委員副会長。珠樹の姉であり目標。
福岡のゲームカフェで常連になるほどやり込んでいた熟練の格ゲーマー。
当時のプレイヤーネームは「マカロン」で、同じく常連だった亜里沙からはプレイスタイルを絡めて「血染めのマカロン」と呼ばれる。
珠樹に対してはかなり辛辣で、威圧するような言動を繰り返している。

  • 亜里沙
福岡在住の小学生のお嬢さま。
公衆の面前で平然とネットスラングを使う将来が少し不安なクソガキんちょ。
口の悪さは作中随一で、特に機嫌が悪いと公共の電波に絶対に乗せてはいけないレベルの過激な発言を連発する。
花とはゲームカフェの常連仲間で、彼女からは「小さい悪魔(レッサーデビル)」と呼ばれている。
転校生の同級生と仲良くなりたいという思いから共通の話題を求めて格ゲーを始めたが、その友達を置き去りにするほどに強くなってしまい、「初心者だと噓をついていた」と勘違いされ絶交された過去を持つ。
以来、その友達にいつか許されることを願ってひたすら強さを追求してきた。
現在は「AliceAliceA」というアカウントでπ4をプレイしており、ランクマッチで当たったgekidoに勝利するほどの実力を身に着けている。
当然EXjpにもエントリー、偶然出会った綾達4人に対して一方的に自己格ゲー論を語りながら絡むも、美緒に小学生レベルの罵倒を返された。
亜里沙の格ゲー論を聞いた綾は「痛いところを突かれた」と思うと同時に、その姿に小学生時代の自分を重ねていた。

  • gekido(激怒)
ゲーミングチーム "(コブシ)" 所属のプロゲーマー。
出てくる漫画を間違えたかのようなリーゼントブチギレ顔特攻服(トップク)が特徴の暴走族のような男。!?
日本のトッププロに名を連ね、「格闘ゲーム界を統べる帝王」と呼ばれている。
本気を出す際は凄惨な笑みを浮かべることから、海外では殺人笑顔(マーダースマイル)の二つ名で知られる。
駄菓子屋にアーケード筐体が置かれていた頃からやり込んできた格ゲーおじさんであり、当時既に成人していたようなので現在はおそらく40代、下手すると50代。
実力はトッププロに相応しく、初登場時はランクマッチで平然と99連勝していた。
後輩の過腐餌悪霊からバチバチに意識されているが、絡まれる度にあしらっている。

  • 過腐餌悪霊(カフェオレ)
ゲーミングチーム "拳" 所属のプロゲーマー。
gekidoの後輩で同じ外見的特徴を持つ暴走族のような男。!?
プロの中でも特に練習量が多いことで知られストイックさに定評がある。
外見通り学生時代は実際に暴走族をやっていたが、根は真面目なのか当時は資格の勉強もしていた。
高校生の時に駄菓子屋で格ゲーをプレイしており、そこでgekidoと遭遇し完封負けを喫した過去を持つ。
この敗北を機にそれまで暇潰しと称していた格ゲーに取り組むようになり、プロゲーマーとなった。
gekidoを斃すことを目標としており、EXjpの予選でマッチング、殺意全開でリベンジに挑む。

  • 星識(セシル)
ゲーミングチーム "拳" 所属のプロゲーマー。
gekidoや過腐餌悪霊の後輩で、2人違って現代風のイケメン。

  • 魔ヶ森さたん
格ゲーVtuber。EXjp解説担当。
頭に生えた2本の角と鈴の髪飾りがチャームポイント。

  • フランベルジュ
(多分)プロゲーマー。EXjp実況担当。
眼鏡と指抜きグローブが特徴の男。
カッコつけたオタクのような見た目ながら、その実gekido達と同様のヤンキー風ゲーマーである。!?
実況に際してスポンサー企業の商品宣伝も欠かさないプロの鑑。

  • 美緒の母
娘とそっくりの若々しい美人な母。空手を嗜んでいる。*6
美緒をゲーム禁止の黒美女子に放り込んだ張本人。
美緒が中3になるまでは「美緒には美緒のペースがある」と考えてゲームのことも大目に見ていたが、それまでの様子から「このままではゲームしかできない大人になる」と確信し強硬手段に及んだ。
外見に反してリアル少年バトル漫画的思考の持ち主であり、ノートPC返却の条件に「黒美女子への合格」の他に「今ここで私を斃すこと」を大真面目に提示。
美緒もこれに対して戦闘を即決したが、初撃で利き腕を折られて敗北し受験勉強に励むことになった。
この話を美緒から聞かされた3人はドン引きし、綾は「シンプルにDV」「受験勉強と戦闘の二択なら戦闘を選ぶ娘と分かっていたはず」と述べた。



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最終更新:2024年02月29日 10:08

*1 一部の登場人物は外見通りにぶっ飛んでいる。

*2 『ゲーミングお嬢様』の方が作品公開が早かった。

*3 実際に実家が金持ちなのかは不明。中学時代の描写から一般家庭の可能性も高い。

*4 部屋が珠樹の隣で、夜中にアケコンの音が聞こえていたのでゲームをしていることに感づいていた。

*5 珠樹とは同じ寮務委員ながら会話する切っ掛けが無く、常々仲良くしたいと思っていた。

*6 台詞から空手教室の先生もしくは道場の師範をしている可能性がある。