フグ田タラオ

登録日:2024/04/19 Fri 11:05:00
更新日:2024/04/22 Mon 18:11:40
所要時間:約 11 分で読めるです






タラちゃんです~!



フグ田 タラオとは、漫画・テレビアニメ『サザエさん』の登場人物。


●目次




【概要】

主人公・フグ田サザエマスオの息子でフグ田家の長男。カツオワカメからは甥、波平とフネからは孫にあたる。
子供の頃、カツオとワカメの弟だと思った人もいるのではないだろうか

通称「タラちゃん」。タケオを除くほぼ全ての人物がこう呼んでいる*1
作中で本名の「タラオ」が登場することはほとんどなく、かつてはアニメ版エンディングのキャストクレジットも「タラ」名義だったため、正確な本名を知らずにいた視聴者も多かった。

一人称は「ぼく」。初期では自分の名前を言うことがあり、現在でも次回予告のみ「タラちゃん」と名乗っている。

誕生年は原作で昭和22年または昭和23年とされている。

両親のことは「パパ」、「ママ」と呼び、祖父母のことは「おじいちゃん」、「おばあちゃん」と呼ぶ。また、カツオとワカメはそれぞれ叔父と叔母にあたるが、歳が近いことから「カツオお兄ちゃん」、「ワカメお姉ちゃん」と呼んでいる。ノリスケ・タイコのことは「イクラちゃんのパパ/ママ」と呼ぶ。


【原作におけるタラオ】

原作では2巻からの登場だが、誕生時のエピソードは特に描かれていない。
初登場前の予告では「タラちゃんという女の子」と紹介されていた。

サザエと共に登場することが多かったが台詞は少なく、アニメ版でおなじみの「〜です」口調も見られない。

左利き(アニメ版では右利きになっている)。


【外見】

髪型は坊ちゃん刈り。原作連載当時はタラオのようなヘアスタイルが流行っていた時期でもあり、彼そっくりの髪型をした男の子が多かった。

顔つきは母・サザエに似て丸顔。刈り上げ部分より上を隠すとカツオになる。後述する青年時代では父のマスオに似るようになる。

【性格】

初期はやんちゃなイタズラ坊主で、サザエや波平の怒りを買って物置に閉じ込められるというカツオに似た立ち位置だった。
むしろカツオ以上にヤンチャとも言える問題児で、サザエに物置へ監禁された際に吐いた
「開けろ! 子供をいじめんな!!」という3歳の口から出たとは思えぬ暴言は今も語り草となっている。

だが、徐々に3歳児にしては大人しい性格へ変化し、基本的にはいわゆる「よい子」キャラとして描かれるようになった。
特に年下のイクラと一緒に行動する回ではお兄ちゃん気質がより強調され、逆に年上のリカと遊ぶ時などは年相応の幼さが濃く描かれることが多い。

行儀こそいいのだが頑固な一面もあり、これによって家族を困らせてしまうエピソードもある。時としてプライドの高い一面を見せ、間違いや落ち度を指摘されても頑なに認めないことがある。

好奇心が旺盛でいろいろなものに興味を示す。そこへカツオがいい加減な知識を吹き込む、またはタラオ本人が誤った解釈をしたせいで、一家や周囲の大人らを困惑させるというのがお決まりのパターンとなっている。デパートで迷子になることも少なくない。

初期でこそやってはいけない事をして親に叱られる場面が見られたが、利口キャラに変わってからはお咎めを受ける描写はほとんどなくなった。まだはっきりした分別のつかない3歳児に加え、悪気があってやっているわけではないというのも理由の一つに数えられる。
頑固一徹・亭主関白の波平も孫であるタラオには甘い顔を見せており、タラオも彼によく懐いている。
サザエは時に母として、強情を張るタラオに厳しく接することもあるが、結局は息子可愛さのあまり屈してしまうパターンが多い。

彼のちょっとした一言で磯野家のお茶の間を和やかな笑いに包む一家のムードメーカーでもあるが、時々空気の読めないタイミングで他人の隠し事や弱みを暴露してしまうことがある。3歳に「空気を読め」というのも無茶な話だが、タラオの場合なまじ利口な部分も併せ持っているため、一層腹黒く見えてしまうのだろう。

それでも一家や周囲の人々からは大いに愛されている存在であり、たまに人見知りもするが同年代の子ともすぐに打ち解けられる。

まだ字は書けないらしい。

◆敬語

タラオといえば「~です」という「で」にアクセントを置いた独特の言葉遣いが広く知られているが、原作やアニメ版初期では3歳児らしい普通の口調で話すことが多かった。
徐々に敬語キャラという設定が固まっていくのだが、「~ます」「~ました」「~ません」という表現も原則「~です」に統合されるようになり(例:『イクラちゃんが来ました』『イクラちゃんが来たです』)、現在のような特有の敬語を使うキャラクターへと変化していった。年下のイクラにもタメ口を使うことはない。

タラオの行儀のよさを表した特徴の一つとも言えるのだが、一体誰に似てこうなったのだろうか。少なくともサザエではないとすれば、アニメ初期で常に敬語キャラで現在も義両親へ敬語を使うマスオの影響を受けているのかもしれない。


【成長したタラオ】

3歳の頃はお坊ちゃん然としていたタラオだが、番外編として描かれた未来の磯野家では、現在と比べて印象の異なる成長したタラオの姿を見ることができる。いずれのタラオもさすがに「~です」喋りはしなくなり普通の話し方をしている。

少し未来の磯野家を描いた『サザエさんの10年後』では、素行の悪そうな13歳に描かれている。サザエから10年前の頃を覚えているか尋ねられた時にも「おぼえてねえや 子供の頃だもの」と返している。

さらに10年先の未来を描いた『サザエさん一家がひとなみに年をとっていたら…』では、丸眼鏡をかけており顔は面長になるなど、徐々にマスオに似てきた。ただしアニメ版で描かれた「25年後の磯野家」では眼鏡をかけていない。

そのまたさらに10年が経過した『サザエさん30年後』では、完全に外見がマスオと瓜二つになっており*2、30年ぶりに磯野家へ挨拶に来たノリスケを仰天させた。

江崎グリコのCM『OTONA GLICO 〜25年後の磯野家〜』(2008~2009年)では、28歳のタラオが登場。たこ焼きの移動販売を経営している。マイペースに生きているようだが、いつしかチェーン展開を夢見ている。イクラにはライバル意識を抱いているようだ。

スペシャルドラマ『磯野家の人々~20年後のサザエさん~』では23歳のタラオが事実上の主人公として登場。就活中だが内定がもらえないことややりたいことが定まらないせいでスランプに陥っている。


【人物関係】

  • 波野 イクラ
タラオからははとこにあたる、彼にとって弟分のような存在。波野家が磯野家との付き合いが多いため、よく一緒に遊んでいる。きわめて歳が近く仲良しなためか、イクラ特有の言葉を磯野家の中で最も的確に解読できる。たまに喧嘩もするが、基本的にわがままなイクラのよき理解者である。

  • リカ
タラオの幼馴染でアニメオリジナルキャラ。年齢は5歳程度で幼稚園にも通っている。
少々ませた女の子で年下のタラオには色々なことを教えてやることもあれば彼の間違った言動をからかうなど意地悪なところも。

  • タケオ
タラオの友達でアニメオリジナルキャラ。リカと同じぐらいの年齢だが幼稚園や保育園に通う描写は見られない。
小太り体型の男の子で、よく2人の取り巻きと共にタラオをいじめたりバカにしている。しかし本人も繊細で弱みを握られると強気だった態度を急変させる小心者であることや、タラオと仲良く遊ぶ場面も見られるため、根っからのいじめっ子というわけではない模様。
タラオを呼び捨てにする数少ない登場人物でもある。


【声優・俳優】

アニメ版では、1969年の放送開始から2023年2月26日放送まで貴家堂子(さすがたかこ)がタラオの声を演じていた。
アニメ『サザエさん』スタート以来、約55年半に渡り代役を挟むことなくタラオを演じてきたが、2023年2月5日に急逝。亡くなった日から3日前に収録された『ひな祭り1時間SP』が最後の出演となった。
貴家は番組初期からレギュラー声優として参加していた一人であり、多くの主要キャストが降板・交代を行われてきた中、サザエ役の加藤みどりに次いで長く出演していた。

貴家没後、2023年3月5日放送分からは愛河里花子が2代目としてタラオの声を担当している。前任の貴家によるタラオの声質や演技を忠実に再現しており、ネットでは「違和感がほとんど無い」との声が多く挙がった。

実写版では、これまでに高山幸久、小林俊平、庄司龍成、中野遥斗、大平峻也、成田凌などがタラオを演じた。
CM『OTONA GLICO』では、瑛太(現・永山瑛太)が28歳のタラオを演じた。


【その他】

  • その独特な声質と口調から『サザエさん』キャラの中ではマスオや穴子などと並ぶモノマネの定番にもなっており、持ちネタとするお笑い芸人も存在する。

  • アニメ版のオープニングおよびエンディングではサザエら磯野家が行進するシーンがあるが、タラオだけはマスオに肩車をしてもらっており自分で歩いていない。

  • 東芝一社提供時代のアニメ版では、オープニング後の提供クレジットでサザエと共に登場。サザエが「○○*3の東芝がお送りいたします」と読み上げた後に続いて「いたしまーす」と言う役回りだった。その舌足らずな口調から「いてきまーす」に聞こえていた視聴者も少なくなかった。
    エンディング後の提供読みもサザエとタラオが担当するようになってからは、タラオが先に登場し「ママー!」とサザエを呼び、サザエが読み上げを終えると「またねー!」と挨拶していた。

◆足音

アニメ版のタラオといえば、あの絶妙に言語化が難しいことで有名な*4独特の足音である。
この効果音は厳密にはタラオだけではなくイクラが走る時にも用いられているのだが、『サザエさん音楽大全』では「タラちゃんの足音」として収録されている。この足音は2パターンあり、どちらも音楽大全で聴くことが可能。

この音の存在意義について公式サイドから正式な回答は発表されていないものの「幼児がよく履いているピーピー鳴る靴の音を表現している」などの仮説が有力とされている。
ちなみに、タラオより2歳年上のリカは普通の足音である。

◆三輪車

タラオの相棒とも言える赤い三輪車。本人はこれを「愛車」と呼び強い愛着を持っている。
壊れた時にも新品への買い替えを嫌がりマスオに修理させたほどである*5

そんなタラオも、泥酔した波平に自転車を買ってもらう約束をした時には、三輪車を手放しイクラに譲ったことがあるのだが、イクラが三輪車を漕げないことや彼の練習に付き合わされるノリスケが体力的に限界があったことから結局返された(作品No.5925『おじいちゃんの自転車』)

しばしば三輪車に乗って公園などに出かけることがある。デパートでしょっちゅう迷子になるタラオも近所の範囲であれば迷うことはないが、度々サザエなどの同伴者なしで外出すること自体を心配する視聴者も多い。

三輪車で「東京一周」「日本一周」に挑んだこともあるが、隣町へ行く前に行き止まりの道に差し掛かった辺りで大泣きしてしまいギブアップとなった。



追記・修正は、タラオの足音を忠実に書き表せられる人にお願いします。


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最終更新:2024年04月22日 18:11

*1 かつてはタケオも「タラちゃん」と呼んでいた。

*2 さらにタラオの妻はサザエ、子供2人はカツオとワカメにそっくりである。

*3 キャッチコピーは時期によって変動。

*4 嘉門達夫の『NIPPONのサザエさん』では「チャラチャラチャラ」と表現している。

*5 マスオは自転車修理の知識がなかったため、プロに直し方を教わった。