セッション(映画)

登録日:2023/01/10 Tue 16:57:00
更新日:2024/03/12 Tue 15:57:53
所要時間:約 8 分で読めます




英語で最も危険な言葉はこの2語だ、"グッド・ジョブ(上出来だ)"


セッション(原題:Whiplash)は、2014年にアメリカで製作された映画である。
監督は今作が長編映画監督デビューとなるデイミアン・チャゼル。本作はチャゼル氏がインディーズ時代製作した短編映画の長編リメイク作である。
公開自体は2014年10月だが、日本での上映は翌2015年の4月17日からだった。
J・K・シモンズは本作での鬼気迫る演技によってアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
原題のWhiplashは作中で使用される曲のタイトルであると同時に「鞭打ち症」も意味し、本作における肉体的・精神的な苦痛を強いる指導を表現した二重の意味が込められている。

〇あらすじ
主人公アンドリュー・ニーマンは、バディ・リッチ*1に憧れ、米国最高峰の音楽学校であるシェイファー音楽院に通っていた。
ある日、一人でドラムの演奏練習をしていると、たまたま通りかかった学内最高の指導者として有名だったテレンス・フレッチャーと出会う。彼はアンドリューの演奏を一通り聴くと立ち去るが、後日アンドリューのいる初等クラスに訪れると自身の上級クラスにヘッドハンティングする。
入る事すら難しいと学内で羨望の的となっていたフレッチャーの指揮下に入れたと心躍る彼だったが、練習初日に早速苛烈な罵詈雑言をバンドメンバーに浴びせ退場させる光景を見てしまう。更にその矛先は早速自分にも向けられ、ほんの僅かリズムが遅い事を理由に椅子を投げ飛ばされ、人格否定*2や暴力を受け何度もやり直しを命ぜられる。
だがここで折れず更なる特訓を積んだアンドリューに、ある日転機が訪れる。バンドがコンテストに出場した際、主奏ドラマーのカール・タナーの楽譜捲り要員として参加していたが、実質小間使いとして楽譜を預かっていた。しかし不備から楽譜を喪失し、暗譜していないタナーに代わってドラムを演奏。バンドがコンテストに優勝すると、主奏ドラマーに指名される。
ようやくプロドラマーとしての道を目指せると思ったが、音楽界に疎くスポーツマンばかり重宝する親族からは無関心どころか軽視の対象とされ、更にフレッチャーは今後のドラマー候補としてライバルだったライアン・コネリーを自らのクラスに招くようになる。ようやく確立した自分の立場が危ぶまれたアンドリューは、ガールフレンドに自ら別れを告げると共に、文字通り血の滲むほどのドラム練習に没頭するようになるが……。

〇主要人物(俳優/日本語版声優)
  • アンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー/内田夕夜)
本作主人公。ドラム一筋で幼い頃から練習を重ねてきた努力家だが、普段は大人しく引っ込み思案。
だがドラムに関係する事になると一変し、凄まじい根性と執念、更に図々しさまで見せるようになる。それらは人格否定までしてきたフレッチャーのしごきに最後まで付いてくる点や、あらゆるトラブルを介してもなお主奏ドラマーの座を諦めない点に出ているだろう。
実際にドラムのセンスは抜群で、フレッチャーの目に留まったのは偶然ではなく実力による正当なもの。また他人に対しても平等な評価を下せ、相当な嫌がらせを受けたにもかかわらずフレッチャーの技量を認めていた。
演者のマイルズ・テラーはこの撮影のため一日何時間もドラム練習を重ねており、劇中の出血の一部は本物。

  • テレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ/壤晴彦)
イビリクソ禿指揮者。知る人には「巨人の星」の星一徹や、かつての富野由悠季のようだと思えば分かりやすいだろうか。
シェイファー音楽院きっての実力者として認知され、彼のバンドに参加するのは将来を嘱望されるのと同等とされるほどの名誉を持つ。
しかし実際に参加してみると、暴力を伴う過激な指導・人格否定を始めとするパワハラなどが日常茶飯事の現場なので、離脱者が後を絶たない。残っているメンバーもそんな光景を何度も見ているせいか、嘲笑や驚愕ではなく黙って目を伏せて時が過ぎるのを待っている。
彼もアンドリュー同様に他人の実力は素直に認める性格だが、非常に執念深く陰湿な側面も持ち合わせているので指揮者としては優秀だが人格面では最低という評価が大多数を占める。

蜘蛛男の宿敵として有名なJ・K・シモンズだが、本作では厳つい面構えも相まって文字通り悪魔が乗り移ったかのような熱演を見せており圧巻の一言。

  • ジム・ニーマン(ポール・ライザー/佐々木敏)
アンドリューの父にして唯一の理解者。
この映画の中では聖人の立場だが、妻には家を出ていかれているなど良くも悪くも凡庸な人間の代表。アンドリューとの仲は良好で、一緒に映画を観たりドラマーとしての将来を応援しているなど立派な父親なのは間違いないのだが、ドラマーとしての大成を夢見るアンドリューにとっては一種の反面教師でもある。ある意味ではアンドリューが夢破れても迎え入れてくれる「最後の居場所」のような存在でもあるが・・・

  • ニコル(メリッサ・ブノワ/横山友香)
アンドリューの恋人。
フォーダム大学の学生で、アンドリューが父と映画を観た時に売店でバイトをしているところをデートに誘われた。
顎が大きい事がコンプレックスで、あまり周囲の人から好かれていないのを気にする所や、時折ホームシックになるなどの思いを共有し仲を深める。
しかしアンドリューからドラムに集中したい=君が足枷なんだ、と告げられると激怒して別れる。その後暫くは出番が無いが、アンドリューから再度連絡を受けた時には別の彼氏ができていた。
ぶっちゃけ本編で一番かわいそうな子。

  • ライアン・コノリー(オースティン・ストウェル/赤坂柾之)
  • カール・タナー(ネイト・ラング/須藤翔)
どちらもドラマーで、フレッチャーのバンドで主奏ドラマーの座を争う。
ライアンは初等クラスでライバル的存在だったが、アンドリューがフレッチャーにスカウトされると一時出番が無くなる。しかしその後フレッチャーのスカウトを受けて再登場し、同じしごきを受け敗北する。
カールは元々フレッチャーのバンドにいた主奏ドラマーで、当初のコンテストではアンドリューを小間使いにしていた。だが彼に足元を掬われると立場が逆転してしまい、しごきによるレッスンでライアン共々敗北してしまう。一応その後のコンペティションで「俺がやる!」と代理を受け持つが、殆どアンドリューからは相手にされていない。
アンドリューが音楽院退学後はどちらもドラマーを辞めており、しかもライアンはフレッチャーからは「お前に危機感を抱かせるための当て馬だった」と散々な評価を下されている。





住人「1・2・3・4(ビタン!)」
住人「1・2・3・4(ビタン!)」
冥殿「キツいか、緩いか?」
住人「キツいです」
冥殿「ようやく500本入ったようだな!」

追記・修正は主奏ドラマーになってからお願いします。


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最終更新:2024年03月12日 15:57

*1 実際に存在したアメリカの偉大なドラマー

*2 詰られている内容は前日にアンドリューがフレッチャーに吐露したプライベートなものばかり