命削りの宝札(遊戯王OCG)

登録日:2023/08/09 Wed 17:33:59
更新日:2024/01/04 Thu 14:55:21
所要時間:約 3 分で読めます




命削りの宝札
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。
(1):自分は手札が3枚になるようにデッキからドローする。
このカードの発動後、ターン終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。
このターンのエンドフェイズに、自分の手札を全て墓地へ送る。

《命削りの宝札》とは、遊戯王OCGのカードである。

概要

複数の制約と引き換えにカードをドローできる「ドローソース」の一種。

ドロー枚数は最大三枚であり、これはかの禁止カード《強欲な壺》を上回る。
しかしその稀有なドロー能力に付随して、三つものデメリットがついて回る。

一つ目は「発動するターンにはモンスターを特殊召喚できない」展開の制約。
特殊召喚を複数回行い妨害・制圧能力を持った大型モンスターを次々並べる戦い方をするデッキが大半の中、
《命削りの宝札》の制約によりその戦い方が一切できなくなるため、この制約だけでも一般的なデッキでは採用が難しくなる。

二つ目は「相手が受ける全てのダメージは0になる」ダメージの制約。
本来であれば十分な妨害が可能な盤面を作り相手に疑似的なターンスキップをさせ、この制約を回避するのが理想的。
しかし「特殊召喚できない」ためモンスターでそれを作るのは難しく、別の手段で相手ターンを凌ぐ必要がある。
あるいはこの制約については発動前にはないため、ダメージを与えた後に《命削りの宝札》を発動することは可能。
その場合はドローの目的が「次のターンで相手を叩く用」に限定されることになるので、その前の戦闘はドロー抜きで終えないといけない。

三つめは「3枚『になるように』デッキからドロー、かつ手札を全て墓地へ送る」手札の制約。
多くの枚数をドローするには「手札に《命削りの宝札》しかない状態」にする必要があるが、これが難しい。
特殊召喚のできない状況下では、手札のモンスターを処理する手立ては限られてしまうためである。
一方で魔法・罠カード主体のデッキであれば容易に処理でき、3枚ドロー&デメリットを踏み倒せる確率が高い。
そしてエンドフェイズ時には手札をすべて失うことになるので、セットする等して使い切らないとドローが無駄になる。
また、ただ魔法・罠だからという理由だけで伏せることで、《ライトニング・ストーム》で一網打尽にされる危険性がある。

その性質上、手札誘発とは相性が悪い。
予め手札誘発を握ってしまうとドロー枚数が少なくなるし、そもそも《命削りの宝札》を発動すると後に引いたものも含めてエンドフェイズに捨ててしまい、肝心の相手ターンに備えることができない。
増殖するG》は例外で、フリーチェーンで手札から捨てられるため、自分ターンでの発動は無駄なことも多いとはいえ、最低限ドロー枚数が少なくなる事態は防げる。
《命削りの宝札》を欲するデッキは自ずと手札消費も激しいため、《増殖するG》と併用されることは多い。

多数かつ致命的な制約がついて回るものの、最大3枚ドローが極めて破格の効果であることは事実。
そしてこの制約を呑めるデッキであれば、そのドロー能力を存分に発揮し大黒柱として機能してくれる。

現に2017年7月から1年間OCGでは準制限カードに指定されているほか、
マスターデュエルでも2023年1月から準制限カードに指定されている。
これは「複数枚のアドバンテージを即座に得られる」強さを示しており、《命削りの宝札》を採用できることが一つのメリットにも数えられる。
その後は後述する【神碑】だけでなく【ラビュリンス】でも活躍が見られたためか、2024年01月10日付でマスターデュエルでは禁止カードに指定された。


採用デッキ候補

モンスターカードをあまり使用せず、手札を湯水のごとく消費するデッキなので相性が良い。
スペルスピード2以上の魔法・罠カードを主体に戦うため、手札すべてをセットして手札を空にしやすい。
手札誘発も《増殖するG》以外は使用を控えモンスターの特殊召喚を殆どしないため、制約も受けにくい。
2017年の世界大会でも、その脅威のドロー能力をいかんなく発揮し優勝に導いている。

  • 【メタビート】
相手の動きを制限する数々のカードを駆使して勝利を狙うデッキ。
その性質上「相手を束縛できるカード」を引き当てないと話にならないため、ドローソースの恩恵は大きい。
元々結界像や《サモンリミッター》などでお互いに特殊召喚を制限するため、《命削りの宝札》の特殊召喚不可はさほど影響しない。
2017年3月のルール変更がある前はメタビート寄りの【クリフォート】でも採用が散見されていた。

一方で【導師ビート】のように「使いやすい手札誘発を『メタ』の一環にしている【メタビート】」の場合は採用されない。

特殊召喚ではなく、各種永続カードの効果で複数回のアドバンス召喚を行うテーマ。
精々《真竜皇の復活》の使用に気を使うくらいであり、展開の支障にはならない。
また魔法罠カードをセットしつつアドバンス召喚ができるため《命削りの宝札》の制約があまり働かない。

こちらも特殊召喚を使わず、《妖仙獣 鎌壱太刀》などのモンスターの効果で通常召喚を連打してビートダウンを行うデッキ。
採用する妖仙獣モンスターはエンドフェイズに手札に戻るデメリットがあり、一見エンドフェイズに手札を全て捨てる《命削りの宝札》とは相性が悪く見えるが、「エンドフェイズに複数の効果処理が発生した場合は任意のタイミングで処理できる」ルールが存在するため、《命削りの宝札》の手札を全て捨てる処理をした後に妖仙獣達を手札に戻す事が可能で実質的にデメリットを踏み倒せるのがポイント。

ダメージではなくデッキ破壊で勝利を狙うテーマ。
モンスター自体は極めて少ないものの神碑融合モンスターは特殊召喚するため、使用タイミングには気を付ける必要があるが、制限指定になった《神碑の泉》に代わるドローソースとして活躍が見込める。
各種神碑速攻魔法だけでなく、相手を妨害する永続カードも補充できるため勝ち筋を太くしてくれる。
前述の「マスターデュエル」における規制も、このデッキでの活躍が大きい。


相性のいいカード

ここでは個別に相性が良いカードを掲載する。

「特殊召喚できない」制約が共通した手札補強カードなので、併用しやすい。
最初に《強欲で謙虚な壺》を発動して相手のカウンターを誘い、後から《命削りの宝札》を発動させる囮の役割も果たせる。

本来《命削りの宝札》は手札誘発と相性が悪いが、手札から発動できる罠カードも話は別。
手札から発動できなくとも普通にセットし普通に発動することで無駄にせずに済み、特に《無限泡影》などは手札誘発に代わって初手妨害札の役割をカバーしてくれる。

その効果から普通のデッキでは使用しがたい《時を裂く魔瞳》だが、このカードとは主に【メタビート】で併用に適している。
手札誘発と相性が悪いという最大の欠点が共通するため(あちらは「全く使えなくなる」が)、お互いの存在がお互いの採用理由を補強する。
特殊召喚できなくなる(ことを前提に通常召喚で出すためのモンスターばかり積む)→手札にモンスターがダブつくリスクに対して召喚権追加の恩恵も大きい。


原作/アニメの効果

原作にて海馬瀬人が使用する魔法カードの一枚。
原作の効果は「手札が五枚になるようにドローし、五ターン後に手札を捨てる」という、
当時の速度ですら機能すると言い難いデメリットとさらに2枚多いドローを併せ持つとんでもないカードだった。

補足すると、原作の『M&W』では「1ターンにフィールドに出せるモンスター・魔法・罠はそれぞれ1枚ずつ」というルールだった。

発動ターンには他の魔法カードを発動・セットできず、それ以外のモンスターの召喚、罠のセットも1枚ずつなので、発動前に手札を一気に全セットしてドロー数を増やす動きは難しい。
仮にそれをやった場合は、ドローしたカードをそのターンは使用できなくなる。
また、デメリットが発生する5ターン目に一気に手札をセットするのも難しいように設計されていた。

つまるところ、テキスト上のデメリットは小さいが、ルール側で追加の制約をかけていたと言える。
(余談だが、この原作ルールをOCG化の際に部分的に再現したカードには『左腕の代償』がある)

しかし原作でもデメリットが発生する前に毎回決着しているので、やはりパワーカードと言わざるを得ない。


初登場は『バトルシティ編』準決勝における闇遊戯戦。手札2枚の状況で発動し4枚ドローして《ロード・オブ・ドラゴン》による《青眼の白龍》大量召喚の布石を立てた。
アニメでも同シーンで使われたが原作と違い神VS神のラストで闇遊戯が《天よりの宝札》を使ったため原作では3枚だった海馬の手札は6枚と潤沢である。ゆえに同シーンで海馬は手札4枚の状況で発動とカードパワーに対し少々勿体ない使い方をしている。*1

その後も手札使いの荒い海馬の手札の補充役としては脚本的にありがたいためアメルダ戦やダーツ戦など度々使用された。

特に『KCグランプリ編』の終盤、ジークとの決戦で海馬の逆転の切り札となった事は多くの視聴者にとって印象深いと思われる。

アニメ含めてデメリットが発動したのは『光のピラミッド』くらいである。
ちなみにこの時、6ターン目のドローフェイズにデメリットが適用されており、《スピア・ドラゴン》が捨てられた。
海馬は《青眼の光龍》の攻撃力アップに繋がったことを言及していたが、《スピア・ドラゴン》は貫通効果を持っているため仮に出せていればほぼ確実にデュエルに勝利で来た状況ではあった。


OCG化に際して弱体化を余儀なくされたが、それでも原作効果の面影は残しつつ、また日和り過ぎて使い道が無くなるという事も無く、
「デッキ次第では有効に使える」程度には収まっている良い塩梅の調整となった。


余談

このカードのイラストは原作・アニメ・OCGそれぞれで異なる。

  • 原作:ギロチンの穴に腕を通して、奥にあるデッキからカードを引いている。
  • アニメ:ギロチンに挟まれている物がデッキになっており、刃が落ちて手を引いた男が驚き五枚のカードを手から落としている。
  • OCG:アニメ版とほとんど同じだが、落としているカードが三枚。


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最終更新:2024年01月04日 14:55

*1 それでも2枚ドローと破格だが…ちなみに使う前にカード《機械じかけのマジックミラー》を1枚伏せ手札を減らしている。ここで原作と違いは《命削りの宝札》を使う前に伏せたことでこの後の青眼による総攻撃の後でも手札が2枚余り「《ドラゴンを呼ぶ笛》が墓地に置かれたのでカードをドローする」効果がなくとも後の展開に繋がった。