ガイサック

登録日:2023/06/07 Wed 07:20:00
更新日:2023/10/22 Sun 07:22:09
所要時間:約 15 分で読めます




ガイサックとは、ヘリック共和国軍が運用するサソリ型の小型ゾイド
ロールアウトは中央大陸戦争初期のZAC2029で、地球文明が流れてくる年である。

目次

【機体スペック】

型式番号:RMZ-12 → RZ-002
所属:ヘリック共和国
全長:10.0m
全高:4.0m
全幅:6.2m
重量:25.0t(重装甲タイプ)
最高速度:120km/h
登場員数:0~2名


【概要】

素体となった野生ゾイドは、本来80cmほどの生物だったが、それをバイオテクノロジーで巨大化させたうえで使用しているという、なにげに重要な設定が描かれている。
明確に言及されたのはガイサックのみだが、ある資料ではディバイソンの野生体も、元は本物の牛より少し大きいぐらいのサイズで、ゾイド人が複数人で掛かれば捕獲できるものだった。
同様に、モルガやコマンドウルフも人間が直接背中にまたがれるぐらい小さかったものが、科学技術の発展に伴い大型化していったことが記録されている。
他のゾイドも、ガイサックと同じコアの巨大化を経ているのが多くいるのだろう*1


ゾイドコアはサソリ型だが、そのコアを移植する先のボディフレームはクモ型ゾイド・グランチュラをベースに設計している。
もちろんクモ型ゾイドそのままでは使えないので、サソリ型の生態に合わせて強大な二本の腕と一本の尻尾を増設。
腕の先にはサソリのハサミを模したレーザークローを、尻尾の先端には毒針に代わってビーム砲を搭載して、グランチュラに比べて攻撃力の大幅な向上に成功している。
さらにゴドスと同じく「重装甲タイプ」が存在し、コックピットの視界拡張、胴体のビーム砲に代わってエネルギータンクを装備しての活動時間延長、尾部ビーム砲の強化、といった全体的な性能向上を果たしている。
第二次大陸間戦争時代には、こちらの重装甲タイプが一般型として普及しているようだ。

脚部構造もパイプ類やスプリング的構造が多数施されていて、単純な構造だったグランチュラに比べて瞬発力などが強化されていると思われる。
最高速度は120km/hと低めなので、後述の奇襲能力と併せて、速力よりも瞬発力に長けるのだろう。実際、公式ファンブックの資料では最高速度よりも運動性能が高い。
特筆すべきは砂漠適応能力の高さで、砂に潜ったまま長期間にわたって待ち伏せし、油断した敵が迫ってきたところで突然地中から飛び出し、遠近ともに強力な武装でいきなり急所を突く、という戦法を得意とする。

武装は豊富かつ強力で、ゴドスにも引けを取らない一方で、装甲面はグランチュラに比べてもさほど強化されていない。
それこそゲーターの小口径ビームガトリング砲でも直撃すれば致命傷となるほどで、奇襲攻撃を仕掛けられれば強いものの、敵の攻撃にさらされると弱さを見せてしまう。
また奇襲戦闘を得意とする小型ゾイドにはより新型のステルスバイパーが存在しており、こちらは砂漠のみならず森や山岳など、幅広い場所で能力を発揮できるという、ほぼ上位互換のような関係にある。

ただ、ガイサックの攻撃力や奇襲能力は小型ゾイドとしては決して非力と言えるものではなく、第二次大陸間戦争では大量に配備されて主力の一翼を担った。
こちらでは大きな砂漠がある西方大陸が主戦場となったことも関係している。

また、古くから研究や配備が進んできただけにバリエーションや改良機も多い。
とくに、完全自動操縦機として調整されたスリーパー仕様は有名で、無人機ゆえに操縦者の疲労や食事を考慮せず長期間砂漠に埋め、敵が接近したら奇襲するという、一種の地雷のような戦法で大きな戦果を挙げている。

天敵は戦闘ヘリゾイドのサイカーチス。
対空兵器がないためまず太刀打ち出来ず、サイカーチス自身が奇襲ゾイドの発見が得意*2なため隠れてやり過ごすのも難しく、サイカーチスの警戒飛行によって待ち伏せ中のガイサックが多数撃破されているらしい。


【武装】

  • レーザークロー
両腕のハサミ。物理的な鋭さに加えて、レーザー光線を発しながら敵の装甲を切断する。恐らくシールドライガーのレーザーサーベルやブレードライガーのレーザーブレードといった武装の元祖。
攻撃力は実際かなり高いらしく、奇襲に成功すればこのレーザークローや尾部ビーム砲で仕留めるのだという。

  • ポイズンジェットスプレー(右)
  • 硫酸ジェットガン(左)
それぞれ、ハサミの部分に装備された毒液系装備。野生体のガイサックはハサミから毒液を噴射しており、その生態に基づいた装備だという。
旧大戦仕様のみの装備で、第二次大陸間戦争で配備された新型にはオミットされた。

  • ロングレンジガン
尻尾の先端に装備される、小口径のビーム砲。

  • 対ゾイド30mmビームライフル
重装甲タイプが、ロングレンジガンに代わって装備する。
威力はかなり高く、うまく当てればセイバータイガーさえ撃破可能。
またすぐ横にはレーダーを搭載するので、命中率も高い。

  • グレートランチャー
背部に装備する実弾兵器。旧大戦仕様のみに装備される。

  • ビーム砲
ノーマルタイプの胴体に装備する、左右一対のビーム砲。
重装甲タイプでは排除されてエネルギータンクに交換される。

  • ワイヤー射出器
  • スモークディスチャージャー
背部やや前方に装備される、補助兵装。
旧大戦仕様ではワイヤー射出器だったが、第二次大陸間戦争時代の機体ではスモークディスチャージャーに変更された。

  • レーザーファング
コックピットの下にある、ガイサックの牙。レーザークローに近い兵器だが、正直これを使う機会は少ないだろう。


【カラーバリエーション】

最初に販売された旧大戦仕様は、濃い群青色と薄めの青灰色のツートンカラー。暗い青色といった感じ。
第二次大陸間戦争時代では、砂漠に合わせた黄土色に変更となった。なにげにコックピットのキャノピーが赤色という珍しい仕様。ゴドスなどと同じオレンジ色では、黄土色の胴体とメリハリが利かなくなるためだろう。
一方、アニメ「ゾイドフューザーズ」ではエメラルドグリーンというカラーで登場した。


【バリエーション】

◇ガイサック・スティンガースペシャル

「フィッシャーマン」と恐れられる極悪非道な賞金稼ぎ、スティンガーの愛機の一つ。
名前はバトスト世界の公式ファンブックより。アニメ版では「レッドガイサック」とも呼ばれる。
ハサミを巨大化しレーザークローの出力も強化。尾部ビーム砲を対ゾイド20mmバルカンに、胴体のエネルギータンクをポイズンジェットガン(アニメ版ではパラライズミスト弾を発射)に換装。
動力機関の出力も向上しており、最高速度も通常機に比べて三割以上アップした。
さらにコックピットは非常に特殊な外観となっている。
機体カラーは、キャノピーは緑色

アニメ『ゾイド -ZOIDS-』では24話と25話に掛けて登場。
ギュンター・プロイツェンからルドルフ皇帝の暗殺を命じられたエージェントの前に現れ、毒ガス弾で制圧してから協力を打診した。
その後はエージェントの一人に貸し与えられて、折しもライガーを失っていたバンを襲撃*3
しかし、覇気を取り戻したバンにコクピットを(ほぼ偶然ながら)開けられ、奪われる。
その後バンはこのガイサックを奪ってダークホーンと交戦。砂中に潜ってダークホーンの砲撃を避けながら、ダークホーンの真下から奇襲するというガイサックの本領といえる戦法で見事一機を撃破する。
しかしその後のエージェントのリーダーが駆るダークホーンには奇襲を仕掛ける余裕もなく、苦戦。
さらにスティンガーが切り札のセイバータイガーに乗って現れ、そのミサイル攻撃でガイサックは粉砕されてしまった

「そのガイサック、今まで手に入れたゾイドの中でも特にお気に入りだったのに、残念だわ」


◇ガイサックワーカー

アニメ『ゾイド -ZOIDS-』に登場。
36話ではハサミを地中探知機に、37話ではハサミを巨大なショベル、尾部ビーム砲をクレーンに換装して、戦闘ではなく土木作業や各種調査に用いたゾイド。
民間にも出回っている模様。


◇ヘルスパイダー

ヘリック共和国が開発した、クモ型ゾイド。ゾイド公式ファンブック3巻に登場。
ガイサックをベースにしながらも、腕を外してハサミを切り取り、グランチュラに似せるように頭部下に装着してクモのハサミを再現。脚も長く伸びた。
アタックユニットのブースターをつなぎ合わせて胴体を延長しつつ、アタックユニットの砲塔を装備して火力も強化した、強化型ゾイド。サイズに比例してパワーも向上している。
コアはもしかしたらグランチュラだろうか。
ガイサックは砂漠での奇襲を得意とするが、ヘルスパイダーは森林での奇襲・待ち伏せを得意とする。
読者公募機。


【キット】

小型のゼンマイで駆動する。脚は八本あるが、四本が一枚のフレームに繋げられていて、それが二枚重なっている。
ゼンマイを巻くとこの二枚のフレームが交互に動くことで、八本の脚が動いているように見せる。
鋏と尾は手動。


【作中での活躍】

◇中央大陸戦争

各地で雑兵として戦っていたと思われるが、意外とモブとしての出番さえ少ない。

ZAC2038年の共和国軍による帝国首都攻略作戦では、八本脚ゆえの器用さで市街戦にて活躍。瓦礫が多く大型ゾイドが満足に動けない中を、ゴドスやガイサック、カノントータスといった小型機が縦横無尽に動き回った。
ガイサックは倒れたレッドホーンの頭部に飛びかかって制圧した場面があり、また逃げる敵兵を駆逐していたらしい。
一方で、銅像に扮していた無人操縦仕様のアイアンコング「ブロンズコング」に襲われ投げ飛ばされたガイサックもいる。

ちなみに民間人が所有するカマキリ型骨ゾイド・スパイカーが、鎌をガイサックの腕に変えたものがある。

◇西方大陸戦争

主戦場となったエウロペ大陸には大きな砂漠が広がっているため、ガイサックには地の利があった。
またかつてのブロンズコングを反映させたのか、完全無人機のスリーパー仕様が多数配備されて、砂漠での奇襲能力がさらにアップ。
特に共和国軍が劣勢であった時期には、攻め寄せる帝国軍に奇襲を仕掛けやすい状況であったため、奇襲攻撃で大きな成果を上げたらしい。
惑星大異変から生き残った個体も多く、配備数は4200機と、共和国軍ではゴドス(13000機)やカノントータス(6000機)に次ぐ数を誇った。
またエースパイロット名鑑では、インディゴ・ランバート軍曹がガイサックに乗って72時間も砂の中に潜り続け、ついにセイバータイガーを撃破した

しかし本編での登場シーンはほぼ無し。背景で撃破されている機体もゴドスばかりである。
バトストよりもアニメの方が印象深いかも知れない。


◇アニメ『ゾイド -ZOIDS-

おそらくガイサックのイメージを確立した作品。

なんと第一話の敵として登場。盗賊団の下っ端が初めて捕獲に成功したガイサックで、カラーリングはやや緑掛かった青*4
あの独特な歩行音とBGMを携えてCGモデルの躍動感を見せつけ、ゾイドというアニメがいかなるものであるのかを表現した。
一方でパイロットの技量は低く、ゾイドにも乗っていないバンを追いかけるあまり化石化したゴジュラスを倒してしまい押し潰されたり、復活したオーガノイド・ジークに倒されたりと、最初の敵としてのやられ役も担った。
四話ではバンへのリベンジを果たそうとするが、急速に成長していたバン*5には相手にもならず一蹴される。

もちろんヘリック共和国軍の主力ゾイドとして運用された。とくに無人操縦のスリーパー仕様に改造されたガイサックが各地に大量配備され、帝国軍の反応を示すゾイドを奇襲していた。
特に第五話では、ムンベイが運んでいた帝国軍の弾薬を狙って地を埋め尽くすほどの数が登場。数の暴力でバンたちを追い詰めたが、荷物を運ぶことを諦めたムンベイが弾薬コンテナを置き捨て、ガイサックはこれにビーム砲を撃ち込んだため、大爆発が起きて全滅してしまった。
なお、この弾薬コンテナに群がる場面では興奮したガイサック同士で殴り合いが発生しており、地味ながらもホワイトゴルドスと同じく「ゾイドは制御されながらも、なんだかんだ意志を持った生き物である」という演出がしっかりと為されている。
また最初は少数だけで襲ってやられることで敵を疲弊させつつも油断させ、その先の廃墟に休むように仕向けたあと、寝静まる深夜に奇襲する、という高度な知性も見せているが、これがスリーパーシステムの恩恵なのか、野生体のガイサックにそうした性質があるのかは不明。

レッドリバーの戦いでは、ゴドス二機にガイサック一機で小隊を組む様子も描かれている。
マウントオッサ要塞の防衛戦ではセリフのみ、首都防衛線では戦いこそ回避されたがゴジュラスやゴルドス、シールドライガーやコマンドウルフやゴドスなどとともに戦列を組んでいる。

(スリーパー仕様自体はアニメではカノントータスなど他のゾイドでも運用できる。というか帝国軍でもレブラプターに採用されている)

一方で、レイヴンのセイバータイガーを襲撃して返り討ちに遭って全滅したり、戦後になっても回収されていなかったスリーパーガイサックがヒルツ配下のホエールキングにさらわれたり、その後ゾイドコアを抜き取られて悲惨な実験を受けたりと、装甲の脆いやられ役という役割もかなり担っている。

本作は巨大メカをフルCGで描いたことで有名だが、初期はやはりゾイドの動きに堅いところも多かった。
しかしガイサックは下手をすると初期のシールドライガー以上に柔軟な動きを見せている。


◇漫画『機獣新世紀ZOIDS

アニメと同様、第一話の敵として登場。バンとジークが出会うきっかけを作った。
しかしこちらではパイロットのいない野良ゾイドとしての登場。
尾の先端のビーム砲は、変形して針もしくはフックのような形状となっていて、これでバンを何度も突き刺そうとしていた。
もともとはビーム砲だったのが、叩き付けるうちに壊れ、それを自己再生させるうちに野生体本来の針のような姿に変形したものと考えられる。
アニメ版と異なり、ジークの突撃で完全に爆発・粉砕された。


◇アニメ『ZOIDS新世紀/0

12話に登場。バックドラフト団が所有。
当時バックドラフト団は、トロス研究所からライガーゼロを強奪。そのゼロにバックドラフト団のパイロットを乗せた上で、このガイサックと戦わせたが、ゼロはバックドラフト団パイロットの命令を全く聞かず*6、ガイサックにも劣勢となったあげく操縦席から強制射出した。


◇アニメ『ゾイドフューザーズ

6話に登場。ジャンクゾーンを根城にする盗賊ボーン一家が大量に所有していた。
最初は三体だけが現れて主人公たちの護衛しているグスタフを監視していたが、やがて主人公たちが縄張りのジャンクゾーンに踏み込んだところで襲撃を開始
最初は十数体で襲いかかるが、ライガーゼロの突撃とボルドガルドの援護射撃によりあっさり蹴散らされた。
しかし直後、首領夫婦の操るブラキオレックスとミサイルトータスが出現。ライガーゼロが劣勢となりボルドガルドが前進し、守るべきグスタフが手薄になったところ、伏兵のガイサックが地を埋め尽くす勢いで出現
窮地に陥ったが、飛んできたファイアーフェニックスがライガーゼロと融合して「ライガーゼロフェニックス」となったことで再逆転を許し、蹴散らされる。


【ガイザック】

「ガイサック」はサソリ型ゾイドだが、「ガイ()ック」というと別のメカになる。
それも、ゾイドと世界線を同じくする「装甲巨神Zナイト」に登場し、しかもヒト型ロボットでありながらも後頭部にはサソリの尾が チョンマゲのような 意匠として飾られた、サソリモデル
敵勢力である「カルド軍」に所属する小型人型メカ「SR(ストライカー)」、またの名を「メタルフット」の一種。全身の装甲が赤色で、また武士のようなデザインと併せて、武田や井伊の赤揃えを連想させる。
小型と言うだけあって、サイズはZナイトの半分程度しかない。しかし敵のエースパイロットが乗るだけあって、マリンカイザーもかなり苦戦した。
型式番号はMA05C。

なお、ゾイドコアを移植したヒト型兵器はZナイトら“装甲巨神”だけで、ガイザックは別にゾイドコアを装備してはいない、純粋なヒト型ロボットである。




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最終更新:2023年10月22日 07:22

*1 一方、ライガーゼロは野生体の捕獲に戦闘ゾイドが駆り出される程の巨体を持っていたようだ

*2 飛行ゾイドの天敵な筈のステルスバイパーでさえ、見つかる前に対空ミサイルを撃てなければ勝ち目がないらしい。

*3 自信をなくしかけたバンがジークとの出会いを回顧していた直後だったこともあり「前にもこんなことあったよな」と第一話のことを思い出している。

*4 八話ではなぜか茶色の通常カラーになっていた。塗り直したのか、作画ミスかは不明。

*5 この直後には背後から不意打ちを仕掛けようとしたレドラーの一撃を避けて、カウンターのビームを撃ち込んだりもした。

*6 幹部のアルタイル曰く「あのパイロットは操縦技術ならビットよりも遥かに上」。