ベリアル(エルシャダイ)

登録日:2021/12/30 Thu 15:12:06
更新日:2022/01/09 Sun 15:17:10
所要時間:約15分で読めます




イーノック…モット近クデ オマエヲ見タイ

ベリアル」はユダヤ教やキリスト教における悪魔の名前であるが、
本項目ではゲーム『エルシャダイ』およびその派生作品に登場するベリアルについて解説する。

※以下、ゲーム『エルシャダイ』のネタバレを含みます。

概要

多くの神話を基に自由・多様な発想を持つスタッフの手で構成された『エルシャダイ』および「神話構想」シリーズ。
その中でも『エルシャダイ』はユダヤ・キリスト教およびメソポタミア神話をベースとしていることからベリアルも登場する。

劇中では隠しステージおよびチャプター8の舞台となる「冥界」を統べる「冥王」と呼ばれている。
またアイテム「イシュタールの書」では「公爵」という表記も。

「冥界」は地上界より下に位置する(と言っても「そう見えている」だけであり実態は天界と同じく異次元空間と思われる)世界で、「闇」「ケガレ」に覆われた場所。
天界に対抗する勢力として位置づけられ、いずれ「天界に異を唱える」「地上界を破壊する」「天界を乗っ取る」ことを目的として活動している。
そのために魂を自分たちの勢力に引き入れようと画策しており、『エルシャダイ』は天界と冥界の魂の奪い合いの戦いでもある、という構造になっている(公式設定集より)。

ベリアルはその冥界の中でも強大な力を持つ存在であり、堕天使たちに力を分け与えた張本人である。
堕天使たちは地上に降りた際に大きなダメージを負っており、生命活動も厳しい状態だったのだが、ベリアルが闇の力を分けたことで生き延びることができた。
堕天使のスーツは「ゾーマ」という名の生命維持装置を兼ねたものでもあり、さらに肉体を変質させて強力な「ネザー」に変化する力も与えられた。
ベリアルはその代償として「堕天使たちが死亡した際にその魂はベリアルに渡す」という契約を結んでいる*1
また上記イシュタールの書では「公爵は天使たちに誘う」とあったことから、堕天する以前から何らかの干渉を行っていた可能性も示唆されている。
すなわち、彼こそが一連の堕天騒動の黒幕であり元凶の一人なのである。

ゲーム発売前までは一切の情報が開示されておらず、同時発売された公式設定集にてチャプター名に含まれていることから登場が判明。
さらに詳しい情報が判明するのは雑誌における特集や攻略本などによるものであった。
雑誌に掲載された情報では人格は人間で例えると50代ぐらいの男性で、普段は欲求が満たされず冥界をさまようか寝ているのだという。むしろ怠惰(ベルフェゴール)な気が
劇中でもミカエルにより「今は眠っているのか」と分析される場面がある。
台詞の表記や一人称が媒体で統一されておらず、ゲームではカタカナ交じりの字幕で一人称を示す台詞無し、それ以外では普通の台詞表記だが『原作小説/セタ記』での一人称は「私」で漫画『Ceta』では「わし」になっている。

さて、その容姿だが、一言でいうと


巨大なトゲ付き鉄球


である。汚いモヤっとボール
球体の表面に無数のトゲが歯車のごとく複数の円形で並び、それが回転を続けている、という非常に異質な格好をしている。
漫画『Ceta』ではベリベリという擬音を鳴らしているが、著者の竹安氏曰く「『風立ちぬ』のイメージ」らしい。

ちなみに劇中には火の玉のような雑魚敵「ウィスプ」が登場するのだが、これはベリアルが産み落とした子供(卵とも)という設定。
設定を意識してみると、ウィスプは確かにベリアル同様の回転するトゲ付き球体の姿をしているのがわかる。
ゲームでは天界の知恵の実(武器三種)を運んでいる設定の色違い「武器ウィスプ」がいるので、冥王直属配下の設定の割に都合よくイーノックに武器を運ぶ係みたいになっているが。
人格は男性なのに卵を産むのかと気になるが、そもそも上記の容姿を始め超自然的な設定が多い神話生物なので、既存の生物の常識は当てはまらないのだろう。

ルシフェルとは何らかのつながりがあるらしく、劇中では彼の携帯電話に連絡を入れている描写があるのだが…?


劇中の動向

チャプター8にて、旧友アルマロスとイーノックが対決しているところに突如空間を闇にして割り込む形で登場。
姿を見せず、イーノックに対しページ冒頭の台詞や「オマエモ見タイダロウ? 闇ノ力ヲ…」という台詞で勧誘。
さらに自由の民の娘・ナンナを目の前で冥界に引きずり込むことで、イーノックを冥界へと誘い出すことに成功する。



イーノック救出のため、ルシフェルに誘導されたアルマロスは冥界入りを決意。
彼の前に姿を現した時は上記の通り眠っており、その間にアルマロスによって玉乗りされる
しかしアルマロスがイーノックを見つける時には目を覚ましており、ルシフェルに電話で連絡*2、イーノックを手中に収めたことを伝えて彼を焦らせる。
神に選ばれたケガレなき魂の持ち主であるイーノックは闇に取り込まれたことでシャキーン「ダークイーノック」と化しており、アルマロスと対決。
ちなみに取り込み方が不完全だったので大事には至らなかったが、隠しステージの冥界にて転落した際のバッドエンドではダークイーノックが冥界の全てを破壊してしまうものがあり、
こうなるとルシフェルが時を戻す力も及ばないので、天界と地上界は破壊できるが自分も消滅するという結構スレスレのヤバい状態だった。

アルマロスの活躍によりイーノックは倒れるが、そこに再び登場してイーノックを再度奪うべくウィスプを差し向ける。
が、そこでルシフェルがアルマロスを置いてイーノックだけを連れて逃亡したために、結局アルマロスを代わりに取り込むことになった。

ケガレに侵されたイーノックは10年の時を経て回復し、ついにタワー最上階まで上り詰め、残された堕天使はアザゼルとセムヤザだけとなった。
そしてアザゼルがイーノックとの対決で究極の進化で対抗しようとするも、「使エヌ…ヒ弱ナ堕天使ドモメガ!」の台詞と共に再登場。
姿を見せないまま、闇に取り込まれ強力なネザーと化した「ダークアルマロス」を差し向けて、アザゼルを粉砕させ、イーノックと対決させる。


以上でゲーム内の出番は終了。



もう一度言う。



以上でゲーム内の出番は終了である。


いや、彼の出番を語る以前に、上記の通り彼は相当にインパクト絶大な見た目をしているのだが、書籍で説明されるまでゲーム中で巨大トゲ付き鉄球を見てベリアルだと気づける人はほとんどいなかったという問題があった。
何故かというと

  • 冥界の巨大トゲ付き鉄球を見てミカエルは「眠っている」と分析するが、カメラが微妙に上を見るのとその前のステージオブジェクトに阻まれているのでこれを指した言葉に聞こえない
  • この眠っているシーンで本当に眠っているので台詞が一切ない
  • というか彼自身が喋るシーンで姿を見せない
  • このシーンの直後、アルマロスが彼の上に登って雑魚敵と戦闘する
  • 雑魚敵と戦闘して現れるスイッチを押すと彼が動くというギミック(しかもスイッチの解説チュートリアル文で「球体」呼ばわりされてベリアルと呼ばれない

こんな感じなので、書籍を読まないゲームだけ遊んだ人にはこいつがベリアルだなんてわかるはずもないのであった(最後のやつぐらいどうにかならなかったのだろうか…)。
まあ、知っていたら知っていたでPVみたいな笑いを呼びそうな内容である。

上記の「使エヌ…ヒ弱ナ堕天使ドモメガ!」がゲーム内最後の台詞であり、そこでも姿は見せない徹底ぶり。
ダークアルマロスの最期でウィスプが姿を見せている&スタッフロール後に水のネフィリム生存が発覚=アルマロスも生きていることが判明することから
彼がアルマロスの最期にも何かしたことは想像できた人もいたようだが、ベリアルの扱いは宙に浮いたまま終了となってしまう。
加えてこの後の展開ではセムヤザが待ち受けているかと思いきや、セムヤザは姿を消しておりそのままエンディングに直行。
初見プレイヤーは確実に「アルマロスがラスボス? セムヤザは? ベリアルって誰!?」と戸惑うことになるだろう。


上記の設定の通り、立場上は堕天の首謀者セムヤザをも上回る黒幕でありながら、主人公であるイーノック自身はベリアルと直接対決できないのである
ベリアルがその扱いなのはまだしも、その前座に当たるだろうセムヤザすら対決は不可能。
この結末により多くのプレイヤーからは「消化不良」「打ち切り」「一番いいエンディングを頼む」と批判が殺到することになってしまった。


ゲーム『エルシャダイ』以降の展開

以上の通り、ゲームにおいては消化不良となってしまったベリアルだが、完結編となる『原作小説』がゲーム発売の翌年に発売。
そこでは多くの描写が追加され、彼の正体やイーノックとの対決、その末路まで明確に記されることとなっている。




余談

ディレクター兼キャラクターデザイナーの竹安佐和記氏によると、ベリアルを球体のラスボスとして考案した発想の大元は氏が妖怪デザインを担当したゲーム『大神』のラスボス・常闇ノ皇
曰く「初期構想の「空亡」の名称を押し通したかったが、ディレクターの神谷英樹氏には却下されてしまい、それがトラウマになっているので丸いボスを描き続けている」との話をTwitterで語っている。
…当の神谷氏からは引用RTで「絵巻の解説に書いただろ」と突っ込まれたが。

言うまでもなく服装などがエルシャダイのルシフェルと似ていると話題になったあのゲームベリアルとは名前の由来が同じだけで関係はない。
だが知名度や竹安氏自身もその件をサイゲームスに問い合わせたこともあって「エルシャダイ ベリアル」でググると、だいたいそっちの話題しか出ない

オマエモ追記・修正シタイダロウ? 闇ノ項目ヲ…


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最終更新:2022年01月09日 15:17

*1 同時に人間の魂を冥界に引き込む手伝いもさせているようだが、堕天使は人間を寵愛していることからこちらはあまり積極的にならなかった模様

*2 ゲームではルシフェルの台詞しかなく、書籍でベリアルの電話と判明。『原作小説』ではベリアルの台詞も記載された。

*3 英語で「資産」。ゲーム制作においてはシェーダーやキャラモデルなどのデータを指す

*4 「ベリアル」の原義は「無価値なもの」という説がある。スタッフが意識したのかは不明だが、この設定を踏まえた上で見ると意味深に見えてくる…

*5 元々天使でも規格外の強さのルシフェルとセタを操るイーノックの能力が併せて天界の3分の1に匹敵するため、これでほぼ五分の勢力となっている。

*6 こちらも『原作小説』と異なり、天使がいなかった当時に神が生んだ唯一の神の使い。セタ世界でその魂はイーノックに転生した