バウンス(TCG)

登録日:2021/08/19 Thu 00:21:09
更新日:2023/05/28 Sun 00:10:24
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汝の来たれるところへ帰れ……
――エドムンド・スペンサー
「妖精の女王」


バウンスとは、カードゲームの用語である。


●目次

【概要】

場に出ているカードを、持ち主の手札、あるいは山札へ移動させる効果を指す。
語源は「跳ね返る」を意味する英語のBounceから。カードゲームのアニメでカードがメンコのように跳ねて手札に戻る絵をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。
日常的に多用される単語ではないわりにゲームの専門用語でもないため細かい解説が無いことも多く、TCG初心者は「バウンスって何?」となりやすい用語でもある。

属性としては水流で押し流す突風で吹き飛ばす氷で束縛するといったフレーバー、イメージのカードが多い。


【バウンスの種類】

手札へのバウンス

基本的にバウンスといえばこれを指す
いわゆる破壊や追放(除外)による除去と比べてコストや複数を対象とするハードルが低い、色の概念があるゲームでは除去が不得手な色で盤面に干渉できる手段、破壊耐性持ちにも対応できるなどの利点もあるが、
手札に戻す場合は再度場に出せるため、漫然と使ってもその場しのぎにしかならない。

できれば場に出す際に大きなコストを支払うカードを狙ったり、他のカードを使って強化しているようなカードを対象にしてハンド・アドバンテージを損ねないようにしたり、稼いだ時間で勝負をひっくり返せる強力な手をあらかじめ仕込んでおきたい。

また手札に戻す性質上、使うタイミングも重要。
自分のターンにバウンスしても次の相手のターンには(コストを度外視すれば)すぐ出されるのに対して、相手ターンに展開が終了した後バウンスすれば、
速攻やスピードアタッカーのような「場に出たターンに攻撃できる」特殊能力が無い限り2ターンは展開を引き延ばすことができる。
そのためマジック・ザ・ギャザリングのインスタントやデュエルマスターズのS・トリガーといった相手ターンにも機能するカードと相性が良い。
他にはカードではないが場に残るトークンに対して使った場合、手札や山札の概念と関わりないため実質除去となる特徴もある。

場合によっては自分の場にあるカードにバウンスを撃つケースもある。
主な目的は飛んできた除去の回避や、場に出た際の効果を再利用したい時。そのためバウンス効果の対象が「対戦相手がコントロールするカード」に限定されているか否かは地味に重要。
もちろんバウンスの時点で何らかのコストを支払っているため、それを回収できるだけのメリットがあると踏んだ時に使いたい。

強力なメリット効果を持つ代わりにデメリット効果として自分自身や味方の別のカードをバウンスするようなカードもある。
デメリット系の効果ではあるが、相手ターンは場にいないので一般的な除去を受け付けない、上述の「バウンスしたカードの場に出た際の効果を再利用する」コンボを組み込みやすいといったメリットを持つことも多い。
またヴァンガードにおいては手札から場に出す際にコストが無い・召喚酔い系のルールが無い・手札のカードしか防御に使えないというゲーム性から自ユニットの手札バウンスがメリット効果として扱われている。

バウンス+ハンデス

軽いが手札を増やしてしまうバウンスと相手の手札を捨てさせるハンデスの組み合わせ。
手札消費も激しくなりがちだが、自分のターンにバウンスしても疑似的な除去として機能するのが強みとなっている。
たまに1枚でバウンスとハンデスを内蔵しているようなカードもあるが、この場合は往々にしてハンデスの内容に制限をかけられていることも多い。

手札以外へのバウンス

山札の上や下などへのバウンス。山札に戻す場合は「デッキバウンス」と呼ばれる事もある。
バウンスの欠点であるハンド・アドバンテージの損失が無く、デッキトップなら次に引くはずだった山札が止まるタイム・デストラクション(ドローロック)の発生や、山札破壊と組み合わせれば間接的な除去を狙うことも可能。
山札の下に送る場合は破壊して墓地へ送るよりも再利用が難しく、破壊不能の類の能力も避けられるため強力な除去として機能する。
手札へのバウンスより強力な分、コストも重い傾向にある。
遊戯王OCGエクストラデッキから召喚されたモンスターのように「手札に保持できないカード」がTCGによっては存在し、それらのカードは手札へのバウンスが所定へのバウンスへと変換されるルールとなっていることもある。

【具体例】

Magic the Gathering

一番秀でているのは青、第2色は特に設けられていない。
青は除去の代わりに「バウンス→カウンター」となっていて、直接的な除去が苦手なように仕組まれている。
オーラが付いているクリーチャーをバウンスすると、ルール上オーラは墓地へ行くことに注意。
またオーラ呪文にスタックでオーラの付与先にバウンスを打つと、オーラを墓地へ連行出来る。
このスタックで打つが重要になるのは、「戦場から墓地に行くのを置換して手札に戻る」オーラ。
主に《怨恨》とか《怨恨》とか《怨恨》、あと《怨恨》。
この方法で墓地に送ると「戦場に出る前に対象不適正による立ち消えで墓地行き」となるため、手札に戻るのを阻止できるのである。



デュエル・マスターズ

上記MtGの弟分だけあって、水で「押し流す」フレーバーを持つ水文明の御家芸。
バウンスが主要な除去手段となっている点も共通している。
直接の除去ではない分、パワーなどの条件がないことがほとんどであり、破壊やマナ送りと比べてコストが軽く設定されている。
特に超次元呪文を介して出す必要があり、除去された際に必ず超次元ゾーンに戻るサイキック・クリーチャーには効果抜群。
反面、スピードアタッカー軽量進化クリーチャーに対しては効果はあまり期待できない。



遊戯王オフィシャルカードゲーム

「吹き飛ばす」というイメージからか、風属性モンスターや「風」と名の付くカードが持つ傾向が強い。
風帝ライザーN・グラン・モール氷結界の龍 ブリューナクなどが猛威を振るったカードとして有名。
蘇生カードを使用させるのと再び展開させるための手間とコスト、相手にどちらを掛けさせるのが有効かは環境やカードによって異なるため、
単純な破壊、除外と手札・デッキバウンスのどちらがより優秀とは一概には言い難い(併用される事もある)。
破壊耐性や被破壊時に効果を発揮するカードに対しては「破壊」ではないバウンス効果であれば安全に対処可能である事から破壊より有用と見做される事もあるが、
一方で遊戯王には召喚時に効果を発動させるモンスターも多いため、特に簡単に出せる下級モンスターを迂闊に手札にバウンスさせると、
一時凌ぎどころか再度効果を使われ状況が悪化する恐れもあり考え無しにバウンスしても強い訳では無い。
デッキの一番上へのバウンスも同様で、間接的なドローロックを狙うコンボに活用できる事もあり比較的強力と見られる事が多いが、
漫然と使用していてはやはりすぐに再利用されてしまう。

デッキの中や一番下へのバウンスは、多くの場合再使用が困難である事から特に強力な除去の一つとして見られている。
これに関しても遊戯王はデッキ内のサーチ・リクルート手段が多いという性質上、場合によっては敵の手伝いをする事になりかねないため注意は必要になる。

先述の通り、EXデッキから出されるカードはバウンスされると手札やメインデッキではなくEXデッキに戻るため、
再展開の為にはまた正規の手順を踏まねばならなくなる事から、EXデッキのモンスター対策としては場合により単純な破壊よりも有効と見做される事は多い。
また儀式モンスターに対しても、儀式魔法とコストのモンスターを浪費させられるため対策としてはかなり有効になる。

主なカードが禁止・エラッタされてしまったため(使用光景を知っていれば当たり前の措置である)現在では観ることが難しいが、
こと遊戯王で相手が自分の場札を何度もバウンスし始めたら凡そまともな盤面にはならないと断言してもいい。あまりにも無法なソリティアが可能になってしまうのだ。
一番恐ろしいのは前例がありまくるのに回数制限のないカード作るコンマイ? アーキコエナイキコエナイ



バトルスピリッツ

6属性の中でも、一番秀でているのは氷の覇王ミブロック・バラガンなどを擁する白、次いで黄にも多い。
烈火伝以降は緑が「疲労状態のスピリット/アルティメット」を指定するバウンス除去を行うようになった。
MtGやデュエマとは違い召喚酔いのルールはないため、次のターンに召喚されなおしてしまうとすぐに攻撃されてしまう。
その代わり第2メインがないため相手のアタックステップ中に除去をするとそのまま次の自分のターンにはブロッカーがいない状況になる。
また、ルール上でゲームスタート以降はデッキをシャッフルしないTCGであるためデッキ下へのバウンスは再利用がしにくく、なんと7年目の烈火伝まで回収手段がない最強除去だった。その後はデッキ下からドローするカードがわずかに存在している。
バウンスそのものをできなくするカードや「相手の効果を無効化してバウンスする」効果など、長く続いているので、カードパワーのインフレによりバウンス効果もイタチごっことなっている。



ポケモンカードゲーム

「バトル場のポケモンがいなくなった時、ベンチに交代できるポケモンもいない場合そのプレイヤーの負け」というルールが存在するため、相手の場のポケモンを全バウンスできればその時点で勝利が決まる。
そのためか相手ポケモンを対象としたバウンス効果をもつカードはあまり多くなく、あってもわざ扱い(=1ターンに一度しか使えない)なのでバウンスが直接の決め手になることはほとんどない。

…のだが。


カードファイト!!ヴァンガード

基本的に手札に戻すとシールドに使われてしまうメリットを与えてしまうことや場に出すコストが無いこと、召喚酔いが無いことから戦略上の優先度は極めて低い。
その事を開発も分かっていたのか、相手のカードをバウンスする手段はほとんどない。
逆に言えば 自分のカードをバウンスすることはメリット になるため、自分のカードをバウンスする効果やバウンスに反応して発動する効果が多い。
他TCGではあまり見ない コストを払ってセルフバウンス が見られるのも特徴の一つ。
クランとしてはセルフバンスはバミューダ△、相手カードのデッキバウンスはギアクロニクルが得意とする。
後者は「時間を巻き戻す」というフレーバーが与えられている。




追記・修正は次のターンに手札からお願いします。

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最終更新:2023年05月28日 00:10

*1 唱えられてスタックに乗り、解決待ちのカード

*2 打ち消してオーナーの手元に戻す+1ドロー。

*3 サイドボードから講義呪文を手札に加えるか、手札を1枚捨てて1枚ドロー。

*4 「フィールドから離れた時」という非常に緩い条件で相手の場のモンスターを全滅させる効果を持つ。「戦闘破壊」「効果破壊」「除外」「コストに使用」、更に登場当初は「バウンス」……と、あらゆる除去手段で簡単にモンスター全破壊効果が発動するため、ルール変更前はモンスター破壊効果を発動させずに始末する手段は非常に限られていた。