四日市あすなろう鉄道内部線/八王子線

登録日:2024/03/18 Mon 22:33:38
更新日:2024/03/23 Sat 04:01:09
所要時間:約 5 分で読めます




四日市あすなろう鉄道内部(うつべ)線・八王子線とは三重県四日市市に所在する四日市あすなろう鉄道の鉄道路線である。
内部線があすなろう四日市駅から内部駅まで、八王子線が内部線途中駅の日永駅から西日野駅までを結んでいる。

概要

三岐鉄道北勢線・黒部峡谷鉄道本線と並び現在の日本では数少ない存在となったJR在来線より狭い軌間である762mmのナローゲージ路線である。
内部線が全長5.7km、八王子線が全長1.3km、どちらも全線が単線と路線規模は小さく、住宅街のど真ん中を通るローカル線である。
元々は近畿日本鉄道(近鉄)の路線だった。近鉄は2012年に利用減少から鉄道としては廃止し線路跡地をバス専用道としバスへ転換(BRT化)することを発表したが、鉄道としての存続を求める市の反発により2013年9月27日に近鉄からは経営分離し、四日市市が設備を保有し民営の鉄道会社が運行を行う公有民営方式で存続させることが発表された。
2014年3月27日より近鉄が75%、四日市市が25%を出資する第三セクター方式で「四日市あすなろう鉄道」が設立。そして2015年4月1日より内部線・八王子線の運営を引き継いだ。近鉄からの経営移管は伊賀鉄道伊賀線、養老鉄道養老線、三岐鉄道北勢線に次いで4例目。
社名は「未来への希望(明日にむかって)」やナローゲージから取られている。
公有民営方式であることから列車の運行や改札業務は四日市あすなろう鉄道が行うが、車両や線路等の設備は四日市市が保有し四日市あすなろう鉄道へ無償で貸与する形となっている。

運行形態

全列車都市型ワンマン運転による普通列車で、あすなろう四日市からは内部行と西日野行が15分おきに交互に発着している。そのため、あすなろう四日市~日永間は15分に1本、日永~内部・西日野間は30分に1本ペースとなっている。

日永駅では内部方面と八王子線の列車が連絡しており、日永駅ではすぐに乗り換え可能。

駅はあすなろう四日市と内部を除き無人駅。
小古曽駅を除き駅には食券タイプの券売機が設置されており、そこでは乗車券を購入しての精算を行う。
小古曽駅で乗車する場合には内部線途中駅及び西日野駅での降車時には車内で、あすなろう四日市駅及び内部駅での降車時には駅窓口で精算を行う。
また、2021年8月21日からは全線で全国相互利用可能な交通系ICカードが利用可能になった。

他にも高校受験シーズンには受験票を提示すると合格祈願済無料乗車券が配布されたこともある。

使用車両

  • 260系
近鉄が内部・八王子線開業70周年にあたる1982年より路線の近代化のため導入した車両。ただ一部車両は1950年辺りに製造された車両を改造したもの。吊り掛け駆動方式。
基本的には3両編成だが、265編成のみ2両編成。
ナローゲージ車両なので勿論車体は小さく車内も狭い。

近鉄時代は所謂近鉄マルーンだが、前面窓やドア周りがオレンジ色。2004年からはカラフルなパステルカラーに変更。そして非冷房

四日市あすなろう鉄道への移管後は車両の老朽化もあり、4年かけて車両のリニューアルが行われた。
老朽化の激しい部品は新造し、中間車は新造した車両*1へ置き換えた。
内装も座席は柔らかめのものに変更し車椅子スペースも設置。座席モケットの変更、壁や床板のリニューアルもあり(一部は本当に新車だが)新車同然に生まれ変わった。尚、一部車両はリニューアルすることなく廃車となっている。
そしてこのリニューアルにより遂に冷房化。冷房機器の設置に伴い窓のUVカットガラス化とカーテンの撤去が行われた。
また、公有民営方式のため車内の銘板は四日市市の表記となっている。
塗装もパステルカラー一色から暫定的に青と白のツートーン(なろうブルー)に変更。2016年には正式なカラーリングが緑と白のツートーン(なろうグリーン)となることが発表された。2019年からは順次なろうグリーン化が進んだが、利用者からの要望で1編成だけブルーのままとなっている。また、車両検査の際には余った車両しか使えない都合上混色編成が見られることも。
行先表示器については側面のみLED式行先表示器が設置され、前面方向幕は撤去され「ワンマン 四日市あすなろう鉄道」の表示で固定し行先は丸型の板で表示している。
第3編成は一部車両の床が透明板になったシースルー列車で、車内から台車や線路、分岐器が見えるようになっている。
リニューアル車として2016年鉄道友の会ローレル賞選定。

駅一覧

内部線

  • あすなろう四日市(よっかいち)
近鉄名古屋線・湯の山線乗り換え(近鉄四日市駅)。
元々近鉄の駅だったが、移管に伴い四日市あすなろう鉄道の駅のみ改称。
県庁所在地を差し置いて三重県最多の人口を誇る四日市市の中心駅。
周辺には商業施設も多くあり栄えている。
近鉄時代にはホームに行灯式の発車標が設置されていたが、経営移管後に撤去された。
関西本線四日市駅とは1km近く離れている。

  • 赤堀(あかほり)
周辺施設では1852年の建物が残る鈴木薬局が見物だった。(現在は取り壊し済み)

  • 日永(ひなが)
「あすなろう中央緑地駅」の副駅名を持つ。
八王子線との分岐駅にして日本唯一のナローゲージの分岐駅。
内部方面と西日野方面のホームは、内部線と八王子線の分岐部分に挟まれる形の島式ホームとなっている。四日市方面は改札口と直結した単式ホーム。
また、八王子線ホームは半径100mの急カーブ上に位置しているため乗降時には足元に注意。
島式ホームにはナローゲージ用台車とナローゲージ・狭軌・標準軌の比較展示が設置されている。
中央緑地公園とは900m程離れている。

  • 南日永(みなみひなが)
イオン系列のショッピングセンター日永カヨー最寄り駅。

  • (とまり)
関西本線南四日市駅とは1km程しか離れていないが、イオンタウン四日市泊を中心に商業施設が多くありそちらより栄えている。
東海道日永郷土資料館最寄り駅。

  • 追分(おいわけ)
その名の通り東海道と伊勢街道の追分(分岐点)の近くに位置している。

  • 小古曽(おごそ)
四日市あすなろう鉄道唯一の券売機未設置駅。

  • 内部(うつべ)
終点駅。
列車の発着時には地域活性化のため作曲された音楽が流れるようになっている。
構内には車両基地があり、日頃の整備を行っている。尚、重要検査は近鉄塩浜検修車庫へトラックで輸送して行う。

八王子線

  • 西日野(にしひの)
終点駅。
周辺には高校や医療施設、MEGAドン・キ・ホーテ四日市店が立地している。

線内の駅は日永駅と西日野駅だけなのにも関わらず「八王子線」なのは、かつてこの先に伊勢八王子駅が存在していたため。西日野~伊勢八王子間は1976年の集中豪雨により休止され、後に廃止された。

鉄道むすめ

2021年3月18日より鉄道むすめ追分あすなが登場。
四日市あすなろう鉄道駅係員で、名前は追分駅と四日市あすなろう鉄道から。


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最終更新:2024年03月23日 04:01

*1 264編成は中間車に加え四日市側先頭車も新造、265編成は四日市側先頭車のみ新造。