ゴブリンスレイヤー(登場人物)

登録日:2022/07/14 (木) 17:10:27
更新日:2024/04/08 Mon 11:08:02
所要時間:約 40 分で読めます






ゴブリンは殺す。
一匹、二匹という意味ではない。
巣穴一つ。この砦一つでもない。


ゴブリンどもは、皆殺しだ。



CV:梅原裕一郎、松田颯水(幼少期)
AA版配役:さまようよろい(ドラゴンクエストシリーズ)など*1メンポには怖ろしい字体で鬼殺の文字が


         \_ー-- ヽ、
         < ̄ ̄二ニニ=/ \ ,、
        / /レ'⌒>イ r─<__|_>ー┐
        |/   〈 <\_厂´〈 ̄ヽ、
       ノ!     |>ーミ─-- 、__〉,.イ〉
       V ___>イl⌒V 〉_, n n 、_,.n /
      __≧⌒个ー'′ Ⅵ |l |l |l //、_,
      /` ー-=≧ミ<ヽ==、 ∨l| |l |l〃'⌒ヽ   ,
      |_/ヽ、   `〉ヽ_入_」仁ニ=/  _, ‐/ ⌒ヽ
      |  〉 , -、/ 冂厂二ニ=彳>' ´ /      ',
      ,二ニV / 厂 ̄ ̄「>'´ , ´ /_」   ─ 、 l
     「/┘,─>、 \_,  '´ , ´ / >┘/イ_l |i
      〈 厂r┘ ̄,.ヘ<\_, ´  /\/  「| 「冂ニ |l
       ヽ」  厂ヽ丶_〉 \,/〈   `┬ヘ|」 |」、ニ |l
       , -< ヽ、〉┘\/_, へ、  |   \ヾ、 ̄´ リ
     ∠\   ー个二ヽ_」二_彡ヘ l、   ー‐ ´ /
    /  l 」_」‐┘ヽ_」_// ̄ /, ヘ、     /
    ノヽ/ 〈`ヾ二二/   〉 \/ ̄| l  个ー-‐ ´
   〈 │   〉 〉 ̄ ̄    `ヽ、∠⌒\_,.イ
     ', |   l /           「l   l  |
    ノ_」   |ニ、           |」  l /
   ,∠_\ノ┤           ,ニl__,/\〉_
  匸__≧==′        └=L」___」


●目次

◆人物像


GA文庫の小説『ゴブリンスレイヤー』の主人公。
1巻登場時点で20と若いながら、在野の冒険者としては最高ランクとされる銀等級と認められたベテランの冒険者。

  • 装備
薄汚れてみずぼらしい革鎧に飾角の折れた安っぽい鉄兜、(主にゴブリンの)血や体液で錆びて悪臭のただよう鎖帷子を着込み、
中途半端な長さの剣に使い古した盾、(第三者から見て)色々なガラクタやポーション等が入った雑嚢を装備している。
本来いかに冒険者でも、平時は平服を纏い武器の類は護身用の最低限が基本であり常識である。
しかし彼は例外で、街中はおろか祭りの最中でさえこの格好でうろつく*2ため、まず間違いなく悪目立ちする。
在野の冒険者では最上位だという銀等級はもちろん、最下級の白磁等級にすらこのような恰好の人物はいない。
このため彼を知らない者からは異様な、若しくは装備が揃えられない新米の冒険者と見られ嘲笑されてしまうこともある。
また、鉄兜は安物ながら遮蔽性が高く顔を含む頭全体を覆っており、とある件で脱いだ際まで素顔を見た者はほとんどいない。
面頬(フェイスガード)から時折除く常軌を逸した眼光は、彼の素性を知らない者を畏怖させる。

  • 寡黙な性格と言動
常時被る兜のせいで表情も分からない*3彼の台詞は基本的に「ああ」「そうか」「そうか?」「ゴブリンだ」「ゴブリンか?」。
話しかけても皮肉や冗談が通じず「そうか」だけで会話を打ち切るので非常に話しづらい*4
もっとも、「デートでは『ああ』と『そうか』だけで会話しないこと」とパーティメンバーに忠告されたり、
仲間から「言葉足らずだ」と抗議されたこともあり、相変わらず「ああ」「そうか」で応じることは多いが、そこに何か付け加えるようになり、
時には「ああ」「そうか」と応じた後に『他に言う事があるからちょっと待て』というジェスチャーをして言うべきことを整理するなど、
彼なりに言葉足らずな点を自覚し、改善しようとしている様子は見せている。

  • 小鬼を殺す者(ゴブリンスレイヤー)
銀等級の冒険者ながら、ゴブリン退治ばかりを請け負う彼の異名。
無論彼の本名ではなく*5、彼自らがそう名乗り始めたわけでもないのだが、
今となってはそちらの方が通りが良いということで、本人も初対面の相手に『ゴブリンスレイヤー』と名乗ることが多い。

元々はゴブリン退治ばかりしている「何か変なの」に同じギルドの冒険者たちが付けたあだ名であり、
ゴブリンスレイヤー本人も(冒険者として)同期の戦士から初めてそのあだ名で呼ばれた時は首を傾げ、
彼から「お前のことだ」と言われるまで自分に付けられたあだ名だとは思っていなかった。

語られる村や種族によって『ゴブリンスレイヤー』及び『小鬼殺し』、あるいはそれに関連する別名で呼ばれることもあり、
例えばゴブリンスレイヤーのパーティメンバーである妖精弓手(エルフ)からは「オルクボルグ」、鉱人道士(ドワーフ)からは「かみきり丸」*6
蜥蜴僧侶(リザードマン)からは「小鬼殺し殿」と、それぞれの種族間での別名で呼ばれている。
また、吟遊詩人などが各地で語る、(大げさに脚色した)彼の冒険を題材にした詩では『真の銀の剣』などと称賛されることもあり、
それを聞いた後に当人の実像を知った妖精弓手等から「あれは言い過ぎ」等とからかわれたりすることも。

ちなみに、冒険中はもちろん、日常生活でも鉄兜や革鎧といった装備を外さないため、
彼が拠点とする牧場に住んでおり、親しくしている牛飼娘くらいしかゴブリンスレイヤーの素顔を見る機会はなく、
その素顔については同業者間で賭けの対象になるほど、ギルドでは謎に包まれていたせいで中には正体がゴブリンではないかと疑う者もいた
本人曰く「片目を開けて寝られる」らしいので寝る時は鎧派。*7
そして、ゴブリンロードの一件が解決した後、ほろ酔い状態の女神官から「顔を見せてください」と乞われて鉄兜を脱いだが、
その素顔を見た同業者からは「意外と美男子」「戦士の面構え」と称賛されており、異性から見ても整った、年相応の(見ようによっては中性的な)面立ちの様子*8


辺境最優

一般市民にとっては最も身近な脅威でありながら、冒険者からは厄介さが報酬と釣り合わないとして敬遠されがちなゴブリン退治の依頼を、
ゴブリンスレイヤーはギルド規定の料金(精々銅貨数枚)でも積極的に請け負い、確実に殲滅するので、「民衆のヒーロー」として「英雄」扱いされている。

また、妖精弓手が各地で吟遊詩人が謳うゴブリンスレイヤーの詩とあまりにも違う実像に驚いたように、
他の冒険者から「何か変なの」扱いされる言動から、依頼で向かった先の村人から困惑されることもありはするが、
仕事(ゴブリン退治)はきっちりこなす上に、期間中の食事や宿、必要物資の調達や村人への協力依頼等に対する代金・報酬は基本的にしっかり支払う*9姿勢から、
依頼者からの評判は良く、只人の町・村では『ゴブリンスレイヤー』及び『小鬼殺し(の)』で呼ばれ、『辺境最優』の名声は他の種族にも届き、前述の通り詩まで作られている。
(同じ冒険者からしたら面白くない要因の一つでもある)
こうした依頼人や赴任先への配慮は冒険者ギルドの監察官からの助言が切っ掛けになっており、本人も依頼を円滑に進めるために心掛けるようになった。

一方の同業者からは、劇中世界で軽視されるゴブリン「だけ」を相手にするこの冒険者は、
駆け出しの白磁等級には「金が無い不憫な奴」だの、「銀等級なのに雑魚専で、新人*10を扱き使う奴」だのと誤解され、
良識がある同じ銀等級からも「雑魚狩り専門」呼ばわりと、同業者からの受けは相当に悪かった。

ただ、彼自身の心境の変化もあって、仲間や同業者に「ああ」「そうか」以上の会話をするようになったり、
ソロだった頃と異なり、女神官を始めとしたパーティメンバーと(彼がぶっきらぼうなのは変わらないが)和やかにしていることが増えたこともあって、
「なんか変なの」扱いは変わらないものの、仲間以外の同業者から気軽に声を掛けられたりすることも増えていき、
中盤以降は新人は勿論、同格の銀等級からも非常に頼られ、相談されたりしたりという仲になった。

人付き合いが少ないために心の機微などには疎いようだが、生真面目かつ律儀な性格から、
酔いつぶれた妖精弓手を泊まっている部屋まで(女神官と一緒に)部屋まで負ぶって送り届けてやったり、
見ず知らずの冒険者志望の少年を自分の拠点である牧場に連れて行ったりと彼なりに気を配っている。
受付嬢や幼馴染である牛飼娘から向けられる好意に気付いているし、他者のそれもある程度察して助言も送っている*11


過去

そんな彼がゴブリンばかり相手をする様になったのは、彼の幼少期に故郷の村がゴブリンの大群に襲われて滅ぼされたトラウマに起因する。
近所の知り合い(牛飼娘の両親も含まれる)は元より、唯一の肉親だった姉も自分を庇って嬲り殺しにされ、その様を見せつけられた挙句、
隠れ場所から抜け出て逃げ出そうとした際に自分も見つかって襲われ、あわや殺されかけている。
その後、偶然に『先生』に助けられ、彼に何年か師事して冒険者としての思考や戦い方、文字の読み書きなどを叩き込まれた後、
現在も所属している冒険者ギルドの門を叩き、(肩書き上は)冒険者としてゴブリン退治の依頼に赴くようになった。

駆け出しの頃は、幼い頃のトラウマとゴブリンへの復讐心に囚われ、主にソロでがむしゃらにゴブリン退治を行っていたものの、
次第にゴブリンという種族自体あらゆる戦法を試す実験台にうってつけのモンスターと思うようになり、
一度の依頼でゴブリンを何体駆逐できるか策を練ることを愉しむようになっていったとか…。
確かに弱くて適度に小賢しくて数もおり、おまけにいくら倒しても良心の呵責を感じない程ゲスい存在というのはこれ位なものだろうが。

ともあれ、そういう意識の変化もあって彼はいつしか『ゴブリンスレイヤー』とあだ名されるほどに、執拗にゴブリン退治ばかりを行うようになり、
ゴブリンスレイヤーの下宿先の主である牧場主は、「2、3度ゴブリン退治をすれば気も晴れるだろう」と思っていた彼がずっとゴブリン退治をしているのみならず、
それ以外の事柄に脇目も振らず、時には自身の体調すら度外視してまでゴブリン退治をしようとする姿勢を「タガが外れてしまっている」と称し、
決して嫌ってはいないものの、ゴブリンスレイヤーのことを(姪っ子の牛飼娘が好意を寄せていることも含めて)苦手としている。



総評すると良くも悪くも「誠実」「鋼派(硬派)」な朴念仁。
寡黙かつ頑固で人付き合いは苦手、基本的にゴブリン(退治)のことしか考えていない偏屈な職人肌。
ただし、頼まれればそれ以外の依頼も受けるし、特に見知った相手には「普段の借りを返すため」と面倒事でも率先して突っ込む。

ただ過去の経験もあってかゴブリンばかり殺している自身は好意を持つ女性に答えられないと思っており、恋愛感情を表に出すことは今のところない*12

そんな彼の心境にも巻が進むに連れ変化が起きており、頭目と見なされるようになってからは、冒険を「楽しい」と思えるようになってきているフシがある。
一方で、『冒険』を楽しんでいる間も、彼の頭からゴブリンの脅威が離れることはなく、
他の冒険者が混沌の軍勢と戦っている間、ゴブリンどもの相手をするのが自分の務め」と己の存在意義を噛み締めるように語る場面もある等、
自分はやはり冒険者ではなく『ゴブリンスレイヤー』なのだと改めて認識してもいるようである。


◆ゴブリンスレイヤーとして



「ゴブリン死すべし、慈悲は無い」と言いそうな(ゴブリンを殺すためならあらゆる手を尽くす)、ゴブリン退治の大ベテラン。

転移の巻物*13やゴブリンの指には嵌らない魔法の指輪といった代物を持ち、
洞窟でも取り回しやすい中途半端な長さの剣*14と金貨四枚で買った南洋式の投げナイフ*15を帯びているが、
自身が斃れた場合のことも考慮して、奪われ、使い方を覚えられると厄介さが増す魔法の武具の類は一切持たない*16
仮に「ゴブリン殺しの魔剣」があったとしても使わないという。

その魔装備がよほど有用ならばともかく、基本的には、

  • 最初は狭い場所で使いやすい、一般的な小剣を持ち込み、切れ味が鈍ると必要に応じて投擲する*17
    投擲後は主に屍から他の武器を取り上げ、それも使い潰せば投擲して他の武器を…を繰り返す*18
    ゴブリンが武器をかき集めて使う性質と、元々棍棒で十分倒せる弱さを加味しての立ち回り。
  • 頭を万遍なく防護するための(安っぽい)鉄兜に、取っ手を外して腕に括り付け、取り回しをよくした(使い古した)円盾*19
  • 死骸から採取した血や糞尿などを塗ることで金臭さを誤魔化し、接敵するまで鼻の利くゴブリンに自分の存在を感知させないようにした(薄汚れた)革鎧
  • 鎧の下に、ゴブリンがよく用いる毒を塗ったナイフの刃や鏃を防ぐための鎖帷子

とゴブリン退治における最適解*20という自負がある今の装備を大きく変えることはないと思われる。


ゴブリン退治の腕前はまさしく一流で、他の同業者から「たかがゴブリン退治にそこまでするのか?」と言われるほど念入りに準備・偵察を行い、
いざ攻略に入ると、雑魚ゴブリンだろうと一匹残らず、確実にその息の根を止めながら最奥・親玉を目指して進んでいく。
これは、一体でも生きて逃がしてしまうと、そのゴブリンが逃げ込んだ他の群れにこちらの攻め手などを漏らしてしまう危険性を考慮してのもの。

また、豊富なゴブリン退治の経験から得た、ゴブリンの性質や気質に関する知識から、仲間を呼ばれないように忍び寄って声を出させず奇襲したり、罠を設置したり、
貪欲に学んだ知識で火攻め水攻め粉塵爆発も必要とあれば実行する和マンチの権化*21
新たな戦術の開発・試行にも余念がなく、例えば上述の通り彼は魔法道具・武器の類を基本的に用いないのだが、
上鉱人(ハイラー・ドワーフ)の得意とする火攻めを参考に、火除けのアミュレットを装備した上で油瓶を抱えてゴブリン共に突撃し、
そこに、仲間に渡したマジックワンド*22から『火矢』を撃ち込ませ、アミュレットを装備した自分以外を一網打尽にするという戦術*23をドラマCDで試している*24

こういった姿勢から、自分のパーティメンバーも含めて他者から「無茶苦茶なヤツ」と称されることもあるが、ゴブリンスレイヤーなりの計算に基づくものであり、
確実に勝てる根拠があるなら「無茶」はするが、一か八か、もしくは破れかぶれの「無謀」はしないというのが彼の行動方針である。
故に不確定要素を出来るだけ潰し、博打を打たない、天上の神々からすれば「徹底してサイコロを自分たちに振らせない」彼は扱いに困るらしく、
自分たちが作ったダンジョンに彼が訪れたのを受けて思わず「マジか」と愕然とする場面もあった。


中にはこれは敵わないと見て武器を放り出し、平伏して命乞いを始めるゴブリンもいれば、まだ非力なゴブリンの仔を発見することもあるが、
ゴブリンスレイヤーは命乞いをされようが、まるで人間の子どものように身体を寄せ合って震えていようが、まったく頓着せずに始末する。
これは、ゴブリンには「恩」等という概念はなく、見逃せば後ろから襲い掛かられたり、生き延びて成長した仔が厄介な『渡り』となって人間を襲う危険性が高いためであり、
そういった二次被害などを考慮せずにゴブリンを見逃してしまう手合いを、ゴブリンスレイヤーは「間抜け」で「お優しい奴ら」と酷評している*25

一方、徹底的なやり口から「ゴブリンを殺すことが最優先」と思われがちな彼だが、ゴブリン退治においては人質や虜囚の救出を優先しており、
基本的にゴブリンの巣穴を隅々まで蹂躙するのも、もちろんゴブリンの殲滅という理由もあるが、囚われている者の発見・救出のためでもある。*26
実際、妖精弓手たちと初めて組んだゴブリン退治では、分かれ道で長がいるであろう奥に続く道を鉱人道士が見抜いた後に敢えて逆の道を行き、
虜囚とされた森人が繋がれた部屋を発見し、救助している(「手遅れになる」という言葉からして、その道の先にこの部屋があると予期していたと思われる)他、
ソロで挑んだゴブリン退治で、長であるホブゴブリンが虜囚とした女性冒険者を盾に使って逃げようとすると、
一旦見逃すと思わせて剣を放り投げ、それに注意を向けさせた上で素早く近付いて金的をかまして彼女を自発的に放り出させ、その上で始末している。
しかし、虜囚に容赦ない強姦・輪姦・拷問を行って玩具とするゴブリンどもは、「まだ」命まで奪うつもりがなくともうっかり「遊び過ぎて」死なせることも常であり、
巣(群れ)の規模が大きくなるに従って、虜囚とされた女性が生き延びられる確率やその期間は下がっていく。
故に、「規模が大きい」、「虜囚の数が少ない」、「虜囚とされてから日が経っている」など、
ゴブリンスレイヤーなりの「虜囚はおそらく既に死んでいるだろう」と判断を下すに足る判断材料がある場合は、救出を諦めてゴブリン殲滅を優先することもある模様。

彼のこういったやり方は、ゴブリンの生態などを考慮すれば当然の戦術・行動なのだが、
彼ほどゴブリンに詳しくない冒険者からは、あまりにも容赦がないそのやり口に辟易されることもある。
その一方、二代目ゴブリンスレイヤー女神官のように常日頃から研鑽を怠らず、如何に応用できるか試行錯誤する徹底的な姿勢に感化されているものもいる。


◆冒険者として


銀等級の技能とは本来、得意分野に関しては武技一つとっても魔法と見紛う程に卓抜した達人の域にある。
ゴブリンスレイヤーの各技能は(ある敵の見立てでは)第5~6位の紅玉~翠玉等級に留まるので、銀等級として評価するとその技量は低い。
身体能力も含め、あくまでヒューマン・ファイター・オトコの範疇に収まっており、純粋な力量勝負では苦戦することが多い。
格下の相手であっても確殺するために不意打ちを行っており、強敵との対決では負傷する事もしばしば。
並のゴブリンは問題にもならないが、ホブでは多少時間がかかり、チャンピオンに至っては対策無しで正面から戦うと間違いなく返り討ちに合う。
(参考までに彼と同じ銀等級である槍使いや重戦士は、チャンピオンと正面から互角に打ち合い、槍使いに至ってはソロで討伐に成功している)
悪く言えば器用貧乏だが、良く言えばあらゆる局面に対応するオールラウンダーである。
これは彼が長年ソロでやってきて積み重ねた技術故だろう。
尤も、初登場時には「暗闇から放たれた矢を一瞥もせずに剣で叩き落す」という、現実なら名人レベルの剣技を見せている。
矢を放ったゴブリンの技量やその威力がお粗末なことや、ゴブスレが弓矢を始めとしたゴブリンの攻撃の対処に慣れていることもあるだろうが、
この描写から特定武器特化型の紅玉等級が現実世界の武器の名人レベルに相当していると思われ、
作中世界で一般的な武器なら何を渡されても現実の名人かそれに近いレベルで使えると言うのはある意味凄いのだが。

また銀等級冒険者ともなると何種類もの魔物と戦い、知識も豊富になるのだが、ゴブリンスレイヤーにはそれが一切ない。
言うまでもなく、ゴブリンしか相手にしていないからである。本人はゴブリン以外の名前を覚える気すらない。
そのため、雑談中に蜥蜴僧侶が(一般常識の体で)例えに出した怪物の名前を知らないゴブスレに素で訊き返され、一瞬黙ってしまうこともままある。
だがパーティメンバーや臨時パーティとの冒険で、ゴブリン以外の戦闘が増えたことや、
混沌の勢力が活性化し、魔物の上位種がゴブリンを率いるパターンが多くなり、必然的に彼もそれなりの知識を要することになった。
また戦う相手が初見でも、即座にパーティメンバーから魔物の特性を聞き、対処することから応用力も高い。
ちなみに自身が昔読んだ冒険譚などに出た魔物は覚えており、ドラゴンは勿論、ガーゴイル等も知っていた。
オーガとは初見では名前も覚えなかったが、何回か戦ったことで、漸く名前を覚えるまでに至った。

魔物に関する知識にはとんと疎い一方で、ゴブリン退治に使えると思えば貪欲に知識を収集しており、
粉塵爆発のことを知っていたり、毒を警戒して毒に敏感な金糸雀を連れて行ったりと、物事に関する知識は豊富。
文字の読み書きが出来ない冒険者なども少なくない*27が、ゴブスレは問題なく読み書きできる。
これについては「文字を読み書きできればそれだけで色んなことが分かるのだから、覚えて損はない」という師匠の教えだという。
また、必要だと思えば専門家に教えてもらったり、協力を依頼することに抵抗感はなく、
例えば槍使いと組んでいる魔女に、収集した魔法具の鑑定や転移の巻物の接続先の設定を、有償でやってもらったりしている。

身体能力こそ平凡な成人男性の域を脱しないが、豊富な知性と技術力、おまけで多少の運気を持つ彼は、
冒険者の適性的には戦士というよりは野伏(レンジャー)や斥候(スカウト、偵察員)としての性質が強いと思われ、
同格の同業者である槍使いや重戦士、ギルドの監察官にも斥候としての適性(技能はもちろん、真面目な性格故に信用がおけるため)を賛辞されているが、
本人は「俺は戦士のつもりなんだが」と少し納得いかない様子だった。

当然戦士としての技量もあるので、重戦士・槍使いと共に斥候として臨時パーティーを組んだ時は、
特に示し合わせずとも彼らの動きに合わせて敵を打ちのめすぐらいの実力はある。
実際、ゴブリンスレイヤー、槍使い、重戦士は同じギルドに所属する銀等級の冒険者*28の中でもそれぞれ「辺境最高の冒険者」と名高く、
それぞれ「辺境最優」、「辺境最強」、「辺境最高(のパーティの頭目)」と称され、当人たちも重戦士が三人合わせて「辺境最高の三人」と言っているなど、
やはり銀等級の一人、ギルドにおける最高戦力の一角として非常に頼りにされている総合力がある。

ちなみに、他の二人よりは技量で劣るゴブリンスレイヤーが何故同格扱いされているかというと、「ギルドへの貢献度」が高く評価されているためで、
基本的に人気がないゴブリン退治の依頼を率先して受託し、きちんと達成することで依頼の達成率向上や被害の拡大を防いでいることが評価された結果である。
その上で(仕事人としては)人格面でも際立った問題も無くギルド・依頼側の双方から信頼できる人材なのも要因。
技量・実績・貢献度・人格から見て待遇も妥当と言え「辺境最優」の称号も、これらの点が加味された上でのものと思われる。
なお、ゴブリンスレイヤー自身は(そもそも自分は冒険者ではないという心情も含めて)等級や名声などにはとんと興味がなく、
言動に関しても、朴訥といえば聞こえはいいが、基本的に誰に対してもぶっきらぼうであり、初対面から好感を抱かれることは少ない。
そんな彼が在野の冒険者では最高級と呼ばれる銀等級になっていることには、(もちろん実績もあるが)彼を特別に気に掛けている受付嬢の尽力も大きい。

報酬を気にした場面はあまりなく、妖精弓手たちからゴブリン退治への協力依頼が来た時には即応した上で「自分への報酬は好きに決めておけ」と言い放って彼女らを唖然とさせた。
ドラマCDで受付嬢からゴブリン退治の依頼を提示された際にも即座に受託するも報酬を気にする様子はなく、女神官までゴブリンの規模や現在時点での被害しか気にしなかったので、受付嬢から「報酬のことも忘れちゃダメですよ」とやんわり注意されている。
只、ソロで活動していたこともあって報酬を独り占めできることと、高価な装備品をあまり買わないことから生活するには十分以上の収入は確保できている模様である。


一番の問題は彼の実力ではなく、心情である。
彼自身、冒険者を名乗ってはいるものの、それは公にゴブリンを殺せるために過ぎず、あくまで自身は『ゴブリンスレイヤー』と自覚している。
それ故に彼は自分を冒険者と思っていないし、むしろそれで良いとまで思っていて、
その考え方と、ゴブリン退治ばかり行う姿勢には、彼に思いを寄せる女神官、牛飼娘、受付嬢は心を痛め、
「『冒険』してこそ冒険者」が信条の妖精弓手は面と向かって批難することもある。

そのため、妖精弓手はもちろん、巻が進んで仲が改善された槍使いや重戦士も気に掛けており、
何かと理由をつけては彼を誘って、ゴブリン退治ではなく『冒険』をしている。
その甲斐もあって、『冒険』を楽しいと感じたり、それに誘ってくれる彼らに多大に感謝しているのだが、
今度は、「こんな楽しいことを自身がやってもいいのか」「自分が楽しんでいる間にもゴブリンが誰かを傷つけているのではないか」と、
心に影を落とし「これは自分の役目ではない」と再認識している部分もある。

ただ変わって来た彼自身は「冒険者になりたい」と羨望を抱いているし、牛飼娘も「なれるよ」と励ましているので、
彼が真に「冒険者」に成る時が来るのを切に願うばかりである。


◆戦った怪物一覧



◆ゴブリン

言うまでもなくゴブリンスレイヤーの宿敵にして怨敵にして仇敵である小鬼。
向こうからすればゴブスレさんは天敵。(本人曰く、「俺は奴らにとっての『ゴブリン』だ」)
普通のゴブリンから上位種のゴブリンまで多種多様に出てきてはスレイされる。
中には聖騎士やら神官やら、ゴブリンスレイヤーも初めて見たような上位種も現れて(はその都度ゴブスレさんのトンデモの餌食となって)いる。
「なんでオルクボルグと冒険に行くと悉くゴブリンになるのよ!」by金床

◆人食い鬼(オーガ)

本来なら銀等級でも苦戦は必至の、凶悪かつ有名な怪物。
だがゴブスレさんは名前すら知らず、二回目の対峙でようやく名前を覚えた。
なお、彼と対峙した二匹のオーガは兄弟関係にあり、二匹目からゴブリンスレイヤーは兄の仇として憎悪されていたが、
ゴブリン(の殺し方)以外興味のないゴブスレさんが、名前すら知らない怪物のことなど覚えているわけもなかった。
直接恨み節をぶつけられても(挑発は返すが)思い出す節はなく、合流した妖精弓手に言われてようやく種族名を思い出す始末。
ちなみに、一匹目は転移の巻物(から飛び出た高圧水流)、二匹目は湖に沈めると、倒し方こそ違えどどちらも水が致命傷を与えている。
「ゴブリンの方がよほど手強い」by変なの *29

◆沼竜(アリゲイタ)

巨大ワニ。怪物ではあるが混沌勢力ではなく、使徒。
ゴブリン討伐を頼んだ剣の乙女は地下にコイツがいることを知っていて黙っていた。
襲われて喰われかけたこともあってか、流石のゴブスレさんも少しムッと来た模様。
エサはゴブリン。
「あれはゴブリンではないな」by変なの

◆ガーゴイル

何度か遭遇していたが、重戦士と槍使いに名を聞くことで覚えた。
本人曰く名前だけは知っていたものの、実物がどんなものかまではこの時まで知らなかった様子。

◆名前を言ってはいけない類の怪物

触手の生えた大目玉。鈴木土下座ェ門。二回戦っており、一度目は爆発の実験体。
二度目は真正面からだが「辺境一」の野蛮人冒険者3人に勝てる訳もなし。
名前を言ってはいけない理由は権利上の問題(ビホルダー(D&D))
「名前なぞどうでもいい」by変なの
「『偉大な(グレート)』が抜けてるぜ」by重戦士

◆混沌に与した圃人

かつてゴブリンスレイヤーと同じギルドに所属していた圃人の冒険者。
昇級審査で自分がパーティーの宝箱を独り占めしたことを看破され、事実上ギルドから追放された。
その逆恨みで、昇級審査を務めた受付嬢と、立会人だったゴブリンスレイヤーに逆襲を企てる。
人格には難ありなものの、斥候としての実力はかなり高かったようで、ゴブスレさんからも「俺の技量ではそうそう勝てん」と何気に高い評価を下されていた*30*31
収穫祭の夜、復讐したい二人が仲良く歩いているのを尾行し、密室に二人だけになったところをこれ幸いと奇襲。
まずはゴブリンスレイヤーを殺せたと快哉を挙げたは良かったが、彼の冒険者としての実力を雑魚狩り専門と侮っていたのが命取りとなった。
ちなみに、この男が所属していた一党はその後も何度か登場しているのだが、その際の描写を見るに、
彼が降格(追放)処分を受けた理由も、混沌に与して逆恨みの復讐を試みた挙句ゴブリンスレイヤーに返り討ちにされたことも知らないようである。

◆闇人(ダークエルフ)

分解の呪文に矢除け、百手巨人と盛り沢山。でもゴブリンロードの方が手強い。
敗因は様々だが、致命的だったのは、矢除けが「投擲剣」に作用しなかったこと。
ゴブリンの大軍を手勢として収穫祭に浮かれる辺境の街の住民を血祭りに上げようとしたが、
その指揮がゴブリンの長所を悉く殺す稚拙さであったことも手伝い、ゴブスレさんからの評価は散々であった。
素人(ヌーブ)め、教育してやる」by変なの

◆巨人(トロル)

巨体の怪力で治癒力がある厄介な中堅魔物。例によって愚鈍でバカ。

メディアの油(ガソリン)をぶっかけられた挙句、松明を叩きつけられ火達磨にされた。
だがこれでもしぶとく生きていたので、追い打ちで冷水と硝石をぶっかけられた。
熱された後に急激に冷まされた結果、体が罅割れ満身創痍になったところを、
妖精弓手と蜥蜴僧侶の総攻撃を受けて討伐された。
ちなみに策の出所は氷菓子の製造法である。

今回の冒険は女神官がリーダーだったのだが、様々なハプニングとトロルという予想外の親玉に対応しきれず、
最終的にはゴブスレさんがいつものごとく頭目を務めて、依頼を完遂した。

◆妖術師

『言葉持つ者の手によって殺されない』という能力を持つ、混沌に与した元・魔術師。
その能力と魔術で「辺境一の三人」の冒険者たちを迎え撃つが、彼らにとっては「多少厄介」程度であり、
割と善戦はしたものの、最終的には拘束され、猿轡を噛まされて無力化された。
自己紹介の最中に空気を読まないゴブスレさんに小剣を投擲されて胸を刺されるわ、
簀巻きにされて塔の屋上から蹴り落され、『言葉を持たない』地面によって死ぬというトンチのような倒され方をするなど若干不憫。

◆モケーレ・ムベンベ

ゴブリンの被害者その1。
上森人の里で尊ばれる神獣で、対峙した蜥蜴僧侶は、信奉する彼らの父祖たる『るべき』の末裔と見て歓喜している。
見た目はステゴサウルスのような板が背中にあるブラキオサウルスといった風体*32だが、
妖精弓手曰く劇中に登場したのはまだ若い個体で、成長すると首が増えるといい、只人の間では「ヒュドラ」と呼ばれているという。
その背中には騎手気取りのゴブリンが小さな鞍を乗って座っていたが、
モケーレ・ムベンベはその指示を聞くどころか存在を気に留める様子もなく暴れていた。
結局、ゴブリンは背中から振り落とされた挙句上から踏みしめられてぐしゃぐしゃになって死ぬが、
森人たちの「殺してはならない」という意向に沿い、モケーレ・ムベンベは眠らされて生け捕られた。
「アレがゾウか」by変なの 「違う!」by金床

◆大海蛇(シーサーペント)

様々な誤解の末、依頼を達成するために止む無く相手にした。
ゴブリンより簡単に倒せたので、ゴブスレさんからは(楽という意味で)好意的な相手。
おおよそ一般的な冒険者と巨大な怪物の戦いで用いられないであろう、ゴブリンスレイヤー立案のろくでもない作戦で倒したのだが、
禁止されている火攻め等を使ったわけでもないし、被害も(いつもと比べれば)少なかったので、妖精弓手も怒るに怒れない複雑な心境だった。
「火でも、水でも、爆発でもないが」by変なの 「ろ、六十点」by金床

◆鰓人(ギルマン)

人間とゴブリンによる風評被害で割りを食う哀れな種族。
インスマウス顔でクトゥルー的な神様を信仰しているいかにもアレな連中だが、会話は普通に通じる。
当然、怪物(モンスター)ではないので戦うこともなく、彼女の情報で依頼の元凶が大海蛇だと分かった。
見た目が見た目なので、方々からは「海ゴブリン」という失礼極まりない呼ばれ方をされている。
ちなみに依頼がゴブリンではなかったので、ゴブスレさんは珍しく威圧的に受付嬢に詰め寄った。
「ゴブリンか?」by変なの
「違うわよぉっ!それ、差別なんだからねえっ」by鰓人

◆魔人の手(グレーター・デーモンズ・ハンド)

小鬼邪神官の身勝手な願いから具現化した邪神の使徒。
ゴブリン退治を済ませ、攫われた王妹を助けたと安堵したところで小鬼邪神官を生贄に顕現。
疲弊した状態で相手取るにはかなり厳しい敵であった上に、
戦闘の騒ぎを聞きつけたゴブリンも乱入し、50匹という大多数でパーティを追い詰めた。
(主にゴブリン関係の)修羅場・窮地を潜り抜けてきたゴブリンスレイヤーたちも死を覚悟するような危機であり、
剣の乙女と彼女に率いられた神官戦士たちが増援に来なかったら、彼らの冒険はここで終わっていただろう

◆屍(アンデッド)

動く死骸。
他にも死体やら亡者やら様々な呼称があるが、意味や呼び名は全部同じで「アンデッド」。

ある意味ゴブスレさんが一番苦手とする類。
ゴブリン退治が主である以上、彼とその一党が遭遇するのはゴブリンのアンデッドなのだが、
生きているゴブリンと違って、首を掻き切ろうと急所を潰そうと立ち上がってくる上、
欲望も失っていてただ生者を襲うだけと、ゴブスレさんのいつものゴブリン退治のやり方が通用しない点が最も厄介。
基本的には足を切り、殺せずとも身動きできなくさせるやり方で対処している。

◆魔人(デーモン)

羽の生えた人型の悪魔。
妖精弓手の矢に気を取られた隙に組み付いた蜥蜴僧侶によって翼を引き千切られ、そのまま墜落死した。
当のゴブスレさんは相対したが何もせずに、パーティメンバーだけで対処し殺されるという珍しい例だったりする。

◆大蜘蛛

作中では蜘蛛としか表記されていないが、コイツを蜘蛛と例えると、世の中の蜘蛛が怒るだろう怪物。
重戦士が怪力を齎す籠手を纏い、船を蜘蛛に投擲して潰した。
しかし重戦士は唯でさえSTRがカンストしてそうな怪力なのに、魔装備まで筋力UPなのか……

◆スライム

なんとも悪質な罠でコイツがダンジョンに仕掛けられていた。
槍使いという尊い犠牲によって、ゴブスレさんも重戦士も被害に遭わず、無傷だった。
「クソが!」by槍使い

◆海魔

神代の戦の頃から海に君臨する深海の主。暴食の化身(ザ・グリード)とも言われる。
当然、一介の冒険者がどうにかできるスケールの相手ではなかったが、
ゴブスレさんが提案する(お約束の)無茶な策で隙を突いた所に入り江の頭目が雷撃剣を放ち、見事討伐された。

◆黒衣の魔術師

(自称)不死身の魔術師(一応不死身に相応しい生命力はあった)。
以前ゴブスレとその一党が戦った闇人よりはマシな采配でゴブリンを動かした。
不死身のカラクリは『命吸(バイタルドレイン)』という呪術で、
他者を無理矢理生かし、未来永劫、生命力を吸い取るというド外道な使用で行使していた。

最期は四肢を砕かれ身動きが取れなくなったところで、塚山を崩した際に生じた瓦礫に圧し潰されるという、
コイツがやって来た悪行の報いを受けるかのような凄惨かつ惨めな末路だった。
ちなみに塚山を崩すと提案したのは、ゴブスレさんではなく、女神官である。
「ホントもう、どうしてこんなになっちゃったかなあ……」by金床

+ 最新刊ネタバレ

◆ゴーレム

動く石像。
妖精弓手が祭壇に奉られている地母神の杖を持ちだしたら動き出した*33
強固な体には剣や矢は効かないためゴブスレさんはどうするのかと思えば、
なんと持ち帰らなければならない地母神の杖を蜥蜴僧侶に渡し、この杖による打撃で石像を砕かせたのである。
ある意味、作中一番の問題行動であろう…

ゴブスレさんは神器ならこの程度で壊れるわけない*34と気にも留めていなかったが、
この発言を聞いた妖精弓手は後で蹴っ飛ばすと心に誓っていた。残当
「こら神器を持ち出したバチが当たったかんの」by鉱人道士
「私のせいじゃないわよ!バチが当たるならオルクボルグだもん!」by金床

◆吸血鬼(ヴァンパイア)

蜥蜴僧侶に勝る程の膂力と、吸血鬼=不死者特有の凄まじい耐久力を持つだけでなく、
ゴブリンを配下として従え、死んでも屍兵として操ることで圧倒的な物量で攻めてくると、
同じような攻め手を行った闇人とは比べ物にならないほど厄介な相手である。

このテの相手に強く出れるであろう「奇跡」を使う女神官がこの時は不在だったこともあり、
一時撤退したゴブリンスレイヤー一行は作戦を練ることになるが、吸血鬼の持つある特性が突破口となった。
吸血鬼は「不死者」であるため、まるで人間のように思考し、行動していても「生物」ではなく「死体」、言い換えれば「物」である。
そしてこの時、一行は魔法の鞄(ホールディングバッグ)と呼ばれるあらゆる「物」を入れる魔道具を持っており、
さらに、先の戦いで一行は、目の前で蜥蜴僧侶の鞄から触媒の骨が散らばった瞬間、吸血鬼が何故か一瞬動きを止めたことを記憶していた。
ここまで話せば、我らがゴブスレさんがどんな決め手を使ったのか、聡明な読者はもうお分かりであろう。
開け放たれた鞄に閉じ込められる刹那、「こんな間の抜けた策(マンチキン)で……!」と呪詛を宣っていたが、
それにやられたコイツはまさに間抜けに違いない。

ちなみにこの策が通じなかった場合、ゴブスレさんは不死にも火は効くということで、
ありったけの火薬をぶちまけて吹っ飛ばすつもりだった。
策が通じたこともあり、ゴブスレさんの持つ火薬で本当に吹っ飛ばせたかは不明なままで終わったが、
コイツが生き残る未来はどの道無かったのかも知れない(まあ最初から死んでるけど)。
過去に物語から得た知識から、珍しくゴブスレさんが相対時に名を知っていた数少ない相手である。


赤の竜(レッド・ドラゴン)

ゴブリンの被害者その2。言わずと知れた最強種。間違いなく作中最大最強の相手。
鱗は堅固、眼光は呪力、咆哮で大気を震わせ、竜の息吹(ドラゴンブレス)は一撃必殺。
攻撃魔法も剣も一切効かず、圧倒的な火力で文字通り大暴れした。

幸いなことに相対した状況がモケーレ・ムベンベと似ていたので、当然対処法も同じ。
乗っているゴブリンを殺し、間髪入れずに眠らせた。(『惰眠』はなんとか効いた)
出会ったときはゴブスレさんも絶句。
ゴブスレさんですら終わった時は、「ドラゴンと戦ったのは夢なのでは?」と現実を受け入れられず、
「帰ってシチューを食べて、寝たい」と内心で呟き、今までにない程に疲労困憊した。

『ドラゴンスレイヤー』を宿願とする赤毛の魔法使いの因縁の相手、
しかも作中で「竜退治には、『まだ』早い」と言われているので、再戦フラグが立ってたりする。


このように、基本的にはゴブリン退治でゴブリンばかりをスレイしているようなゴブリンスレイヤーとその一党であるが、
ゴブリン以外の怪物や混沌の勢力と戦う機会も上述の通り多く、大抵の敵を屠っている上、倒せなくとも生還は果たしている。
特にオーガ(二匹目)を真正面から相手取って勝利した*35ことは、妖精弓手が思わず「信じられない」と零すような大金星であり、
蜥蜴僧侶が持ち帰ったオーガの武器はトロフィーの如くギルドに飾られる等、銀等級冒険者に恥じない戦歴なのだが、
大体がゴブリン退治の延長戦上で偶然遭遇した結果だったり、向こうから付け狙ってきたりと正規の討伐依頼を受けたわけではないせいか、
そもそも名前すら朧気なゴブリン以外の怪物の(世間から見た)脅威度など知らないせいか、ゴブリンスレイヤーはあまり自覚が無い模様。
あとこの中で名前と容姿を覚えたのは、オーガ、ガーゴイル、ドラゴン、吸血鬼である。ゴブリンは言うまでもない



◆本編での活躍


駆け出しの頃の「イヤーワン」時代は今ほどゴブリンへの対処法が洗練されておらず度々苦戦していたが、その都度新たな手法を考えゴブリンスレイヤーとして成長していった。
また今以上に一人で抱え込む癖が強かったが、他者との交流を通して(ある程度)外面・コミュニケーションを気にしたりするようになり、本編でも見せる頭目としての器もこの時から磨かれている。
他の冒険者と臨時で組むこともあったが(誰も付いてきてくれない・本人が他の依頼に興味を示さないこともあり)基本的にはソロでゴブリン退治を行っていた。

そんなある時、新人冒険者4人のパーティーが向かったゴブリン退治の依頼をゴブリンスレイヤーも受けて彼らの後を追った*36

しかしゴブリンスレイヤーがゴブリンの巣穴に侵入した頃には、新人パーティーはほとんど全滅の様相を呈していた。
リーダーの青年剣士はゴブリンに挽肉にされて死亡。魔法使いの赤毛の少女も、ゴブリンに毒を喰らわされ、それが全身に回ってしまっていた。
ただ一人、女神官は(行動できるという意味で)無事であり、彼女を保護することは出来たが、赤毛の少女は最早手遅れで、介錯して苦しみを終わらせてやることしか出来なかった。
保護した女神官から、敗北・凌辱(レイプ)されながらも自分たちを逃がした武闘家の少女のことを聞き、彼女を伴って現場に向かうが、既に巣穴の奥に引きずり込まれていた。
彼女を助けたいという女神官の意思を汲んで行動を共にし、ゴブリンを親玉・仔を含めて全滅させることに成功し、
件の武闘家の少女共々捕虜となっていた女子たちを救出できたが、ゴブリンの暴虐に晒された彼女らは既に精神が破壊されており、無事とはとても言えない状況だった。
これはゴブリンに襲われれば当然だと、ゴブリンスレイヤーは語るが、女神官には拭い難いトラウマになり、言った本人すらも後で後悔していることが描写されている。

これが縁で女神官が彼と懇意になり、共にパーティを組むことになる。
ただ、彼女がゴブリンスレイヤーに付いて行くことを決めたのは「彼を放っておけない」と感じたからであり、
この時点で既に、例え男性かつ年長の冒険者であっても「放っておけません」と付いて行く女神官の芯が強い部分が垣間見えており、
逆にゴブリンスレイヤーは、ほぼ初対面の頃の女神官にすら理解できる危うさを孕んでいることが分かる。
後に彼を頼りに銀等級の3人、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶が訪ねてきて、彼らから依頼を受ける。
これが縁で彼らも今後は、村のギルドに在籍しゴブリンスレイヤーと女神官のパーティに入る。
そして今後長く付き合うことになる5人のパーティが出来るのである。リーダーは当然ゴブスレ*37


そして、5人のパーティが様になってきた頃、ゴブリンスレイヤーが拠点とする牧場にゴブリンの魔の手が迫っていた。
斥候と思しき足跡からみても、百は下らない大軍勢である上に、
やり口からして、最も厄介な上位種である『王』こと『ゴブリンロード』に率いられていることは明白であった。

ゴブリン退治専門の彼にとって、一人で多数のゴブリンを相手取ることはよくあることであったが、それは洞窟などの狭い場所であることが前提。
障害物などがない、広大な敷地による野戦で百体ものゴブリンを相手取るなど、勇者でもない彼には無謀であり、
さらにその頭目がゴブリンロードともなれば、ゴブリンスレイヤーたる彼をもってしても勝ち目はなかった。
当然の帰結として、ゴブリンスレイヤーは牛飼娘や彼女の叔父に牧場を捨てて逃げるように勧めるが、
彼女はそうすれば自分や叔父の居場所も、何よりもゴブリンスレイヤーの帰ってくる場所が無くなってしまうと涙ながらに拒否。
ゴブリンたちに捕まれば、すぐに殺される方がマシな責め苦に遭わされる。そう警告しても、彼女の意思は変わらなかった。

自分だけでは対処できないことは明白だが、彼女たちを見捨てることなどできるわけがなく、さりとて一人では手が足りない。
そんな状況の打開策として、ゴブリンスレイヤーは自身が在籍するギルドに所属する冒険者たちに協力を求めることにした。
しかし、ゴブリンとはいえ大軍勢を相手にする上、厄介な上位種に率いられているとあっては、誰一人手を上げるものはいなかった。

そんな中、槍使いは一人前に出ると、
「俺たちはお前の友達でも何でもないのだから、お願いを聞いてやる義理はない」
「冒険者たちに頼むのならば、報酬を用意して依頼するのがスジだろう」
とゴブリンスレイヤーに言い放った。

まったくもって正論なこの発言に、ゴブリンスレイヤーはこう返す。「報酬は『全て』だ」と。
文字通り自身の全財産、能力、時間を費やし報酬にすると言い切った。
この発言に槍使いは呆れた様子で「報酬に死ねと言ったらお前は死ぬのか?」と聞き返すが、
ゴブリンスレイヤーは「それはできない」と返し、「やはりこの男も死ぬのは怖いのか」と謎の安堵感を覚えた冒険者たちに、
「自分が死ぬと悲しむ者がいる。命だけは自分の裁量ではどうにもできない」という理由を話した。

その理由に呆れたのか、それとも何か感じるものがあったのか、槍使いは「お前の命なんざいるか」と返すと、
ベテラン冒険者に依頼する相場に相応しいとして、「後で一杯奢る」ことを報酬に提示し、依頼を受けると宣言。
自分の無理な依頼を受けてくれた槍使いにゴブリンスレイヤーは真摯に感謝を述べると、
それに追随するように、最初から参加を決めていた女神官以外のゴブスレのパーティメンバーたちと、
槍使いのパートナーである魔女も参加を表明。

さらに追い風が吹くかの如く、受付嬢の奮闘によりギルドからも「ゴブリン一匹に付き金貨一枚」という破格の報奨金が提示された。
重戦士はこれ幸いと、過去に自身の村をゴブリンスレイヤーに救われた恩を返すべく参戦を決め、
彼の率いる「辺境最高のパーティー」も当然それに追随。
それを皮切りに、かつてゴブリンスレイヤーから助言を受けた新米戦士と見習い聖女を始め、
ギルドにいた全ての冒険者が次々と名乗りを上げることになった。
かくしてここに、ゴブリンロード率いるゴブリン軍に対抗する、最大規模の冒険者連合が結成された。
そんな様子をニコニコと見ていた女神官の「よかったですね?」という言葉に、ゴブリンスレイヤーは頷いたのであった。


激闘、死闘の果てにゴブリンの群れを撃破した彼の元には疲れて眠る女神官と幼馴染の牛飼娘がいる。
そして目に映るのは、牧場を共に守ってくれた冒険者たちが騒ぐ喧噪。
彼らを見ながら、ゴブリンスレイヤーは語る。「俺は多分。冒険者に、なりたいのだと、思う。」
彼が『ゴブリンスレイヤー』から『冒険者』としての一歩を踏み出した瞬間である。
さらに女神官からお願いされ、いつも被っている兜を脱ぐ。
そして彼の素顔が見られることに歓喜する『冒険者の仲間たち』
兜を脱いだゴブリンスレイヤーは、まさに初めて彼らと顔を合わせたのかもしれない。
彼らの笑顔と隣に寄り添う女神官の笑顔を見て、彼もまた静かに笑顔を浮かべるのだった。

この一件から他の冒険者からも見直され、交流を深めることになる。
パーティメンバーとは何度も冒険に行き、ゴブリン退治にも付き合ってもらうことに。

仲良くなった槍使いや重戦士とは共に冒険に行くことも多くなり、一緒に飲むことも多々ある。
これにはゴブスレも感謝し、更には彼らから銀等級冒険者としての嗜みや挙用も教わっている。
(尤も本人は参考にしているつもりでも、あまり実践しないのはご愛敬である)
ちなみに槍使いや重戦士と一緒に冒険する時は、ゴブリンは出ない(彼らが絶対にゴブリンが出ない依頼を選んでいるからかもしれないが…)上に、彼らと冒険すると妖精弓手が拗ねる。
(自分たちのいない間にゴブリンスレイヤーが冒険すること、自身を誘ってくれないことの両方からだろう)

新人からも頼られるようになる。何よりゴブリン退治は必ず新人が通る道であり、彼の助言は非常に参考になる様子。
最初に交流した新米戦士改め棍棒剣士、見習聖女改め至高神の聖女の二人にも助言を度々送り、
新人のための教習所が出来た時は、投擲の技術を重戦士パーティーの圃人や他の新人に伝授している。

最も力を入れて伝授したのは、6巻で現れた赤毛の少年魔術師である。
彼は1巻で死亡した女魔術師の弟であり、ゴブリンに殺された姉の復讐のために冒険者になった。
姉を殺されたという同じ境遇、助けられなかった自身の無力さを突き付けられ、ゴブリンスレイヤーが、珍しく苛立ちトラウマになってしまった。
なので彼に対しては、一層親身になり、共に冒険した時にも世話を焼いた。
最終的に復讐を断ち切り、「ドラゴンスレイヤー」を目指す彼を誇らしげに送り出した。
この時も旅の途中で自身が世話になった「先生」に会ったら、自分(ゴブリンスレイヤー)の名前を出せ、という助言を彼に授け、師匠にも会えた。
彼と一緒に旅出た圃人剣士と共に度々物語に登場し、その度に成長した姿を見せてくれる。
今では良き兄弟子、弟弟子のような関係である。(尤も修行は厳しく、彼は「オレは師匠だなんて認めねえぞ」と納得していない様子)

上記の冒険者の欄でも挙げたが、ゴブリンスレイヤーの心情も少しずつ変わってきており牧場戦以降は、
常にゴブリン一辺倒で、それ以外の依頼を受けなかった彼も多少融通が利くようになり、他の依頼やお願い事も行うようになってくれた。
ただ彼が冒険すると(ゴブリン退治の依頼でもないのに)確実にゴブリンが発生し、これには妖精弓手も辟易し、最近は半場諦めている。

妖精弓手の姉の結婚式等にも(身内の説得があったが)出席し、彼なりに楽しみ、祝福もしていた。
同時に自分に冒険をさせてくれる妖精弓手に、自分が関わると(自身が意図せずとも)ゴブリン退治になると謝罪までしていた。
(この時の妖精弓手は全く気にせず笑っており、その態度からゴブリンスレイヤーもこれ以降は特に気にする素振りはない。
そしてその後の冒険もやっぱりゴブリン退治になるので、妖精弓手は激怒するのであった……)

特筆すべきは、10巻である。
女神官の身内が酷い噂を流され中傷され、同時に彼女もこれ以上ないほど気落ちするのだが、
その時の彼は以前までだと考えられない程の行動を取る。
なんと彼女たちの問題を解決するためにゴブリン退治の依頼を数日休んだのである。
これまでもゴブリン退治以外の冒険や頼み事を引き受けることはあったが、あくまでゴブリンの依頼が無い状況、
もしくはスケジュールを管理し、予めゴブリンを退治した後に請け負うといったスタンスだった。
しかしこの時は、女神官のため明確にゴブリン退治よりも仲間の問題解決を優先したのである。
人としても冒険者として大きく成長したゴブリンスレイヤーの一旦を垣間見るお話である。

先にも述べたが、自身はゴブリンスレイヤーであり、冒険者ではないという心情は今も変わっていないが、
同時に他者から冒険者として見られることは満更でもなく、『冒険者』という職には彼なりに矜持を持つように。
初盤で戦ったオーガの兄と戦う場面があるのだが、その時に仇敵であるゴブリンスレイヤーのパーティに「貴様等がそうかぁ!!」と吠えるオーガに対して、
ゴブリンスレイヤーではなく、パーティの頭目、一人の冒険者として「そうとも」「そうだとも!」と勇ましく応えるシーンは胸に来るものがある。

最近では、冒険の途中でゴブリンが現れると普段通り鏖殺するのだが、ゴブリン共が冒険の邪魔をすることや、
他の冒険者や人間に危害を与えることに一層の不快感を表して叩きつぶしている。



この様にゴブリンスレイヤーの物語は、彼がゴブリンを退治すると共に、彼が様々な人物との交流を得て『冒険者』になる軌跡を描くストーリーとも言えるだろう。



◆関連人物


  • 女神官
一緒に行きます。放っておけませんから、あなた。

ゴブリンスレイヤーにとって初めての固定パーティーメンバーであり、冒険者としては彼の弟子のような立ち位置。
冒険者としての振る舞いも彼の影響を受けつつあり、彼譲りのハッタリやルールの抜け道を衝くやり方を見た際には妖精弓手が天を仰いでいた他、
元々清貧を旨とする聖職者の生き方が根付いているせいもあるが、依頼に際して真っ先にゴブリンの規模や被害の様子を気にして報酬は二の次だったり、
依頼内容を見て開口一番にゴブリンの目撃情報の有無を気にする態度に、受付嬢に「貴女もですか」とため息を吐かれ、報酬なども気にするよう忠告されている。

組んだ当初はあまりにも朴念仁過ぎるゴブスレの態度にむくれたり、徹底的に過ぎるやり方にドン引きしたりもしていたが、
数々の冒険を経てそれなりに気心が知れるようになり、また、力量が上がったことで彼女に背中を預けたりする場面も増えた。
また、ゴブスレが怖そうな見た目に反して割と律儀なこと、強く言えばそれなりに引いてくれる(受け入れてくれる)ことを知ってからは、
理由を付けて妖精弓手の姉の結婚式に行こうとしない彼の言い訳を満面の笑顔で「ダメです」と切り捨てるなど、押し切る場面も増えた。

異性としてゴブスレがどう見ているかは不明だが、とある冒険でゴブリンの虜囚にされ、痛めつけられた女性の神官を見て、
彼自身も無意識に女神官の名前らしきものを呟くなど、仲間としては大切に思っていることが窺える。
女神官の方は、彼から水筒を渡された際に間接キスになることを意識して赤面する、普段とは違う装いの時にゴブスレの反応を気にする、
時に大切な何かを口にするように、ゴブスレのことを「仕方ない人」と評するなど、意識しているらしき描写は多い。

  • 牛飼娘
ゆっくりさ、考えようよ───焦んなくて良いからね。

ゴブリンスレイヤーの幼馴染。宿を借りている牧場の跡取り娘でもある。
たまたま叔父の牧場に遊びに行っていた時にゴブリンの襲撃があり、その時にゴブリンスレイヤーと生き別れになったが、
冒険者に成り立ての頃の彼と偶然再会*38し、叔父の許可を得て拠点がない彼に自分が住む牧場を拠点として提供した。

無口で何を考えているか分かりづらいゴブスレの気持ちを自然に察してくれる女の子であり、
「自分よりも自分の事を分かっている」とゴブスレも内心認めるほど、彼の数少ない理解者の一人である。

そんな関係のためか、装備の整備をしている時にじゃれつかれても好きなようにさせていたり、
彼女に耳かきをしたいと言われれば素直に受け入れ、その膝枕で大人しく耳かきをされたり、
彼女の作る、ゴブスレの姉のレシピを彼女なりに再現したシチューが大好物で、よほどのことがなければ家で食事を摂ったりと、
関係性だけを見れば恋人や彼女どころか、奥さんと勘違いされてもおかしくないほどの距離感である。

牛飼娘からはほとんど明確に好意を寄せられており、彼女の保護者である叔父からはそれもあって若干警戒されているが、
例によって朴念仁なゴブスレさんからは異性としての好意のようなものを見せたことはない。
ただ、彼から牛飼娘が大切に想われていると思しき描写は多く、「彼女が悲しむ」ことが、ゴブスレさんが命を軽々に捨てない理由の一つとなっている。

ちなみに寝る時は全裸派

  • 受付嬢
堂々としてください。あなたは銀等級の、冒険者なんですから。

いつもギルドでゴブスレの依頼の受託や完了報告を受け付けてくれる馴染みの職員。
「イヤーワン」の頃からの付き合いで、冒険者になってから付き合いがある人物の中では彼女が一番長い*39
個人的な理由もあって、特にゴブスレがまだ新人の頃は、自身もまだ新人職員ながら彼を昇級審査にかけるように上に掛け合ったりしており、
通常の依頼対応等も含めて、まさに陰に日向にゴブリンスレイヤーを支えている理解者の一人。

基本的にギルドで話すこともあり、彼女からは他の冒険者と同じように敬語で接されているが、
同僚に勘付かれ、彼女がいる時には必ずゴブスレの受付をさせるように気を回されるくらいには彼女から好意的に見られており、
営業スマイルではなく心からの笑顔で対応する、報告を受ける際には手ずから紅茶を淹れて振る舞うなど、明らかに対応が違っている。
また、最初こそ異様な風体や言葉少なな態度からゴブスレの対応をやりづらそうにしていたが、
付き合いが長くなるにつれて、見た目こそアレだが中身は割と律儀なゴブスレの性格も何となく察しており、
言葉の綾で緑の悪魔魔王のような扱いをされた際には彼を笑顔で威圧したことも。

異性としても好意を抱かれているが、ゴブスレさん側はやはりと言うべきか朴念仁な対応が多い。
ただ、「いつも世話になっているから」と大抵の頼みは断らないくらいには感謝しており、
デートの誘いを受けた際には(ゴブリンの依頼がないこともあって)OKするなど、それなりに脈はありそうである。
ちなみに、彼女のタイプは「ストイックな冒険者」とのことで、ゴブスレは言ってみればストライクゾーンど真ん中。
さらに、いつも残ってしまって処理に困るゴブリン退治の依頼を率先して引き受けてくれ、必ず帰ってきてくれるため、
そんな彼をギルド職員として毎回見送り、出迎えているうちに異性として好意を寄せるようになったようだ。

  • 伯父/牧場主
……そういう所が嫌いなんだ。

両親を喪った姪である牛飼娘を引き取り、親代わりとなって男手一つで育て上げた人物。
その牛飼娘が連れてきた、地縁のあるゴブリンスレイヤーに有償で部屋を貸し、下宿させている。
ゴブリン退治に拘る姿勢をあまり良くは思っていないが、さりとて事情がわかるだけに邪険にも出来ずにいる。
知らぬ仲でもないゴブリンスレイヤーのことも彼なりに心配し、なるべくゴブリン退治を控えるよう言ったり、
牛飼娘の心情も考えて、あまり彼女を心配させないよう苦言を呈したりするが、
牛飼娘のことはともかく、ゴブリン退治を控える様子はないゴブリンスレイヤーに頭を悩ませている。

姪であり、娘のように思っている牛飼娘がゴブリンスレイヤーに思慕していることも理解しているため、
「気持ちを汲んでやってほしい」「周りに女性も多いようだから、誤解されることはしないように」と親心から注意することもあるが、
彼なりに真剣に考えていることは理解しつつも、本当に自分の注意の真意を理解しているのか分からない態度に頭を悩ませ、
さりとていい加減な態度を取るわけではないから蔑視するわけにもいかないと思い悩む苦労人。

良い人なのは間違いないためか、ゴブリンスレイヤーは彼に感謝しており、自主的に早朝の見回りをしたり、
暇な時は牧場の仕事を手伝ったり、(下宿代も込みだが)「冒険者というのは稼ぎが良いんだな」と言われる額のお金を毎月払っている。
無骨かつ基本敬語を使わないゴブリンスレイヤーが、確かな礼儀と敬語を以って接していることからもそのことが窺え、
それもあって邪険に出来ないと悩ませているが、受付嬢に時折ゴブスレの様子を訊ねるなど、牧場主も気には掛けている様子。

牧場主としての手腕は確かなもので、彼の牧場で生産される畜産物は辺境の街での評価も高く、特にチーズは蜥蜴僧侶の大好物となった。
また、ゴブリンスレイヤーが水の都で仕入れた知識を元に牧場の牛乳で作る「アイスクリン」も新名物となり、売り上げも好調らしいが、
牧場主はゴブリンスレイヤーの(ゴブリン退治に使うための)知識が元で名物が出来たことに複雑な心境らしい。
一方で混沌の勢力からすると、牧場が辺境の街を攻める橋頭保としておあつらえ向きな場所に位置しているらしく、一度ならず標的とされている。

  • 妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶
わしらだって、ああは解りづらい性格はしとらんの。……見応えのある若造じゃ。
ほほう、これはまた、戦士の相ですな。
いつか必ず───こいつに、『冒険』をさせてやるわ。

彼にゴブリン退治への協力を要請しにきたことで知り合い、ほぼ固定パーティーとなった冒険者たち。
全員銀等級の冒険者であり、その実力はゴブスレも頼りにするほど高い。

妖精弓手とは、初対面時にはむっつりとしたゴブスレに勝気な彼女が食って掛かるようなやり取りが多かったが、
全く楽しそうな素振りもなく、淡々とゴブリンを退治するそのやり方に彼女が「『冒険』をさせてやりたい」と思ったことをきっかけに、
彼のゴブリン退治に付き合いつつ、それ以外の冒険にも連れ出そうとするように。
様々なことに興味津々で、くるくると表情が変わる彼女にゴブスレが時に振り回されているように見えることもあるが、
彼曰く「お前がいると、賑やかだ」とのことで、(分かりづらいが)彼女の明るさに救われているところもある様子。
ちなみに、時折ゴブスレに好意を持っているのではと邪推されるが、妖精弓手にはそんなつもりはないようだ。
冒険者としても割と息が合っており、彼女と二人でゴブリン退治に向かい、見事完遂したりもしているが、
火攻め・水攻め何でもアリの姿勢には「禁止!」と声を荒げることもあり、ゴブスレも彼女といる時はなるべく控えている*40

おおらかな鉱人道士には出会った時からかなり好意的に接されており、
多彩な術を扱うベテランの彼をゴブスレも頼りにしていて、彼の作戦や指示を聞いた鉱人道士が即座に適切な術を使い、
それとゴブスレの戦略などが噛み合って状況を打開するという展開も多い。
朴訥なゴブスレの性格は鉱人道士にとっては好ましいもののようだが、手段を選ばない彼のやり方にドン引きすることもあり、
何かやらかしそうな気配を察しては「なんか嫌な予感がしてきた」と気落ちすることも。そしてその予感は大抵当たる

武人然とした蜥蜴僧侶とは、徹底したやり口も含めて(特に冒険中は)息が合っており、
ゴブスレが「どう見る?」と戦況について尋ね、蜥蜴僧侶が状況判断と戦術を献策するやり取りはお決まり。
平時も割と和やかに接しており、ゴブスレの持参したそれを食べて以来大好物となった牧場のチーズを定期的に彼から買っている。
ただ、あまりにも朴念仁な言動には蜥蜴僧侶をして呆気にとられることもあり、発言に困惑して鼻先を舐める描写も度々見られる。

  • 槍使い、重戦士
やりたい事と、やらなきゃならん事と、できる事は違うな。
嫌になっちまうよな。

同じギルドに所属する銀等級の冒険者たち。
物語開始時点では特に槍使いとは(一方的に)険悪な関係だったが、巻が進むにつれて悪友のような関係性になっている。

槍使いは彼が好意を持つ受付嬢がゴブスレに懸想していることもあり、何かと張り合われているが、
当のゴブスレさんはそんな接し方に慣れていないので、挑発したら「そうか」と流されてしまったり、
戦果を自慢したら「すごいな」と素直に称賛されたりと、概ね「暖簾に腕押し」の様相を呈している。
ただ、元々ストイックなゴブスレの姿勢は槍使いにとって好ましいもののようで、ツンデレじみた協力をしたり、
嫌々ながら荷物を冒険のついでに運んでくれたりと、ゴブスレからの協力依頼には(報酬ありきで)応じてくれていた。
付き合いが長くなると、些細な仕草からゴブスレが荒れていることを察して声を掛けたり、
重戦士と三人で酒を呑み、かつての夢を語り合ったり、
腕利きの野伏が欲しい時はゴブスレを拉致する誘うようになるくらいには気の置けない関係となっている。

重戦士は元々ゴブスレに悪感情をさほど持っていなかった*41こともあり、序盤から割と好意的。
冒険の傾向も(脳筋的な意味で)似ており、槍使いと三人で組んだ冒険では、
ゴブスレの脳筋じみた献策に一も二もなく乗って槍使いから「この脳筋どもめ!」と罵られたり、
「人の手では死なない!」←「じゃあここ(塔の最上階)から突き落とせばいいんじゃないか?」というゴブスレの作戦に、
槍使いも合わせて悪ガキじみた顔で乗っかり、三人で仲良くボスを蹴落として始末したりしている。

  • 魔女、女騎士
同じギルドに所属する銀等級の冒険者。

魔女の方はゴブスレと同期なので、昔から彼の性格や動向を熟知しており、ギルドにおいてはゴブスレの素顔を知っていた数少ない一人。
(槍使いも何度か見ているが、劇中で見た時にはいつも鉄兜の「何か変なの」と素顔の彼が結びつかなかった*42ため気付かず、見ない顔の冒険者としか認識しなかった)
槍使いに想いを寄せていることもあって、長い付き合いながら異性としては見ていないが、さりとて軽視もせず、
同じギルドの銀等級の冒険者の中では彼の冒険者としての実力を評価していた数少ない人物の一人である。
一方で、他者にゴブスレを紹介する時は「キテる」(危うい)と実に的を得た評価で語っていたりもする。
ゴブスレ側も魔女(と槍使い)の冒険者としての実力・人格を以前から非常に信頼しており、
マジックアイテムの鑑定・提供、荷物の輸送などを有償で依頼して助けてもらっている。

一方、女騎士は当初ゴブスレに厳しい目を向けていた(上記の「雑魚狩り専門」も彼女の言葉)。
ただ牧場戦前から(原作では胡乱気、アニメではそれなりに親しげに)話しかけているので、
冒険者としては評価していない様子だが、人柄に対してはあまり悪い印象は持っていなかったように見える。
(恐らくこの時には、ゴブスレが相方である重戦士の故郷をゴブリンから救ったことを知っていたと思われる)
牧場戦後は気さくに接する機会が増え、彼に恋愛相談を持ち掛けて思いの外真剣に考えてくれたことを皮切りに、
ゴブスレパーティの問題事に嬉々として首を突っ込んだりと非常に親しくなった*43
ただ自分を置いて重戦士がゴブスレや槍使いと一緒に男だけで冒険したり、飲んだりするのは面白くない様子で、
こっちは(置いて行かれた女同士ということで)女神官を巻き込み、魔女や妖精弓手と一緒に変則パーティを組んで冒険してたりする。

  • 若き戦士
……俺、一応あいつと同じ日に冒険者になったからさ。これも縁、ってやつか。

同じギルドに所属する冒険者。等級は不明。
ゴブリンロードの一件でギルドから破格の報酬を提示された時に、上述のセリフと共に名乗りを上げた。
本編での登場は僅かである一方、外伝『イヤーワン』では、ゴブリンスレイヤーのゴブリン退治の裏で彼の新人時代の挫折と再起の様子が生々しく描写されており、
この世界における一般冒険者代表という立ち位置からか大きく出番を増やしている。

同期であり、一度パーティを組んだ仲ということもあってか、ゴブリンスレイヤーに対しては当初から友好的。
初めての大きなクエストを終えて帰る彼に「何かあったら呼べよ」と気さくに声を掛け、その時に以後の通り名となる『ゴブリンスレイヤー(小鬼を殺す者)』のあだ名を初めて彼に告げた。

  • 棍棒剣士(新米戦士)、至高神の聖女(見習聖女)、白兎猟兵
同じギルドに所属する後輩たち。

棍棒剣士は彼が新米の時に相談を受けており、彼が武器を紛失した際は、棍棒を使うようにアドバイスをした。
これ以降、ゴブリンスレイヤーを誤解していた自身を反省し、6巻頃には彼の目指す冒険者の戦い方に、
槍使い、重戦士に続いてゴブリンスレイヤーの名を挙げ、彼らを目標に励んでいる。
今では、「ゴブスレ(さん)」と呼び親しくしている模様*44

彼の相棒である至高神の聖女も同様にゴブリンスレイヤーを誤解して警戒しており、
表面上は敬語で接する一方で、その見た目からリビングメイルのようだとして怖がる等、見方によっては棍棒剣士以上に失礼なことを考えていた。
ただ、同期として仲が良い女神官に話を聞いたり、上述のアドバイスの一件で少なくとも彼に対する誤解は解けており、
友人がいるということもあって彼やその一党に話を聞いたり、教習所で彼からスリングを使った投擲技術の訓練を受けたりしている。
一方で、友人である女神官が(至高神の聖女から見て)やや過剰なほどゴブリンスレイヤーを慕っていることに軽く引いていたり、
スリングの訓練に際しての、
「(投擲術が)必ず役立つとは言えない。ただ土壇場で切れる札が増えるだけ。それでもいいなら訓練しろ」(意訳)
というゴブリンスレイヤーの発言に、自分と同じく訓練を受ける少女巫術師が、
「ゴブリンスレイヤーさんは言い方が卑怯」「神官のお姉さん(=女神官)が苦労するのも分かる」と口を尖らせた際、
内心同感だったのか何もフォローせず、首を傾げるゴブリンスレイヤーを尻目に訓練を始めたりしている。

ゴブリンスレイヤーも彼らが見習いだった時に技術を教えたことを、ちゃんと覚えており、
白兎猟兵を入れた3人が無事ゴブリン退治を成し遂げた時は、「よくやった」とハッキリ述べ、
(普段通りの態度だが)我がことのように喜び、彼らを称賛した。

ちなみに3巻の収穫祭では、重戦士の一党の少年斥候・少女巫術師とWデートのような形で一緒に回っており、
偶然出会ったゴブスレに「ゴブスレのおっさん」と新米戦士が話しかけるのだが、
これに対するゴブスレの「違う」「俺はまだ二十歳だ」という返答に4人が騒然となった*45
なお、ゴブスレと一緒に収穫祭を回っており、この時も彼の隣にいた牛飼娘は、
いつも以上につっけんどんに聞こえる彼の返答に、「この反応に内心ちょっと傷ついている」と推測している。

  • 剣の乙女
わたくしを───助けてくださいますか?

水の街を守護する聖女。
彼女の指名でゴブリン退治に向かったことで知り合った。

その依頼によって彼女がかつての失敗をきっかけにゴブリンにトラウマを持っており、未だに悩まされていること、
その危険性を街の人間に知らしめるべく、敢えてゴブリンを放置していた(するしかなかった)ことを知ったゴブスレは、
変に同情したり、正義感から怒ったりはせず、ただ「ゴブリンが出たら俺を呼べ」とだけ告げ、
それが、彼女が未だに囚われていた過去の悪夢…ゴブリンに虜囚とされた記憶のフラッシュバックから救われるきっかけとなった。

それはいいのだが、この一件がきっかけとなって彼女からは熱烈な恋愛感情を向けられるようになり、
彼女から送られた依頼の手紙は、読んだ妖精弓手が「情熱的ね」と称するほど愛情が籠っていたり、
近くに用事があればゴブスレのところに「来ちゃった♪来てしまいました」されたりと、
折に触れては彼女から求愛じみた言動を取られるようになった。

一方のゴブスレ側が、彼女のこれらの言動の真意に気付いているかは(当人が朴念仁なのもあって)未知数だが、
後に用事で剣の乙女のところに向かった際、自身を案内する剣の乙女付きの司祭に彼女の近況を尋ねたり、
用件の後、すぐに水の都を離れると聞いて残念がる剣の乙女に「仲間の用事(だからキャンセルできない)」と理由を伝えるなど、
彼なりに剣の乙女のことを気に掛けている描写があった。

  • 令嬢剣士→女商人
……恩人です。あの人も、彼の一党も。友達も、できましたから。

剣の乙女からの依頼で救出に向かった冒険者一行のリーダーで、貴族の令嬢出身の冒険者。
ゴブリンに敗北し、虜囚とされながらも唯一生かされており、衰弱・昏睡していた彼女を発見できたことで、救出自体は成功した。

しかし、目覚めた彼女は自身の貞操、装備、そして何より仲間たちを奪い去ったゴブリンたちへの復讐に取り憑かれており、
蜥蜴僧侶の言う通り「ゴブリンから尊厳を奪い返さなければ彼女は救われない」と判断したゴブスレは、ゴブリン退治に彼女を同行させるが、
自分の命すら勘定に入れず、ただただゴブリンへの復讐心に燃えて他の事には何の関心も見せない彼女にかつての自分を重ねていたのか、
令嬢剣士の身勝手な振る舞いへの迷惑とその身の心配から妖精弓手に「なんで連れてきたのか」と抗議された際には、
彼女がそれまでの激情を思わずしぼませるほどに疲れたような様子で「(彼女の危うさについて)分かっているつもりだ」と返していた。

そしてその後、彼女も仲間としてゴブリンたちを退治してその復讐を完遂させると共に、
彼女の奪われた尊厳の象徴に等しい宝剣を命の危険を冒してでも確保して彼女に返還し、仲間たちと一緒に彼女を復讐から解き放った。

以降は冒険者を辞めて商人として再起・成功した彼女だが、今でも彼の一党も含めて「恩人」としてゴブスレに親しみと感謝を向けている。

  • 先生
力がなくてなんもしなかった奴が、力を手に入れた途端なんかできると思ったか?

圃人の老人。ゴブスレの師匠的な存在。
冒険者としての心構えの大半は彼の教えにより身につけたもの。
ゴブスレは先生を今でも尊敬し、彼については「偉大な師だ」と公言して憚らないものの、
彼の苛烈な指導に関しては、舞台が冬山という厳しい環境だったのもあって、ゴブスレをして「二度とはしたくない」というほどつらかった模様。

言動は荒っぽいながら面倒目は非常に良く、平凡そのものであるゴブリンスレイヤーの根性を見込んで親身になって鍛えたり、
彼の伝手で訪ねてきた少年魔術師と圃人剣士の修行もつけたりと、(見た目に反して)良い人である。

  • 少年魔術師
あんたの真似をするのは、癪だから、絶対やらねえ。オレは───

当初はゴブリンスレイヤーという存在を認めず、なにかと食って掛かっていたが、
彼の実直さ、自身が軽んじた女神官の優秀さ、そして彼らとの冒険で自分の無力さを知ってからは、考えを改め、一から鍛えて出直すことにした。
この変化により、新人冒険者がゴブリンに襲撃された際には魔法を応用して大声を出してゴブリン共を怯ませて隙を作るという活躍をし、
そこを一緒に居た圃人剣士に気に入られ、後にソロで旅立とうとした時に押しかけられるような形でパーティーを組むことになった。

ゴブリンスレイヤーの在り方は気に入っていないが、彼の性格や振る舞いは認めており、目指すべき目標として励みにしている。
ゴブリンスレイヤーも、「姉を殺したゴブリンを憎み、その復讐を望んでいる」という、自身と似たような境遇でありながら、
復讐を止め、冒険者として夢を叶える道を選んだ彼の強さを認め、若干羨望を抱くとともに誇らしく思っている様子。

当初はプライドも高く、復讐や荒んだ出来事により視野が狭くなっていたが改善され、魔法の絵の具を扱うようになったり、
ゴブリンスレイヤーの投擲に影響を受けてブーメランと魔法を組み合わせた戦法を編み出すなど、今では登場する毎に着々と能力や頭脳が磨かれている。
また血気盛んな相方である圃人剣士を度々宥めたり、フォローしたりする等、完全に登場初期から真逆のストッパー役になった。

  • 孤電の術士(アークメイジ)
───だから私は笑わない。きみが小鬼を殺す者(ゴブリンスレイヤー)となる事を。

ゴブリンスレイヤーが駆け出しの頃、辺境の街外れに住んでいた学者風の女性。
とある切っ掛けで彼女と知り合ったゴブリンスレイヤーは、彼女の仕事である「怪物辞典の改訂」に伴うフィールドワークの護衛に雇われ、
彼女に付き従う形でゴブリン退治に赴き、ゴブリンについての知識の多くを彼女の下で学ぶことになる*46
そして最後の依頼を経た後、彼女は駆け出しの冒険者である少年に対して「小鬼を殺す者であること」を肯定し、自身の目的を果たすべく世界の外へと姿を消した。
ゴブリンスレイヤーは彼女がどこに行ったのかは理解していないが、「帰ってこない」ことだけは理解した様子で、その後一人帰還している。

短い付き合いではあったが、彼女もまたゴブリンスレイヤーという個を形成する上で、非常に重要なファクターを担った人物であると言えるだろう。

  • 査察官
……少年、いつか骰子(サイコロ)を振りなさい。骰子を振るということは、冒険をするということなのだから。

ゴブリンスレイヤーが鋼鉄等級に上がる際に試験を受け持った都の受付嬢で隻眼の女性。
かつては冒険者だったらしいのだが、ある冒険で失敗し引退後にギルドの受付嬢になった模様。*47
厳格な女性で、受付嬢は先輩で恩師でもある彼女に感謝もしているが、その厳しい性格に若干の苦手意識を抱いている。
元冒険者だけありその実力は天下一品で大型のゴブリンですら造作もなく倒す拳法家である。

実際の彼女は厳格ではあるが、かなり融通が利く性格で、碌にコミュニケーションが取れなかった当初のゴブリンスレイヤーですら問題なく会話出来ていた程。
また今のゴブリンスレイヤーにとっても彼女との冒険審査は非常に学びになったようで、
特に今の彼の口癖でもある、鉄火場において「どう見る」という意見を真っ先に聞く姿勢は彼女との交流で築かれたもの。
ただゴブリンスレイヤーの在り方には当初から否定的で、これは審査が終わった後も変わることはなかった。*48
一方でゴブリンスレイヤーの冒険者としての素質には一定の評価をしており、冒険者としての一生をゴブリン退治のみに捧げんとする彼の境遇を哀れみ、
いつしか彼が真の意味での冒険者になれるよう願いを込めて上記の言葉を告げ、等級審査合格を伝える書状を手渡した。

本編でも16巻にて登場。
新人冒険者を助けて、かつて出会ったゴブリンスレイヤーのことを思い起こしていた。
また各地を旅している様子もあるので、受付嬢を辞めて、冒険者に復帰した模様である。

  • 勇者
二人の仲間と共に魔神王を討伐し、弱冠15歳にて史上10人目の最高等級である白金等級となった冒険者の少女。
銀等級とはいえ辺境の街の一冒険者であるゴブリンスレイヤーとは比べるべくもない、(彼から見て)雲の上の存在なのだが、
ゴブリンスレイヤーとその一党が対処したゴブリン退治の依頼の裏で跋扈する黒幕の討伐に彼女が赴いていることも多く、
意外な所で互いの冒険がリンクする事もしばしばで、ドラマCDでは偶然頭目が入れ替わる形でそれぞれの一党と冒険(ゴブリン退治)に向かったことも*49

なお、勇者やその一党とは(素性は知らないが)ゴブリンスレイヤーたちも面識があり、ゴブスレさんは勇者の仲間に「さまようよろい(リビングメイル)めいた冒険者」と認識され、
女神官は勇者と偶然知り合い、互いに「冒険者の友人の一人」と認識している。知らないとはいえ色んな意味で女神官の交友関係がすごいことに

また、新人時代のゴブリンスレイヤーを描く外伝『イヤーワン』で描かれたゴブリン退治の依頼の一幕では、
出先でゴブリンスレイヤーが僅かながらまだ勇者となる前の幼い彼女と交流していた描写があり、
さらに言えば彼の奮闘で彼女の村がゴブリンから守られたことを考慮すると、彼が未来の勇者の誕生に少なからず影響を及ぼしていた可能性も考えられる。
ちなみに勇者となった後も、何か変な冒険者の手伝いをしたことは朧気ながら覚えている様子。

ゴブリンスレイヤーの実姉。故人。
年が離れていることもあり、両親を早くに亡くしたためにゴブリンスレイヤーの親代わりも務め、
適齢期にはなっていたと思うが、嫁に行くことなく幼い弟の面倒を見ていた。

かつては年相応にやんちゃだったゴブリンスレイヤーも、親代わりで大好きな姉の言うことはよく聞いており、
幼馴染故に姉弟と交流があった牛飼娘も、綺麗で優しいお姉さんとして慕っていた。
弟の教育も彼女がしており、それもあって基本的にゴブリン以外の怪物に興味を示さないゴブスレだが、
姉が躾の範疇で語る御伽噺に出てきた吸血鬼などの怪物の名前は今でも覚えている様子。

しかし、故郷の村がゴブリンの襲撃に遭ったことでその日常は終わりを告げ、
近所の家やその家人がゴブリンに蹂躙される中、弟を守ろうとした彼女は彼を隠すと、
自分は家に侵入してきたゴブリンの注意を逸らすために囮となり、嬲り殺しにされる無惨な最期を迎えた。
遺体もゴブリンに食べられたと思われ、直接的には描写されていないが、
故郷の村跡に行ったゴブリンスレイヤーが焼け残った人骨らしきものを見つけた際、
「姉がどうなったかを知っていた」としてそれは姉のものではないと確信している。





「俺は多分。追記、修正を、したいのだと、思う。」
「そっか」「出来るよ、きっと」
「そうか」
「うん、そうだよ」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ゴブスレ
  • 銀等級
  • ゴブリンスレイヤー
  • オルクボルグ
  • 小鬼殺し
  • かみきり丸
  • さまようよろい
  • マンチキン
  • 梅原裕一郎
  • 松田颯水
  • ゴブリン死すべし、慈悲は無い
  • 人前に出てこないゴブリンが良いゴブリンだ
  • 寡黙
  • 冒険者
  • 硬派
  • 辺境最優
  • 変なの
  • 朴念仁
  • ゴブリン一筋
  • ゴブリン一筋←最近はそうでもない
  • 復讐者
  • ゴブリン専門家
  • 駆逐業者
  • 殴殺
  • 仕方のない人
  • 鏖殺
  • 所要時間30分以上の項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月08日 11:08

*1 文庫化に際してキャラクターデザインが正式に書き起こされた後も、立ち絵はこの配役を意識したものになっている。

*2 ゴブリンはいつ襲ってくるか分からない&人間が油断した時こそゴブリンにとっての好機のため、ほぼ常に臨戦態勢で行動し、安全な場所で眠る時でさえ熟睡しない。

*3 彼の性格から兜を被っていなくても表情が変わらない無愛想なのは、容易に想像が出来る。

*4 原作初期は自分が言葉足らずの自覚無し。

*5 作者によると本名はちゃんとあるらしいが、本作の登場キャラは全員が別称や種族、職責で呼ばれている。

*6 いずれも伝承に語られるゴブリン退治の武器が由来で、呼称に差異があるのは種族ごとに違う名前で伝わっているため。元ネタは「ホビットの冒険」に登場する名剣オルクリスト、及びその別称であるかみつき丸。

*7 なお査察官からは疲れが取れないからちゃんと休めと窘められた

*8 挿絵や漫画、アニメではその全貌は映されず、口元のみの描写に留まっている。

*9 冒険者が依頼を達成するまでの滞在期間中の食費や宿代等をどうするかは厳密なルールが設けられておらず、ここで依頼者側と揉める冒険者もいるというが、ゴブリンスレイヤーは無償提供を申し出られてもそれを辞退し、規定の料金を支払って提供を受けることがほとんど。

*10 女神官のこと。

*11 ただ、女騎士にそのテの相談をされた時には「俺にそういうことを聞く時点で正気を疑われる」とコメントし、彼女の精神にクリティカルダメージを決めている。

*12 伯父/牧場主から牛飼娘の思いに応えてやれと言われたときは、ゴブリンスレイヤーとしては、珍しく「努力します」と茶を濁していた。

*13 予め接続しておいた海底から高圧水流を噴射するというシロモノで基本的に使い切り。それを知らずに開放すれば高圧水流で使用者も周囲も負傷する上、二度は使えない

*14 重装歩兵の大部隊を編成出来たローマ帝国や鉄砲・槍を組み合わせた組織戦術が発達した戦国時代の日本では、寧ろこのような「中途半端な長さの剣」こそがサブウェポンや乱戦時の武器として大量生産されて一般化している。物語世界では大規模な軍の組織的な運用が出来る社会体制になっていない証拠とも言える。

*15 転移の巻物も需要の高さと供給量の少なさからかなりの高額らしいが、それ故に毎度持ち込めるものではなく、彼が常備している武器で最も高価なものといえばこの投げナイフと言える。

*16 事実彼自身が、冒険者から奪った強力な武器を振るうゴブリンとの白兵戦で、幾度も苦戦を強いられている。

*17 本人曰く「只人の最大の武器は投擲」。紐状のスリングや即席の投槍器での射撃から、素手による武器や石・目つぶし等の投射まで様々なものを投げている。

*18 例えば弓矢を扱わせても、数十メートル離れたゴブリンを射抜く等、多種多様な武技を高いレベルで修得している

*19 縁を鋭く磨き上げ、クリティカルヒットさせればゴブリンの鼻を削いだり、目を潰したりと武器としても扱えるようにしている。

*20 「もっと綺麗にしたらどうだ?」と忠告された際に、どことなく自慢げに「これは工夫だ」と返したりしている。

*21 TRPGにおいて、ルールや世界観をぶち壊さない範疇ならあらゆる手を尽くしてでも抜け目なく立ち回ろうとする性格のプレイヤーのこと。ハプニングやピンチな展開をとにかく嫌がるので、他のプレイヤーにはつまらない奴と思われることも。

*22 刻まれた呪文を読み上げることで、該当の魔法を一定回数、使用者の資質に関係なく放つことが出来るマジックアイテム。

*23 上鉱人は熱した鋼を手掴みで扱えるほど火や熱に耐性があるといい、それ故にこのような無茶な火攻めを行えたのだが、当然只人のゴブリンスレイヤーは対策を取らずに真似すれば自分も火でやられるため、火除けのアミュレットを用いた。

*24 一応有用ではあったが、マジックワンドを渡された妖精弓手が使用後に事実上『味方撃ち』をすることに抵抗感を示し、それにゴブリンスレイヤーも同意して、もう使わないという約束をし、『味方撃ち』で気分を害させた彼女に対して謝罪している。

*25 仔ゴブリンも容赦なく殲滅する彼の姿勢に対して、女神官が「善良なゴブリンがいたとしても殺すのか」と疑問を呈したこともある。それに対して曰く「探せばいるかもしれないが、そうだとすれば人前に出てこない奴だけだ」。遠回しに「そんな奴はいたためしがない」ということか。

*26 最もゴブリンスレイヤーになった彼が切っ掛けを考えれば当然の行いである。

*27 槍使いも冒険者に成り立ての頃は読み書きが出来ず、業者に代わりに読んでもらったりしていたとのこと。

*28 彼らが在籍しているギルドには確認されているだけで、この3人の他に5人もの銀等級がいる。

*29 『殲滅するのに一々入念な準備や策を練る必要があるゴブリンと違って、その場の機転で何とかなる』と言った意味。実際には一撃喰らっただけで瀕死の重傷を負っており、かなりのピンチに追い込まれていた。巻物を使ったのもやむを得ずの奥の手であり、決してオーガが弱いと言う事ではない。

*30 尤も、「奇襲を入念に準備した斥候から非戦闘員を庇いながら戦い、非戦闘員が無事を確保しつつ相手を葬らなければ勝利とは言えない」と言うゴブリンスレイヤー側が不利な状況下での戦闘であり、昇級審査時には本人を含めた全員が「真っ向勝負に持ち込めばゴブリンスレイヤーの圧勝」と評価している。

*31 ドラマCDでも女騎士が彼らしき斥候について「腕はいいが根性は叩き直さなければならない」と語り、重戦士は「腕前はともかく人格的には信用できない」と酷評している。

*32 蜥蜴僧侶は現実世界で言うところのブラキオサウルス、ブロントサウルス、アラモサウルスと思しき名前を挙げていた。

*33 フォローしておくとこの杖を手に入れるのが今回の依頼だったので、妖精弓手に責任・落ち度は全くない。

*34 正確にはこの程度で壊れるならゴブリンがとっくに破壊しているという彼なりの根拠に基づいた発言

*35 一匹目も正面から戦ったことには変わりないが、二匹目はゴブリンスレイヤーとその一党が力を合わせて戦い、転移の巻物等の飛び道具ではなく、自分たちの力で撃破したという点が異なる。

*36 新人冒険者だと全滅する危険もあるためか、この場合に限らず、他の新人が受けたゴブリン退治の依頼をゴブリンスレイヤーも受託し、他のゴブリン退治とまとめて回ることも少なくない様子。

*37 『パーティのまとめ役』としては蜥蜴僧侶や鉱人道士がその役割を果たしていることも多いが、彼らが向かうのは専らゴブリン退治であり、「その専門家であるゴブリンスレイヤーに采配を預けずして誰に預けるのか」ということもあり、ことゴブリン退治においてはゴブリンスレイヤーがリーダーを務めている。

*38 『イヤーワン』でその時の様子が描かれたが、兜で完全に顔が隠れている上に一瞬すれ違っただけという状況、さらにゴブリンの襲撃で死んだと看做されていたにも関わらず、当時の牛飼娘は直感でゴブリンスレイヤーを「幼馴染の彼だ」と確信して声を掛けている。

*39 冒険者としての同期である槍使いなどとも、同じくらいの長い付き合いであるが。

*40 ただし、それが有用な作戦であるという意識は変わらないため、時折妖精弓手に「使っていいか?」という趣旨の質問を投げかけ、彼女が許可すれば火攻めなども実行する。

*41 一応「イヤーワン」の頃はゴブスレを奇異の目で見ており余り良い感情は抱いてなかった。見る目が変わったのはゴブリンの大群に襲われかけていた重戦士の故郷を期せずしてゴブスレが救ったからである。

*42 療養中なので鉄兜以外の装備も付けていなかったせいもある。

*43 ちなみに重戦士は彼女のトラブルメーカーっぷりを嫌というほど理解しているため、「悪い、止められなかった」と言わんばかりの顔と仕草を後ろでしていた。

*44 なお、作品ファンの間ではともかく、劇中世界で『ゴブリンスレイヤー』を略して『ゴブスレ』と呼ぶのは彼らくらいであり、初めてこの略し方を聞いた牛飼娘は「自分たちからは出てこない発想」と驚いた後、その響きに笑ってしまっている。

*45 牧場戦後に(新米剣士は酔い潰れていたが)彼らも素顔は見ているはずなのだが、銀等級という等級からかなり年上だと思っていたのか、素顔から想像していた以上に若くて驚いたのかは定かではない。

*46 先述にあるゴブリンの内容物を利用した臭い消しも、元をたどれば彼女が発端である。

*47 片目が負傷しているのもこのため

*48 これに関しては彼女の意見が完全に真っ当である。ただ否定するだけでなく冒険者としての振る舞いもアドバイスしているので寧ろ良心的ですらある

*49 ただし、女神官たちはこの活発な冒険者が勇者だと気付いておらず、勇者の側もそうとバレないように気を遣っていた。