鈴木照夫/アークオルフェノク

登録日:2022/04/23 Sat 12:49:00
更新日:2024/04/29 Mon 17:48:40
所要時間:約 8 分で読めます








バカ!バカ!なんでお父さんとお母さん助けてくれなかったんだよ!バカ!役立たず!


鈴木照夫とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダー555』の登場人物。
この項目では彼が変身するアークオルフェノクについても解説する。


演:渡辺彼野人


概要

登場は32話。
ビル火災に巻き込まれたところを海堂と啓太郎に助けられてしまった結果、不幸にも「オルフェノクの王」であるアークオルフェノクの宿主となってしまった8歳の少年。

当初は両親を失ったショックで塞ぎ込み他人を拒絶し続けた結果、周りの子供たちからもいじめられてしまい、遂には施設を脱走したところを海堂達に保護された。
自身を助けてくれた海堂にも当初は逆恨み同然に非常にキツく当たり、八つ当たり気味に周りの人間に対しても横暴にふるまい手を焼かせたが、長田結花に叱られた後は精神的に少しずつ前向きになり改善。
最終的には海堂や啓太郎達とも打ち解け、年相応の明るく無邪気な姿を見せるようになった。

だがアークオルフェノクの覚醒が近づくにつれ、王の影に心身を乗っ取られて徘徊してはオルフェノクを襲撃する不気味な姿を見せていき、時には正気を取り戻した直後にオルフェノクの襲撃に巻き込まれる不幸が続く羽目になる。

最後は3代目社長となった木場に捕らえられ、アークオルフェノク覚醒の瞬間まで孤独に苦しみ抜いた挙句、アークオルフェノクの覚醒と同時に肉体が粉々に砕け散って死ぬ悲惨な最期を遂げる。
初登場から最後まで照夫本人はオルフェノクの王という自覚は全くなかった。
そしてアークオルフェノクからすれば照夫の存在は羽化の前の蛹程度の扱いでしかなく、徹頭徹尾悲劇の運命に弄ばれたまま報われることなく命を落とした被害者であった。


王の影


お前たち、オルフェノクだな?

演:小林俊

アークオルフェノクの半覚醒形態。登場は第44話。
仮面ライダー図鑑』では照夫とは別個体扱いされており、外見も少年ではなく青年のそれ。
オルフェノク態が人間の姿を見せるように、影が青年の姿に変化した後現実世界に実体化する。
完全覚醒したアークオルフェノクは言葉による意思表現を殆どしなかったため、王の人物像を窺い知れるのはこの形態しかない。

普段は依代である鈴木照夫の影に潜伏しているが、餌になりうるオルフェノクの存在を感知すると照夫の精神と肉体を乗っ取り活動。
獲物として認識したオルフェノクを襲撃し、捕食のために照夫の影から実体化。
指先から青いレーザーのような「光の鞭」を照射し、で切り刻んだオルフェノクを問答無用で化石化することで殺害。そのオルフェノクの死体を貪り喰らうことでエネルギー源に変えてしまう。
脅威的な力を誇ったドラゴンオルフェノクでさえ、王からすれば捕食対象でしかなかった。
それでも戦闘力は覚醒した後とでは雲泥の差はあり、この状態であれば肉体耐久力は依代である照夫に依存すると考えられる。

割と理性的であり、当初は照夫に付き添う海堂を餌扱いして事あるごとに隙を狙って喰らおうと画策したが、運悪く(運良く?)偶然が重なって失敗が続き方針を転換。
最終的に「覚醒までの間敢えて放置しておけば自分の役に立つ」とでも判断したのか、海堂を襲おうとすることはなくなった。
この判断は功を奏しており、海堂が根気強く身内扱いした結果巧達は照夫を可愛がるようになり、皮肉にもオルフェノクの王を倒すべく花形に奪取されたライダーズギアが、王を守護する本来の役目を果たしてしまうことになった。

劇中でオルフェノクの捕食に成功した例は3回しかないにもかかわらずアークオルフェノクが覚醒した点から、描写外で相当数のオルフェノクを喰らっていた模様。


アークオルフェノク



オルフェノクは滅ばなければならない。だが、その勇気が君には無い。

否、滅ぶのは人間の方だ!
オルフェノクの王さえ覚醒すれば…世界は我々の物だ。


CV:家中宏
スーツアクター:岡元次郎

身長 216cm
体重 149kg
種族 オルフェノク
モチーフ バッタ
特色・力 オルフェノクに不死を与える
光の鞭
光弾
クリーチャーデザイン 篠原保
登場回 第47話「王の出現」~第50話「俺の夢」


スマートブレインが追い求めてきた「オルフェノクの王」たる存在で、『555』本編のラスボス。
バッタの特質を備えるオルフェノクで、頭部にある大きな複眼と2本の触覚、首から生えた白いマフラーなど仮面ライダー1号を彷彿とさせるビジュアルが特徴。
ファイズ達ライダーと似たデザインとなっているがこれは「ライダーズギアがアークオルフェノクの姿を基にして開発された」という設定のため。

通常のオルフェノクとは異なり人間が変化するものではなく、「九死に一生を得た子供」の肉体を依代にして覚醒するという異様な生態を持つ。
初代社長である花形が流星塾を作ったのもこの王を探し出すためで、第3話で木場がスマートパットで調べた際には「王の眠りは深い」とされていた。
劇中九死に一生を得た子供が度々オルフェノクに襲われていたのはこの生態が原因である。
また覚醒に合わせてアークオルフェノクを宿した人間は確実に死ぬため、人類の変身態と呼ぶよりは宿主の身体を食い破って顕現するオルフェノクと喩える方が正しいかもしれない。

だが、それ以外にも覚醒のためには大量のオルフェノクを捕食する必要があるという大きな問題を抱えており、花形によれば「大半のオルフェノクは王に食われる」と推察している。
さながら暴君のような振る舞いであり、当然そんな事実を受け入れ肯定できるようなメンタルの持ち主は極一握り。
具体的には自分自身が王に食われ、生贄になることを是としたのは村上峡児ただ一人だけだった。


能力

オルフェノクの王だけあって、他のオルフェノクとは完全に一線を画しており、劇中で圧倒的な強さを見せたファイズ ブラスターフォームを唯一苦戦させている。
自由自在に動き、滑空可能な特殊なマフラーを纏い、
  • 厚さ1.5mの鉄鋼さえも難なく破砕する握力
  • 驚異的な跳躍力を誇る脚力
  • 手から放つオートバジンを一撃で爆散させスクラップに変える光弾
  • 空中浮遊
  • 青い光の鞭
  • カイザのベルトを一撃で破壊する伸縮自在の触手
といった高い戦闘能力と異様な能力を誇る。
オートバジンの機銃掃射の直撃をノーガードで受けてもほぼノーダメージに抑える屈強な体に加え、
ドラゴンオルフェノクでも多少力を込める必要があるライダー達のエクシードチャージによる拘束も片手で事も無げに振り払い、ファイズ ブラスターフォームを裏拳の一撃で吹き飛ばした。


だが最大の特徴はオルフェノクに不死の力を与える事。
アークオルフェノクの真骨頂は戦闘力よりもこの部分だろう。
オルフェノクという種族は『急激な進化に肉体が耐えられず、寿命が著しく縮む』という種として致命的な欠陥を抱えている。
だがアークオルフェノクは、味方と認めたオルフェノクに対してこれまで捕食に用いていた光の鞭によって該当オルフェノクの人間の部分を破壊できる。
こうなると該当者は常時オルフェノク態の姿で固定されることになる代わりに、短命という欠点を克服することが可能。
「アークオルフェノクが死ぬと全てのオルフェノクが滅びる」との事だったが、真意はアークオルフェノクが滅ぶとオルフェノクを延命する手段がなくなるためであると思われる。
ただし、アークオルフェノク本人は完全な不老不死ではないのがネック。
それでも、伝承が残ってることやその発生条件から、定期的に新たな依代から復活している可能性があるため、アークオルフェノクの完全な根絶は恐らく不可能だと思われる。


末路

完全な覚醒まで秒読みに入り地下にあるスマートブレインタワー建設予定地にて黄金の繭に包まれると、宿主である鈴木照夫を体内に吸収し、食い破るようにして殺害して覚醒。
単身で3ライダーを相手に戦うと、ルシファーズハンマーとゴルドスマッシュを同時に食らっても弾き返すパワーを発揮し、腕から伸びる触手でカイザギアを破壊して木場に致命傷を負わせるが、
最後の力を振り絞った彼に羽交い締めにされた隙を狙ったファイズ ブラスターフォームの「フォトンブレイカー」と「超強化クリムゾンスマッシュ」を受けて爆発に飲み込まれた。
だが身体は半死半生の状態だったのか灰化せずに残り、ロブスターオルフェノクによって回収され薬液の溜まったプールに漬けられ保管。
流星塾にて復活の時を待つシーンで幕を閉じた。


あなたは死なない…。きっと蘇る…きっと…!


なお、公式ムック『555補完ファイル』によると、アークオルフェノクはその後灰化してしまい、ロブスターオルフェノクが絶叫するシーンがあったがカットされたことが監督の口から語られている。
王の死によってオルフェノク達の悲願は頓挫。
影山冴子1人を除いて『オルフェノク』という新種は近い将来確実に絶滅することが確定した。


「オルフェノクの死の運命を克服できる救世主」として村上やラッキークローバー、木場から関心を向けられた王であったが、
同族のオルフェノクを大量に餌として喰らう残酷な生態だけでなく、寿命を克服できる代わりに人間の姿を失う重い代償も合わさって求心力は意外と低く、同じオルフェノクからの評価は賛否両論
人の心を完全に捨て去っていた村上と冴子からの評価は高い一方で、
スマートブレイン側のオルフェノクから現れたりと、諸手を挙げてオルフェノク達から歓迎される存在ではなかったようだ。
劇中で仮面ライダーに変身できるファイズ、カイザ、デルタの「3本のベルト」は覚醒するまで王を反逆者達から防衛する事を目的に制作されたものと明かされたが、本編での生態と扱いを見る限り王の護衛用としてベルトが開発されたのも納得と言える。


以降のシリーズでの扱い

劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』以降の客演作品では再生怪人として多くの作品に登場しているが、本編のような強大な力は持たず、一般怪人と同等の実力しかない場合が多い。
まぁ幹部・ラスボス格の再生怪人では昭和の頃からよくある事である。

だが、『仮面ライダーアウトサイダーズ』ではまさかの復活。
仮面ライダーゼロワン』の世界になぜか存在しているスマートブレイン社のトップに収まっているようだが、詳細は不明である。
なお、『555』本編では喋ることはなかったが、同作で遂に言葉を発した。


余談

デザインを担当した篠原保氏によると「この王に仕えるからこそファイズ達はこういう姿なのだと逆説的に見せたい」というコンセプトで仮面ライダーに酷似した姿でデザインされたとのこと。
バッタモチーフのオルフェノクは元々巧の正体の案として篠原氏が考えていた候補であり、それをファイズ達に近づける形で修正したのが決定稿となった模様。

仮面ライダーファイズ正伝 異形の花々/小説 仮面ライダー555』では未登場。
より言えばオルフェノクの王の設定自体が存在せず、必然的にオルフェノクは「滅びゆく種族」として描かれ、
文庫後日談に登場する人間とオルフェノクの間に生まれた存在こそが真なる人類の進化系であるとも受け取れる描写がなされた。

他方、『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』ではオルフェノクが地球を支配しているが、アークオルフェノクについては何一つ語られていない。
少なくとも大半のオルフェノクが人間態でいる描写からして、何らかの方法で死の運命を克服したと思われるが、詳細は定かではない(単に短命であることに気付かなかったのかもしれないが)。

アークオルフェノクこと「オルフェノクの王」の伝承がどのようにして伝わってきたのかは不明。
ライダーズギアのモデルになったことから姿も伝わっていたはずだが、王に関する詳しいことは村上やラッキークローバーも知っておらず、オルフェノクが短命である事実も知らなかった。
スマートブレインの幹部達もほとんど知らなかった理由を考えるならば、先代社長の花形が王に関わる情報を隠蔽したのだろうか。


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