エージェント・アブレラ

登録日:2021/09/20 Mon 07:55:35
更新日:2023/10/22 Sun 13:42:26
所要時間:約 5 分で読めます






現実を見ろクルーガー!

宇宙には正義などという見えないものよりズッシリ重い札束が大好きという奴らが、まだ掃いて捨てるほどいる!


画像出典:特捜戦隊デカレンジャー Episode.49「デビルズ・デカベース」より(2005年1月30日放送)
©テレビ朝日・東映・東映AG


エージェント・アブレラは『特捜戦隊デカレンジャー』に登場する敵キャラクター。


身長:240cm
体重:130kg
出身地:レイン星
罪状:銀河消滅及び惑星間戦争における大量殺人
ジャッジメント:✕(デリート許可)
登場エピソード:Episode.2「ロボ・インパクト」~Episode.50「フォーエバー・デカレンジャー」(Episode.37は除く)

【概要】

雨が好きなレイン星出身のアリエナイザー
全宇宙の犯罪マーケットを仕切り、宇宙を又に駆けて裏社会で暗躍する闇商人であり、陰でアリエナイザー達に怪重機ドロイド、その他非合法製品を売りさばいていた。

黒いマントに覆われた体は紅く、両手には長い爪を生やし、頭は長い耳をピンと立てた三つ目の蝙蝠のような風貌をしており、
頭部は脳髄を守るために特殊な培養保護液で満たされたカプセルに覆われている。
腕とマントを同化させる形で翼に変化させて空を飛ぶこともできる。

地球署が設立されるより以前から宇宙の武器商人として金を荒稼ぎし、他のアリエナイザーに武器やメカ人間、怪重機を提供する形で間接的に数多の銀河や星を滅ぼしてきた。
殺し屋の斡旋や傷害巨大化保険のサービスをしている手厚い面もある。因みに使用通貨単位は「ボーン」
劇中ではまだ宇宙警察の装備が整っていなかった頃の辺境の惑星・地球に目を付けて当面のマーケットにしようと企んでいた。

『デカレンジャー』本編におけるラスボスらしく、トンデモないスケールの極悪犯罪者の宝庫だったアリエナイザー達の中でも、彼が犯した罪は『7つの銀河で惑星間戦争を引き起こし、第12銀河を消滅させた』という最大のスケールを伴った悪事である。


【人物】

宇宙で最も優れた頭脳を持つレイン星人の中でもとりわけ秀でた頭脳を持つが、生まれながらにして悪の心と金銭欲に秀でるほどの冷酷さをも併せ持つ危険人物。
生粋の拝金主義者で金の為なら多数の犠牲を出すことも厭わない、正真正銘の極悪人である。

だがその一方で、Episode.18にて京都弁を使いだしたり、Episode.32のEDのミニコーナーを乗っ取って深夜に放送されるテレビショッピングのように強化装甲・マッスルギアを宣伝したり、とぼけた奴等が多いというトリノイドの特徴を知って愕然としたりと人間臭い一面も持つ。

顧客のアリエナイザー達は都合の良い金づるか怪重機をPRする広告塔程度しか思っておらず関係は非常にドライ。
顧客が求める商品を迅速・的確に売り捌きこそするが自分から彼らの犯罪に直接干渉することはなく、自身の計画のためなら平然と捨て駒として扱う。
一方で、金持ちなら何でも良い訳ではないらしく、サウザン星人 ギネーカの事は表向きは「お坊ちゃま」と媚びへつらいつつも、(ギネーカが行っている悪辣な遊びの内容から)陰では「バカ息子」と唾棄していた*1
加えて、自分の感情が時にビジネスへの意欲を上回った時には、金儲けすら疎かにする気まぐれな部分もあり、スケコ星人マシューからサイコマッシュの再調達を要求されるも、既に宇宙警察への報復の段取りに夢中だった為、表面上あしらうだけでろくに取り合わなかった。

自分の商売を妨害する宇宙警察を逆恨み心底憎んでおり、宇宙警察なんか怖くないキャンペーンなるネガキャン企画を立ち上げたこともある。

宇宙一頭のいいレイン星人はその頭脳を駆使して画期的な技術を次々と開発し星を発展させ、同時にドーピング(決して悪いものばかりではない)などで肉体の強化も行ってきた。
その様にして長い歴史の中で超進化を繰り返していく中、レイン星人は皆違った見た目になり、皆違った理由で星を離れるようになってしまった。
そのため、レイン星人以上に統一性の無い宇宙人はアリエナイ。


最序盤からアリエナイザーの犯罪に手を貸していたが、長い間自身の正体を完璧に隠し通してきたこともあって、宇宙警察の本部ですらアブレラが行ってきた数々の犯罪を知ることはなく完全なノーマーク状態。
地球署が存在を把握したのは第30話で、先述のレイン星人の特徴もあって宇宙警察がアブレラの素性や犯罪行為を解明したのは最終話手前の第49話とかなり遅かった。
仮にアブレラが損失を取り戻そうと地球に固執していなかった場合、宇宙警察すら彼の悪の所業を知ることはなかっただろう。


【戦闘能力】

手から電撃や火球などを放ち攻撃するほか、マントから衝撃波を発生させて身を守る。
いざとなれば無数の蝙蝠に変化して姿をくらますこともできる。
TV本編におけるラスボス……なのだが、アブレラ本人はあまり強くない。*2
一応脳髄以外の肉体全てを強化改造しているため、デカレンジャー6人と同時に渡り合えるくらいの戦闘力はあるのだが、それでも一部の武闘派アリエナイザーには及ばない。
実際に、ヘルズ三兄弟の来襲時は地球での商売を断念しようとしたほか、カザックの凄んだ態度にはタジタジになっていた。

そのため、騒動を起こす場合は基本的にアリエナイザーに犯罪を依頼したり、アリエナイザーを高額の報酬などで雇って兵力として扱っている。


【最強最悪の傭兵軍団(アブレラ傭兵軍団)】


罪状:様々な特殊犯罪によって特殊刑務所へ収監
ジャッジメント:✕(デリート許可)
登場エピソード:Episode49~50

かつてドギー・クルーガーに逮捕され、警備厳重な特殊刑務所に収監されていた4体のアリエナイザー。
4人とも全員デリート許可の判決が下されているが、なぜデリートされなかったのかは不明。

アブレラがデカベース制圧作戦のため刑務所から脱獄させると、全員に各々の特性を更に高める強化改造が為された専用のハイパーマッスルギアが与えられている。
任務でデカレンジャー達が出払っている隙にアブレラと共にデカベースに奇襲を仕掛け、ドギーも卑劣な戦法で撃退しまんまとベースの制圧に成功した。

  • ゲド星人ウニーガ
衰えちゃいねえな。それでこそ倒し甲斐があるぜ!

声:中井和哉
ウニのような棘だらけの顔をしたアリエナイザー。
彼のデータを元にイーガロイドが造られており、「イーガソード」と呼ばれる剣を振るう剣豪である。
「クロスバースト」という技の他、「ウニーガダイナミック」と名付けられた必殺剣を自在に操る傭兵軍団最強の男。
剣術特性のハイパーマッスルギアが与えられている。
トゲトゲしい性格の住人が多いゲド星人は身を守るため体中に固い棘を持ち、身に危険が迫ると防衛本能で新たに生えて数が増える。この棘が多ければ多いほど数々の修羅場を潜り抜けた証として尊敬されるため、自身の身体のトゲの本数にこだわらない者はありえない。


  • ドラグ星人ガニメデ
俺が相手だ…!ヘヘヘッ、正義のジャッジメントはミーがするアルヨ!

声:岸祐二
カニのような顔をしたアリエナイザー。
胡散臭いエセ中国人みたいな喋り方が特徴の粗暴な男。
左右で大きさの異なる両腕のハサミを武器とし、甲羅のような固い体をさらに強化する防御特性のハイパーマッスルギアが与えられている。
じゃんけんに弱いとされるドラグ星人の鋏は左右で大きさが違い巧みに使い分けて器用に解体作業などを行うことができ、この鋏に切れないものはありえない。


  • ジャーゴ星人スキーラ
今度こそ、2人仲良く天国に送ってあげるわ…

声:篠原恵美
シャコに似た顔をしたアリエナイザーで軍団の紅一点。
銃の名手でライフルを武器とする狙撃手。銃の命中精度を上げるためにスピード特性のハイパーマッスルギアが与えられている。
ブランド好きなジャーゴ星人は動体視力がとても発達しており、どんなに素早い動きでも確実に捉えることができる上、素早い身のこなしが得意らしく俊敏な彼らにはのんびり屋はありえない。


  • ギモ星人アンゴール
ハイハ~イ!今度こ~そ、やっつけちゃうもんね~!

声:園部啓一
チョウチンアンコウに似た顔をしたアリエナイザー。
エセ外国人みたいな奇妙なイントネーションの喋り方と、「ガブガブ~」が口癖。
額の触覚から出る電撃が武器で、自慢の怪力をさらに強化するパワー特性のハイパーマッスルギアが与えられている。
寒さに強いとされるギモ星人は頭部の提灯と顎髭のような部分からの光により鳥目になることなどありえない。


アブトレックス


チェーーンジ、アブトレーラー!
完成!アブトレーックス!!

全長:50.2m(アブトレックス時)/99.5m(アブトレーラー時、全高:23.5m)
全幅:32m(アブトレックス時)/34.3m(アブトレーラー時)
重量:5200t(アブトレックス時)/5000t(アブトレーラー時)
操縦者:ギモ星人アンゴール

アブレラが地球署を制圧すべく、採算度外視でアブレラが建造した最強の怪重機。
蝙蝠を模したデザインに派手なカラーリングのマッシブなボディが目立つ。
  • 両腕に備わった巨大クロー「アブネイル」
  • 胸部から放つ高威力のビーム砲「アブトレックスビーム」
が武器で、アブネイルはデカレンジャーロボのジャッジメントソードを簡単にへし折る硬度と切れ味がある。
さらに大型ドリルタンク形態「アブトレーラー」に変形する機能を持ち、アブトレーラーに備わったドリルはデカベースの装甲すら貫く。
その見た目に違わぬ圧倒的なパワー、圧倒的な機体性能を持つ反面、マッスルギアの補正も加えた怪力のアリエナイザーで無いと操縦桿が動かせない程に操作性が悪化している。

『魔法戦隊マジレンジャーVSデカレンジャー』には、色違いの「アボトレックス」が登場している。

北米版「パワーレンジャー・S.P.D.」では、S.P.D.を裏切った精鋭部隊A-スクワッドのメガゾードという扱いで登場している。


【終盤の動向】

「大きな商売」に利用する予定だったブラウゴールを殺処分されたのを機にデカレンジャーを本格的に敵視するようになり、Episode.48で累計損失額が100億ボーンを超えた事で遂に報復を決行する。

デカレンジャーがクラーン星人 ジェリフィスと戦っている間に、ディアマンテ星人 ドン・モヤイダ等から得た情報*3を元に怪重機アブトレックスでデカベースを急襲し侵入。
立ちはだかったドギー・クルーガーをアブレラ傭兵軍団と共に卑劣な戦法で撃退し、デカベースを完全に乗っ取る。
さらに、デカベースロボで街を破壊するだけでなく、デカレンジャーの変身システムを無効化し、自身をデリートしに向かった宇宙警察の主力部隊を衛星軌道上に仕掛けた大規模な罠で一掃せんと目論んだ。

主力部隊さえいなくなれば宇宙警察はすぐにでも滅ぼせる。そうなれば、私の理想の世界が訪れるのだ…。

邪魔な宇宙警察のいない、金だけが全ての素晴らしい犯罪の世界がな…!

しかし、変身能力は失っても燃えるハートは残っていたデカレンジャーの奮闘により、デカベースのコントロールを奪還される。
デカレンジャーの変身が可能になっただけでなく、バンの通信で主力部隊の一掃も失敗し、傭兵軍団もデリートされてしまう。
そして自身も必死の抵抗空しくデリート許可が下されるが、なおも往生際悪く捨て台詞を残す。

私を倒して終わりと思うなぁ!この宇宙に人類がある限り、絶対に犯罪は無くならない!!誰の中にも私と同じ欲望があるのだ!!

それでもオレ達は信じてる…! 宇宙に生きてるみんなの中に、正義の心だって永遠に燃え続けてるってな!

それがある限り、悪の栄える未来は無いんだ!!!

だがその言葉すらもバンに堂々と反論され、最期はディーバズーカでデリートされた。
かくして、金のためだけに頭脳を悪用し数々の違法兵器を開発しては売り捌き、数知れない星々を滅ぼしてきた最凶最悪の武器商人は、地球署のデカレンジャーの正義の心の前についに引導を渡されたのであった。

しかし、アブレラの遺した言葉通り、その後も多くのアリエナイザーが現れている。
それ故に、宇宙警察もまた平和を守るために戦い続けている。宇宙に犯罪がある限り、デカレンジャーの戦いが終わることはないのだ。


【その後の活躍】

海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船

ロスダークにより怨念が呼び寄せられ復活。
イーガロイドらを引き連れてゴーカイジャーを襲撃し苦戦させたが、結局逃げられてしまい置き去りにされた。

Vシネマ『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』

生前にカイト・レイドリッヒと結託していたらしく、彼の手で「クローンアブレラ」として復活。
巨大化してデカレンジャーと交戦するが、テツが単身操縦するデカレンジャーロボによって呆気なくデリートされた。


【余談】

  • モチーフ
デザインモチーフはコウモリ
セールスマンのイメージからネクタイの意匠も取り入れられている。
名前の由来は言うまでもなく「こうもり傘」。
また、頭部全体を覆う透明なカプセルも特徴的だが、その都合上、カメラの映り込みや照明の加減といった撮影時の問題も頻発していた模様。

  • 担当声優
声を担当した中尾隆聖氏は、ばいきんまんフリーザといった役で有名*4
後に『手裏剣戦隊ニンニンジャー』では晦正影の声を担当した他、『スイートプリキュア♪』では再びラスボスポジションを務めている。
『10 YEARS AFTER』では『ニンニンジャー』と収録時期が重なっていて大変だったらしい。

余談だが、氏は東京ドームシティのデカレンジャーショーでは、何故かアブレラではなくデカグリーンの声を担当していた。
因みにアブレラはこれまたどういう訳か、別の人が声を当てていた。一体何故?
流石に紛らわしいとクレームがついたのか、最後の方ではきちんとアブレラの声を担当するようになった。

  • 立ち位置
彼は『デカレンジャー』本編におけるラスボスではあるが、他戦隊のボスと異なり、何らかの組織を率いている訳ではなく、あくまで宇宙にいくらでも存在する一犯罪者にすぎない。
したがって、彼が倒されてもS.P.Dの戦いが終わることは無いのである。
後に、Vシネマ『魔法戦隊マジレンジャーVSデカレンジャー』では、既に弟子を持っていたことが判明している。

メインライターの荒川氏は初期のインタビューにて「名前がエージェント(代理人)という事で、徐々に背後にいる組織の存在を出していく」とし、
デザインを手掛けた森木靖泰氏も上位の黒幕がいるものと想定していたが、最終的にはアブレラ自身が黒幕という形になった。
序盤にコミカルな印象が目立っていたのはその名残である。


「追記も修正も、私の指先にかかっている…」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • エージェント・アブレラ
  • レイン星人
  • 宇宙人
  • アリエナイザー
  • 特捜戦隊デカレンジャー
  • 戦隊悪役
  • 戦隊ラスボス項目
  • スーパー悪者ワルド
  • 蝙蝠
  • コウモリ
  • 死の商人
  • エージェント
  • 商人
  • セールスマン
  • 何故かなかなか立たなかった項目
  • 外道
  • ひどい動機
  • 守銭奴
  • 金の亡者
  • 中尾隆聖
  • ラスボス
  • 怪重機
  • スーパー戦隊シリーズ
  • 武器商人
  • こうもり傘
  • エゴイスト
  • クズ
  • ゲス
  • 下衆
  • 悪辣
  • 悪魔
  • 悪徳商人
  • マッスルギア
  • 絶対悪
  • 邪悪
  • 邪悪の権化
  • やべーやつ
  • デリート許可
  • 意外と人間味アリ
  • 生まれながらの悪
  • 怪人
  • 外道な犯人
  • 残忍
  • 残虐
  • 犯罪者
  • 極悪人
  • 極悪非道
  • 凶悪犯罪者

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年10月22日 13:42
添付ファイル

*1 本来顧客の犯罪に一切干渉しない主義のアブレラが人道的な反応を見せた唯一のケース。

*2 デカレンジャーと直接交戦した回数は、Episode.44と50のたった2回のみ。

*3 アブレラとの契約の一環として情報を提供していた。他の協力者については、ギガンテスことビリーザ星人ヴィーノ、ウージョン星人ジンチェ、スピリト星人ビョーイの名を挙げている。

*4 スーパー戦隊シリーズには『電子戦隊デンジマン』にて顔出しゲスト出演したことがある。