スターズオンアース(競走馬)

登録日:2023/07/15 Sat 06:10:29
更新日:2024/04/01 Mon 10:22:04
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スターズオンアース(Stars on Earth)とは日本競走馬
2022年の牝馬クラシック二冠馬。父ドゥラメンテに2つ目のクラシック勝利を届けた愛娘。
馬名の由来はそのまま「地球上の星」

目次

【データ】

誕生:2019年2月27日
父:ドゥラメンテ
母:サザンスターズ
母父:Smart Strike
調教師:高柳瑞樹 (美浦)
馬主:社台レースホース
生産者:社台ファーム
産地:千歳市
セリ取引価格:-
主な勝ち鞍:'22 桜花賞(GI)、'22 オークス(GI)
表彰:'22最優秀3歳牝馬
特記事項:'23 大阪杯(GI)2着

【誕生】

2019年2月27日生まれの牝馬。
父は社台グループ*1が生んだ日本競馬の結晶体ともいえる超名血馬にして、2015年のクラシック二冠馬ドゥラメンテ
母のサザンスターズはドイツの名門牝系として知られる「ドイツのSライン」に属しており、母の妹は2017年のオークス馬ソウルスターリング、更に母の母はディアヌ賞(フランスオークス)などGI6勝を挙げた超名牝スタセリタ。
正に日本の名血統と欧州からの名牝の巡り合いという超良血馬これぞ社台の無限の資金力の賜物である。

【現役時代】

デビュー〜3歳

デビューの新馬戦こそ躓いたものの2戦目で勝ち上がり。
そのパフォーマンスを評価された赤松賞では1番人気となるも、後のマイルCS馬であるナミュールに敗れ3着となった。
その後も前哨戦となるフェアリーステークス、クイーンカップでそれぞれ勝ちきれないながらも連対し賞金を積み重ねて桜花賞に出走。本番ではその勝ちきれなさの影響で7番人気となってしまった。
しかし、レースでは中段後方からじっと脚を溜めながらチャンスをうかがう。直線ではピンハイにタックルされたパーソナルハイに巻き込まれるなど不利があったがこれが逆に闘争心に火をつけたのか大加速。ラスト1ハロンで抜け出したウォーターナビレラに強襲し、最後はハナ差で彼女を下して桜の女王の座を戴冠した。

続くオークスでは、後述のサウンドビバーチェの放馬・競走除外により発走時間が大幅に遅れるという大アクシデントをものともせず、中段から残り200mで差し切るとそこからは上がり33.7(上がり最速)の豪脚で突き放し、父のダービーを彷彿させる完勝劇をもって見事に冠達成。
父娘2代でのクラシック二冠であると同時に、母方の叔母であるソウルスターリングに続く樫の女王とあいなった*2

競走能力と精神力を同時に示した彼女は、今後は全関係者の、そして亡き父の夢たる牝馬三冠の栄光を手にするべく、次のターフを駆ける……という矢先に骨折が発覚。そんなところまで似なくても……。
幸い症状自体は軽傷であり手術も成功。秋華賞に直行するが、スタートで出遅れてしまい後方からの競馬に。それでも直線で馬群を割って進出すると出走馬中最速である上がり3ハロン33.5秒という豪脚で猛追するも、一歩及ばずスタニングローズ*3の3着に敗れた。
そして今度はレース後の放牧中に左前脚がむくんでいるのが発見される。検査の結果、今度は繋靭帯炎を発症していることが発覚し、長期休養を余儀なくされる羽目に。
それでも牝馬二冠の実績が評価され、2023年1月10日に発表された2022年度JRA賞において最優秀3歳牝馬に選出。父ドゥメランテも最優秀3歳牡馬を受賞しており、牡牝の違いこそあれど実質同じタイトルを獲得した。

4歳シーズン

2023年は大阪杯から始動。同父のタイトルホルダーも出走を検討しており、ドゥラメンテ産駒のG1ホース2頭が直接対決する可能性も一時あったが、輸送面や間隔の短さ*4を理由にタイトルホルダーは日経賞で始動することとなったため、この2頭の対決はひとまずお預けとなった。
当の大阪杯では長期休暇明けで馬体重も大幅に増加していた事、秋華賞で先着したスタニングローズやナミュールが勝ち切れておらず世代牝馬のレベルが疑われつつあった為割れたオッズとなったが、最終的には昨年見せた強さから1番人気を勝ち取った。レース本番では秋華賞程酷くは無いもののまたしても出遅れ、キラーアビリティに寄られるロスを受けながら後方から競馬。
最終直線前で少しずつ位置を押し上げながら、直線では前を行くジャックドールに脚を削られた他馬を一気に貫いて交わし、先頭にいるジャックドールと彼を差し切ろうと叩き合うダノンザキッドを外から強襲してゴール。
結局はハナ差足りなかったものの、ペースを操ったジャックドールと彼のペースを読みながらマークし切った先行馬が残る前残り戦で他馬とは0.5秒も違う上がりで迫ったこのレースは負けて強しと評価され(同時に2走連続でやらかしたゲート難を惜しまれ)、ここでの対決が叶わなかったイクイノックスドウデュース、タイトルホルダーといった中長距離の古馬牡馬トップとの対決を期待させるものとなった。令和のブエナビスタと言ってはいけない

次走にはヴィクトリアマイルを選択、他の人気馬が中々勝てていなかったり大敗してる馬が多い中、初の古馬混合戦だった前走の好走もあり2.5倍の1番人気に支持された。
今回は久々にスタート良く前目でレースを進めたものの伸び足を欠き、先行していたソダシに追いつかないどころか中団で足を溜め差し脚を伸ばしてきたソングラインに差され3着に敗れ春を終えた。

実は、2000mの大阪杯で惜敗した後、ルメール騎手は「もっと距離が長いほうがいいかも」とコメントを残しており、桜花賞を勝ってはいるものの、マイルはこの馬にとって、ベストな条件とは言い難かった。ソダシとソングラインは、どちらも引退までにG1を3勝することになるのだが、それらのレース距離は全て1600mという生粋のマイラー。今回ばかりは適正の差が出てしまったという他ないだろう。

秋初戦には天皇賞(秋)を選択、ここでは現役最強馬イクイノックスやドウデュースといった同世代の強豪の他G1馬・重賞馬ばかりが出走することになり、レースレベルの高さゆえに頭数は少なかったが、頂上決戦状態の様相を呈していた。
スターズオンアースはルメール騎手がイクイノックスに乗ることが決まっていたため、新たな鞍上には父の主戦だったミルコ・デムーロを迎え、更には競馬法100周年記念で天皇がレースを観戦する令和初の天覧競馬実施というお祭り状態のレースに参戦…する筈だった。
レース直前トレセンでの馬体検査で歩様に異常が見られ、軽度の挫跖のような症状で大事を取って出走回避となってしまった。本当変な所が父親に似てしまった…

その後大事には至っていないと判断されジャパンカップへの出走が決定。
同レースにはイクイノックスの他、同じ父を持つタイトルホルダーや三冠牝馬のリバティアイランドなどドゥラメンテ産駒初対決が実現。
今回もルメール騎手にはイクイノックスの先約があったため、短期免許取得で来日していたウィリアム・ビュイックが手綱を握った。しかし人気馬の中で唯一大外枠に収まってしまい5番人気となった。
道中リバティアイランド共々前目で3番手のイクイノックスを見る形でレースを進めた。
最終直線まで番手に控え末脚を伸ばしタイトルホルダーを交わし、後方から迫るドウデュースを振り切るがイクイノックス・リバティアイランドには届かず3着入線。それでも大外枠の不利や乗り替わりを考えれば十分好走したと言える内容である。

ジャパンカップの後、状態もも良かったことから有馬記念の出走が決定。また、イクイノックス引退に伴い、鞍上にはルメール騎手が戻ってくることになった。
中山はフェアリーS以来、2500mは初出走だが今まで一度も馬券を外したことない彼女がどんなレースをするか…と有力馬候補となっていたが
有馬記念の公開抽選でなんと今まで勝ち馬0どころか馬券内も0の8枠16番というかなり厳しい枠に収まってしまった。*5
これには抽選前まで笑顔だった再び手綱を握るルメール騎手も一転、同じ8枠に収まった池添騎手共々表情は暗かった。

そして迎えた有馬記念では、大外枠から好スタートを決め、タイトルホルダーが逃げるのを確認するなり、そのすぐ後ろに取り付いた。差し競馬を基本としてきたスターズオンアースが2番手につけたことに驚く声もあったが、これは逃げ馬をペースメーカーにしつつ、馬群の前に出て内ラチ沿いを走ることで、大外枠の距離ロスを最小限に留めようというルメール騎手の作戦だった。*6

結局スターズオンアースは4コーナーまで2番手で内ラチ沿いを走り続け、最終直線で大外から捲ってきたドウデュースと並びながらタイトルホルダーを猛追。残り100mでタイトルホルダーを交わすものの、叩き合いをしていたドウデュースには差し切られてしまい、勝利にはあと一歩届かなかった。

しかし、上記のように有馬記念では文字通り「死に枠」と化していた大外枠から2着に入ったのは、紛れもなく能力の高さの証明である。4歳シーズンは勝利こそなかったが出走した全てのレースで馬券に絡む安定感は健在。5歳シーズンこそ、3つ目のG1勝利を手に入れたいところ。

5歳シーズン

5歳初戦にはリバティアイランド共々ドバイシーマクラシックを選択し初の海外遠征するも彼女共々また外枠になる不幸…どころではない事態が発生。
前のレースで騎乗していたルメールが落馬負傷によって急遽デットーリ騎手に乗り換わり。
鞍上強化の声もあったが彼女自身はヨレ癖があり前走有馬記念も向こう正面で内ラチにぶつかったこともあり、いくらデットーリとはいえぶっつけ本番で対応できるか不安の声があった。
結局その不安は的中し最終直線では大外にヨレてしまい8着に敗れ初めて掲示板を外してしまった。
ルメールも大事には至らなかったものの鎖骨と肋骨を折ったことで春のレースはほぼ絶望的な状況になってしまい彼女の春のレースと主戦がどうなるか先行き不透明である。


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最終更新:2024年04月01日 10:22

*1 日本最大の競走馬生産牧場集団。ここに書ききれない程の幾多の名馬を生産し、現代の日本競馬に絶大な影響力を誇る存在である。競走馬生産牧場では「社台ファーム」「ノーザンファーム」「白老ファーム」などが、一口馬主クラブでは「社台レースホース」「サンデーレーシング」「G1サラブレッドクラブ」がこのグループに属している。

*2 ちなみにこの時鞍上を務めたクリストフ・ルメール騎手(桜花賞での鞍上・川田将雅騎手は7着となったアートハウスに騎乗)はスタセリタがディアヌ賞を制した際の鞍上であり、ソウルスターリングがオークスを制した時の鞍上でもあった。どこか因果を感じずにはいられない組み合わせである。

*3 ドゥラメンテの父・キングカメハメハのラストクロップの一頭

*4 タイトルホルダーは2連覇がかかる天皇賞・春を目標としているため、大阪杯から始動の場合レースの間隔が短くなるデメリットがあった。加えてタイトルホルダーは輸送が弱点の一つで、阪神で始動した場合美浦トレセンに所属するため天皇賞・春に出るので計2回の輸送を必要としたことも回避の理由となったと見られる(同様の理由で2021年も日経賞での始動となった)。

*5 中山2500mはスタート位置が3コーナーに近く位置取りもしにくく外を走らされロスが大きいため有力馬であってもかなり苦しいレースを強いられる、事実フルゲートになった25回中0-0-0-25で最高着順が4着というまさに死の枠であり、2年前有馬初出走のタイトルホルダーもこの枠で出走し5着だった

*6 ルメール騎手は、この年の菊花賞でも「大外枠の不利を最小限にするため、一度ハナを切って内ラチ沿いについたら馬を下げて逃げ馬をペースメーカーにする」というよく似た作戦で騎乗馬のドゥレッツァを勝利に導いている