リ・デストロ(僕のヒーローアカデミア)

登録日:2021/08/25 Wed 05:50:15
更新日:2024/04/06 Sat 19:30:40
所要時間:約 7 分で読めます





デストロの名に於いて… (ヴィラン)連合の解体を



リ・デストロは漫画僕のヒーローアカデミア』の登場人物。

目次


概要

本名四ツ橋(よつばし)力也(りきや)
異能解放軍最高指導者にして、超常解放戦線行動隊長兼、最高指導者補佐。

ヴィランの頂点に君臨するAFOや後継者の死柄木弔、その側近たるギガントマキアに準ずる、超一級ヴィランの一角を担う。
外見はトサカのようなオレンジの髪とクチバシのような鉤鼻、そしてかなり広い額が特徴の中年男性。

表向きの顔としては、全国企業であるデトネラット社社長を勤めている。

人物

常に笑顔を絶やさず、部下にハゲ呼ばわりされる逆パワハラ染みたジョークも柔軟に受け流して軽口で応じる。まさに上司の鑑。
しかしそれは表向きに過ぎず、貼り付けた笑顔の下では、不平不満や鬱憤をひたすらに溜め込み、荒れ狂う凶暴な本性をひた隠しにしている。

物心ついた頃から、初代デストロの正統血統として世間から秘匿されて育てられ、周囲から寄せられる多大な期待を重荷に感じながら生きてきた。
組織の長としての宿命を背負い表向きの顔を堅持する日々によって猛烈なストレスを抱え続けた挙句、見事に禿上がってしまった。

とは言え、この鬱憤を溜めに溜める性格と個性との親和性は極めて高く、解放軍指導者としては大いにプラスに働いている。

このストレスもまた個性を育て上げるのに役立っているが、それだけではない。
リ・デストロ当人も異能解放は実現すべき真理であり人生を賭けるに値する使命だと思っており、苛烈なまでの自負心と先祖への敬拝の念を抱いている。
自ら気に入った人間であろうと先祖のデストロを侮辱すれば殺し、部下が戦死しても「人の命は尊い。必要な犠牲だった」と落涙した直後にまたケロッと平静に戻る。
自他を問わず「デストロの教義に殉じる」ことを絶対とする狂信者である。

異能「ストレス」

溜め込んだストレスをパワーに変換する。所謂蓄積型で、溜め込めば溜め込む程に強大になる。
発動時は体が真っ黒に変色し、指先程度の一部から全身まで、全長何mにも及ぶ巨大化も自由自在。
リデストロは、自分が抱く恐怖を含めたあらゆる精神的負担さえも、ストレスとしてこの個性に還元出来るように生涯を通して訓練し、研ぎ澄ましてきた。

その力は凄まじく、僅かに力を込めてデコピンしたり無造作に片腕を振るうだけでも脅威。
体術にとりわけ長けた死柄木以外はその挙動の速さに反応すら出来ず、戦闘慣れした敵連合の面々のコピー*1が、何をされたか理解出来ないままに弾け飛ばされて塵と化す。
黒い表皮は防御力も高く、超高温の荼毘の火炎放射も線香の煙のように片手で払って消し飛ばしてのける。

全身に個性を行き渡らせ出力80~100%の巨人化すると、死柄木も見失う程の高速で移動出来るばかりか、脅威の膂力で猛威を振るう。
「真っ暗な場所で完全解放状態の『黒影』であれば、オールマイトとすら張り合えるかもしれない」とかつてデクが絶賛していたが、その完全解放した黒影とすら互角に渡り合える膂力を発揮する程である。
拳を振るった際の微かな余波だけでも衝撃波となって数十m範囲の家屋を吹き飛ばしてしまう。
彼の拳打が掠れば肉体は骨ごと削ぎ落されてしまうし、巨大な指二本で押し潰して餅を伸ばすように人体を肉煎餅に変えることは造作も無い。
特定条件下では身体強化系個性の最上位に位置すると言っても過言ではないが、名前の通り「ストレス」を糧にする個性なので、
自身が「ストレス」から解放されてしまえばその力を発揮できなくなってしまう欠点も存在する。

ちなみに、リ・デストロとして活動する際は目周りから眉間にかけて黒く変色させて、縁取りの歪なアイマスクのようにしていることが多いが、これは初代デストロの模倣である。
この個性はデストロの代から継承してきた個性と推測される。


  • 負荷塊
ストレスアウトプットと言う名の通り、具現化したストレスを塊としてもぎ取り、放出して攻撃に転用する。
死柄木が殆ど崩壊させて微かな余波しか残っていない状態ですら、これまた数十mを超える範囲の家屋をなぎ倒し地面を抉り飛ばす。
リデストロ当人が極北と自画自賛するのも納得の一撃。


装備

  • 負荷増幅高圧機構『クレストロ』
リ・デストロ専用のサポートアイテムにして、追い詰められた時にのみ使うパワー特化の奥の手。
一見すると無骨で巨大なロボのような全身外装だが、その実態はリ・デストロの全身を締め上げて杭を打ち込み痛めつける、言わば堅牢な拷問具でしかない。
存在価値があるのか疑う代物だが、リ・デストロにとっては別。
その重量と痛めつける性質故に機動力が死に絶えるものの、与える負荷によってストレスを高めて異能の出力を150%まで無理矢理押し上げる。
ジェット噴射で飛行してリ・デストロの下へ駆けつける仕組みであり、これを利用して人を乗せて飛ぶことも出来る。


デトネラット社

CMも全国ネットで展開しており誰もがその社名を聞いたことがある、ライフサポートメーカー業界の大企業。
間違えやすいが、「デトラネット」ではなく「デトネラット」が正しい表記である。*2



大量生産と大量消費と言う社会構造は過去の遺物。
四肢や臓器の数等、体躯どころか肉体構造に個人差が生じ過ぎた所為で、下着でさえオーダーメイドで発注する必要があり、自分とって使い易い日用品や業務用品を探すのに常に苦労する。
そんな個性社会において、消費者個人専用にデザインされた商品を3日以内に提供出来る、短納期を売りに躍進してきた。
作中の12月時点では表向きにもヒーロー用アイテムの製造・販売に踏み切っているが、実際には来るべき革命の日に役立てようと、既に違法サポートアイテムの密造と密売に手を染めている。
組織の軌跡にある通り、特許侵害等の違法行為にも手を染めて、その技術力の質の高さと幅広さを改善してきた。
ハードの面で異能解放軍を支える基盤である。

超常解放戦線壊滅後には当然デトネラット社も業務停止に追い込まれたが、アイテム製造のための工場や蓄積されたデータベースは健在であり、治安崩壊した後は無人になっていることもあってスケプティックがハッキングを仕掛けることで工場を動かし、生き残った敵連合の面々に最新にして高性能の装備を提供している。


作中の活躍

目障りな敵連合をこの世から消し去るべく拠点の一つである泥花市で設けた異能解放軍にとっての聖戦・再臨祭では、拠点の一つ泥花タワーから高みの見物を決め込んでいた。
だが、敵連合は予想よりも大分粘り、配下達の包囲網を潜り抜けて敵連合はリ・デストロの下まで辿り着いてしまう。

交戦開始当初は死柄木を軽薄な格下と侮蔑し、「お前達に何の信念があるのか」と問いながら、歴然たる実力差で連合メンバー諸共に軽々と蹂躙していた。
だが、ギガントマキアとの連戦を通してその体術に磨きをかけた死柄木だけはなかなか仕留めきれず。
そしてとうとう、リデストロの問いかけを通して、死柄木は自ら封じていた過去の記憶と個性の真価の力を呼び覚まし、本来の自分を取り戻した。

「全てを壊してしまった自分には、もう何も無い。だからこそ、自分を含めて何もかもぶっ壊す」

清々しくのたまい、圧倒的なまでの「崩壊」の個性と体術で以て、出力100%の「ストレス」による一撃すらいなしてのける死柄木。
遂には、「崩壊」の個性を最大限に発動して、泥花市そのものを崩壊させ始めた。

歴史の重みや血の宿命といった柵になるものは一切無く、強大な個性を放埓に行使することを、ひたすら純粋に愉しむ。
そんな死柄木を目の当たりにしたリデストロは、「抑圧でなく解放を。死柄木弔こそが、異能解放――デストロの遺志の体現者であり、理想形である」と気付き、畏敬の念さえ抱いてしまった。
両足を失い自身が練りに練って武器としてきたストレスさえもが晴れてしまう程の解放感を覚えてしまい、さらに両足が崩壊に巻き込まれてしまったためやむを得ず切断。「異能解放軍はお前の後についていく」と降伏し、完全敗北を認めた。

超常解放戦線へと組織を改革した後は、再臨祭で失った両足を車椅子や義足で補い、死柄木の補佐に徹している。

それ以降、火おこしの如き超高速ゴマすり手揉みをしながら甘やかさんばかりに死柄木を擁立する、死柄木の太鼓持ち兼動くお財布になり果てた。
超常解放戦線発足宣言時等の死柄木の赤いコートもリ・デストロからの貢物である。
デストロの意思を体現する真の解放者の登場、最高指導者の座を譲位したことによる重圧からの解放、
有能かつ強力な敵連合メンバーを結果的に吸収できたこと、そして超常解放戦線になってから一気に計画が軌道に乗り出したことでストレスから解放され、
「誰だお前!?」と言わんばかりに、にこやかかつ晴れやかな形相になっていた(しかも後述のヒーロー襲撃の時までずっとその表情のままだった)。*3
ついでにトゥワイスに頼んで自分のコピーを一体だけ作ってもらい、複製には表向きの顔であるデトネラット社の業務すべてを任せ、本物のリ・デストロは解放戦線の本拠地である群牙山荘の地下神殿で来る日に備えて着々と準備を進めていた。

スパイとして潜入していたホークスもその支持層や働きぶりから彼の加入を歓迎しており、「デストロの思想を理解している側だ」と快く迎え入れていた。


しかし、そんなストレスフリーな日々も長く続くはずがなかった。
解放戦線最期の日にヒーローから襲撃を受けたと報告された時は驚愕の表情と共に一気にストレスを爆発させ、地下神殿を出て奇襲を受ける拠点へと急ぎ合流しようとするも、増援を阻むべく出口を塞ぎに着た常闇が放った完全解放の黒影と衝突する。
黒影を互角に張り合うリ・デストロに常闇は戦慄したが、両者の競り合いに義足が耐え切れずへし折れてしまい、ヒーロー側の目論見通り出口は崩落。しばしの足止めを喰らってしまった。

どうにか駆けつけた頃には解放戦線は総崩れになっていたばかりか、死柄木の呼び掛け無しでは指一本動かさないギガントマキアまでもが再起動したのを目撃。
改造後の慣らしの為に眠っている筈の死柄木の身に異変が起こったことを察したリデストロは、救世たる解放者の覚醒を妨害された怒りを武器に変え、屋敷を包囲するヒーロー達を相手取り、猛反撃を仕掛けた。
獅子奮迅の勢いで暴れに暴れるリ・デストロには、ヒーロー達を統率していたNo.4ヒーロー・エッジショットも腕をボロボロにされて大苦戦を強いられた。
だが、義足がまたもや破損。文字通り足枷を引き摺ったままトップランクヒーローを相手取るのは厳しく、奮戦虚しく撃破されて御用となった。

一方でデトネラット社長としての業務すべてを任せていた複製体もまた討伐対象となっていた。
ヒーローによる超常解放戦線との全面戦争に入る少し前、ヒーロー公安委員会の上層部は自分たちを囮とした上でリ・デストロに「デトネラット社にヒーロー用サポートアイテムの共同開発依頼」という偽りの依頼を持ち掛けることでリ・デストロを誘き出そうとした。
幹部一同揃った会議ということでさすがのリ・デストロの複製体も油断してしまい、待ち伏せていた多数のヒーローや警官隊の襲撃を受けてしまう。
だが、トゥワイスが生み出したコピーは耐久力が落ちているだけで戦闘力そのものは本物と全く同じであり、一線級のヴィランであったリ・デストロは怒りの赴くままに大暴れ。
結果、リ・デストロの複製体は撃破され消滅したものの、囮として会議に出席していた公安委員会のメンバーの殆どが死亡ないし重傷を負ってしまった。*4
これによって公安委員会は実質機能停止に追い込まれてしまい、ヒーロー活動に関するすべての手続きが滞ってしまった。
加えてリ・デストロは今日に至るまで裏の市場にデトネラットで開発していたサポートアイテムを大量にばら撒いており、奇しくも治安崩壊した日本においてヒーローを信じきれなくなった一般市民の手に容易に渡るようになり、アイテムの過剰な出力も相まって被害が被害を呼ぶような悪循環を生み出すようになる。

こうしてリ・デストロは物語から退場したものの、公安委員会の停止と違法なアイテムの流通という置き土産を残したことで図らずも彼が望んだ「秩序なき秩序」、「誰もが望んだままに個性を振るえる世紀末な世界」が完成しつつあった……。


余談

作者曰く「おっさんなのもあって多種多彩な表情を好きに描ける、描いてて楽しいキャラ」




追記修正無き項目に未来なし!


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最終更新:2024年04月06日 19:30

*1 腕の骨折以上の負傷を負うまでは元の肉体と大差無い耐久度を維持し、反応速度等の他の身体スペックは大差無い

*2 つづりにすると「Detnerat」であるため、おそらく英単語「Talented」のもじりから来ていると思われる

*3 「リ・デストロ」として指導者の立場にあった頃は個性を発動できていた(=ストレスをため込んでいた)ことから、リ・デストロとしては他人に仕える方が性に合っていたのだろう。

*4 原作では描写がぼかされていたが、アニメではトップである委員長が死亡したと明言されている。