ゴッドファーザー PART III

登録日:2023/07/10 (月) 14:53:16
更新日:2023/07/12 Wed 17:58:18
所要時間:約 10 分で読めます





いかなる権力をもってしても



運命の流れには逆らえないー


ゴッドファーザー PART III(原題: The Godfather Part III)は、1990年に公開されたアメリカ映画。アメリカン・ゾエトロープ製作で、パラマウント映画が配給。
ゴッドファーザー』・『ゴッドファーザー PART II』の続編で、監督は前2作に引き続いてフランシス・フォード・コッポラが務め、脚本も引き続きコッポラ監督と原作者のマリオ・プーゾが執筆。


概要

往年のスタッフとキャストが16年ぶりに結集して製作されたシリーズの第三弾にして最終作で、懺悔と苦悩に苛まれる主人公マイケル・コルレオーネの最晩年を描く。

コッポラ監督は、元々本作を三部作の最終章というよりは二部作に対するエピローグという風に位置付けており、当初はタイトルを「コーダ:マイケル・コルレオーネの死(原題: Coda: The Death of Michael Corleone)」とする予定であったが、配給元のパラマウント映画に却下されて「PART III」になったという。

マフィア映画の代名詞的なシリーズの作品であるが、前二作と比べると不遇な立ち位置にある。
興行成績は前作よりやや後退した程度でヒットの範疇であり、好意的に評価する批評家も少なくはなかった。
しかし、アカデミー賞とゴールデングローブ賞では7部門にノミネートされながら1部門の受賞にも至らず、唯一受賞できたのはスペインの映画賞であるフォトグラマス・デ・プラータの外国語映画賞だけ。
おまけにキャストの一人でコッポラ監督の実子であるソフィア・コッポラ氏が演技を酷評されて同年度のゴールデンラズベリー賞の最低助演女優賞・最低新人賞を受賞してしまい、授賞という側面では踏んだり蹴ったりの結果となった。

コッポラ監督とマリオ氏は公開30周年となる2020年、本作を再編集した「ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期」(原題: The Godfather Coda: The Death of Michael Corleone)をリリース。
これを機に作品を再評価する動きもある。

あらすじ

1979年、マイケルは父の名をとった「ヴィト・コルレオーネ財団」を設立して慈善事業に取り組み、多額の寄付が功を奏してバチカンから叙勲される。
これを機に組織の合法化へ決意を新たにするマイケルだったが、その一方で甥であるヴィンセントの荒い気性に手を焼いていた。
ある日、マイケルは叙勲の際に知り合ったバチカン銀行総裁のギルティ大司教と取引して合法ビジネスへの全面的な転換を目論むが、この取引をきっかけに血生臭い暗闘がマイケルにふりかかるのだった。

登場人物


※若干のネタバレを含みますのでご注意下さい。

【コルレオーネ・ファミリー】

マイケル・コルレオーネ

演:アル・パチーノ

主人公でコルレオーネ・ファミリーのボス。
ファミリーの合法化に邁進するも裏社会から引退できず、犯してきた罪に苦悩している。
ストーリー中盤から判断力の鈍化と病の発症から衰えを感じ、志半ばで甥のヴィンセントに後を託すことを決める。

ヴィンセント・マンシーニ

演:アンディ・ガルシア

マイケルの兄であるソニーの息子。
父親に似て激しい気性の持ち主であり、仲の悪いジョーイ・ザザといざこざを起こしてはマイケルに窘められている。
マイケルに対しては心を開いて献身的に仕えており、最終的には地位を引き継いで"ドン・ヴィンセント・コルレオーネ"と名乗る。

コンスタンツァ・“コニー”・コルレオーネ・リッツィ

演:タリア・シャイア

マイケルの妹。
前作ではだらしない姿を見せていた彼女であるが、本作ではマイケルの立場を理解しつつファミリーの仕事に従事しており、母親的立場でヴィンセントの面倒を見ている。

アルベルト・“アル”・ネリ

演:リチャード・ブライト

1作目以来の古参幹部。
前2作と同様、本作でも暗殺を遂行する。

B・J・ハリソン

演:ジョージ・ハミルトン

本編以前に死亡したトム・ヘイゲンに代わるマイケルの弁護士。
常にマイケルと行動を共にし、合法化へ向けたビジネスで活躍する。

ドミニク・アッバンダンド

演:ドン・ノヴェロ

マイケルの側近で、若き日のヴィトの同僚であるジェンコ・アッバンダンドの息子。

アーマンド&フランシスコ

演:ロゲリオ・ミランダ&カルロス・ミランダ

ヴィンセントのボディーガードを務める双子の兄弟。

【コルレオーネ一族】

メアリー・コルレオーネ

演:ソフィア・コッポラ

マイケルの長女で、ヴィト・コルレオーネ財団の理事長。
冒頭のパーティで、8歳の時から会っていなかったいとこのヴィンセントと再会し、恋仲に落ちて行くが...

アンソニー・ヴィト・コルレオーネ

演:フランク・ダンブロシオ

マイケルの長男で愛称はトニー。
仲のよかった伯父のフレドが謀殺された出来事で父の裏稼業を嫌い、大学を中退してオペラ歌手の道に進む。
終盤にはマイケルと和解する。

ケイ・アダムス・マイケルソン

演:ダイアン・キートン

マイケルの前妻で現在は別の男性と再婚している。
息子であるアンソニーの進路問題からマイケルと再会し、アンソニーが音楽の道に進もうとするのを許すように説得する。
マイケルには恐れと愛情が入り交じった複雑な感情を抱いている。

アンドリュー・ヘイゲン

演:ジョン・サヴェージ

トムの息子で聖職者。
血縁こそないがマイケルの事実上の甥にあたる。
マイケルとギルディ大司教の手引きでバチカンに赴任することになった。

【アルトベッロ一派】

ドン・アルトベッロ

演: イーライ・ウォラック

コニーの名付け親(ゴッドファーザー)でマイケルとは旧知の仲。
ヴィト・コルレオーネ財団に100万ドルの寄付をするなどマイケルに協力的な姿勢だったが、後にヴィンセントによって裏切りと背後にいる黒幕の存在を突き止められる。

ジョーイ・ザザ

演:ジョー・マンテーニャ

ニューヨークを仕切る新興マフィアで、アルトベッロの後見を受けている。
ヴィンセントとは仲が悪く、マイケルにヴィンセントの扱いに困っていると相談するが、当のヴィンセントからはマイケルのことを裏では悪く言っていると暴露された。
後にマイケルと友好ファミリーのボスが集まった会合をヘリコプターから銃撃する事件を引き起こすもマイケルの殺害には失敗し、ヴィンセントに報復される。

アントニー・スクゥイルアロ

演:ビト・アンツォフェルモ

ザザのボディーガード。

モスカ

演:マリオ・ドナトーネ

フリーの殺し屋でシチリア人。
アルトベッロに雇われてマイケルの命を狙う。

スパラ

演:ミケーレ・ルッソ

シチリア島モンテレプレ村に住む殺し屋モスカの息子。
ロバの物真似で注意を引くのが得意。

【バチカン関係者】

ギルティ大司教

演:ドナル・ドネリー

アメリカ地区担当の大司教でバチカン銀行総裁。
叙勲の際に関係を持ったマイケルにバチカン銀行の損失を穴埋めする資金提供を依頼し、その交換条件としてマイケルがローマ・カトリック教会が株主である国際的コングロマリット「インターナショナル・インモビリアーレ」の不動産部門の支配権を得ることを認める。
実はイタリア政財界の大物であるドン・ルケージと繋がっており、マイケルに支配権を渡すつもりなど端からなかったことが明らかにになる。
モデルはポール・マルチンクスとされる。

ドン・リシオ・ルケージ

演:エンツォ・ロブッティ

世界一なコングロマリットであるインターナショナル・インモビリアーレ社の取締役会長で、バチカンにも影響力を持つイタリア政財界の大物。
本作の黒幕的ポジションだが、ヴィンセントによって暗躍が暴かれる。

フレデリック・カインジック

演:ヘルムート・バーガー

ギルティ大司教と組んで不正をしていたアンブロシアーノ銀行の頭取。
マイケルがギルディ大司教に支払ったインモビリアーレ買収資金を着服する。

ランベルト枢機卿

演:ラフ・ヴァローネ

終盤にマイケルが頼りにする革新派の枢機卿。
ギルティ大司教の不正を知ってマイケルに協力を約束し、彼の告解を聞く。
後に教皇に選出され、バチカン内の汚職の一掃を表明するが.....

【シチリア島のマフィア】

ドン・トマシーノ

演:ヴィットリオ・デューズ

シチリア島におけるコルレオーネ・ファミリーの後見役。
バチカン内の動きに通じており、マイケルにランベルト枢機卿を紹介する。
しかし、偶然出会ったモスカ親子の正体が殺し屋であることを知ってしまい、ショットガンで射殺される。

カロ

演:フランコ・チッティ

シチリアに住むマイケルの協力者。殺されたトマシーノの復讐をマイケルに求め、マイケルの後を継いだヴィンセントに忠誠を誓う。

【その他】

ジョニー・フォンテーン

演:アル・マルティーノ

ヴィトがかつて助けた人気歌手。
マイケルの叙勲記念パーティーで歌を披露しており、今もファミリーと友好関係は健在。

グレース・ハミルトン

演:ブリジット・フォンダ

ヴィンセントのガールフレンドだったが、ザザが放った殺し屋に人質とされたことがきっかけで別れる。

ソフト化

DVD版:2001年3月2日にリリース。

Blu-ray版:2016年11月23日にリリース。

再編集版:2020年12月23日にリリース。





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最終更新:2023年07月12日 17:58