コルネリアス・ルッツ

登録日:2022/03/28(月) 15:00:00
更新日:2024/03/17 Sun 13:43:35
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智者は智におぼれる。ヤン・ウェンリーのカレンダーも残りすくないぞ。

コルネリアス・ルッツは、銀河英雄伝説に登場する人物。
ゴールデンバウム王朝及びローエングラム王朝に仕えた軍人で、射撃の名手として名高い。

OVA版の声優は堀勝之祐、Die Neue These版では野島裕史が務める。

■[来歴]■
登場時系列としては、OVA版外伝の『決闘者』が初となる。
当時は少佐で、決闘の代理人として候補したラインハルト・フォン・ミューゼル大尉に対し、慣れぬ旧式の火薬式銃の使用方法をアドバイスしている。

その後はラインハルトが開いた元帥府に招集されている。当時の階級は中将。
アムリッツァ星域会戦では第12艦隊を強襲し、ボロディン中将の旗艦を含んで残8隻まで削り切る戦果を挙げる。
続くアムリッツァ会戦ではキルヒアイス率いる別動隊としてワーレン中将共々に参加し、自由惑星同盟の残存艦隊を後背から突く事に成功する。

リップシュタット戦役では引き続きキルヒアイス旗下で辺境星系の鎮圧を担当。そのためラインハルトの元で戦っていた諸将と比べて出番は少なめ。
更に言えばこの後の帝都オーディンへの急襲ではガイエスブルグ要塞に残留したため活躍していない。
リップシュタット戦役を終えてラインハルトが帝国の実権を握るとその戦功により大将に昇進している。

ラグナロック作戦では、ロイエンタール指揮下で第9次イゼルローン攻略作戦に従事。
この時、ロイエンタールとレンネンカンプの衝突に際して仲裁を行い、年上であるレンネンカンプも従ったことから信頼信用は決して低くないことがうかがえる。
ヤンがイゼルローンを放棄した際には要塞内部に仕掛けられた罠の可能性に勘付いて調査を実施し、爆弾解除を成し遂げた。
そのままイゼルローン要塞の要塞司令官として駐留し、以後のバーミリオン開戦には参加していない。
同盟領制圧後、ローエングラム王朝勃興と同時に上級大将に昇進した。

第10次イゼルローン要塞攻略戦では、ヤンが仕掛けた5回の罠に引っかかったと思わせて艦隊を出撃させる。
しかし彼らが遺していった本物の置き土産により要塞制御システムが無力化され、再度ヤン艦隊によるイゼルローン要塞の攻略成功を成し遂げられてしまう。その後はトゥール・ハンマーによって艦隊の数割を損失し惨敗、撤退する。
この失態によって前線から遠ざけられ、フェザーン警備司令官に左遷されてしまう。そこで代理総督邸の爆弾テロ事件に巻き込まれるが、入院先の看護師と恋愛関係になるなど慶事もまた訪れた。

ラインハルトがハイネセンへ行幸するにあたり、ロイエンタール弑逆の嫌疑が噂されていたため、自分が無任所である事と「妹夫婦が新領土にいるので顔を見たい」と理由をつけて同行する。
しかし旧同盟領・ガンダルヴァ星系の惑星ウルヴァシーで発生した動乱によってラインハルトが危機に陥ると、負傷したナイトハルト・ミュラーらと一緒に逃がすため単身で殿を務める。一個小隊ほどの追撃を抑えきるが、旗艦ブリュンヒルトの発進に気を取られているうちに銃撃を受け死亡する。

元々嫌疑がかかっていた所にラインハルトが信を置いて行幸したにもかかわらず、その管轄下で皇帝狙いの攻撃で重臣を失う事件が起こった事でロイエンタールはさらに追い詰められ、第二次ランテマリオ会戦の戦端が開かれる起因に繋がってしまった。

彼の死後、ラインハルトによって元帥号が授けられているが、これは「生きて元帥杖を手にするつもり」と約束したルッツへの罰だと言い放っている。


■[人物]■
普段は温和な性格だが、直情型のビッテンフェルトに「(興奮すると目の色が藤色の彩りを宿す事から)ポーカーするときにサングラスが必要な男*1」と称されるほど内に秘める熱情は大きい。

また沈着かつ豪胆と称されるようでもあり、特に艦隊運用では諸将に見られるダイナミックな戦術は好まないが堅実で過不足なく任務を実行できる人物である。
ヤン・ウェンリーからは名将と、メルカッツ提督からは屈指の用兵家と称される事からも、彼の手腕は窺える。
知謀でも劣っていた訳では無く、自由惑星同盟が放棄したイゼルローン要塞を再奪取後に置き土産が無いか隈なく捜査したり、ハイドリッヒ・ラング率いる内国安全保障局を警戒するなど一介の将としての才覚を見せている。

真面目な人物である一方でかなりの冗談口も叩く方。
ラインハルトの『芸術の秋』で古典バレエの観賞に同行させられたビッテンフェルトを笑い話の種として扱ったが、その直後に詩の朗読会に同行するよう要請が下ると頭を抱えているシーンがあった。
また数少ないアイゼナッハの声を二度聞いた人物で、高級士官クラブ「海鷲」でコーヒーカップを落とした彼の「しまった」と喋るのを聞き漏らさなかった。この時同席していたミッターマイヤーと、「あいつ口が利けたのか」と語ったり、「夫人と接吻くらいはするだろう」と彼の寡黙さを冗談めかしていたりする。

ラインハルト元帥府の将官の中ではワーレンと並んでキルヒアイスと行動を共にしていた期間が長く、
「親友贔屓で今の地位にいるわけではない」と決して軽んじていたわけではないのだが、それでも数で同等のリッテンハイム艦隊を烏合の衆と見なして自ら率いる高速艦800隻でかき回す姿には感服していた。
この再評価もあってか、キルヒアイスが死亡する原因となったパウル・フォン・オーベルシュタインには「心にもない弔辞を読んでやるために先に死んでやるものか」と豪語するほどの嫌悪感を見せていた。

■[係累]■
  • クララ
フルネームは不明。フェザーン警備司令官として赴任後に代理総督邸で起こった爆弾テロで負傷した後、入院した病院で知り合った女性。
婚約はしていたようで、ラインハルトのハイネセン行幸の際には空港で見送る姿が見られた。
ルッツの死後は従軍看護婦育成のために設立された『ルッツ基金』のメンバーとして参画。同時にルッツに与えられるべきだった10万帝国マルクの下賜を謝絶し、この基金の運用資金に回されている。

  • ユリウス・エルスハイマー
ルッツの妹の夫。ロイエンタールの指揮下で新領土の民事長官を務めている。
ロイエンタールの反乱の際には怯えながらも面と向かって、「公人として」皇帝への反逆に加担できないこと、「私人として」ルッツの死の責任が明確にされていない以上、義兄の仇ともいうべき相手に味方することに耐えられないと告げた。ロイエンタールも「勇気と正義に適う」としてエルスハイマーを軟禁にとどめ、叛逆に加わっていないことを示したミッターマイヤー宛の書状を持たせた。
ロイエンタール敗走後は彼から新領土の全権を預かり、帝国軍に統治権を引き渡した。

■[部下]■
  • ホルツバウアー
中将。作中では明確にされていないが、自信と兄をルッツに助けてもらったことがあり、そのことから強く敬愛しているらしい。
第二次ランテマリオ会戦では、上官の復讐戦のために旧ルッツ艦隊を率いてミッターマイヤーの指揮下に加わり、クナップシュタイン艦隊を壊滅させた。

  • オットー・ヴェーラー
中将。第10次イゼルローン要塞攻防戦時に、ルッツが駐留艦隊を指揮して出撃した後に要塞の守備を任される。
しかしヤン艦隊が先の攻防戦の時に仕込んだ要塞無力化のキーワードによって防御システムを無効化され、侵攻してきたヤン艦隊の陸戦部隊に対し装甲擲弾兵部隊を投入し艦隊帰還までの時間を稼ごうとするが、トールハンマーの封印を解除され艦隊が帰還できない状況に追い込まれてしまった。
ヴェーラーは部下の安全な退去を条件に要塞の明け渡しを決め、自身は失陥の責任を取り白いテーブルクロスを敷き、その上でブラスターで頭を打ち抜き自害した。

■[余談]■

  • ワーレンとの混同
OVA版では、度々容姿が似ているアウグスト・ザムエル・ワーレンと見分けがつかないとネタにされている。ワッツとかルーレンとか言われたり。
髪型や全体的な容姿が似ている事や、OVA版初期の方ではキルヒアイスの副官として両名が一緒の画面に映るシーンもあり、その影響で両者の人相が混合してしまった人も多いのではないだろうか。

道原版ではゴツゴツした四角い姿のワーレンと細面のルッツの形で区別されている。

Die Neue These版ではルッツは金髪の美男子なのに対し、ワーレンは茶髪ツーブロックのケツ顎筋肉とかなり差別化されている。それはそれでワーレンが誰なのか分からない人が続出したが



追記・修正はヴァルハラでいただきますが、どうかそれが遠い未来のことであるように……。

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最終更新:2024年03月17日 13:43

*1 但し劇中においてそのような描写がされた事は無い