ジャガーノート(X-MEN)

登録日:2023/12/02 Sat 17:56:44
更新日:2024/01/29 Mon 21:17:18
所要時間:約 9 分で読めます






俺様はジャガーノート!(I am Jaguarnaut!)
誰も俺を止められやしねえぜ(I,m Unstoppable!!)!!


“制止不能の人間重戦車”『ジャガーノート(Juggernaut)』は、米MARVEL社のヒーローコミック『X-MEN』及び、その関連コミックを中心として登場することが多いキャラクター。


【概要】

基本的にはスーパーヴィランとしてカテゴライズされている。
……しかし、古参キャラクターであり、数多のエピソードに登場している内に悪役一辺倒のキャラではなくなっている。
そもそもが、人間の範疇こそ超えてはいるが中身は普通のオッサンということもあってか、普通に説得されて悪事を止めたり、
困り事があると宿敵である上に親子みたいな年齢差があるX-MENに助けを求めてしまったり、
そうした建前もなく、単なる心境の変化からスーパーヒーローとして活動していた時期もある。
また、強大な敵としても描けば描けるポテンシャルを秘めている一方で、お笑い方面に傾いてもハマってしまうという、いわゆる憎めない悪役である。*1

『X-MEN』関連では大ボス格の4大悪役(マグニートー、アポカリプス、Mr.シニスター、ストライフ)に次ぐ位……というか、歴史と経緯を考えればシリーズでもマグニートーに続く位の知名度を持つ。寧ろ出番の少いストライフや戦闘能力では一歩劣る角刈りアニキよりは4大悪役の一角に相応しい気もするのだが。
……まぁ、この人ミュータントじゃないから入ってないだけかもしれませんけどね。そう言うなら「シニスターもだろ」って?やっぱり力バカなのがアカンのか。

というわけで00年代以降の実写映画版シリーズでも登場しているのだが、後述のように原作での誕生経緯が割とややこしいこともあってか“単なる力自慢のミュータント”として登場させられてしまっている他、どうしてもチョイ役に落ち着いてしまってもいる。


【プロフィール】

本名:ケイン・マルコ
身長:208cm
体重:409kg
能力:怪力・無敵の肉体・ヘルメットによる精神耐性

初登場は『THE X-MEN#12』(Uncanny X-MEN#12)

本名はケイン・マルコ。
……何と、X-MENの指導者・プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア義理の兄である。
チャールズの義父である物理学者・カート・マルコの実子であり、生みの母親とは幼い頃に死別している。
……その後、父カートがチャールズの実母シャロンと再婚したことにより、チャールズの義兄となった。

理知的な実父には似ず、幼い頃から粗暴な性格で実父からは疎まれていたようで、
それが、まるで実父に見せつけられるかのような自分より学業面で優秀な義弟チャールズへの偏愛→それに嫉妬したカートによるチャールズへの長年に渡る虐めに繫がった……とされていた。(後に更なる後付けにより実は内に陰湿な加虐性向を持つカートによる実子ケインへの虐待の一環であり、それが更なる闇への発端となっていたということに。……もしかすると実母の死も?)*2

何れにせよ、如何に優秀なチャールズでもミュータントパワーの無い時期には肉体的に頑健な義兄には叶わなかったようで、共に暮らしていた間には相当に辛い思いをしていた模様。
そんな義兄弟ではあったが、戦争中(朝鮮戦争)には揃って出兵して同じ部隊に所属していた。
しかし、前線となったアジアの秘境の中にて戦闘中に偶然にも封印されていた邪神“サイトラック”の遺跡に入り込んでしまった二人は、遺跡の中でサイトラックの力の象徴たる真紅の宝石を発見。

……その怪しい輝きに魅せられたケインは、チャールズが止めるのも聞かずにその宝石を手にしたのだが、それと同時に遺跡が崩落。
……チャールズは生命からがら逃げ出せたものの、ケインはそのまま生き埋めとなってしまったのだった。

……こうして、義兄とは死別したと思っていたチャールズだったのだが、それから十数年の後に義兄弟は予想だにしなかった姿で再会することになる。

戦後、色々とあった末に自分以外にも超能力を持った新人類=ミュータントが居ることに気づいたチャールズは手を尽くしてサイクロップスジーン・グレイを初めとした、新たに生まれつつある新世代ミュータントを保護して育成していたのだが、彼等が住む“恵まれし子らの学園”=X-MENの本拠地が何者かの襲撃を受けたのだ。(因みに、この時には近くに住むFFのヒューマン・トーチ=ジョニー・ストームも遊びに来ており捕物に協力(先行してノサれたが)している。)*3
敵対するミュータントの存在を感知する筈のセキュリティを潜り抜けて邸内で破壊活動を続ける正体不明の敵……。
それこそが、死んだはずの義兄=即ち邪神サイトラックの力で不死身の魔人ジャガーノートとなったケイン・マルコだった……。

この事件にてなんやかんやで撃退されたものの、義弟チャールズへの憎しみからX-MENとは幾度も激突することになる。

悪役としての活動では、同じくX-MENの宿敵であるブラック・トム・キャシディ(X-MENのバンシー=ショーン・キャシディの従兄弟)とのコンビが有名。
獄中で意気投合してからの長年に渡るパートナーであり、孤独と義弟への憎悪に苛まされるジャガーノートにとってはかけがえのない“親友”であったものの色々あって現在は断絶状態。


【能力】

能力はシンプルに限界知らずのパワーと無敵とも呼べる耐久力
そのパワーと耐久力は、かのハルクにも匹敵するという、パワー系ヴィランの代表格である。

また、繰り返しとなるが前述の通りで“X-MENの宿敵”ということで勘違いされやすいのだが、ジャガーノートはミュータントではなく、あくまでも魔術で強化された人間である。
このため、X-MENの誇るミュータント探知システム“セレブロ”や、その他のミュータントの変異遺伝子に反応するような監視・追尾システムなんかを無視できるという特性がある。

オマケに、力の源が“邪神の加護”というオカルトの為に物理的な力によりダメージを与えることが極めて難しい(というか基本的に不可能)というチート的特性を持つ。
つまりは、見た目や性格のバカさに反して、あのゴーストライダーなんかと同類という厄介な存在。
そのためにどんなに過酷な環境=人類が生存不可能な深海や宇宙空間なんかに放り込んでも殺すことが出来ない。

本来は義弟チャールズの得意とするテレパシー(精神操作・感応系能力)なんかは苦手……というか耐性なんか無いはずなのだが、コスチュームと一体化したあの、中華鍋を引っくり返して雑に目と口の部分に穴を開けただけみたいなヘルメットに“汎ゆる精神操作能力を防ぐ”というチート的な機能があるために、物理のみならず精神系攻撃に対しても無敵となっている。

唯一の弱点としては“本質的にはただの人間”であることから、人間・ケイン・マルコとしては弱さを抱えている所。
そもそも“ジャガーノートとしての能力”自体が邪神の破壊衝動を代行するに相応しい純粋な悪心を持つことによって与えられているので、その自信が揺らぐと無敵のパワーが大幅に弱体化してしまうことになる。

なので、その特性を知っているX-MEN等も何とか隙を生じさせて撃退する(色んな策を講じて集中を乱しておいてからヘルメットを外す等してやり込める)ことが多い。
……遂には、余りにもしてやられ(敗戦を繰り返し)すぎたことでサイトラックに見捨てられてしまった、なんてエピソードも。

精神的な弱さがよく現されたエピソードとしては、物理的には無敵の筈なのに“親友”ブラック・トム・キャシディの能力を自分も関わる形で暴走させてしまった際に「殺されかけた」としてX-MENに助けを求めた挙げ句に一時的にチーム入りまでした話なんかが挙げられる。
これは、設定がガバいとかツッコミをしなければ、ケインの心の弱さ(憎いと言いつつ義弟チャールズに“家族”を求めていることと、チャールズ絡みでX-MENに隠しきれない親近感を抱いている事実)が現れた例と言え、挙句に上述の通りで正義に傾いたことで大幅に弱体化までしていたのだろうと想像出来る。

なお、特に弱体化もしていないと思える時期に物理的な面で完敗したことがあるのがオンスロートだったのだが、かのオンスロートをして「完全に殺すのは難しい」と言わしめており、逆説的には如何にジャガーノートが厄介な存在なのかを証明しているエピソードだと言える。*4


【外部作品での活躍】

映画

X-MEN:ファイナル ディシジョン(映画)

原作ファンからは否定的に見られがちな『X-MEN』実写映画シリーズでは初期三部作の最後にやっとこさ登場。……が、前述の通りで“単なるミュータント扱い”にして、プロフェッサーXとの因縁も無視。
今作は制作上の都合でサイクが日本で“スットコ”呼びされるのをしばらく定着させたり、ミスキャスト呼ばわりに始まり遂には雑に退場させられたマグ樣…etc.と、初期三部作の中でも特に酷評されてしまっているのだが、原作ファンからすれば更にジャガーノートの雑な扱いも結構な問題だった。(見た目も迫力無いしね。)*5

デッドプール2(映画)


ウォォォォオオオオイマジかァァァァアアアア!!?

ジャガーノート!!!

時が経ち、見た目も迫力も原作に近付き原作ファンも俺ちゃんも歓喜。(やっぱりこういう映画はオタク趣味のヤツが作らねぇといけねぇ。)
今回も直接的にはストーリーには絡まないものの、X-MEN本隊が相手じゃないから関係ないよね。
主演を務めるライアン・レイノルズが好きなキャラクターだったということで、それをメタ的に盛り込んだ主人公を無惨に引き裂くという見せ場も用意されている。
ちなみに、原語版での声優はライアン・レイノルズ自身が演じている。(どんだけ好きなんだ)
ちなみに、本作ではモブ扱いだが相棒のブラック・トム・キャシディも登場しているのだが、全く絡むことなくあっさりと死亡退場している。ちなみに、キャシディは大物ヴィランであることから構想段階では映画のラスボスにするつもりだったのに能力の都合上“VFXに金がかかりすぎる”としてモブ扱いで殺すことにされたのだとか。…救えねぇ。構想通りなら原作由来のコンビで大暴れしてくれた……のかも?

ゲーム

コナミが発売したマグニートーが「Welcome to die!」と叫ぶアーケード用アクションゲーム『X-MEN』でボスとして登場。パンチや体当たりの他にバズーカ砲を使ってくる。

カプコンのSFC用ゲームや格闘ゲーム・MARVEL vs CAPCOMシリーズの幾つかにも登場。
格闘ゲームシリーズの初タイトルとなる『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』にてCOMP専用の中ボスキャラクターとして格ゲー初登場。
1画面の半分を占めるキャラグラの大きさで度肝を抜いたが、それまであまり原作のコミックやアニメ版ではゴツくなかったが、カプコンのイラストレーターが何度もリテイクをくらい、なかばやけくそであのとんでもない体格を提出した所、一発OKをもらってああなったという逸話がある。*6
『MSH』『Xスト』『MVC2』ではプレイヤーキャラとして使用可能。
基本的にスーパーアーマー状態で仰け反らず、超必殺技(ハイパーX、インフィニティスペシャル、ハイパーコンボ)は全作通して「ジャガーノートヘッドクラッシュ」1種類のみという漢気溢れるもの。
だが、発生が早く、リーチのクソ長い小パンチからキャンセルでつながり、ダメージもでかいので侮れず、『MSH』ではヒット後にもう1セット入ることから「往復ヘッドクラッシュ」と呼ばれた。
さらに『MVC2』ではサイトラックバグと呼ばれるものが存在する。
これは、「サイトラックパワーアップ」という一発だけ打撃の威力を1.5倍にするという特殊技があるのだが、
発動し点滅してる間に交代すると永久にパワーアップが持続するというものである。
ちなみに初代『X-MEN』ではXパワーであり、一定時間持続するという技であった。
ただでさえ攻撃力の高いジャガーノート。その威力は尋常でなく、防御力が高いキャラでもヘッドクラッシュを絡めた簡単なコンボで体力が8割ほど消し飛ぶ。
なお、『MVC』ではアシストキャラクターとして登場している。

余談だが、『Xスト』の時の彼のテーマBGMがまるで善玉キャラの曲のようなやけに明るい曲だったりする。
勝ち台詞の「I am Jaguarnaut!」のJaguarnautの部分がジャガーノートパンチのセリフの部分をそのまま持ってきたせいで早口になってしまい、ジャガイモと空耳してしまう人もいるんだとか

【余談】

  • 自分の弁護に付いてくれたシー・ハルクとベッドどころか周囲の物……どころかロッジそのものを破壊する程の激しいおせっせをしたことでも有名。*7
    ……だが、あまりに読者から不評だったのか正史のシー・ハルクではなく別次元の悪のシー・ハルクだったということになっている。元々男性遍歴が激しいキャラなんだから今更だろとの声も少なくなかった。




追記修正はチャールズの首を引っこ抜いてやってからお願いします。

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最終更新:2024年01月29日 21:17

*1 版権にうるさくCAPCOMに原作コミックと乖離しすぎないようにと注文を付けまくっていた頃のMARVELも『MSH』でのギャグ担当EDについて「Cool Idea👍」と言ってきたほど。

*2 ケインは勿論、善側と言われるチャールズも今ではぶっちゃけアレなので。ちなみに、再婚後にはシャロンもカートから虐待を受けており、それがチャールズにも悪影響を与えていた可能性もある。

*3 X-MENの本拠地はNY…ということで、デビュー当時は現役高校生だった初代X-MEN(特にアイスマン)、スパイダーマン、ヒューマン・トーチは交友があり仲良しである。

*4 事実、相対した時点ではケインもオンスロートの正体に気づいていなかったからだが、オンスロートの正体から考えると完全に物理的な力で上回って倒したという訳では無い可能性もある。

*5 とはいえ、初戦闘時に終始ローガンを圧倒してみせる等見どころがないわけではない

*6 因みに、どんなに他のキャラと比べてデカいかというと、同作内に登場している六本腕のイロモノキャラ“スパイラル”のしゃがみ強パンチが全身で拳の形を作って攻撃……というモーションなのだが、その拳の大きさがジャガーノートのパンチと同じというセルフパロディになっている位に。

*7 因みに、そのロッジは崖上に建てられていたのだが二人の激しいの前後左右う運動で谷底まで落ちて崩壊している。