DEATH NOTE 人狼

登録日:2023/05/20 Sat 00:37:33
更新日:2023/07/07 Fri 21:22:35
所要時間:約 9 分で読めます




『DEATH NOTE 人狼』は2019年にチョコレイトという会社から発売されたボードゲーム。

概要

タイトル通り、人狼(ゲーム)に漫画『DEATH NOTE(漫画)』の要素を加えたボードゲームである。もちろん集英社公認のオフィシャルな商品。
そのシンプルなタイトルからたまに勘違いされるが、単なる「人狼ゲームの役職をDEATH NOTEに置き換えた」安直なキャラクターもののゲームではない。正体隠匿系という点は人狼と一致しているが、ベースとなるシステムはむしろ人狼の派生である『犯人は踊る』に近い。議論が基本になる人狼と違い、カードを用いたやり取りから各人の役職を推理していくのが中心となる。

ちゃんとDEATH NOTEのエッセンスがゲームバランスを崩さないようにしっかりゲーム内に取り込まれており、それでいながら議論が苦手な人でも人狼らしさをお手軽に楽しめるため、DEATH NOTEファン、初心者ボードゲーマー、どちらにも勧められる隠れた良作。もちろん人狼マニアにも一風変わった人狼風ゲームとして楽しめるはずである。
デスノート(という名のホワイトボード)がしっかり付属しており、ゲーム的にもこれに名前を書くことがちゃんと盛り込まれているのが嬉しいところ。
ぶっちゃけ裁きの時間に名前を書くと大変だし使いづらいし、何より筆跡でバレるので、「こいつ死亡」とだけあらかじめ書いておき相手の前に置く、というロマンもへったくれもない使い方をされがち

難点としては、プレイ人数の幅が4〜6人とかなり狭いことか。あとカードのデザインが原作のコマをそのままトリミングしただけと妙に安っぽいのも気になるところ

役職

キラチーム

常に一人存在。通常の人狼における人狼であり、キラが逮捕されるとキラチームの負け。
唯一デスノートを使用できる存在であり、数字を無視してデスノートを手元に保持することが可能。

5人以上のプレイから登場。通常の人狼における狂人に近い……と見られがちだが、実際は一般的な狂人と違い、キラも信者も互いの存在を把握しており裁きの対象もアイコンタクトで相談できるため、「デスノートの使用権と保持権がない」というだけで、実質的には二人目の人狼と言ってもいい。
第二のキラである海砂だが、デスノートは使用不可。その代わり、キラだけが目を開けられるタイミングで目を開け、キラとコミュニケーションを取ることができる(無言で)。
特殊能力はないが、キラにデスノートやアリバイを渡したり、逮捕を自分のところで止めたり、キラの振りをして逮捕を無駄撃ちさせたりと、役職としては重要。

Lチーム

L(竜崎)は常に一人存在。6人プレイでのみ、第二のLであるニア&メロが追加される。
どちらも能力は同じ。特に相手の正体を確かめる能力などはないので、通常の人狼での占い師に近い存在かというとそうでもないだろう。
唯一逮捕カードを使用してキラを逮捕できる。逆にキラによって始末されるとLチームの敗北となる。ニア&メロがいる場合は、両方のLが死亡すると敗北。

プレイ人数に関わらず常に2人存在。単独参戦の総一郎に対し、なぜか4人セットという特別捜査本部の扱いの悪さ
通常の人狼における村人ポジションで特殊能力はないが、プレイ人数の少ないこのゲームでは彼らもLのサポーターとして積極的にゲームに干渉することが求められる。

ルール

通常の人狼と同じく最初に役職カードをランダムに配る。もちろんこれはゲームの終了まで公開してはいけない。

ゲームに使用するアイテムカードは、プレイ人数に応じてカードの組み合わせを変える。(この組み合わせは説明書であるHOW TO USE ITの説明に誤植があるので注意)その後、初期手札としてデスノート、逮捕、アリバイ、偽名それぞれ1枚ずつを抜き出し、これに山札から4人なら4枚、5人なら6枚、6人なら8枚のカードを抜き取って合わせてよく切る。これを全員に2枚ずつ配って残りのカードは山札とし、山札とデスノート(ホワイトボード)とペンを誰からでも届くように中央に置いてゲーム開始。

「一番最近リンゴを食べた人」がスタートプレイヤーとなる。手番でやることは、山札から1枚引き、その後手札から1枚使用する、の繰り返し。山札が尽きたら捨て札を切り直して山札に戻そう。
全員が手番を実行し、2周したら「裁きの時間」が発動。全員が目をつぶりゆっくりと13秒数える間にキラだけが目を開けて場の中央のデスノートに始末したい相手の名前を書く。名前を書かれたプレイヤーは死亡して脱落。以降Lが全滅する(キラチームの勝利)か、キラが逮捕される(Lチームの勝利)までこの流れの繰り返し。ただし、2度目以降の裁きの時間は1周ごとに行われる。

通常の人狼と異なり、脱落はデスノートによる裁きのみであり、投票による脱落はない。

アイテムカード

カッコ内はそのカードに設定された数字。
後述する捜査カードにより数字が小さければ小さいほど他のプレイヤーの手に渡りやすくキープし難い。

  • デスノート(0)
キラサイドの最重要カード。このカードをキラが持っている場合に限り、裁きの時間で任意の相手の名前をデスノートに記し、「裁き」で殺すことができる。殺された人は心臓麻痺で脱落しよう
重要なルールとして、デスノートをキラが持っている場合、必ず裁きの時間で誰かを殺さなければならない。そのため、裁きが起きない場合、「キラがデスノートを所持していない」と判断できる。

数字が非常に小さいので、基本的に捜査や交換を受けると必ず手札から流出する。ただし、キラだけは特殊能力としてこのカードの数字を好きな数字に読み替えることができるため、これらの効果を受けても手札から出さなくても良い。
逆に言うと、「デスノートを全く手放そうとしない」場合、キラである疑いが濃厚になるので、あえて流出させるのもキラ側の重要な戦略となる。

  • 逮捕(1)
Lチームの最重要カード。Lだけが使用でき、これを自分の手番に使用するとキラを逮捕できる(後述のアリバイをキラが持っていない限り)。
一度使用した逮捕カードはゲームから除外されて再使用できない。4人プレイでは逮捕は1枚しかないため、空打ちした時点でLの敗北が確定する。
逮捕が2枚ある5人プレイでも、「逮捕を使用した=Lが確定した」ということなので、キラにデスノートが渡っていないか、Lが偽名を持っているかしない限り、敗北の可能性は極めて高くなる。いつ使用するかは慎重に。
キラ以外の相手に使用しても一切効果はなく空打ちとなるので注意。警察やLを逮捕できないのは当然としても、信者も逮捕できないのは見落としがち。

こちらも基本手札にキープはできないが、キラにとってのデスノートと同じくLだけは好きな数字に読み替えて手札に持ち続けることができる。もちろん持ち続ける危険度はあちらと同様。

なお、L以外のプレイヤーの手札がデスノート、逮捕、逮捕になってしまう場面が稀にあり、この場合出せるカードが何もなくなってしまうため、この場合手札を公開して逮捕1枚を山札に戻して引き直す、とルールに定められている。

  • 偽名(2)
あの有名なリンド・L・テイラーが描かれたカード。
これを持っていれば、デスノートによる裁きを無効化することができる。
ただし、一人のプレイヤーが使えるのは一度だけ。
Lが手元に持っておきたいカードだが、番号が小さいのでキープは難しい。

  • アリバイ(3)
あの有名なポテチを食べるシーンが描かれたカード。
キラが持っていると一度だけLによる逮捕に対し、「私はキラではありません」と逃れることができる。偽名と同じく1プレイで一度しか使えない。効果解決時に場に出す必要はないため、本当にキラではなかったのか、アリバイで言い逃れたのかをLが把握することはできない。
キラが持っておきたいカードだが、やはり数字は小さめ。

偽名と共通して、手番に使用することも可能だが、出してもなんの効果もない。ただ、手番には必ず1枚はカードを使わなければならないため、何も出せるカードがない場合は出さざるを得なくなる。

  • 捜査(左)・捜査(右)(共に4)
どちらも向きが異なるだけで、効果は同じ。全プレイヤーが手札の小さい方の数字のカードを指定された方向のプレイヤーに渡す。
前述のようにキーカードであるデスノート、逮捕はどちらも数字が小さいので、「左→右」と使用されたのに、これらのカードが戻ってこなかった場合、そのプレイヤーが役職持ちである可能性が極めて高くなる。

  • 交換(5)
任意のプレイヤーを指名し、そのプレイヤーは小さい方のカードを、自分は好きなカードを出して交換する。
相手の手札から確実に小さい方のカードを奪える一方、自分は好きなカードを出せるため情報アドバンテージを与えずに済むため、使い方によってはかなり強力なカード。
いかにもデスノートが回っていそうなプレイヤーを指名してみよう。

  • 監視(6)
任意のプレイヤーを指名し、その手札を全て確認する。
デスノートをうっかり持ち続けてしまっているタイミングで監視を受けたりすると非常に危険。
後述のリンゴほどではないが、これもかなり数字がでかいので、キラが「片割れがデスノートだし、監視を放出すればいいか」というような安直な考えで手放すと正体を推察される恐れが高いので注意。一応「監視2枚」という手札の可能性も捨てきれないので確定まではできないが。

  • リンゴ(7)
6人プレイでのみ登場。任意の相手の役職カードを自分だけ確認する。言うまでもなく、超強力なカード。それだけに使い所には気をつけたい。
基本的に引いたらすぐに使ってしまいたい。通常のカードでは最も数字が大きく、なおかつ山札に1枚しかない貴重なカードなので、仮にキラでデスノート+リンゴという構成になってしまった場合、リンゴを手放してしまうと「リンゴ以下の数字のカードは存在しない=デスノートを持ったキラか逮捕を持ったLかが確定する」という非常にマズイ状態に陥るため。デスノートを手放してしまうのも、状況次第では危険なので、さっさと使ってしまおう。

  • 死神(8)
引いたら必ず使用しなければならない。6人プレイでのみ登場。
全プレイヤーが手札の小さい方のカードを場に伏せ、目をつぶり、キラだけがその中から任意のカードと自分の手札を交換できる。
非常に強力なカード。

原作のエッセンス

これらのルールを元にゲームをプレイすると、以下のようなことがわかってくる。

  • 捜査本部の中にキラが潜り込み、キラはLを始末することを、Lはキラを見つけ出すことを目標とする。
  • Lだけがキラを逮捕することができ、警察は直接的にキラに手出しすることができない。
  • Lがキラのアリバイを抑えておけば、キラはLの指摘に言い逃れをすることができない。
  • 逆にキラがLの偽名を把握してしまえば、Lにはキラの裁きへの対抗手段がない。
  • 時にはあえてデスノートを手放し、証拠をなくしておくことも重要。
  • デスノートは様々な人間の間を行き来するが、最後には必ずキラの手元に戻ってくる。
  • ちゃんとデスノートに名前を書いて殺す前述のように慣れると使わなくなるが

……と、このように単なる人狼の亜流ではなく、キチンとDEATH NOTEの要素がゲームとして盛り込まれていることがよくわかる。

余談

本作のはるか以前にDSで『DEATH NOTE キラゲーム』というゲームが発売されており、こちらもDEATH NOTE+人狼をテーマにしている。
ただ、こっちは本当に「人狼の役職をDEATH NOTE風に置き換えて電子ゲーム化したもの」という風情で、『DEATH NOTE 人狼』とはかなり趣が異なる。


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最終更新:2023年07月07日 21:22