ジェニス(MS)

登録日:2022/04/09 Sat 02:23:31
更新日:2024/03/07 Thu 22:52:01
所要時間:約 7 分で読めます




ジェニスとは、『機動新世紀ガンダムX』に登場するモビルスーツ(MS)である。






【ジェニス】

JENICE

型式番号:RMS-006
所属:宇宙革命軍
   バルチャー
   サテリコン
   他
開発:宇宙革命軍
頭頂高:16.6m
重量:7.7t
装甲材質:チタン・セラミック複合材
武装:ショルダーバルカン
   マシンキャノン
   100mmマシンガン
   ビームライフル
   ジャイアントバズーカ
   ビームサーベル
   ヒートホーク
   ヒートサーベル
   シールド
   他
パイロット:宇宙革命軍兵士
      バルチャー
      MS乗り
      サテリコン構成員
      エニル・エル
      他




【機体解説】

宇宙革命軍が第7次宇宙戦争時に開発・運用していた汎用量産型MS。
曲面を帯びた中世の騎士のようなボディにスリットの入った頭部から除くモノアイセンサー、口元から伸びた吸気口と思しき管という宇宙革命軍製MSのスタンダードというべきフォルムをしており、両肩から伸びるスパイクが目を引く。

ジェニスは第7次宇宙戦争緒戦における主力機として高い汎用性と生産性を持ったMSである。
地上・宇宙どちらでも運用可能でバランスに優れ、武装規格の統一によって実弾からビーム兵器まで豊富な武装を運用可能であったことから操作性は極めて高く、パイロットやカスタム次第では次世代機とも互角以上に戦えるなど、そのポテンシャルは極めて高かった。基本設計の優秀さから、本機をベースにセプテムやオクト・エイプ等の様々な派生及び上位機が開発されている。

汎用性では、オプション装備のみで様々な派生機として運用されたり直系の後継機に恵まれていた旧連邦のドートレスに軍配が挙がるが、ドートレスは体制側の連邦が使用するMSであった事から使用に抵抗感を持つ者も多く、多くのバルチャーはジェニスやその派生機を使用している。


戦時中に地球に降下した機体はかなり多かったようで、大戦後の地球には多くの陸戦仕様機のジェニス改が遺されており、バルチャーと呼ばれた者達やMS乗りによって様々なカスタマイズを施されて運用されていた。
革命軍製の新規の純正パーツが手に入らないにもかかわらず多くのMS乗りから愛用されていた事実からも、ジェニスの扱い易さと優秀さが窺い知れる。

一方で第7次宇宙戦争以降の宇宙革命軍本国においては既にセプテムや最新鋭のクラウダがロールアウトしていたこともあって前線からは退き、警備等の後方任務に回されていた。
パーツ目当てでジェニス同士が潰しあっていた地球のジェニスに比べて本国では割と円満な戦後だったようである。




【装備】

武装の規格が統一されているため、携行装備はセプテムやオクト・エイプにも共通して装備される。

  • ショルダーバルカン
肩部の襟口に装備された機関砲。
バックパック横にマガジンがあり、そこから給弾が行われる。
劇中未使用。


  • マシンキャノン(ウェストバルカン)
腹部左右の機関砲。
こちらも劇中未使用。


  • 100mmマシンガン
トンプソン機関銃のようなドラムマガジンが特徴的な実体弾式マシンガン
マシンガンとしては至ってオーソドックスで、信頼性の高さからあらゆる勢力で用いられた。

また、劇中では披露されなかったが銃口下部にはビームサーベルを備え、銃剣の様に用いられると設定されている。


  • ビームライフル
オクト・エイプのロールアウトと同時に配備された宇宙革命軍共通規格のビームライフル
ライフルとしては特に変わった点は無いが、宇宙革命軍の優れた技術力によって高い出力を誇る。
100mmマシンガンと同じく銃剣機能を持つが、こちらは銃口から直接ビーム刃を発振するロングビームサーベルタイプとなっている。

普及が遅かったからか信頼性の問題かは不明だがバルチャー等には殆ど出回っておらず、もっぱら宇宙革命軍の正規機体かフリーデンに合流したエニルカスタムが使用していた。


  • ジャイアントバズーカ
大型の実体弾式バズーカ砲。
装弾数は薬室に1発とカートリッジに4発の計5発。

並みのMSなら一撃で撃破が可能。


  • ビームサーベル
接近戦用のビーム兵器。
普通の手持ち用の他、先述のように100mmマシンガンの銃口下部の銃剣タイプやビームライフルの銃口から発生させるロングビームサーベルタイプが備わっている。


  • ヒートホーク(ヒートアックス)
刃を赤熱化して切断力を強化する片手斧。
攻撃範囲が狭いものの、一撃の破壊力に優れる。


  • ヒートサーベル
刃を赤熱化して切断力を強化する剣。
ヒートホークに比べて威力は劣るが、リーチで勝る。


  • シールド
左腕で持つ中型の盾。
アニメ本編中では使用されなかったが、漫画版などでは装備している機体もあった。




【劇中の活躍】

第1話冒頭の回想から早速登場。

本家本元の宇宙革命軍が物語終盤まで登場しない上に既にMSの世代交代が終わっていたので、劇中では主にバルチャーやMS乗りなどの乗機として時にフリーデン一行の前に立ち塞がる敵として、時に頼もしい味方として戦後世界の混沌とした情勢を演出した。

特にジェニスの場合は同じようなポジションのドートレスや同じ宇宙革命軍の旧世代機に比べて「国家規模の勢力では既に使われていない」ということで割とフリーな立場であり、エニルの最後の乗機ということもあって比較的味方寄りのイメージが強かった。




【バリエーション】

ジェニス改

型式番号:RMS-006G

ジェニスの陸戦仕様。
姿勢制御用スラスター等の宇宙用装備を撤去した代わりに装甲が強化された。

戦後も相当数が残存しており、MS乗りやバルチャーに広く出回っている。
そんな訳で小集団や個人でカスタマイズされた機体も多く、劇中でジェニスといえば大体コチラを指す。
特に第2話では多種多様なカスタム機が登場した。

ちなみに地球製で戦後も細々とだが生産されていたドートレスよりも新規生産の純正品が手に入らない宇宙製のジェニスを使うMS乗りが多かったのは前述の通り「ドートレスが政府(抑圧者)側だったから」という心情的な面が強かったようである。*1


ジェニス改 クロッカオリジナル

野盗のクロッカが乗るカスタム機。
クロッカの趣味で頭部に角が追加されている以外は特に変わった点は無い。

復興が進むセントランジュの町を襲ったが、ガロードによって投降させられて機体は売り払われてしまい、クロッカも町の住民にボコられた。
世紀末なモヒカン野郎の末路なんてこんなもんである。


ジェニス改 ヴェドバオリジナル(スラッシュバッファロー)

ガンダムXを狙う女MS乗りヴェドバ・モルテの愛機。
両肩と腰部に取り付けられた分厚い装甲板と巨大な二本角から“スラッシュバッファロー”の愛称を持つ。

ガロードとティファをあと一歩まで追い詰めたところを同じくGXを狙う同業者の乱入で取り逃した挙句、GXに足を破壊されて動けなくなったところをパーツ目当てのヒャッハーな連中にコクピットを潰されてしまう末路を迎えた。


ジェニス(ロッソ隊仕様)

ジャミルと友好関係のバルチャーであるロッソ・アラマントの保有するMS部隊所属機。
地上では珍しい宇宙仕様がベースで、カラーリングは赤と深緑。


ジェニス改 エニルカスタム

新連邦に恋人を殺されたエニルが復讐の為に購入したカスタムジェニス。
販売元はエスペランサと同じくシーバルチャーのルマーク・カウト。

かつての愛機ワイズワラビーからのサブカメラの移設やモノアイスリットの排除、空中戦が可能なまでに強化された推進系など、他のカスタム機に比べてかなり手を加えられた特注品で、エニルの腕前と相まって新連邦の最新鋭量産機であるバリエントを圧倒、単機で新連邦の基地を潰し回っていた程の性能を誇る。
ベース機は地上仕様だが宇宙戦も問題なく可能となっている。

登場からしばらくの間はセインズアイランドに進駐した新連邦軍への襲撃を繰り返していたが、後にフリーデンに合流した。
流石に最終決戦ではガンダムやNT専用機に追随出来ずフリーデンⅡの護衛に回ったが、無事生還した。


ジェニス(サテリコン仕様)

宇宙の反宇宙革命軍組織サテリコン仕様のジェニス。
基本カラーはオレンジ。

基地に襲来した宇宙革命軍に対抗するべく出撃したが、最新鋭のクラウダには全く歯が立たず瞬く間に戦力の70%を喪失。
残った機体も荷粒子反応弾によって基地ごと殲滅されてしまった。

実はプレーンな宇宙用ジェニスではなく、ジェニス改を宇宙用に仕立て直している。
宇宙では使い処のない地上仕様を誰かがサテリコンに流したのだろうか?




【発展機】

ジュラッグ / ポーラ・ベアー

型式番号:RMS-007G

ジェニス改をベースとした地上戦特化機。
宇宙世紀でいうグフに相当する機体。
劇中にはその寒冷地仕様であるポーラ・ベアーが登場した。通常仕様は未登場。

ポーラ・ベアーは駆動系やセンサーが改造されているがそれだけの単なる「寒冷地だから機器が凍結しないように」程度の仕様ではなく、「スレッジ」というスノーボード型の高速機動ユニットを装着することで雪上のみならずあらゆる不整地での高速移動が可能となり、スノーボードに乗って速度戦を仕掛けてくるという衝撃的な戦法を繰り出してくる。実際フリーデンクルーはそれを見てかなり驚いていた。
スレッジの強度はかなりのものらしく、盾代わりにして射撃戦をするシーンもある。

フォートセバーンの自警団に配備され、ノモア・ロング市長のの命令によりフリーデンを襲撃しガロード達を苦戦させた。
また、ノモア市長に与したエニルも一時期使用していた。
ノモアの後に市の代表者となったカリスも部下として率いており、終盤では反新連邦組織に参加して囚われたフリーデンのクルー達を助けることになった。

名前の由来は元ネタのグフの型式番号(MS-07)にちなんで「7月(July)」で、ポーラ・ベアーは英語で「ホッキョクグマ」の意味。


セプテム

型式番号:RMS-009

地球圏統一連合宇宙軍の司令官。
……ではなくジェニスをベースとした重装高機動型MS。
初代ガンダムにおけるリック・ドム的な立ち位置の機体だが、陸戦仕様のセプテム改は宇宙用のセプテムを地上用に改造したというドムとは逆の経緯を辿っている。
固定火器は胴体のバルカンのみになっているが火力は十分で、劇中ではガンダムDXに対して使用され、集団からの集中砲火でDXは機能停止寸前まで追い込まれている。

戦後の革命軍では第一線から退いたジェニスに代わり、クラウダの配備が完了するまでの繋ぎとして大量に配備されている。
ちなみに劇中で最初MA形態のアシュタロンを襲っていたのは一般ジェニス改カラーのセプテム改である。物凄く紛らわしく判別が難しい。

なお、名前の由来はドムの型式番号(MS-09)に倣って「9月(September)」であり、単純に「7」(ラテン語)なセプテム将軍とは微妙に異なる。大本は同じなのだが。


オクト・エイプ

型式番号:RMS-014

第七次宇宙戦争末期に開発されたセプテムの後継機。
戦争末期に開発されたため相応に高性能だが生産数も少ないゲルググポジション。
背部の大型スラスターによる高い機動性と単独での優れた飛行能力を持ち、第七次宇宙戦争中最強の量産機として君臨した。
固定火器は三砲身の50㎜ガトリングキャノンに強化されているが、劇中未使用。

戦後世界でもフロスト兄弟やフリーデンメンバーも驚く程の威力を持つビームライフルを装備し、正規の革命軍の技術力の高さの健在を見せ付ける機体として活躍した。

バルチャーが使用する物は地上に遺されたオクト・エイプを独自に修復したオクト・エイプ改というタイプで、純正パーツを用いていない分飛行が不能になっていたり武装もビームライフルではなくマシンガンをメインとしていたりと原型機に比べて性能が低下していたが、それでも高性能には変わりなかった。
ただし原型機の数自体が少なかったので戦後地球でもおいそれと入手出来る機体ではなく、バルチャーではフリーデンに協力したグリーツ・ジョーの一団が使用したのみ。

また、革命軍本隊でもクラウダのロールアウトまで繋ぎとして使っていたのはセプテムで、オクト・エイプは地球に送り込んだ工作員に与えられていたのみと、やはり易々と生産出来る機体ではなかったようだ。

名前の由来はオマージュ元であるゲルググの型式番号「MS-14」に倣って「10月(October)」と「4月(April)」から。




【立体化】

1996年の放送当時にリミテッドモデルから「ジェニスカスタム」名義でジェニス改が発売されていた。
頭部はクロッカオリジナルの物が「隊長機」名義で入っており、一般機にするにはアンテナを斬り落とす必要がある。

他の機体は現状音沙汰なし。




【余談】

  • デザインは石垣純哉氏。
    宇宙世紀におけるザクⅡに相当するポジションとして設定された。


  • 名前の由来は6月の英語表記である「June」から。
    元ネタであるザクの型式番号(MS-06)を捩ったものでもある。
    セプテムとオクト・エイプ、フェブラルなど一部の革命軍機も同じ法則で命名されている。


  • スーパーロボット大戦シリーズではガンダムXが初参戦したα外伝から多数登場。味方運用できるケースもあるが…まぁあまり強くない。ただしジェニス改エニルカスタムだけは話は別であり…。
    ・パーツスロット4でそこそこの改造がされており、長射程の移動後使用可能兵器を持つ「α外伝」
    ・なぜか初期性能が割りと高い上に改造で更に武器の攻撃力が伸びる…だけでなくプログラムミスで周回を重ねるごとに限界を突破して改造が成され、最終的には異常な性能となる。攻撃力も化け物クラスになるが周回を繰り返すとオーバーフローして逆に弱体化する「R」
    とやたら優遇されている。 Z以降は性能は落ち着くがガンダムX系で唯一移動後トライチャージが可能だったり、修理装置を持つ上にエニルが補給を覚えサポートの鬼だったりと毎度妙な個性を発揮する不思議なユニットとなっている。






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最終更新:2024年03月07日 22:52

*1 新連邦でも現役だったので尚更印象は悪くなったと思われる。