遺言状(遊戯王OCG)

登録日:2023/09/21 Thu 07:01:40
更新日:2024/02/26 Mon 15:55:51
所要時間:約 5 分で読めます




《遺言状》とは、遊戯王OCGのカードである。

効果説明

遺言状
通常魔法
このターンに自分フィールド上のモンスターが自分の墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

初収録は1999年12月16日発売の「EX」という初期も初期に登場したカード。
条件を満たした際に、デッキからモンスターを特殊召喚する残存効果を持つ。

上記のテキストは(最後に収録された)第2期のものであり、実際の処理とは微妙な齟齬がみられる。
増殖するG》を参考に、もし現代のテキストに直すと以下の通りになるだろうか。

遺言状
通常魔法
(1)このターン、自分フィールドのモンスターが自分の墓地へ送られた場合、以下の効果を適用する。
●自分は1度だけ、任意のタイミングでデッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚できる。

要点は以下の通りとなる。
  • 《遺言状》カード自体はいつでも発動できる。
  • 《遺言状》によるモンスターの特殊召喚は、チェーンブロックを作らない。
  • 《遺言状》によるモンスターの特殊召喚は、そのターン中に1度しか行えない。
    • 《遺言状》カード1枚で特殊召喚できるのが1体というだけで複数枚発動すればその枚数分モンスターを特殊召喚できる。
  • 「モンスターが墓地に送られた」のであれば、《遺言状》を発動したターン中(ダメージステップを除き)いつでもモンスターを特殊召喚できる。
    • 例えばメインフェイズ1で《遺言状》を発動し「モンスターが墓地に送られた」場合、メインフェイズ1に限らずメインフェイズ2、バトルフェイズ、エンドフェイズにも特殊召喚ができる。
    • 「モンスターが墓地に送られた」後に《遺言状》を発動した場合も、《遺言状》の効果処理時及びそれ以降で特殊召喚が可能。
    • アドバンス召喚、効果発動のリリースコスト、EXモンスターの召喚でモンスターを墓地に送ってもOK。そのためタイミングを逃さない。

評価

モンスター1体を特殊召喚するだけであり、効果モンスターがほとんどいなかった初期であれば大したことないカードだった。
しかし、攻撃力1500以下の効果モンスターが増えるに従い凶悪性を増していき、パワーカードへと変貌していった。
結果、このカードは2007年から禁止カードに指定されており、それ以降は一度も解除されていない。
以下にその理由を述べる。

1.緩い条件

フィールドのモンスターが「墓地へ送られた」という条件は、このカードのコストではなく他のカードのコストなどでも良い。
第1期でも《キャノン・ソルジャー》の様な自身をコストにできるモンスターなら墓地へ送る条件を能動的に満たしていた。
第2期で生け贄召喚のルールが確立して、生け贄がトリガーにできる様になった他、《ならず者傭兵部隊》といったトリガーに適したモンスターも増えた。
そのため「実質存在しない」と言えてしまう。

このカードが禁止カードになって以降はシンクロ召喚などフィールドのモンスターを何かしらの特殊召喚のために墓地へ送ることが増えており、発動はより容易になっている。

一応【エクシーズ召喚】など、モンスターを墓地へ送らない特殊召喚手段はある。
逆に言えば、それくらいしか苦手なデッキが存在しないほどの汎用性を備えているというわけでもある。

2.広いリクルート範囲

デッキから攻撃力1500以下のモンスターであれば何でも特殊召喚ができるというのも破格の効果になる。
額面上こそ「1:1交換」の処理だが、攻撃力は低いながらも効果が優秀なカードは数多く存在する。
特にサーチや蘇生など「更にカードアドバンテージを稼ぐカード」をデッキから引き摺り出せる点が強く、1:多交換の切っ掛けとなってくれる。
サイエンカタパ(遊戯王OCG)ではキーカードのどちらにもアクセスでき、1ターンキルを補助していた。

第2期には戦闘破壊をトリガーに攻撃力1500以下を引き出せるモンスターが6属性分登場したが、これらも当時の環境では優秀と評価されており、全属性にアクセスできたこちらがどれだけ優れていたか窺い知れる。


緊急テレポート
速攻魔法
(1):手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズに除外される。

比較対象として、このカードを挙げる。
《緊急テレポート》は条件なしにレベル3以下のサイキック族モンスターを特殊召喚できる魔法カード。
2023年9月時点では約70枚のカードが該当しており、効果範囲には優秀なモンスターも多い。
そのため2023年9月時点では準制限カードに指定されており、かつては制限カードになった経験もある。

サイキック族しか対応していないことから分かる通り、《緊急テレポート》の対応範囲は《遺言状》のそれを大きく下回る。
それも当然で、2023年9月時点《遺言状》で特殊召喚できるモンスター*13700枚以上も存在する。
ちなみに《緊急テレポート》で特殊召喚でき、かつ《遺言状》で特殊召喚できないモンスターはわずか4枚しかない。
文字通りの「桁違い」であり、《緊急テレポート》とは使用デッキも運用ルートも同様に「桁違い」である。
とはいえ速攻魔法は相手ターンにも使えるため、カード性能自体では比較するのもまた違うが。

制限・エラッタ推移

実はこのカードは一度エラッタされている。
エラッタ前の効果ではモンスターの特殊召喚に回数制限がない。
そのため「モンスターが墓地に送られる度に新たなモンスターをデッキから特殊召喚できる」という、凡ゆる展開能力を超越した"化け物"のようなカードであった。

エラッタ前の運用法としては以下の通り。

シンクロ召喚が生まれる前のカードプールですら1ターンキルの要として大活躍していた。

そして「EX-R」での再録(2000年11月23日)に際して現行仕様にエラッタされ、1ターンに1体しか特殊召喚できなくなる。
この弱体化を加味してか、2001年5月に無制限カードにまで緩和された。

その後はしばらく無制限のままであったが、以下のデッキを筆頭に再びその凶悪性を露見させる。

これを危険視してか、あるいは後に導入するシンクロ召喚を見据えてか、2006年7月に制限カード、2007年7月に禁止カードに指定される。

幅広すぎる汎用性と自由度を備えており、EXモンスターの特殊召喚という流れと強く合致している。
その上で再エラッタしようにも手を付ける箇所が多く、そもそも効果が複雑。
そのため制限緩和を受ける可能性は極めて低い。

余談

「遺言」とはご存じの通り、故人が生前に残しておくメッセージのこと。
この場合は効果条件として「墓地へ送られたモンスター」の遺言という解釈になるのだろうか。
登場当初の環境でフィールドのモンスターを墓地へ送る手段は、自爆特攻するか、融合素材にするか、生贄に捧げられるかという状態だったため、当てはまるものではある。

高速化した環境では上記の様に相手を確殺する手段とな得るため、「相手が苦渋の選択をする」「相手の命を削る宝札」に倣えば、「相手に遺言を書かせるカード」という意味にもなりえる。

追記・修正は遺言を残してからお願いします。

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最終更新:2024年02月26日 15:55

*1 攻撃力1500以下で儀式、シンクロ、融合、スピリット、特殊召喚モンスターを除く