ギマイラ(ウルトラ怪獣)

登録日:2012/09/24 Mon 13:52:07
更新日:2024/03/28 Thu 09:14:18
所要時間:約 5 分で読めます






ギマイラのパワーは、遥かにウルトラマン80を上回っていた!!




ギマイラとは、円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマ『ウルトラシリーズ』の登場怪獣。
初登場は『ウルトラマン80』唯一の前後編第17・18話「魔の怪獣島へ飛べ!!」(ただし、前編では鳴き声と舌だけ)。
よく間違えられるが「キマイラ」ではなく、「マイラ」である。


◇プロフィール

別名:吸血怪獣
身長:59m
体重:5万2千t
出身:宇宙
デザイン:山口修


◇概要

20年前に地球へと飛来して潮風島に潜伏し、島を支配していた凶悪な宇宙怪獣。
青黒い棘で全身が覆われており、額からは白く大きな一本角が生えているのが特徴。

普段は島の岬にある洞窟に潜んでおり、夜な夜な島民を霧で操り餌となる生き血を啜って力を回復させていた。


◇能力

腕力に優れ、ウルトラマン80を軽々はね飛ばすなど肉弾戦でも高い実力を持っている。
なお、80との交戦時はまだエネルギーを蓄えていたところで住処を爆破されたので、やむなく出てきた状態。
つまり、エネルギーは不完全だったにもかかわらず、不完全なまま終始80を圧倒していた*1というとんでもない強豪怪獣。
UGMの攻撃にもびくともしない強固な体表を持つなど防御力もなかなかに高く、棘だらけ故に迂闊に攻撃をすれば逆に棘でダメージを受けてしまう。
さらに配下の怪獣を差し向け、自分は住処の洞穴から咆哮で操るのみで高みの見物をする高い邪悪な知能、そしてパワーのみに留まらない多彩な能力を持っている。

  • 宇宙のカオスでできた霧
口から吐く第一の武器。「催眠霧」とも呼ばれる。
これはどんな薬品でも分解・中和が不可能というチート物質で、吸った生物は思考能力が低下してしまい、ギマイラの思うがままに操られてしまう。
UGM隊長のオオヤマ一樹曰く「一種の麻薬」
ただし万能というわけではなく、防毒マスクを付ければ防御可能で、地球人ではない者には催眠作用の効果は無い。
また、この霧はビルや戦闘機などの無機物を破壊するという二重効果があり、ブレスのように吹き付ければ武器にもなる。
ウルトラマンタイガ』では催眠効果こそ利用されなかったが、青白いブレスのように吐いて純粋な攻撃手段として利用していた。

  • 触手状の舌
ギマイラ第二の武器。
伸縮自在であり、舌先は枝分かれして数十本の触手のようになっており、先端部は吸盤状。
この舌を巣穴から伸ばし、霧で呼び寄せた獲物に吸い付かせて生き血を啜っていた。
戦闘では敵に巻きつけ電流を流し込みダメージを与える事もできる。
地中から舌先を木の根のように張り巡らせて街の人々を襲撃していたため、正体が判明する前は「人を襲う木」だと勘違いされていた。
正体を現した際は空中から夥しい数の舌先の触手を伸ばし、直接大量の獲物の生体エネルギーを奪おうとする行為も見せた。
『タイガ』でもこの舌は健在。

  • 鋭い角
額から伸びたギマイラ最大の武器。
角を突き刺して強力なエネルギーを流し込むだけではなく、青い怪光線「怪獣化光線」を放ち、光線を浴びた生物を怪獣化して咆哮で自由に操る。
しかも怪獣化したら元に戻る事は不可能で、死んだ時にしか元に戻らない。
劇中ではこの光線でラブラスとダロンを支配していた他、怪獣化させる以外にも普通に破壊光線としても運用可能。


……と、これほど多彩な能力、知性、圧倒的なフィジカルを兼ね備えた怪獣というのは今後のウルトラシリーズを通してみても中々存在しない。
星沢子とラブラス(イトウ順吉チーフ)の活躍がなければ80は負けていたかもしれない。 


◇作品での活躍

『ウルトラマン80』

UGMは潮風島の異変をキャッチし、故郷の島の異変にイトウチーフは単独で調査に赴くが、消息が途絶えてしまった。

イトウチーフの捜索と島の異変の調査にやってきた矢的猛、ハラダ時彦、タジマ浩。
観光地のはずなのに誰一人見かけない中、一人の女性を発見。話しかけようとしたが突如現れた怪獣ラブラスに連れ去られてしまった。
次の瞬間、何事もなかったように姿を現した島民に話を聞くも、誰も口を開こうとしなかった。

その夜、島に奇妙な霧が包み始め、島民達がどこかへと向かうのを目撃する。
尾行した矢的達が見たのは、洞窟の奥から謎の触手が島民の首に巻き付き血を吸っている光景だった。

翌日、隊員達の前にラブラスが再度出現。攻撃しようしたが連れ去られた女性がまた現れる

「あの怪獣はイトウさんよ!」と忠告する女性。矢的も透視能力でそれを確信する。

さらに海からダロンが出現。
隊員達は触手攻撃を受けダウン。矢的は80に変身し、立ち向かう。
2対1という状況でさらにラブラスがイトウチーフのため攻撃できずに苦戦するが、人間の意識を取り戻したラブラスがダロンに攻撃し、その隙に80はウルトラレイランスでダロンを仕留める。
ラブラスをどうにか人間に戻そうとする80だったが、制限時間の3分が過ぎようとしていたため退却。ラブラスも姿を消してしまう。

翌日、矢的は自分達が用意した爆薬を奪っていった謎の女性と遭遇する。
霧によって倒れたハラダ、彼を介抱するタジマを残して女性を追う矢的。
彼女は自分は宇宙人であり、イトウチーフの婚約者・星沢子であると告白する。
彼女は20年前、家族と共に乗っていた宇宙船をギマイラに襲撃されて潮風島に不時着し、家族を失ったところを島民に救われて暮らしてきたのだ。
だがギマイラも潮風島の洞窟に潜伏し、消耗したエネルギーを蓄えようと活動を再開、島を霧に包み込んでは島民を操り生き血を啜っていた。
そして調査に現れたイトウチーフをラブラスに怪獣化させたのである。
沢子は自分の父を殺し、婚約者のイトウをも怪獣にさせたギマイラに復讐しようと、矢的を振り切り単独でギマイラの住処を爆破した。

崩れた洞窟から姿を現したギマイラは、防衛隊の戦闘機を次々と撃墜しながら島を破壊し始める。
矢的は80に変身するも、ギマイラの圧倒的なパワーの前に追い詰められてしまう。

80絶体絶命の危機に、突如ラブラスがギマイラに反旗を翻して80に加勢、決死の反撃をする。
ギマイラは裏切ったラブラスを徹底的に痛め付け、とどめに角を突き立てて殺害。
ギマイラに殺されたラブラスは元のチーフの姿に戻った。

怒りに燃え、奮起した80はギマイラの隙を突いて背負い投げで投げ飛ばし、渾身のウルトラムーンサルトキックを炸裂させてギマイラを倒す。

矢的の姿に戻り、海岸に駆け寄った80が見たのは、イトウの亡骸と、彼に寄り添い泣き崩れる沢子の姿だった。

自身の無力を嘆く矢的……

その瞬間、迸るエネルギーを感じ、顔を上げた矢的が見たのは、力を失って倒れる沢子と、二度と開かないはずの目を開くイトウ。
沢子は自分の命を引き換えに彼を生き返らせ、散ったのだ。

彼女が愛した地球を、彼女の与えてくれた命に懸けて守っていく。
夕陽に誓うイトウの姿に、矢的もまた戦う決意を新たにするのだった。


映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

『80』本編でも因縁のあったラブラスと共に、ベリュドラを構成する怪獣の一体として登場した。


ウルトラマンタイガ

第11話「星の魔法が消えた午後」、第12話「それでも宇宙は夢を見る」に登場。

『80』本編のような霧による催眠や怪獣化能力は見せていないものの、
  • 負傷した脚への集中攻撃を仕掛ける
  • 首を掴んで投げ飛ばす
  • 魔法で戦闘の邪魔をするサラサ星人麻璃亜を攻撃する
など、相変わらずの知能や戦闘力の高さを見せていた。

劇中では巣穴から舌先の触手を地下から張り巡らし、人々を襲っていた。
今回は血液ではなく「魔法」とも形容される生物の生体エネルギーや宇宙のエネルギーを吸収しており*2、生体エネルギーを吸われた人間は意識不明の虚脱状態と化す。
それ以外では、角からの光線や触手からの電撃など、初代と同様の技を使用する。

実はゼラン星人オショロが購入した怪獣で、制御するには「魔法使い」と呼ばれる人の力が必要であるため、オショロは謎の存在により滅ぼされた惑星サラサの生き残りである麻璃亜を狙っていた。

パゴスが地上に現れ、ウルトラマンフーマに倒された直後に地底から出現、体力が回復していないウルトラマンタイガを圧倒する。
ストリウムブラスターを受けて負傷した舌の触手を癒すため一時撤退し、オショロの元で冷水を摂取していたところ、現れたウルトラマントレギアによってさらに強化される。

魔法を信じた麻璃亜の力によって再変身が可能となったタイガとの再戦では口からの霧や触手で再び圧倒するが、
麻璃亜の魔法による援護によって互角、フォトンアースへと強化すると劣勢となってしまう。
魔法で出現した惑星サラサの海をウルトラフリーザーによる氷の弾丸として受け、最期は海の力でパワーアップしたオーラムストリウムで縦に真っ二つにされ敗れた。

触手の原因と疑われていたパゴスはギマイラに追い立てられて地上へ現れていた事が判明し、E.G.I.S.と麻璃亜に追悼されている。
また、オショロはギマイラが敗れた後、円盤で逃走していってしまった。


何気にウルトラシリーズ作品への登場は『80』本編以来39年ぶりとなり、スーツが新造された上、1クール目の最後の敵として2話連続登場という好待遇となった。


ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀

配信第2話に登場。
アブソリュートタルタロスに率いられた亡霊魔導士 レイバトスの手により復活、80に差し向けられた。
『80』本編よりも強くなっている80を追い詰めるなど、相変わらずの強敵ぶりを見せて追い詰めたものの、80に加勢したウルトラマンコスモスウルトラマンジャスティスに邪魔され、形勢が逆転。
最期は80に倒された。


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

第2話「未来への飛翔」に登場。メトロン星人マルゥルによると「地球に住み着いた外来種」とのこと。
地球の市街地に出現、対怪獣部隊 GUTS-SELECTの初陣相手を務める。
ナナセ ヒマリが遠隔操作するガッツファルコン相手に触手で迎え撃ち、GUTSハイパーガンからのエレキング電撃にも耐え切り、マナカ ケンゴが変身したウルトラマントリガーカラータイマーが点滅するまでに追い詰める。
しかし、トリガーに一か八かで飛び掛かられて馬乗り状態から繰り出されたゼロ距離からのゼペリオン光線を受けて敗北した。
物語の都合上、剛力闘士ダーゴンの前座という扱いになっているが、強敵感は損なわれなかったようだ。


◇余談


  • 本怪獣の登場話である第17・18話「魔の怪獣島へ飛べ!!」より、佐川和夫特技監督がウルトラシリーズに復帰している(『ウルトラマンタロウ』初期話以来)。

  • 東映不思議コメディーシリーズの『有言実行三姉妹シュシュトリアン』第40話「ウルトラマンに逢いたい」では、冒頭で「怪獣おじさんに修復されるスーツ役」として、頭だけ登場した。



追記・修正は、怪獣化してから生きのびた方がお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ウルトラマン80
  • ウルトラマン
  • ウルトラ怪獣
  • 怪獣
  • 円谷プロ
  • 強敵
  • 目力
  • 邪悪
  • 悪意ある『霧』
  • 吸血
  • キマイラ ←ではない
  • ギマイラ
  • ラブラス
  • ダロン
  • 吸血鬼
  • ウルトラマンタイガ
  • 触手
  • 狡猾
  • ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA
  • ウルトラマントリガー
  • 80オリジナル怪獣
  • 魔の怪獣島へ飛べ!!
  • 作中最強候補
  • 星の魔法が消えた午後
  • それでも宇宙は夢を見る
  • 未来への飛翔
  • 山口修

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月28日 09:14

*1 80は地球上では無敗のウルトラマンなので、その強さがうかがえる。

*2 肩書自体は吸血怪獣のまま