ドクターTETSU

登録日:2021/10/26 Tue 12:30:01
更新日:2024/03/01 Fri 20:06:54
所要時間:約 6 分で読めます




まるで恋する女子高生のようだったぜ!!

ドクターTETSUとは、「スーパードクターK」「DoctorK」「K2」に登場する女子高生医者である。
主人公のドクターK(以下「KAZUYA」)のライバル医者であり、彼に匹敵する医療技術を持つ。



【まるで概要のようだったぜ!】

トロワ・バートンのような前髪が片方だけ視界を覆うほど異様に伸びた特徴的なヘアスタイル*1の持ち主で
ブーツと白コートがトレードマーク。細身のイケメンながらもどこか悪辣な雰囲気を漂わせる長身の男。
普段はニヒルな佇まいだが時折見せるギラギラとした野性味溢れる笑顔が素敵である。
圧倒的な執刀技術を持ちながらも表舞台には出ずにどこの病院にも属さず、闇の世界に生きる医者である。
…とここまでならKAZUYAも同じだが、基本的に善良な彼と違い、TETSUは本当に闇の世界にどっぷり浸かっている。
彼の主な相手はヤクザや闇世界の人間、もしくは何らかの後ろめたい事情の持ち主が多い。KAZUYAも最初のうちはそんな感じの相手が多かったんだけどね…。

某国にて不死身のコールドトミー兵士を作ろうとしたのがKAZUYAとの初邂逅。
その国は最初ドクターKに依頼しようとしていたのだが、飛行機から王宮に強制連行されたKAZUYAが極秘の話を聞かされているところにその場の誰も知らないTETSUが唐突に割り込む様のシュールさは語り草となっている。
それ自体は成功し、痛みを感じない不死身の吸血部隊が完成、かなりの戦果を挙げたものの、人の痛みすらも忘れてしまった事により大事な人にまで発砲してしまう事態が勃発。
結果兵士や王は己の愚かさを悔やみ改心。戦争は終わりTETSUは何故か少しの投獄された*2
その後無事放逐されるが、この時から彼との因縁が始まった。

その後KAZUYAが親友の大谷定久の弟・大谷辰美のトレーナーになった際、ライバル選手の杉田のトレーナーとしても再登場した。
「ドーピングに引っかからない新型薬物の投与」というかなりグレーな手段を使い彼を強化、更にその事を偶然知りマスコミに告発しようとした辰美をひき逃げするなど悪辣の極みを尽くしていた。
しかもその際に辰美の足の靭帯だけを損傷させてその他の箇所には重傷は負わせないという無駄に凄い運転技術や、またそのひき逃げした車でドクターKらの様子を見に来るドジッ子の片鱗もその時に見せていた。ちなみにシートベルトをしない癖がありそれは数十年年経っても変わらない*3
最終的には辰美はKAZUYAの手術と激しいリハビリで完治。
TETSUの厳密な投薬とスケジュールに管理され無敵と思われた杉田はアスリートが試合に望む際の精神が極限の状態に、投薬でギリギリまで消耗した状態だった為、本番のレースで体が耐えられず、ゴール寸前で喀血し半ば自滅してしまう。
この結果でTETSUは辰美…そしてKAZUYAに「敗北」。*4
逆に言えば精神の問題さえクリア出来ていれば完璧だったものの、それをするにはまさしく鋼の心が必要だった為か、TETSUはこの事を「KAZUYAに負けた」と認識し、執着する事となる。*5
ちなみに杉田は己の心身の未熟さを認め、KAZUYAと定久をコーチにし再出発している。

そんなTETSUの目的はただ一つ「人間の力を極限まで引き出すこと」
もっと単純に言えば「強い人間を作ること」にある。
それには同じく医者であった父親の死が関係しているが…。


【まるで自己紹介のようだったぜ!】

そんな彼の能力だが、まず医者としての腕は本物。
そして格闘技術も本物で、テコンドーを駆使してKAZUYAとも互角に戦える。
なんで医者に格闘技術が必要かは聞くな。
またKAZUYA以上に裏の世界に浸かっている事もありそちらの知識、知恵も豊富である。
かなり儲けているらしく、高そうな外車を乗り回したり、潰れた病院を何軒も買い上げ宿代わりに使用している描写もある*6
しかし自分に自信がある為かヘマをすることも多く、事実最初は人間の心を理解せずに、一人のアスリートの未来を潰しかけている。
更に格闘技術が高いと言ってもさすがに本職には及ばず、モブを蹴散らして物陰に隠れていたボス格の大男をわざわざ呼び出して「ほほぅ、出てきたのはタコ入道かい…」と息巻いた次のシーンではボコボコにされていた事もある。*7
とこのようにヘマも多いわけだが、実は彼が医療関係で失敗したのは登場初期くらいであり、それも理論上は成功していた。*8

それに裏打ちされるようにプライドは高く、誰に対しても不遜な態度を崩さず、毒舌をぶつける事も多い。
しかしその裏には情に厚い一面を持っている。
特に子供には優しく、偶然大怪我や病気になった少年の手術を行ったり、孤児院に定期的に寄付したりしている一面も見られる。
曰く「子供の涙ってのは反則だぜ」との事。
他にも事故死した妊婦から赤ん坊を救い出し、その後もその事件が書かれた新聞をずっと見ている等、決して冷酷無慈悲な存在ではない。むしろそこらの人間よりも慈悲深い。
また闇医者ではあるが、自分に仕事を寄越す=表立って治療を受ける事ができないあくどい人間が多いことには拒否感を示している。

更に彼本人は変なところで律儀であり、何をしようにもとにかく矢面に立ちたがる正々堂々とした一面も持っている。
と同時に医者としての矜持もあり、「人を強くすること」には貪欲でも「人殺し」には嫌悪感を示す。
当初は人間を戦争の道具にしようとしてたのは秘密。…と言いたいがノートに記している通り作品的にも彼的にも黒歴史ではないようだ。
再登場時もKAZUYAにペスト入りの注射をして逃げられなくしたのも秘密。こっちは万が一に備えて彼のベルトにワクチンを仕込んでいたからセーフなのだろう多分。
一穴悪辣に見えるがその辺りを試みると、その本質はツンデレ偽悪的と言った所だろうか。

その本質を見抜いてかどうかはわからないが、KAZUYAはTETSUの事を不倶戴天の敵とは見ておらず「目を覚まさせてやる」とまで言い張っている。
またKAZUYAは彼の事を大垣には「友人」と説明しており、実際にTETSUが子供を治療した際にはその事を喜んでいたり、「あいつと俺は似た所がある」と述べたこともある。



【まるで俺の正体のようだったぜ!】

そんな彼の目的は前述の通り「人間の力を極限まで引き出すこと」
その理由は、彼の父親が純粋で善良な医者だった事にある。
医師であった父は「来る者は拒まず貧しきからは受け取らず」という精神を持っていた。
その為TETSU一家は貧乏であったが「医者という者はこういうものだ」とも思ってたらしく、少なくともその生活が苦痛だったようには思えない。回想シーンでTETSUが父親を見る目は納得したような目をしていた。
父は人を救うために研究に没頭、更に独自で開発した薬剤を投与する事もあったという。
だがそれは人々の目からしてみれば「暴走」「人体実験」にしか見えず、そして彼は世間から罵られた末に投獄さて、失意のうちに亡くなった。
世間に押しつぶされるように死んだ父親を見て、彼はそんな弱い人間にはならず強くなる事を決心した。
父親に関しては「弱い」「あのようになりたくない」と言いながらも、曲がりなりにも同じ医者の道を選んだり*9「善良、純粋」と称している事から決して嫌っているわけではない。ちなみに髪型も父親譲り。
事実彼もそんな父のように「来る者は拒まず、貧しきからは受け取らず」の精神を持っており、目の前で人間が倒れた際には即座に救助に向かい、そのまま礼も受け取らずに去る事も多い。
ただまぁそうじゃないお金持ちからは巻き上げるし金使いの荒さは貧乏時代の反動のように思えるが。
だが父親のように「裏の世界で生きなければならない」事に関しては拒否感を抱いており、そういった一族であることから抜け出そうと藻掻いている。
特に登場当初はその傾向が強く、有名陸上選手のトレーナーや世界を代表する医療財団「クエイド財団」の幹部になろうとしていた事もあるが、失敗してしまった。
しかしその本質は「自らが強くなること」で一貫しており、地位にこだわりはするものの執着しているわけではなく、自分がその場所に相応しくないと自覚したなら即座にその座を降りている。
実際クエイド財団でも「ヘマをしたから」という理由で何も言わずに去っただけであり、幹部からは気に入られていた。

その本名は「真田徹郎」
TETSU改心の少し前から登場していた闇の花京院典明...もとい
政治家に取り入って、癌発生装置を作ったり*10、動物を利用した兵器(アニマル・ウェポン)を作る、KやKの友たちを破滅に追いやろうとした悪役「真田武志」はTETSUの兄である。
だが人殺しをし、挙げ句「自分の力を高めるのではなく力のある他人に媚びへつらう」道を選んだ彼とは縁を切っていた。
武志はその悪逆の報いにより死亡するが、今際の際に「母親が心配していた」「兄さん」と呼びかけることで和解した。
そして「兄さん」の死にはただ、無言で涙を流していた…。
また母親もその頃には重病に侵されており、語られてはいないがまもなく亡くなったと思われる。
こうして一人ぼっちになってしまった彼に、Kはただ側にいてやるのであった。

なお本編・単行本ともにTETSUの詳細なプロフィールは語られていないのだが、単行本ではこのエピソードの折に兄・武志のプロフィールが掲載されている。
そこからTETSUの生年は1964年(3歳上の武志が1961年生まれ)、出身地は富山県であることが判明している。

以降は何やかんやでKAZUYAとは腐れ縁のような状態となり、タイトルが「DoctorK」となってからも奇妙な関係は続いていた。
突然アメリカ大統領の殺害未遂で国際指名手配されたKAZUYA、それを知ったTETSUはKAZUYAの拠点である山荘を訪ねるも、そこで出会ったのは…。

その後、KAZUYAの叔父である西城頼介から依頼を受けたTETSUは、KAZUYAの妹である「KEI」の存在を伝えるために彼を追う。
次々と起こる事件や襲撃を跳ね除け、最終的にKAZUYA達と共に闇組織「Wissenschaft-Heiligen」(ウィッセンシャフト・ヘイリゲン)の野望を挫き、全世界規模のテロを防いだ事は、彼にとっては楽しかった思い出にまで昇華していた。潜入してやっぱり捕まってたりもしたが
実際に妹の行動により医学というものに疑問を抱いてたKAZUYAの目を覚まさせたのもTETSUであった。
しかし……。


【まるで未来の俺のようだったぜ!!】

しかし『K2』の時代となりKAZUYAが死んでから一種の燃え尽き症候群のような状態となっていた。
だがある日、偶然にもKの後継者たる一人(かずと)と出会う。
最初は彼のことを認めていなかったが、名前だけでなく医療技術や高潔な精神を受け継いでいることから彼を後継者と認める。
前作読んでない人にもTETSUのツンデレ具合が1話でわかるぞ!
とはいえあくまで彼は単なる後継者であった事から完全に割り切ることができておらず、更にスキルス性胃癌を発症してしまう。
失意の日々を過ごしているうちにKAZUYAのクローンである一也が順調に育っていることを知ってからはっちゃけてしまう
そんな折、TETSUの目の前に現れたKAZUYAの幻影*11に対し、上記の思い出を楽し気に語った後、

「なのに…勝手に死にやがって…おかげでこの数年…俺はなにをやってもつまらなかったぜ!!」
「勝手に人の人生に入り込んでおいて…勝手にハシゴはずすようなマネしやがって!!」

と恨み節をぶつけ、KAZUYAのクローンがいること知ったと語って問題の告白に続く。

「俺の胸は高鳴ったね!!ドクターKが生きている… まるで恋する女子高生のようだったぜ!!!」

妙にロマンチストな台詞がネタにされるが、彼としてはもう一度KAZUYAとやりあう日々を取り戻したかっただけである。この台詞から「恋する女子高生」と関わった事がある事が想像されるが、どんなやり取りがされたのか見てみたいものである。
それと「気分が高ぶる」「胸がドキドキする」といった具体的な発言だと幻影とはいえ自分も相手も医者なので別の意味に囚われてしまうからあえてこのような言い方をしたのだろう。*12
これらのライバルであるKAZUYAに対しての独白は、彼が心身ともに追い詰められた証拠とも言えるだろう。

だが当時一也は中学生。彼が成長するまで、癌に蝕まわれた体が持つとは思えない。
そこで彼は一也に対し今まで行ってきた事をまとめた「ノート」を見せ、医学が抱えてきたおぞましい現実と人間の弱さを知らしめる。
更に自らを安楽死させ、自分の命を犠牲に医者としての試練を与えようとした。
しかし一也はTETSUのノートに恐怖心を抱きながらも、同時に激しい興味を抱き「このノートの続きを見たい」と願うよう…つまりTETSUを殺したくないと思うようになる。*13
そして一也に呼ばれた一人の手によって癌の増殖を抑える化学療法を施され生存した。
「患者の生活クオリティを守りたい」という一也の思い、そして一人…と、彼の後ろに現れたKAZUYAにより「死に様より生き様を見せろ」というメッセージを受け取り、生きることを決意した。
だがその後彼は姿を消す。あの邪悪なノートを残して…。
そのノートは一也の手に渡ることとなり、彼に対して癌の状況を逐一手紙で知らせていた。
一人にはまだ生きていたのかと言われるなど割りと雑に扱われているが。


癌の進行は一進一退で普段は杖をついて歩行している。技術も健在ながら体力が持たず、長いオペでは眠ってしまうと全盛期の力は無い…。
だがなんやかんやで癌治療から10年近く生き続けている。
そして彼はある日、一人の少年と出会うのであった。

余談だが「恋する女子高生」発言に加え、その後も手術をするまでに準備に手こずった際、一人に「遅い!」と怒鳴られるのだが「うるせえ!古女房みたいに言うんじゃねぇ!」と返している辺り、意外と女性の心理に詳しいのかもしれない。
また一也にはその所業や言動に嫌悪感を持たれているように見えるが医者としては腕前、精神性共に信頼されている。
悪ぶっているTETSUに対して「演技をやめろ」と言ったりなにげに理解度が高い。後述の譲介から取扱説明書でも貰ったのだろうか。


【まるで俺と譲介の関係だったぜ!】

癌との戦いは一進一退であるが、それでも長く持つとは思えない。
決して生きることを諦めてはいないが、それでも医者である自らの死期を悟って「あの世に金を持っていけないから」と自分の持っている大金を使おうとする。
ちなみにこの時「家族はいない」という事から、兄「武志」に語った母親はやはり亡くなったようだ。

とここまでならまだいいのだが、その次の台詞が「そこで思いついたのは寄付だ」という優しさの塊みたいな発想はやはりネタとなった。
しかもこれ、寄付すること自体は以前からやっていたので、正確には「残りの全額を寄付すること」を思い付いたという意味である。
もう闇医者の皮かぶった単なる良い人だろこいつ…。
そしてその寄付先である孤児院に訪れたTETSUは、子供…特に心に傷を負った彼らにしては妙に統率の取れた聞き分けの良い状態を不自然に思う。
その際に子供たちと同じ部屋でカレーを用意されているTETSUの姿はどこかシュールだとネタになった。
そこで出会ったのは、凶暴性の塊である孤児の「和久井譲介」
彼は親の形見というナイフを振り回し、恐怖で孤児院を支配していたのだ。
だがTETSUとしては孤児院の平和を乱す譲介を見過ごすわけには行かず、彼のナイフ攻撃をうまく捌く。
その戦いの最中、譲介の胸にナイフが刺さり、それを抜いたら大量出血で死ぬ状態になる。

TETSUはそこで彼に提案する。
「ナイフを抜いて死ぬか、泣いて許しを請うか」と。
そうやって生意気な子供をしつけるつもりであったが、譲介はなんとナイフを抜き、更にTETSUに斬りかかった。
勿論持つはずがなく、大量出血で死ぬはず…だったが、なんと彼は心臓の位置が逆という体質であった。
TETSU曰く、他にも自分という凄腕の医者がいたから助かったと言うが、命を拾った一番の理由はその体質含めた幸運と言えよう。
その事…特に死の淵で生き延びる悪運に興味を持ったTETSUは彼を引き取り育てることにした。
彼に「人を支配する力である医学」を教えることで。

譲介はメキメキと実力をつけた。その集中力と野心により。
やがてTETSUはとある事を思いつく。今まで惨めな生活を送ってきた、残虐で、上昇志向と強い意志を持つ彼を、一也と掛け合わせてみたらどうなるかと。
甘ったるい正義感を振りかざし、医者として一流過ぎる一也に対し、どん底から這い上がってきた「負け犬」譲介をぶつけて、果たして今までのままでいれるだろうか…と。
それは自分とKAZUYAの付かなかった決着を、息子同士で付けさせようとしているように思える。

しかしその譲介も、根元のところでは人間としての善意を持っていた。
そう、一也と譲介をかけ合わせて、変わったのは譲介の方であった。
今までは人を支配する事しか考えていなかった彼が、本当の意味で医者になろうとするのである。
そんな彼を見てTETSUは、一人に対し5000万円が入った通帳と「譲介を頼む」という手紙を送り、彼の前から姿を消す。
…変わったのは譲介だけでなく、TETSUもである。
なお譲介も流石にそんな大金をどうしていいかわからず、とりあえず一人に預けている。

…と言いながらも完全に姿を消したわけではなく、一也に用事があるけど見つからない時は車で乗り付けて挨拶もなしに譲介にその事を質問し解答が得られたらすぐ走り去る等、なんか独り立ちした息子にどう接していいかわからずぶっきらぼうになる父親のような事をしている。
その際に同じ髪型にした彼に「なんだそのふざけた髪型は」と問いたりもしたが、本音のところでは彼のことを思っている。

医者になる決意をした譲介だったが、それでも彼には「親に捨てられた」という思いが燻っている。
その思いがあるせいで「誰かから捨てられる」恐怖は常に付きまとい、地に足が着かない状態であった。
実際TETSUが彼の前から姿を消した時、譲介はまるで赤ん坊のように泣きじゃくっていた。
また一人に引き取られた後も、大学に行きメキメキと実力をつけている一也や、何も教えてくれない先生にどこか苛立ちを隠せないなど、精神的に不安定な状況が続いていた。
これらは村井や村の人たち、そして何より一人によりある程度解決はしたものの、それでも譲介から焦りのようなものは拭えない状態である。
そしてTETSUは思った。「地に足が着いた彼はどんな医者になるか」と。
そこで彼は譲介に地に足を着けさせるため、譲介を捨てた母親を探し出し、譲介を捨てた後の生活を調べ上げると、彼女が再婚後に産んだ子供…譲介からして異父弟が肝臓移植が必要な窮状に陥っている事を知る。
自分を捨てた母と、彼女が産んだ「弟」に複雑な思いを持ちながらも、譲介は彼のために肝臓提供を決意。
その際にTETSUは、譲介は本当は捨てられたわけではなく、不幸な事故によって離れ離れになっただけだった事を告げるのであった。
こうして譲介は母親に対する思いと決別し、ようやく本来の彼らしい、ちょっとヤンチャであるががむしゃらかつ真面目な青年…「地に足が着いた人間」となっていくのである。

そして育て上げた譲介が医者として更にレベルアップするためにアメリカに留学する事になった際、彼の父親も見つけ出し、決着を付けさせた。
全てのケリがついた譲介はアメリカに飛ぶ飛行機から大地を見つめる。「とある人の車のダッシュボードに手紙を仕込んだ」と述べながら。
その人…TETSUは、彼から受け取った手紙を見つめる。その内容が「あなたの死に水は、僕が取ります」であった。
奇しくもその言葉は、TETSUが譲介と最初に出会った時に言った台詞の意趣返し。
空高く飛び上がる飛行機を見つめながら「俺に何年生きろっていうんだよ」と嘯く。
その時の彼の表情は漫画からはわからないが、おそらくは満面の笑顔を浮かべているであろう。


【まるであの手紙の後のようだぜ!】

その後、かなりやつれながらもなんとか生きていた彼であったが、ある日から寝ると「死神」が話しかけてくるようになった。
そんな中でもいつもの孤児院への予防接種をしようと山道を降りていた際、道を通りかかった黒猫を轢きかける。
すぐさま車を止めて猫の所在を確認するも死骸がないことからそのまま孤児院に向かう。

その孤児院での予防接種から帰る際、助手席にはなんと今朝出会った黒猫が居座っていた。
「黒猫とは不吉だな」と嘯くTETSUをよそ目に、猫はそのままついてきて、家に帰るなり彼が普段寝ているソファの上に居座る。
それを見たTETSUは「いつでも外に行けるように」と窓を開け、本人はそのまま気絶するかのように床で寝ることにした。

その夜もまた死神の夢を見る。
妙に兄に似ているそれはあの髪の毛を触手にして「好敵手も既にいない」「楽になれ」と甘い言葉を掛けながらあの世に連れて行こうとする。
それに抵抗する力もないTETSUだったが、突如体に衝撃が走る。
なんとその際に隠れ家が炎に包まれており、焼かれる寸前だったところを猫が起こしたのだ。
TETSUはそのまま猫を抱え、病人とは思えないアグレッシブなライダーキックでロッジの窓を蹴破り脱出した。*14

一命をとりとめたTETSUは「窓を開けており、低いところにいたから生き延びた」と分析する。
対して死神は「どうしてそこまで生に執着する」と問いかけるが、TETSUは叫ぶ。

「約束させられちまったんだよ、何年先になるかわからねぇが…
それまでは這いつくばってでも生き抜いて見せる!!」

ここに来て譲介の手紙に対しての明確な答えを述べたのだ。

それを聞いた死神の答えは沈黙であったが、納得したかのようにTETSUから離れていく。
こうして兄との再会はまだまだ先と別れを告げた彼は、腹が減ったということでまずは命の恩人でもある黒猫の為にキャットフードを買うことにした。

「行くぜ、相棒」

新たに得た相棒の黒猫に対しそう言いながら、彼は再び生き続けるのだ。


【まるで余談のようだっだぜ!!】

  • 「歯医者は歯を治す、目医者は目を治す」という理論から「闇を治すから闇医者」等と言われている。
  • 彼が寄付を続けている孤児院はスーパードクターK時代に登場したものだが、K2の時代になっても交流は続いている。孤児院の院長らしき女性も歳は取ったが健在である。
  • 見た目は全然変わっていないが西暦1964年生まれである。漫画の時代設定は現実世界と同じなので、2024年に無事還暦を迎えるお年頃である。
  • 父親譲りの髪型であるがこれは大人になってかららしく、若い頃…そして白衣時代はまだマシな前髪だった。自らと同じ前髪をふざけた髪型呼ばわりするのは、自覚がないのではなく彼にとっては暴走のバロメーターだからなのかも知れないという声もある。
  • 杉田のトレーナーとして登場したときはKAZUYAに対抗するためか「"T"と呼んでもらって結構」と発言していたが、結局40年近く誰もそう呼ぶことはなかった。(その回ですら、Tと書いてテツとルビが振られており、K(ケイ)のようには読まれていない。) K2でも一人や一也に送った封筒、手紙に「T」と殴り書きしていた。
  • とある国の大使館に向かう際に一也に対し「その国の勉強をしておけ」と本を渡すのだが、それが明らかに児童向けの学習漫画というのはネタにされている。
    • ただ逆にいうと用意周到であり、他の話では「現場に付くまでに読んでおけ」と新聞を渡したり、3Dプリンタで作った内臓の模型で練習させたりするシーンもある。
  • カップを持つ際、なぜか持ち手を使わず、持ち手のない方のカップ側面を鷲掴みにする癖がある。またコーヒー派らしい。
  • 作中では育てた譲介は一人、一也に一歩及ばない描写が多かったが、その二人のある意味医者エリートとは違い彼は高校生になるまで医学というものを知らず、そもそもまともに勉強していたかすら怪しい。そんな彼を数年でKの一族に匹敵する医者に育てたTETSUはもしかしたら教師に向いているのかもしれない。
  • 名前の由来は『装甲騎兵ボトムズ』の主題歌歌手・TETSUこと織田哲郎という説が有力。
    • 主人公のライバル闇医師という『ブラック・ジャック』でいうところのドクター・キリコのポジションに相当することから「キリコ」繋がりでの命名と思われる。また初登場のエピソードも「改造兵士による吸血部隊の結成」という、おもむろに『ボトムズ』をパロディしたものになっている。
  • 彼が知名度を上げたのは「K2」が無料公開されたためであり、ほとんどの人が「悪ぶってるだけの良い人」のように見ていた。だが2023年6月から前作に当たる「スーパードクターK」が第100話まで公開されたことで悪かった頃のTETSUの姿が見られ「本当に闇医者だったのか」という事を新規ファンたちは再認識する事となった。
    • ただ本当に悪かったのも最初のその2つの話だけだったりする。そのため一部からは「轢き逃げとノーシートベルトの大犯罪者」とネタにされることも。いや、まあ、滅茶苦茶悪質ではあるが
  • K2 第460話「死神の迎え」はTETSUが死神のうそぶきに耐え抜くという話であるが、その死神の姿は明らかに兄である「真田武志」。死後30年以上経過しての登場であるが、この話では彼の正体は明記されていない、ある意味ではドクターK時代からの読者に対するファンサービスと言えよう。ちなみに弟を死に誘うという役目であるがそのセリフは良く見ると「楽になれ!」等、アレでも弟を気遣っているようにも見える。他にも動物に救われたTETSUと動物に介錯を頼んだ武志の対比等、見れば見るほど深い話となっている。医学の話題が火事の対処と予防接種くらいだともツッコまれたが。


こんな俺の項目にも追記・修正がひっきりなしか、一体どうなってるんだ アニヲタwikiはよぉ!!



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最終更新:2024年03月01日 20:06

*1 『K2』でしばらくぶりに譲介と再会した際は自分と似た片方だけ前髪を伸ばした髪型になっていた譲介に「ふざけた髪型」と露骨に不機嫌そうな顔を見せている。しかし譲介からも「あなたに言われたくありませんよ」と返されている

*2 「王の場所に不法侵入した罪の為捕まった」などといじられる事もある

*3 辰美が実力で杉田を打ち破る事を決意したためにこの事は明るみに出なかったが、そうしなかった場合はTETSUは多分普通に逮捕されてた。

*4 ただし、試合形式上は勝利したのは杉田の方であり、言わば「試合に勝って勝負に負けた」状態であった。

*5 負けを認めたのもあるがボロボロになった杉田は見捨てつつも逆に彼を責め立てたりはしていないなど、少なくとも自分の失敗には律儀な一面は見られた

*6 『K2』でも表沙汰にできないヤバいオペを向こうから「3千万用意する」と依頼してきたり、仕事が一件落着したと思えば連絡用のスマホに依頼のメールが17件も届いており不景気などどこ吹く風で大繁盛している。しかし自分のような闇医者にひっきりなしにお呼びがかかる現状をTETSU自身は決して喜んでいるわけではなく世の中のおかしな具合に独りぼやくことも…

*7 この大男はKAZUYAですら格闘戦では敵わなかった作中最強クラスの怪物だったので相手が悪すぎたというのはある。また再戦の際にはスタンガンを使って勝利している。

*8 しかも、その凡ミスが後々KAZUYAの役に立ったというオマケ付きであった。

*9 闇医師に堕ちる前には白衣に身を包んでいた時期もあるようだ

*10 この件の場合は、依頼主の政治家も結果が出るまでその事を全く聞かされておらず、言わばその政治家も利用されていたに過ぎなかった。

*11 この幻影がTETSUの見た幻か、かつてのライバルを心配したKAZUYAの亡霊かは不明、一応夢での出来事となっているが

*12 「胸が高鳴る」も一見すると症状のように思えるが、一応慣用句かつ「女子高生のようだ」とそれが喜びであることを伝えている為セーフと思われる。

*13 なのだが一也にはやはり受け入れられなかったらしく、成長した際には「吐き気がする」と拒絶していた

*14 寸前に「俺の足よ動いてくれ!」と気合を入れてるのでかなり無理はしているのだが